千春皮フ科クリニック
医学博士 日本皮膚科学会認定皮膚科専門医 AMI Japan Senior Trainer(アラガン社指導医) 日本レーザー医学会専門医・評議員 日本アレルギー学会会員 日本臨床皮膚科外科学会会員 日本抗加齢医学会会員 Dr.OBAGI認定医 日本美容皮膚科学会会員 日本胎盤臨床医学会理事 日本医学脱毛学会会員
「毛穴が目立ってきた」「肌がざらざらする」「ニキビ跡が消えない」
誰にでも何かしら肌のお悩みはあるものです。
肌悩みを解決する治療としては、ピーリング、レーザー治療・光治療などがありますが、肌質に合わなかったりダウンタイムがあったりすることも。
そこで、今回紹介するのが「NeoGen PSR(ネオジェンPSR)」です。公的機関にも安全性を認められている、痛みやダウンタイムが軽度な肌質改善の治療です。
また、治療後は肌に有効成分が浸透しやすくなることも注目されています。
ネオジェンPSRの特徴や、メリット・デメリット、ネオジェンPSRの効果についてまとめてお伝えしていきます。
もくじ
ネオジェンPSRは、窒素プラズマをプラズマエネルギーに変換して肌に照射する機械の名称です。ネオジェンPSRによる治療はプラズマ治療と呼ばれています。
窒素は空気中にも含まれる気体です。空気は窒素8割、酸素2割で構成されていることからも、危険性はありません。
ネオジェンPSRはアメリカ食品医薬品局(FDA)の承認を得ています。FDAは日本の厚生労働省にあたるアメリカの公的機関で、FDAに承認を得ていると製品の安全性と有効性が保証されていることを意味します。
ネオジェンPSRは窒素プラズマをプラズマ化して肌に照射しますが、プラズマの正体を理解すると、治療の有効性がわかりやすくなります。そこでネオジェンPSRの効果を紹介する前に、プラズマについて紐解いきましょう。
宇宙を構成する99%以上の物質がプラズマだといわれており、太陽などの恒星やオーロラ、稲妻などがプラズマエネルギーです。星が広がる空間にもプラズマが広がっています。
日常生活においては、蛍光灯やネオンサイン、テレビに使われていますし、空気浄化、脱臭、静電気除去などをおこなう製品もプラズマを利用してつくられています。美容医療では、レーザーや光治療に変わる治療とも紹介されるプラズマ治療ですが、プラズマ自体が非常に身近なエネルギーであることがわかります。
プラズマはレーザーでも光でもないエネルギーです。物質は温度の上昇とともに、固体、液体、気体へと変化しますが、気体の次の状態がプラズマです。
少しマニアックな話になりますが、物質は温度上昇とともに分子の結びつきがゆるくなります。
分子よりも小さい原子レベルでみると、固体、液体、気体ではプラスの原子核のまわりをマイナスの電子がグルグルまわっています。
ところが、気体より温度が上昇してプラズマ状態になると、電子が原子核から離れ(電離)、自由に動き回るようになります。つまり気体のときよりも高いエネルギー状態になるわけです。
プラズマが高いエネルギー状態であるために、プラズマエネルギーが皮膚深くに届くと皮膚組織が加熱されます。加熱されると傷を治す自然治癒の状態が引き起こされます。それにより細胞が活性化し、皮膚の再生が促進。照射された箇所は、皮膚構造が新しく形成されるため、すみやかな治癒がもたらされます。
プラズマ状態では、電子が離れた原子核(イオン)と電子が自由に動き回り不安定なため、ほかの物質とくっつきやすい状態です。その性質により、皮膚表面の角質や老廃物がプラズマに吸着、気化することで除去されます。
プラズマの性質がわかったところで、ネオジェンPSRの効果を具体的に確認していきます。
ネオジェンPSRは肌のくすみ、ざらつきなどを解消。毛穴トラブルにも効果的です。また、ニキビができにくくなり、ニキビ跡も目立たなくなります。
ネオジェンPSRの施術中は少し焦げた臭いにおいがしますが、これはプラズマの高エネルギーが肌にあたって産毛が焼けているから。そのため、治療直後のメイクのときに、メイクのりの良さを実感できるとされます。
ネオジェンPSRは日本以外では目まわりのシワ改善として多用されたり、糸によるフェイスリフトと組み合わせて肌細胞の活性化を狙ったりすることも多いようです。
そのほか、下記のような効果があります。
皮膚のターンオーバーは28日前後でおこなわれています。非常に短いスパンでネオジェンPSRを受けると、逆に肌にダメージをあたえる可能性があります。
そのためわかりやすく効果を実感するには、3週間~4週間に一度のペースでなるべく集中的に続けるのがベストです。
レーザーや光治療は、メラニン色素などのターゲットに反応すると熱が発生します。熱が皮膚に伝わると輪ゴムではじかれたような痛みを伴いますが、ネオジェンPSRは痛みがほとんどないにもかかわらず、効果はレーザーや光治療と遜色ありません。
ネオジェンPSRは、窒素を電離ガス(プラズマ)にした時におこる熱エネルギーで、刺激を与えます。施術ではネオジェンPSRの先端から出るプラズマガスを皮膚にあてます。あたる瞬間、バチっと音がして光るため最初はびっくりするかもしれませんが、痛みや熱さはほとんどありません。
瞬間的には高温になりますが、皮膚にあたるのはほんの一瞬。そのため熱さをほとんど感じません。ネオジェンPSRにはlowエネルギーからhighエネルギーまでさまざまなパワー設定があり、高いパワーで照射する場合は塗る麻酔で熱さを軽減するなど調整をします。
