スキンフィニティクリニック
日本美容外科学会認定 美容外科専門医 ダーマペンワールド社公認ダーマペン4技術指導医 suneKOS (スネコス)executive trainer in Japan Classys社公認ウルトラフォーマー3指導医 Endymed社公認・技術指導医
橋本聡医師のいる医療機関
スキンフィニティクリニック
お問い合わせ先:0120-440-138
注射器を使用して皮下へ注入する皮膚注入剤の「エランセ」は、持続期間が約1年~3年と長いことや、成分は体内に吸収されて異物が残らないといった特徴があります。
シワやくぼみのボリュームを補う施術やアゴの輪郭形成などの施術にも使用されますが、特筆すべき点は、コラーゲンブースターとも呼ばれる自分自身のコラーゲン生成を促す作用があることです。コラーゲン生成の促進を狙って注入することで、肌のハリや弾力アップといった効果が期待できます。
皮膚注入剤としては、ほかにもヒアルロン酸やレディエッセなどがありますが、それぞれ施術の目的ごとに適した注入剤は異なるので、どのような目的でエランセを選ぶべきか知っておくことが大切です。また、エランセの施術による効果があらわれはじめるまでの期間や、リスク・副作用を事前に理解しておくことで、施術をより安心して受けることが可能です。
2007年に開発されたエランセは、美容を目的とした皮膚注入剤(ダーマル・フィラー)です。collagen booster(コラーゲンブースター)、あるいはBio-stimulator(バイオスティミュレーター)ともいわれる「コラーゲン生成を促す作用」で使用されることが大きな特徴です。また、シワやくぼみといった肌の溝が気になる部位にピンポイントで注入することで、肌のボリュームを補って改善に導く効果なども期待できます。
持続期間が最長3年と長期にわたるため頻繁に通院する必要もありません。また、成分は注入後体内に吸収されるので体内に異物が残ることがないとされていて、注入した際にアレルギー反応を引き起こすリスクが低い非動物由来・ 非細菌由来・非ヒト由来の皮膚注入剤なので、事前のパッチテストも不要とされます。
エランセは欧州CEマークを取得しているほか、MFDS(旧KFDA・韓国食品医薬品安全庁)やオーストラリアTGA(保険省薬品・医薬品行政局)にも登録されているとされ、安全性と有効性が認められている皮膚注入剤といえます。
エランセは、CMC(カルボキシメチルセルロース)70%をベースに、PCL(ポリカプロラクトン)30%で構成されています。それぞれFDA(米国食品医薬品局)から安全性の承認を受けていて、人体に悪影響を及ぼすリスクが低いとされる非毒性・非アレルギー性の成分で、繰り返し使用しても体内で抗体が形成されることがないことから、複数回の施術をおこなっても注入した際に効果が減衰することがないとされます。
エランセを構成する2つの成分は、それぞれ以下のような特徴があります。
PCL(ポリカプロラクトン)は、心臓外科や形成外科などの外科手術で使用される抜糸が不要な生体吸収性の溶ける縫合糸の成分で、目的を達成した後は代謝によって体内で自然に分解・吸収されます。エランセには、直径0.0025mm~0.005mm程度の微小な粒子に加工されたPCLが含まれています。
皮下に注入されたPCLは新たなコラーゲンの生成を促す作用があって、加齢とともに失われた肌のハリや弾力を取り戻すことによりシワを改善へ導きます。また、使用するPCLの分子構造ごとに体内へ完全に吸収されるまでのスピードを調整できることから、施術の目的や希望する効果にあわせて持続期間を選択することも可能です。
CMC(カルボキシメチルセルロース)は、植物繊維の成分であるセルロース、水、グリセリンをもとに製造される増粘剤で、医薬品や食品添加剤、化粧品などで幅広く使用されている水溶性物質です。CMCはエランセの適度な弾力と粘性を保ってジェルの形状を維持する働きがあって、また、微細な粒子を均一に分散させる保護コロイドという特性を持っているので、PCLの粒子を均一に分散させる役割もあります。
エランセの成分として皮下注入されたCMCは、1カ月ほどで体内に吸収されます。
