【初心者向け】症例写真の撮影に最低限必要な機材とスマホで撮影する際のポイント

カメラとスマートフォン

これまでシリーズで「美容医療の症例写真をうまく撮る方法」について紹介してきました。でも、「カメラや機材がそろえられない」という場合や、「専門のスタッフがいないので、カメラの撮影で各スタッフのレベルをそろえるのが難しい」という場合もあるでしょう。そんな時は、一体どうしたらよいのでしょうか。

今回は、カメラ初心者の方向けに、最初にそろえるとよいカメラの機材、カメラや機材がそろえられない場合にスマートフォンで撮影する場合のポイントをお伝えします。

症例写真の撮影に最低限必要なカメラの機材

症例写真を撮影するには、どんなカメラが必要なのかは、「症例写真の撮影にベストなカメラと基本的なカメラの設定」で、また、機材については「症例写真を撮影する理想的な環境と機材」でお伝えしました。さらに、ワンランク上の症例写真を撮るときにあると良い機材を「ワンランク上の症例写真を撮るためのポイント」で紹介しています。

しかし、一度にすべて機材をそろえられることが難しい場合は、最低限必要な機材をそろえて、撮影に慣れていくのが良いでしょう。

最低限必要なものは、①三脚と雲台、②クリップオンストロボ、③SDカード、④カメラ、⑤ズームレンズ です。

三脚はカメラの固定に欠かせません。雲台は、カメラを三脚に固定するための機材です。

クリップオンストロボは、蛍光灯などの照明に左右されずに、肌色を見た目通りの色合いできれいに出すために必要で、SDカードは、撮った写真の保存と、パソコンへのデータ移行に必須です。

また、よりきれいな症例写真撮影のためにズームレンズがあるとよいでしょう。単焦点(ズームできない)レンズは広角レンズが多く、被写体に近づきすぎると、顔の輪郭が変わってしまうため、ズームレンズを使ってある程度ズームで撮影した方が、きれいな症例写真が撮れます。

初心者向け 必要なカメラの機材

機材名 仕様 備考
1、三脚・雲台 - カメラの固定用に
2、クリップオンストロボ(スピードライト) - 蛍光灯など、照明に左右されずに、肌色を見た目通りの色合いできれいに出せる
3、SDカード 16〜32GB データの保存
4、カメラ 一眼レフカメラ、もしくはミラーレスカメラ 症例写真撮影
5、ズームレンズ 焦点距離:70〜120㎜くらいのもの

よりきれいな症例写真撮影のため

単焦点(ズームできない)レンズは広角レンズが多く、被写体に近づきすぎると、顔の輪郭が変わってしまう。ある程度ズームで撮影した方が、きれいな症例写真が撮れる。

ストロボは少し後ろに倒して上に向ける

ストロボは、カメラに装着できる「クリップオンストロボ」がおすすめです。カメラに取りつけるだけで、難しい操作や設定なしで誰でも使うことができます。

気をつけたいのは、ストロボの位置。真正面の被写体に向けてしまうと、光が当たりすぎて被写体が白とびして(明るい部分の階調が失われ真っ白になって)しまいます。そのため、ストロボを少し後ろに倒して光を上に向けて、天井から降り注ぐような光源ができると、肌の質感をより正確に写し撮ることができます。

クリップオンストロボを少し後ろ倒す
クリップオンストロボを少し後ろに倒すことで上から注ぐ光が作れる
ストロボNGの設定の仕方
ストロボが被写体に直接当たり、影のコントラストができてしまう

最低限必要な機材に手作りの「レフ板」をプラス

レフ板を身近なもので代用する方法

ライトスタンドに引っ掛けた状態のレフ板レフ板(右図)があると、天井の照明が顔に影を作ったり、蛍光灯の影響で青みがかった顔色に映ったりするのを防ぐことができます。そのため、できればそろえたい機材ですが、わざわざ購入せずとも、白い段ボールや布などで代用することができます。

レフ板の作り方

急にレフ板が必要になった場合や、時々使いたいので購入するのがもったいない、という場合には以下で代用できます。

用意するもの 白い段ボールや白い厚紙、もしくは段ボールにコピー用紙などの白い紙を貼ったもの
大きさ 25×45㎝くらい×1
40×55㎝くらい×2

レフ版の置き方

レフ版の置き方レフ版は、被写体にレフ版を持ってもらったうえで、被写体を挟むようにセッティングするのがベストです。

被写体に持ってもらうレフ版の大きさは、25×45㎝くらいがよいでしょう。被写体を挟むようにセッティングするレフ版は、ライトを固定するためのライトスタンド(2000〜3000円くらい)に、白い段ボールや厚紙(40×55㎝くらい)を養生テープで留めてセッティングします。

もしライトスタンドの準備が難しく、被写体を挟むレフ板が設置できない場合は、被写体にレフ板を持ってもらうだけでも、不要な影の映り込みを防ぐことができます。

スマホで症例写真を撮影する場合におさえるべきポイント

最近のスマホは高性能なので、スマホで症例写真を撮影することも可能ですが、よりきれいに症例写真を撮るためには、おさえておくべきポイントがあります。

三脚を使用する

三脚につけたスマホを前から撮影手ブレ防止と、いつも同じ設定で症例写真撮影を行うためにも、三脚は必ず使用してください。

スマホの場合、コンパクトかつワンタッチで手軽に撮影できる一方、ぶれやすいというデメリットがあります。

また、スマホは、カメラが明るさなどの設定調整をすべて自動でおこないます。高性能になればなるほど、微妙な光の変化などに反応して、そのつど写真設定が変わってしまう場合もあります。

