美容医療ピーリングの効果の仕組みと必要な頻度

美しい肌の女性

ピーリングとは、人工的に皮膚の表面を剥がすことでターンオーバーを促す治療法です。ピーリングで毛穴につまった皮脂や古い角質を除去して肌のターンオーバーが整うと、くすみやニキビが抑えられるので、なめらかな肌へ導くとされています。

医療機関のピーリングには薬剤を使用する「ケミカルピーリング」と機器を使用する「ピーリングマシン」があります。比較的手軽にできる美容医療である一方、ピーリングによって引き起こされた炎症など肌トラブルの報告例は少なくありません。

ピーリングでなめらかな肌を目指すためには、その効果と適切な頻度を知ることが大切です。

人工的に肌の角質をはがすピーリングの作用

ピーリング(Peeling)とは「皮をむく」「はがす」という意味です。美容医療領域においては角質層に蓄積された古い角質を人工的に除去して、外的要因や加齢などによって低下した肌の代謝にアプローチする治療法とされています。

ピーリングで整うターンオーバーの役割

ターンオーバーの仕組み

皮膚の構造は一番上の層が表皮、その下にある層を真皮、最下層が皮下組織と3層構造となっていて、各層にはそれぞれ固有の機能があります。その中でも表皮は厚さが平均0.2ミリともいわれる薄い膜で、表皮は内側から基底層、有棘層、顆粒層、角質層の4層から成り立ちます。

皮膚は基底層で新しい細胞を生み出し、おおよそ28日周期で表皮へと押し上げて最後は古い角質となり、やがてはがれ落ちていきます。これをターンオーバーといい、傷跡や日焼けがきれいに元の状態に回復することもターンオーバーによるものです。

しかし、ストレス・食生活・喫煙・睡眠不足などの生活習慣、紫外線やエアコンによる乾燥などの外的刺激や、年齢とともに肌の代謝力が低下して肌のターンオーバーが乱れると、古い角質がはがれ落ちず皮膚に蓄積されてしまいます。

すると肌は潤いを失い、しみやしわ、毛穴の皮脂づまりによるニキビなどの肌トラブルへつながるといわれています。

ピーリングでケアできる肌トラブル

  • しみ、くすみ
  • 毛穴の皮脂づまり、黒ずみ
  • いちご鼻(小鼻の毛穴づまり)
  • ニキビ、ニキビ跡
  • 肌のざらつき
  • 小じわ
  • 毛穴の開き
  • 肝斑(リバースピール)

表皮細胞の新生速度を妨げて、肌トラブルにつながるターンオーバーの乱れを整えるのが、ピーリングです。

ピーリングでターンオーバーが正常に整うと肌の保水機能が保たれます。保水力のある健康な肌はバリア機能が整っており、ニキビやしみなどの肌トラブルが起こりにくい状態といえます。

ピーリングの対応可能部位

鏡に映る女性

  • デコルテ
  • 背中
  • 二の腕
  • ひじ、ひざ
  • ヒップ
  • 太もも
  • ふくらはぎ
  • かかと

ピーリングは体のあらゆる部位に治療をおこなうことができます。

顔や背中など皮脂腺が発達している部位は過剰な皮脂分泌によって、毛穴に皮脂がつまることでニキビを引き起こしてしまうことも少なくありません。ピーリングにより毛穴の皮脂づまりを改善することでニキビのできにくい、なめらかな肌へ導くとされています。

また、ひじやひざは皮脂腺は少ないものの関節であるため動かす機会が多く、外的刺激を受けやすい部位です。ひじをつく、たてひざなど皮膚への刺激が原因で皮膚内部で炎症が起こり、角質が厚くなることから、黒ずみやかさつきの原因になるともいわれています。ピーリングで過剰な角質を除去をすることで黒ずみの少ない、なめらかな肌へと導きます。

ピーリングが適さない方

本来の肌質や現在の肌トラブルの症状によってはピーリングでの施術がおこなえない、または悪化を招いてしまうことも少なくありません。ですので、安易な自己判断による市販のピーリング剤でのケアには注意が必要といえます。

  • 極端な敏感肌
  • 日焼け直後、または日焼けをする予定のある方
  • すり傷、切り傷など
  • 前日の剃毛
  • ケロイド、自己免疫疾患
  • クレーター状のニキビ跡
  • 肝斑、そばかす
  • 妊娠、授乳中の方
  • ヘルペスなど湿疹がある方
  • 傷跡が極度に残りやすい方
  • 1カ月以内にレーザーや光治療などをおこなった方
  • 前日に顔そりやスクラブ洗顔をした方

ピーリングの回数や適切な頻度

ピーリングによる肌質の改善には個人差があり、一般的には2~4週間に一度の施術を6回ほど繰り返すことでターンオーバーが整うとされています。肌のターンオーバーが整った後は、ピーリング施術の継続は必要ありません。