ヒトの肌のハリや弾力はコラーゲンによって保たれていますが、コラーゲンが生成される量は20代をピークに年齢を重ねるにつれて少なくなっていくので、何もしなければ肌のハリや弾力は徐々に失われていきます。
エランセに含まれているPCLは注入した皮下の周囲に新生コラーゲンの生成を促す「コラーゲンブースター」という働きがあるので、真皮へエランセを注入することで減少しつつあるコラーゲンが増生されて肌のハリや弾力が戻ってくるとされています。
また、PCLの粒子は体内に吸収される過程で、注入した部位の周囲に軽微な炎症を生じさせる作用があって、この炎症が刺激となって皮下で新たなコラーゲンの生成が促されることから、長期間にわたって肌のハリや弾力の改善が期待できます。
ハリや弾力が戻ることで肌にうるおいが生まれて、皮膚が薄くデリケートな目の下の小じわ、頬や目尻の細かいシワなどを改善へ導きます。
エランセの注入によって生成されたコラーゲンは、注入剤が体内に吸収された後も残るので、長期にわたって肌のハリや弾力を高めてシワを改善に導く効果が期待できます。また、エランセはPCLの分子の長さを変えることで体内に吸収されるスピードを調節できる点も特徴のひとつで、次のように、含有成分は同じで持続期間だけが変わった3種類のシリーズがあります。
製品名 | 持続期間の目安 |
---|---|
ELLANSE-S | 約1年 |
ELLANSE-M | 約2年 |
ELLANSE-L | 約3年 |
エランセは施術回数に制限はないので、効果がなくなった際は再び注入の施術を受けることが可能です。効果の持続期間は注入したエランセの種類によって異なり、個人差はありますが、たとえば約3年間の効果持続が期待できるELLANSE-Lを注入した場合、施術頻度は約3年に1度となります。
取り扱っているエランセの種類は医療機関によって異なるので、いずれかの種類を希望する場合は事前に医療機関にお問い合わせください。
エランセを構成するPCLとCMCは注入後、体内の水分と反応して吸収される現象の加水分解によって、一定期間をかけて水と二酸化炭素に分解されて体内へ吸収されます。体内で分解・吸収されていく過程で異物が体内に残ることがないことから、完全吸収性の注入剤ともいわれています。
たとえば持続期間が約1年のエランセを注入した場合、施術から約1年が過ぎると成分の生体吸収によって容積の減少がはじまります。
エランセの施術は基本的に注射による注入治療で、シワが気になる部位や肌のボリュームを出したい部位に手術用のペンで印を付けてして注入していきますが、注入方法は施術の目的によって異なります。
肌の弾力低下による目の下のシワや頬のたるみ、手の甲などのハリの改善を目指す施術では、エランセを薄く面状に注入して成分を広範囲に作用させることで、肌のハリや弾力の改善が期待できます。
エランセを注入する際は、鈍針とも呼ばれる針孔が横に付いたカニューレ(カニューラ)を使用する場合があります。カニューレは柔軟性があり曲げることができることから、皮下で回転させることにより施術者がエランセを注入する向きを調整することが可能で、先端が丸い構造なので注入する際の痛みを感じにくくて内出血のリスクも低いとされている注入針です。
また、髪の毛より細い針が16本ついたペン型の医療機器であるダーマペンを使用して、エランセと同じ成分の薬剤を皮膚に広範囲で浸透させる施術をおこなっている医療機関もあります。
ほうれい線やマリオネットライン、こめかみのくぼみ、加齢によってボリュームダウンしてしまった部位や輪郭形成したい部位にピンポイントでエランセを注入することで、肌のボリュームを補う作用によってシワやくぼみを改善したり、輪郭形成を目指すことができます。
悩みが気になる部位にエランセをピンポイントで注入する際は、27G(直径:0.4mm)前後の注入針を使用して真皮の深い部位へ注入するのが一般的とされていて、輪郭形成を目的としてエランセを注入した場合は注入直後から効果が感じられるとされます。
