長期持続型といわれる注入剤「エランセ」のコラーゲン生成促進による変化

女性が肌のハリを確かめている

注射器を使って皮下に注入する皮膚注入剤「エランセ」。持続期間が約1~4年と長いことや、成分は体内に吸収されるという特徴があります。くぼみのボリュームアップやアゴの輪郭形成などの施術にも使われますが、特筆すべき点は、コラーゲンブースターとも呼ばれる自分自身のコラーゲン生成を促す作用があることです。コラーゲン生成の促進を狙って注入することで、肌のハリや弾力アップを期待できます。

皮膚注入剤としては、ほかにもヒアルロン酸やレディエッセなどがありますが、どんなときにエランセを選ぶと良いかやエランセのリスクを理解して、後悔のない施術を受けるようにしましょう。

持続期間が長くコラーゲン生成を促進するエランセ

エランセとは、オランダのAQTIS medical社で開発された美容を目的とした皮膚注入剤(皮膚充填剤、ダーマル・フィラー)です。ヒアルロン酸などと同じように、しわやくぼみなど気になる部位にピンポイントで注入して、ボリュームを出す目的で使うこともできますが、collagen booster(コラーゲンブースター)またはBio-stimulator(バイオスティミュレーター)ともいわれる「コラーゲン生成を促す作用」で使われることが、大きな特徴です。

また持続期間が最大4年と長期にわたるため、頻繁に通院する必要がありません。成分は注入後体内に吸収されるので、異物が残ることがないとされます。

欧州CEマークを取得して米国FDAに承認されているため、安全性と有効性が認められている皮膚注入剤といえるでしょう。

しわを改善して肌質の向上が期待できるエランセの成分

エランセは、CMC(カルボキシメチルセルロース)70%をベースに、PCL(ポリカプロラクトン)30%で構成されます。どちらも非毒性・非アレルギー性で、繰り返し使用しても効果が期待できます(非抗体形成ともいう)。

手術で溶ける縫合糸に使われているPCL

エランセのおもな成分のPCL(ポリカプロラクトン)は、心臓外科、形成外科、脳外科などの外科手術の際、溶ける縫合糸として使われている、生体吸収性の成分です。目的を達成したあとは体内で分解・吸収されます。エランセでは、直径1/1000mm(μm)単位の微小な粒子に加工されて使われています。

PCLは、全体的な肌質の向上が期待できるショッピングスレッドの素材でもあります。ショッピングスレッドは糸を皮下に挿入するスレッドリフト(糸リフト)のひとつですが、エランセは注射器で皮下に注入していきます。

PCLを保護して粘度を保つCMC

CMC(カルボキシメチルセルロース)は植物繊維の成分セルロースをもとに製造される、増粘剤のひとつです。セルロースと水とグリセリンでできていて、食品添加剤や医薬品、化粧品など幅広く使用されている水溶性物質です。CMCにはエランセの適度な粘性を保つ働きがあり、皮下に注入することで肌にハリをもたらして、しわを改善する作用が期待できます。また、微細な粒子を均一に分散させる保護コロイドという特性を持っているので、PCLを均一に分散させています。

エランセの3つの特徴

エランセは肌の弾力を担うコラーゲン生成を促す

PCLには周囲に新生コラーゲンを生成するという特性があります。自身のコラーゲンが増えることで、肌のハリや弾力がアップし、肌の内面からハリが戻ることで、皮膚が薄くデリケートな目の下の小じわ、頬や目尻の細かいしわなどを改善に導きます。

ヒトの肌のハリや弾力はコラーゲンによって保たれています。しかし、コラーゲンが生成される量は、20代をピークに年齢を重ねるにつれ少なくなっていくので、何もしなければ肌のハリや弾力は徐々に失われていきます。

皮膚組織の図解

そこへ、自身のコラーゲン生成を促すコラーゲンブースターのエランセを注入すると、減少しつつあるコラーゲンが増生されて、ハリや弾力が戻ってくるといわれています。ハリや弾力が戻ることで肌にうるおいが生まれ、しわやたるみなどが目立たなくなって、肌質を根本から向上させる効果が期待できるのです。

エランセは効果の持続期間が長い

鏡の前で肌をチェックする女性

エランセ注入後生成されるコラーゲンは、エランセが体内に吸収されたあとも残るので、ほかの注入剤よりも効果が長期間持続するといわれています。肌のハリ、弾力、うるおい、キメが整うなどの美肌効果は、長期にわたって期待できます。

エランセは持続期間を選べる

エランセは、PCLの分子の長さを変えることで吸収スピードを調整できることも特徴のひとつで、ELLANSE-S(約1年)、ELLANSE-M(約2年)、ELLANSE-L(約3年)、ELLANSE-E(約4年)と、同じ成分で持続期間だけを変えた4種類のバリエーションがあります。なお持続期間が長いほど、料金は高くなります。

エランセの持続期間によって変わる施術回数や頻度

施術回数や頻度については、使用したエランセの持続期間によって異なります。例えば約4年効果が持続するとされるELLANSE-Eを注入すれば、効果に個人差はあるものの、単純に考えると施術頻度は約4年に1度ということになります。