なお、不要な角質を取り除くことは大切ですが、ターンオーバーを早めようと、短期間のピーリングなどで未熟な角質をはがしてしまうと肌のバリア機能が低下して、しみや炎症などの肌トラブルを引き起こすこともあるので医療機関の指示に従ってください。

ピーリングによるニキビ治療

ピーリングによるニキビ治療は使用薬剤、ニキビの重症度によってその効果は異なります。平均で6~10回程度の治療を繰り返すことで新たなニキビが発生する割合が減少するとされ、肌質改善にむかうといわれています。

ピーリングによるしみ治療

しみにおいては数カ月から年単位の治療期間がかかることが多いので、レーザーなど他の治療法との併用が望ましいでしょう。

ピーリングの種類とピーリングマシン

ピーリングの施術を受ける女性

医療機関でおこなわれるケミカルピーリングは、エステや市販されるピーリング剤とは濃度が異なるため、ドクターの指導のもとでおこなわれます。

医療機関では酸性薬剤を使用したケミカルピーリングのほかにマシンを使用し、不要な角質を除去するピーリングもあります。薬剤が使用できない肌質に対応できるマシンもあるので、ドクターの診断のもと、適切なピーリングでの治療をおこないましょう。

ピーリングの種類

鏡を見て微笑む女性

グリコール酸ピーリング

代表的なケミカルピーリング剤の一つといわれ、フルーツ酸(AHA)とも呼ばれています。医療下において有効性と安全性が確認され、分子がAHAで最も小さいことから肌への浸透がよい薬剤です。蓄積された古い角質を除去、表皮細胞を活性化させることでターンオーバーを整え、肌コラーゲンの生成にも作用するので、ハリのある肌へと導くといわれています。またグリコール酸によるピーリング治療は直後からメイクすることが可能です。

ラクトピーリング

天然乳酸を使用したラクトピーリングは、刺激が少なく敏感肌でも治療が可能といわれています。天然乳酸もフルーツ酸の一種となりますが、グリコール酸とくらべ分子サイズが大きく、皮膚の浅い層の症状への治療に適している薬剤です。蓄積された古い角質を除去し、肌のターンオーバーを整えるとともに保湿と美白効果があるとされ、色素沈着や肌の色むら改善に導きます。

サリチル酸マクロゴールピーリング

サリチル酸はグリコール酸よりも強力に作用する薬剤ですが、そのため治療中の刺激が強く1週間ほどのダウンタイムが必要とされていました。サリチル酸マクロゴールピーリングはサリチル酸に軟膏の基剤などに用いられるマクロゴールを組み合わせることで、サリチル酸の刺激を抑え皮膚を傷めることなく、肌のターンオーバーを整えることができます。毛穴のつまりから炎症性ニキビまで、穏やかに効率よく作用し、短期間でなめらかな肌に導くピーリングといえるでしょう。

ミルクピール

グリコール酸・サリチル酸・乳酸の3種を配合したフランスのダーマシュティック社開発のケミカルピーリング剤です。3つの酸がもつ、それぞれのメリットを最大限に発揮するピーリングといわれていて、高い効果とダウンタイムがほとんどないことが特長です。不要な角質を除去し、ターンオーバーを整える効果はもちろん、これまでのピーリングでは得られなかった肌のハリ感とその持続性もミルクピールならではです。

マッサージピール

マッサージピールはコラーゲンピールとも呼ばれ、真皮のコラーゲン生成を促すピーリングです。高濃度トリクロロ酢酸(TCA)、低濃度過酸化水素(H2O2)、コウジ酸が配合された薬剤を塗布し、肌をマッサージしながらおこないます。肌の奥に浸透し、真皮のコラーゲン生成をサポートすることで、ハリ感のある肌質へと導き、毛穴の開き、小じわやたるみを改善するピーリングといわれています。

リバースピール

リバースピールはマッサージピールの薬剤を肝斑へ作用するよう改良されたケミカルピーリングです。肝斑ピールとも呼ばれ、3種の薬剤を使用することで表皮外層・表皮深部・真皮に浸透させ、肝斑や慢性的な色素沈着を改善に導きます。肝斑は一度では改善が難しいことが多いので、治療回数を重ねる必要があります。なおトレチノイン治療をしている場合はリバースピールをおこなう2週間前に治療を中止する必要があるので注意しましょう。

医療機関でおこなわれるマシンによるピーリング

ハイドラフェイシャル

アメリカFDA(米国食品医療品局)の承認を得た安全な医療機器による、水流を利用したピーリングマシンです。

ハイドラフェイシャルは3つのステップでの施術となります。まず皮膚を軟化し、汚れを浮かせ毛穴の奥まで洗浄し、穏やかに角質を剥離します。その後、皮膚を刺激することなく渦巻き状の水流で毛穴の皮脂づまりを除去しながら同時に保湿をおこないます。最後は美容成分を補給し、肌を整えます。とくに毛穴の黒ずみや皮脂づまりに効果があり、薬剤での治療と比べると刺激の少ないピーリングといえるでしょう。