肌のハリや弾力の改善を目指すためにエランセを広範囲に薄く注入する場合の注入量は、全顔あたり1cc程度が目安となります。一方で、ほうれい線などの深いシワの改善や、輪郭整形を目指すためにピンポイントで注入する場合は、1つの部位につき0.5cc~2cc程度が目安です。医療機関によってはエランセの注入量を本数で表記しているケースもありますが、1本あたりの容量は1ccです。
エランセの注入によるコラーゲンブースターの作用があらわれはじめるのは、注入の約3カ月後が目安です。
エランセは注入後にCMCから体内へ吸収されていくので、施術の腫れが落ち着いてCMCが吸収されると、注入直後よりもボリュームが減ったように感じられることがあります。しかし、PCLの作用で注入した部位のコラーゲン生成が3カ月~4カ月ほどかけて促されると、徐々に肌の弾力やハリの改善を感じられるという特徴があります。
経過 | 経過にともなう変化 |
---|---|
注入直後~3日程度 | 施術による腫れが生じる場合がある |
1週間程度 | 水分によって目の下などの皮膚が薄い部位にむくみが生じる場合がある |
10日~2週間程度 | CMCが体内に吸収されることで、注入直後よりもボリュームダウンしたように感じられることがある |
3カ月程度 | PCLの作用によってコラーゲン生成が促進される |
3カ月~4カ月以降 | 肌の弾力やハリの改善を感じられるようになる |
気になる部位全体に浅く注入することで、肌全体のハリや質感、弾力アップが期待できます。「最近ハリがなくなってきた」「全体的にたるみが気になる」などの悩みを改善に導く効果が期待できます。
エランセのコラーゲン生成を促す作用によって肌のハリ・弾力のアップが期待できるので、シワやくぼんだ部位に注入することでボリュームを補うことが可能とされます。
エランセは全体的な肌質の改善や引き締め、ハリや弾力アップによるシワや溝の持ち上げといった作用に長けた注入剤であると同時に、肌のボリュームを補う作用があることから鼻やあごの輪郭形成を目指すことも可能です。
ヒアルロン酸はもともと体内に存在する弾力成分なので皮膚との相性がよくて、アレルギーのリスクが少ないとされる粘弾性のある物質です。肌の高さやボリュームを出すことに長けている注入剤なので、ヒアルロン酸注入はシワやくぼみの改善や鼻を高くする輪郭形成などの目的に適した施術といえます。
ヒアルロン酸は希望と異なる仕上がりとなった際に分解剤(ヒアルロ二ダーゼ)を注入することで修正をおこなうことが可能ですが、エランセのように肌のコラーゲン生成を促す働きはありません。ヒアルロン酸注入の主な役割は、注入剤によって肌のボリュームを補うことです。
レディエッセは、エランセやヒアルロン酸よりも粘性と弾性が強いことから、主に鼻やあごの輪郭形成で使用される傾向にある注入剤です。レディエッセの主成分は骨や歯の成分であるカルシウムハイドロキシアパタイトで、分解剤はないのでヒアルロン酸注入のように修正をおこなうことはできません。
ハイドロキシアパタイトは皮下に注入されることで、エランセと同様にコラーゲン生成を促す作用が期待できます。効果の持続期間は約1年半~2年なので、持続期間が約3年と長いタイプのエランセと比較する短い傾向の注入剤です。
(1)診察・カウンセリング
ドクターによる診療とカウンセリングでエランセの注入方法や施術の注意点といった説明を受けて、注入をおこなう部位や希望する持続期間などを決めていきます。施術に対して疑問や不安がある場合は、このタイミングでドクターに相談してください。
(2)洗顔・クレンジング
エランセの注入部位が顔で、施術の当日にメイクをしてきた場合は、施術をおこなう前に洗顔とクレンジングをおこなって顔を清潔な状態にします。
(3)マーキング・施術
手術用のペンで注入部位に印をつけた後に、エランセを注入していきます。医療機関によっては、希望すれば麻酔テープや麻酔クリームを使用して施術をおこなうことも可能です。所要時間は施術部位によって異なりますが約10分~30分です。
(4)終了
施術を終えた後はすぐに帰宅できます。施術を受けた当日のメイクも可能です。