三脚を使って撮影した写真
三脚を使用すると顔の高さや明るさの設定が一定
三脚を使わずに撮影した写真(下から)
三脚を使用なしで撮影。被写体よりカメラ位置が下すぎる
三脚を使わずに撮影した写真(上から)
三脚なしで撮影。被写体よりカメラ位置が上すぎる

三脚を使って撮影した場合は、顔の高さや明るさの設定が、つねに一定です。一方、三脚を使わなかった場合は、手ブレ画像になったり、撮影者の感覚で被写体が上下左右にずれてしまったりする可能性があるので、不正確な写真になりかねません。

使うべきスマホの機能

「グリッド表示」をオンにする

グリッド表示をオンにしておくと、画面に縦横の罫線が表示されます。構図の参考になりますので、表示しておくと便利です。
グリッド表示オン
グリッド表示オンで撮影すると被写体の水平や垂直がわかるので調整しやい
グリッド無し
グリッド表示オフで撮影すると被写体の傾きやズレを調整がしづらい
「グリッド表示」の設定方法
iPhoneの場合 「設定」から「カメラ」を選び、タップ

「グリッド」をオン(初期設定は「オフ」)

ANDROID スマートフォンの場合はメーカーや機種によって設定が異なります。お使いの機種のマニュアルで「グリッド表示」を検索して設定してください。

「HDR」機能をオンにする

「High Dynamic Range(ハイダイナミックレンジ)」の略称です。シャッターを切ったときに、最小・最大・中間の露出で撮影された3枚の写真を自動で合成し、1枚の写真にしてくれます。複数の異なる明るさ(露出)の写真を合成することで、逆光や暗い場所での撮影も自然な明るさに調整してくれます。

HDR機能をオンにして撮影すると、通常撮影時「STANDARD DYNAMIC RANGE(スタンダードダイナミックレンジ)」に比べ、より広い明るさ「DYNAMIC RANGE(ダイナミックレンジ)」の幅を表現できます。
「HDR」機能オン
「HDR」機能オンで撮影すると肌色が見た目通りに映る
「HDR」機能オフ
「HDR」機能オフで撮影すると照明によっては、肌色が「白とび」してしまう
「HDR」の設定方法
iPhoneの場合 カメラを立ち上げ、画面上部の「HDR」をタップ 「オン」をタップ(初期設定は「自動」)

ANDROID スマートフォンの場合はメーカーや機種によって設定が異なります。お使いの機種のマニュアルで「HDR」を検索して設定してください。

画素数の設定

「500万画素」「800万画素」など、画素数が高いほど、解像度(画像の細かさ)の高いきれいな写真を撮ることができます。iPhoneの場合は、画素数が自動で決まっていますが、スマートフォンの機種によっては、カメラの画素数が自分で変更できる機種もあります。

撮影の前に撮影する機種で画素数の変更ができるかどうか確認して、変更できる場合は最大画素数に設定してから撮影してください。

なお、画素数が高くなるほど写真データは重くなります。スマートフォンの保存容量などを確認しながら、撮影したデータはこまめにバックアップを取るようにしましょう。

ズームの目安

スマホのデジタルズーム機能は便利ですが、拡大すればするほど画質が低下してしまいます。スマホの小さな画面ではわからなくても、後々顔の一部分をアップで使おうと思ったときに画像が粗くて使えないということにもなりかねません。

ズームの目安は「3〜5倍」が理想。それ以上の倍率は、解像度が低く粗い画像になってしまいます。クリニックの信頼性にも関わりますので、気をつけたいところです。

1メートル離れて3倍で撮影
1メートル離れて3倍で撮影すると拡大してもきれいに見える
2メートル離れて10倍で撮影
2メートル離れて10倍で撮影すると解像度が粗くなる

アップを撮影する場合

最近のスマホは、広角レンズを搭載する機種が増えています。広角レンズは、写る範囲が広く、手前ものはより大きく、遠くのものはより小さく写る特徴があります。このため、顔部分だけを大きく写そうと被写体に近づきすぎるとフェイスラインがゆがんでしまいます。

被写体に近づきすぎず、1メートルほど離れてズームで撮影するようにしましょう。

1メートル離れてズームで撮影
1メートル離れてズームで撮影するとフェイスラインのゆがみもなくきれいに撮れる
カメラを被写体に近づけて撮影
被カメラを被写体に近づけて撮影するとフェイスラインが変わってしまう

はじめてだと一眼レフカメラで症例写真を撮影することに抵抗を感じたり、手間取ってしまうかもしれませんが、たくさん撮ることが撮影上達の秘訣です。

撮影する環境やカメラの機種により設定は変わりますので、最初は、必要最低限の機材をそろえて数をこなして感覚をつかんでいくのが良いでしょう。複数回、撮影をしていくことで、絞り、シャッタースピード、ISO感度など、使っているカメラのベストの設定もわかってくるはずです。

また、スマートフォンを使った症例写真でも、ポイントをつかむことできれいに撮影することができます。忙しい施術の合間に撮影することを考慮して、機材をそろえるまではスマートフォンで撮影することを検討してもいいかもしれません。

 

撮影・監修:フォトグラファー竹内美保