エランセの成分は注入後に吸収される

エランセは注入後、体内の水分によって水と二酸化炭素に分解され、100%体内に吸収されるとされます。完全吸収といわれているので、異物が体内に残ることがないといえます。

エランセの注入方法で変わる期待できる効果と経過

女性の顔・注入治療イメージ

エランセの施術は基本的に注射による注入治療です。注入部位に手術用のペンでマークして、注入していきます。鈍針と呼ばれる先端の丸いカニューレ(カニューラ)を使用することで、内出血のリスクが下がって痛みが軽減されています。

広範囲に薄くエランセを注入

目の下のしわやたるみ、頬のたるみ、手の甲などのハリ感改善を目指す施術では、カニューレでひとつの針孔からハリや弾力を出したい部位に全体的に薄く面状に注入します。皮膚の裏にまんべんなく注入剤を行き渡らせるイメージです。

またダーマペンで、エランセとおなじ成分の薬剤を皮膚に浸透させる施術をおこなっている医療機関もあります。ダーマペンは髪の毛より細いステンレス製の針が16本ついたペン型の医療機器で、皮膚表面に微細な穴をあけて薬剤を浸透させることができます。

エランセの効果は3カ月後から

エランセの注入効果は、おおよそ3カ月後からあらわれるとされています。針を使用した注入による腫れが落ち着くと、一度ボリュームが減ったあとに肌のハリが出てくるという特徴があります。

エランセの成分であるPCLとCMCのうち、CMCから体内に吸収されていくのですが、CMCが吸収されると注入直後よりもボリュームが減ったように感じられることがあるのです。しかしPCLの作用でコラーゲン生成が促進されると、3~4カ月ほどかけてコラーゲンが増生されてふっくらする効果を感じられるとされます。

また一般的にヒアルロン酸などの皮膚注入剤は、注入直後をピークに日が経つにつれて少しずつ吸収されて効果が失われていきます。対してエランセはコラーゲン生成が促進されることで、効果が失われずに一定期間保たれる点が特徴的です。

経過 経過にともなう変化
3日程度 薬剤注入による腫れが生じる場合がある
1週間程度 目の下などの皮膚が薄い部位で薬剤に含まれる水分によってむくみが生じる場合がある
10日~2週間程度 CMCが吸収されることで、注入直後よりもボリュームダウンしたように感じられることがある
~3カ月 コラーゲン生成が促進される
3カ月以降 肌のハリやふっくらする効果が感じられるようになる

ピンポイントでエランセを注入

ほうれい線やマリオネットライン、こめかみのくぼみなど、加齢によってボリュームダウンしてしまった部位や輪郭形成したい部位に、ピンポイントでエランセを注入することで、ボリュームアップによりしわやくぼみを改善したり、輪郭形成をすることができます。

輪郭形成の効果を狙ってエランセを注入した場合は、注入直後から効果があらわれるとされます。

エランセが向いている方

肌のハリや弾力を取り戻したい

気になる部位全体に浅く注入することで、肌全体のハリや質感、弾力がアップします。「最近ハリがなくなった」「全体的にたるみが気になる」など、根本的な肌質の向上を目指したい方に向いているといえます。

しわやくぼみを目立たなくしたい

自身のコラーゲン生成が促進されてハリ・弾力がアップする特性から、ヒアルロン酸注入同様、しわやくぼんだ部位に注入することでボリュームを出すことができるとされます。

適応部位

ほうれい線、マリオネットライン、ゴルゴ線、首、額、こめかみ、頬、口周り、目の下のクマ、目尻の小じわ、手の甲

鼻やあごの輪郭を形成したい

エランセは、ヒアルロン酸やレディエッセと比べると弱くなりますが、ヒアルロン酸注入のように鼻やあごの輪郭形成が可能です。

なおエランセは、輪郭形成やしわやくぼみを目立たなくする部分的なボリュームアップよりも、全体的な肌質の改善や引き締め、ハリや弾力アップによるしわや溝の持ち上げなどで力を発揮します。

適応部位

鼻、あご、額、フェイスライン、頬

長期的な美容効果がほしい

持続期間が約半年~1年のヒアルロン酸注入に比べて、エランセの持続期間は約1~4年です。すでにヒアルロン酸注入の経験があり仕上がりに満足したものの、もう少し持続期間を長くしたいと感じた人は、エランセによる施術を検討しても良いでしょう。

エランセとほかの注入剤との違い

PCで情報収集、悩む女性

エランセとヒアルロン酸の違い

ヒアルロン酸はもともと体内に存在する弾力成分なので皮膚との相性がよく、アレルギーなどのリスクが比較的少ないといわれています。また、エランセと比べると高さやボリュームを出すことに優れているため、しわやくぼみの改善や鼻を高くするなどの施術に適しているといえます。

ヒアルロン酸は、イメージする仕上がりでなかった場合に溶解剤で薬剤を溶かすことができますが、持続期間は半年~1年ほどとされ、エランセと比べると効果の持続は短い傾向にあります。