痛みを感じる程度には個人差がありますが、普段からヒアルロン酸注入などほかの注入施術を無麻酔で普段受けている方は、エランセの注入施術も痛みを感じることは少ないとされます。痛みが心配な場合は、麻酔テープや麻酔クリームなどを使用できる医療機関を選ぶとよいでしょう。
エランセの注入施術を受けた後は、炎症や内出血によって数日ほど軽い腫れや赤みが生じる場合があります。まぶたや目の下などの皮膚が薄い部位では、むくみがでる場合がありますが、1週間ほどで落ち着くとされます。
エランセの注入直後は皮膚の表面に微細な傷跡ができますが、メイクで隠せる程度で数日以内になくなります。
エランセは皮下に針を挿入する施術のため、毛細血管が傷ついた場合は内出血のリスクをともないます。また、エランセが面状に広がらないことで、凹凸やしこりが生じるリスクや、施術者が注入剤を血管内に誤って注入した場合は血管が詰まって皮膚の壊死が起こる可能性があります。異常があらわれた場合はすぐにドクターに相談してください。
また、エランセにはヒアルロン酸のような分解剤がないので、希望する効果があらわれなかった場合も、体内に吸収されるまで約1年~3年ほど待たなければなりません。
併用すると良い施術として、ヒアルロン酸注入やベビーコラーゲン注射、ショッピングリフトなどがあります。エランセの持つコラーゲンブーストの作用によって肌のハリや肌質改善とボリュームアップを目指して、深いシワなどピンポイントで治療したい部位にはヒアルロン酸注入、またベビーコラーゲン注射やショッピングリフトを併用することで、さらなる美肌効果が期待できます。
エランセは持続期間によって金額に差がありますが、1本(1cc)あたり80,000円~180,000円が目安です。エランセの注入施術は自由診療なので、料金の設定は医療機関ごとに異なります。
エランセは分解剤がないので、やり直しがきかない注入剤です。注入後にオーバーボリュームになってしまったなどイメージと違う仕上がりになってしまった場合や、しこりができてしまった場合などは体内吸収されるまで待つしかありません。エランセの施術件数が多くて症例写真を豊富に公開している医療機関や、皮膚の解剖学に詳しいドクターが在籍する医療機関であれば、不自然な仕上がりとなる失敗のリスクを低減できます。
また、鼻やあごの輪郭形成を目的とする場合は、まずヒアルロン酸注入の施術を受けて、どのように印象が変わるか確認してからエランセ注入を検討するという選択肢もあります。エランセは持続期間を選ぶことができますが、医療機関によって取り扱っているエランセの種類は限定されている場合があります。持続期間が気になる場合は、施術を受ける医療機関が取り扱っているエランセの持続期間を事前に確認しておくことが大切です。
記事を監修していただいた橋本聡先生にエランセについて教えていただきました。
監修医師の紹介
スキンフィニティクリニック院長であり、高い注入技術を要するエランセの施術において、国内で圧倒的な症例件数・使用件数を誇る橋本聡医師。エランセの特徴、コラーゲンの増生を引き起こすバイオスティミュレーターの作用を熟知し、ドクターに向けた注入手技の勉強会やセミナーなど数多くの講演をおこなう。ダーマペン4をはじめとする複数の施術で指導医も務め、正しい施術方法の普及活動を精力的に実施。
橋本聡医師のいる医療機関
スキンフィニティクリニック
お問い合わせ先:0120-440-138
エランセは厚生労働省未承認医薬品です。 |
医薬品の入手経路:入手経路は各医療機関のドクターによるメーカーからの個人輸入です。 個人輸入において注意すべき医薬品等について(厚生労働省のページ) |
日本国内での承認の有無:エランセと同一の成分・作用があり、日本国内で承認を受けている医薬品はありません。 |
諸外国における安全性等に関する情報:一般的な皮膚充填剤において、米国のFDA(アメリカ食品医薬品局)に報告されている副作用としては、次のようなものがあります。 一般的に起こりうる副作用:2週間以内で解消されるあざ、発火、腫れ、痛み、かゆみ、発疹 ごく稀に起こりうる副作用:肉芽腫、感染症、アレルギー反応、壊死、注入漏れ、注入剤の移動、視力異常、脳卒中など[※] |