ピーリング施術の流れと注意点

指差しをする医療従事者

ピーリング施術前の注意点

皮膚表面が傷んでいると、ケミカルピーリングは必要以上に深く作用する可能性があるため、ひげそりや顔そり、スクラブ洗顔料の使用は控えましょう。また1カ月以内にレーザー治療や光治療など、他の施術を受けた場合、薬剤およびマシンでのピーリングがおこなえないことがあるので、必ずドクターに相談のうえ適切な施術を受けましょう。

ピーリングの施術の流れ

薬剤を塗布するケミカルピーリングの施術の流れをご紹介します。

ピーリングマシン、ハイドラフェイシャルによる流れは、「効果的なハイドラフェイシャルの回数・頻度を知って整える肌のターンオーバー」で説明しています。

(1)診断

洗顔後、ドクターによる肌の診断がおこなわれます。

(2)施術

目元を保護し、症状にあわせたピーリング薬剤を塗布します。この時、肌にピリピリとした多少の刺激を感じることがあります。万が一、異常な刺激や痛みを感じた際はすぐにドクターやスタッフに申し出ましょう。

(3)拭き取り

薬剤が拭き取られ、ピーリング治療は終了です。

ピーリング施術後は保湿と紫外線対策で肌トラブルを防ぐ

笑顔の女性

ピーリングは角質を人工的に剥離する治療法です。施術後の肌は多少の赤みやヒリつきなど、肌が敏感になることもあるので、紫外線対策と保湿をしっかりおこなう必要があります。

ピーリング後は角質がはがれているため、一時的に皮膚が本来もつバリア機能が低下するといわれています。そのため摩擦や紫外線の影響を受けやすく、刺激に対し肌が敏感になります。刺激を受けると色素沈着を起こしやすくなるので、紫外線対策をしっかりおこない、過度な洗顔などを避けるよう注意が必要です。

また、ピーリング直後の肌は不要な角質が除去されたことによって、水分が蒸散しやすい状態となります。このため保湿もしっかりおこないましょう。

サリチル酸マクロゴールピーリングの施術後は約12時間メイクを控えましょう。他のピーリングは施術直後のメイクは可能とされていますが、ドクターの指示に従ってください。

ピーリングのおおよその価格

各医療機関によって異なりますが、ケミカルピーリングは顔全体で1回5000円~1万円程度、ハイドラフェイシャルは顔全体で1回2万円~3万円程度で受けることができます。また初診・再診料、イオン導入などのオプション料金が別途かかることもあるので受診時に医療機関へお問い合わせください。

ピーリングと併用可能とされる施術

笑顔の女性

ピーリング直後は古い角質が除去され美容有効成分などが浸透しやすくなるので、各種美容薬剤・美容施術を併用することで、より効果を高めることができます。

イオン導入

ピーリング施術後は古い角質が除去され、美容有効成分が浸透しやすい肌になっています。そのため肌悩みに合わせた薬剤等をイオン導入により浸透させることで、相乗効果が得られるといわれています。

超音波導入

1秒間に約300万回の超音波の振動を皮膚に与えて、一時的に角質層のバリアに空洞化現象を起こすことで美容有効成分を大量導入する施術です。

レーザーおよび光治療

ピーリング施術によって角質がなめらかになると、レーザーや光を照射した際の光の乱反射が軽減されるため、ターゲットとなるしみなどに、よりアプローチができるといわれています。

自宅やエステでおこなうピーリングとの違い

エステと美容医療ピーリングの違い

エステティックサロンでおこなわれるピーリングと医療機関でのピーリングは薬剤の濃度に違いがあるといわれています。

疾病の治療を目的とする「ケミカルピーリング」は日本皮膚科学会により医業に該当することを明言、ケミカルピーリング施術はドクターおよび、ドクターの管理下におこなわれる医療行為です。

一方、エステティックサロンでは「ケミカルピーリング」は禁止されています。グリコール酸についてはph3.0以上、薬剤濃度10%以下であれば施術は可能とされていますが、万が一の肌トラブルを避けるためにも医療機関でドクターの診断のもと、ピーリング施術をうけることが安心といえるでしょう。

セルフピーリングと美容医療ピーリングの違い

市販のピーリングは石鹸やピーリングジェルなどがあって、その多くにはフルーツ酸(AHA)と呼ばれる成分が配合されています。医療機関でのピーリングと比べ、刺激が少ないとされていますが、自己判断での誤ったピーリングにより必要な角質まで除去してしまい、新たな肌トラブルを引き起こすことも少なくありません。

医療機関でのピーリング施術はドクターの診断により、それぞれの肌質、症状に適した薬剤や施術をおこなうため、安全性と有効性の高い治療であるといえるでしょう。

また市販のピーリング剤が肌に合わない場合でも、医療機関でのピーリングを受けることによって症状が改善することもあるとされています。肌のターンオーバーを正しく整え、肌質を改善するためには、医療機関でドクターによる診断のもと、適切なピーリング治療をおこなうのが安心です。