ヒアルロン酸注入の役割は薬剤でボリュームを補うことなので、エランセのように肌のコラーゲン増生を促すなどの美肌作用はありません。

エランセとレディエッセの違い

レディエッセはエランセやヒアルロン酸よりも粘性と弾性が強いため、鼻やあごの形成に適した注入剤とされています。

レディエッセの主成分は骨や歯の成分であるカルシウムハイドロキシアパタイトで、溶解剤はありません。ハイドロキシアパタイトが皮下組織に注入されることで、エランセ同様にコラーゲン生成が促されます。効果の持続期間は、持続が長いタイプのエランセと比較すると、約1年半~2年と短くなります。

エランセの施術の流れと注意事項

医療機関イメージイラスト

(1)カウンセリング

ドクターによる診療とカウンセリングで、エランセの注入部位や希望する持続期間などを決めていきます。

(2)施術部位のメイクを落とす

メイクを落とし施術部位を清潔にしておきます。

(3)施術

手術用のペンを用い、注入部位に印をつけて注入していきます。所要時間は施術部位により異なりますが約10分~30分で終了します。

(4)施術終了後

すぐに帰宅できます。施術当日のメイクも可能です。

エランセの注意点

エランセ注入の痛み

エランセには麻酔薬が含まれているので痛みはほとんどないとされていますが、痛みが心配な場合は、局所麻酔や表面麻酔をおこなう医療機関を選ぶとよいでしょう。

エランセによる施術を受けられない方

  • 妊娠、授乳中の方
  • 注射希望部位に無治療の感染症および炎症がある方
  • 血液凝固障害のある方
  • 心臓・腎臓・糖尿など重篤な基礎疾患のある方

エランセ施術後の注意点

  • 施術当日から洗顔、メイク、シャワー、入浴が可能です。日常生活での禁止事項はありませんが、紫外線対策をおこない、術後数日間は注入部位のマッサージを避け、強く圧迫しないようにしましょう。
  • 長時間の入浴や激しい運動、過度の飲酒は、血行がよくなって腫れや内出血を促す可能性があるので、術後1週間ほど避けた方がよいでしょう。
  • 体質により施術後のビタミン剤やアスピリンの服用は、避けるよう指示されることがあります。また血栓予防薬などを服用している場合は、事前にドクターへ相談しましょう。

エランセのダウンタイムとリスク・副作用

ダウンタイム

エランセの注入は、針先が丸いカニューレとよばれる鈍針を使うことで、痛みが軽減されて内出血や腫れ、赤みが軽減されています。

ほかの注射による施術と同様に、数日ほど軽い腫れ赤みが生じる場合があります。まぶたや目の下などの皮膚が薄い部位では、むくみがでる場合がありますが、1週間ほどで落ち着くとされます。

エランセ注入直後は注入による針孔の傷跡ができますが、メイクで隠せる程度ですぐになくなります。

リスク・副作用

針を挿入する施術のため、皮下出血のリスクがあります。

エランセが面状に広がらないことで、凹凸やしこりが生じる場合があります。血管内に誤って注入されると、血管が詰まって皮膚の壊死が起こる可能性があります。異常があらわれた場合はすぐにドクターに相談してください。

またエランセにはヒアルロン酸のような溶解剤がないため、希望する効果があらわれなかった場合も、体内に吸収されるまで約1年~4年ほど待たなければなりません。

エランセと併用すると良い施術

併用すると良い施術として、ヒアルロン酸注入やベビーコラーゲン注射、ショッピングリフトなどがあります。エランセの持つコラーゲンブースト効果で肌のハリや肌質改善とボリュームアップを目指し、深いしわなどピンポイントで治療したい部位にはヒアルロン酸注入を。またベビーコラーゲン注射やショッピングリフトを併用することで、さらなる美肌効果が期待できるでしょう。

エランセの料金相場

エランセは持続期間によって金額に差がありますが、おおよそ1本(1cc)80,000円~180,000円です。また、料金は自由診療のため医療機関ごとに異なります。

エランセの施術を安心して受けるために

カウンセリング風景

エランセは溶解剤がなく、やり直しがきかない注入剤です。注入後にオーバーボリュームになってしまったなどイメージと違う仕上がりになってしまった場合や、しこりができてしまった場合などは体内吸収されるまで待つしかありません。

輪郭形成の効果を期待してエランセ注入をおこなう場合は、まずヒアルロン酸注入でどのように印象が変わるのかを確認してから、エランセ注入を検討するといいかもしれません。

また、エランセは持続期間を選ぶことができますが、医療機関によって取り扱っているエランセのタイプが限定されている場合があります。持続期間が気になる場合は、施術を受ける医療機関が取り扱っているエランセの持続期間を確認しておくとよいでしょう。

エランセはピンポイントに注入したり浅く広く注入したりと、ヒアルロン酸注入よりも高度な技術が必要になります。注入技術を要する施術で、不自然にならないように、均一にそして浅すぎない深さに慎重に注入しなければなりません。施術を受ける際には、カウンセリングがしっかりおこなわれるか、エランセの特徴を熟知しているか、など信頼のおけるドクターや医療機関を探すことが大切です。