ネオジェンPSR後はうっすら茶色くなる場合がある程度で、治療後に肌が元の状態に戻るまでのダウンタイムが軽度です。
レーザーや光治療は、メラニン色素やヘモグロビンといったターゲット色素(クロモファー、発色団)に反応してかさぶたになったり色素沈着したりすることがあります。
レーザーや光治療は、特定のターゲットに効果のある波長を利用するため、そのターゲット(メラニン色素や毛細血管)以外には反応しないという仕組みです。しかしメラニン色素がまったくない肌はありません。どんなに色白の方でもメラニン色素があります。治療効果を高めるために強くレーザーをあてると、メラニン色素が少ないところでも、メラニン色素が活性化してしまい、一時的に色素沈着してしまうことがあります。
一方、ネオジェンPSRはターゲットに反応する治療ではないため、日焼けした肌や肌の色が濃い方、眼球のある瞼にも照射でき、色素沈着の副作用がありません。
また、窒素ガスプラズマは高いエネルギーではあるものの、細かい電子による熱エネルギーだけが皮膚深くに届くため、レーザーなどより皮膚へのダメージが少ないこともメリットです。
ネオジェンPSRのもうひとつのメリットとなる特徴は、ほかの治療と組み合わせて受けることで、より治療効果が見込めることです。
ネオジェンPSRの前にマッサージピールを受けると、単独の治療よりハリ・ツヤのアップが見込めます。
コラーゲンピールの別名を持つマッサージピールには、たるみ改善、ハリ感のアップ、コラーゲンの増加を刺激する効果があります(額のシワや、首のシワに効果的)。このマッサージピールで皮膚の内側からハリを出し、ネオジェンPSRで表層を治療することで、それぞれを単独で受けるよりもハリやツヤを感じることができます。
私たちの皮膚は通常バリア機能が働いています。このバリア機能のおかげで、皮膚の表面の目に見えないばい菌が、すぐに体内に入って化膿するようなことがないわけです。
外部からの菌の侵入を阻止するこのバリア機能ですが、一方で化粧品に含まれるビタミンCやヒアルロン酸など浸透してほしい成分もブロックしてしまいます。
そこで注目したいのが、ネオジェンPSRによる治療直後のドラッグデリバリー効果。
治療直後は、皮膚のバリア機能が一時的に低下します。低下している間に悩みを改善する薬剤を導入すると、肌の奥まで有効成分が届きやすくなります。これがドラッグデリバリー効果です。
肝斑は、レーザー治療などでは効果が表れにくいのですが、ネオジェンPSRでの治療直後にビタミンCやトラネキサム酸を皮膚に浸透、導入させることで落ち着きます。
また、小じわ・たるみが気になる場合は、治療後にコラーゲンを再生させる導入治療をおこなうとネオジェンPSRによる治療単独より目立たなくする効果が高まります。
小じわやくすみ、毛穴トラブルなどを改善する治療として選ばれることも多い、ケミカルピーリング。ピーリング剤を肌に塗り、古い角質や汚れなどを除去することで肌質を改善します。美容医療のなかでも知名度は高い治療ですが、ピーリング剤が肌に合わないと、かえって肌トラブルを招いてしまう可能性もあります。
ネオジェンPSRは薬剤を使わないため、アレルギー反応がおこりません。肌が敏感なためにピーリング治療を断念した方は、ネオジェンPSRが適しているといえます。
ニキビや毛穴トラブル治療などで、レーザー治療や光治療をおこなっていた方のなかには、痛みが強かったり、効果が感じられなかったり、ダウンタイムが長かったりといった理由から、継続をあきらめる方もいます。
繰り返しになりますが、ネオジェンPSRは痛みやダウンタイムが軽度です。そのためほかの治療からプラズマ治療に切り替える方もいます。
ネオジェンはイギリスの医療機器メーカーによって開発されたマシンで、ネオジェンPSRのほかにネオジェンEVOとネオジェンSPAがあります。3つのネオジェンの違いはプラズマを照射する出力の高さです。出力の違いによって、肌への影響が変わります。
3つの中で一番目に開発されました。
ネオジェンPSRは、元々アメリカでフラクショナルレーザーの代替えとして、よりダウンタイムや炎症反応の少ない治療を目指して開発されました。アメリカやヨーロッパで使われているPSRはhighエネルギーのみ照射できる機器で、lowエネルギーは照射できません。日本のPSRのみ、患者さまの幅広いニーズに合わせて、lowエネルギーからhighエネルギーまで照射できるように改良されています。
ネオジェンの中で一番最初に日本に導入されたネオジェンSPAは、ノーペイン・ノーダウンタイム治療を目的にlowエネルギーのみを照射できるように開発されました。
複数回おこなうことで美肌効果が得られます。
元々アメリカで人気だったPSRは当初highエネルギーのみ照射できる機器で、日本でのみlowエネルギーとhighエネルギー両方照射できるように改良したPSRを使用していました。
世界的にlowエネルギーとhighエネルギー両方照射できる機器のニーズが高まってきた為、ネオジェンEVOとして改めてローチンされました。よって、日本国内のPSRとEVOの内容はほぼ同等になります。
ネオジェンPSRは一回の治療で効果を狙うのではなく、複数回治療を重ねることで肌質を改善していきます。
一般的に、すぐに効果があらわれる治療にはダウンタイムがあります。治療後、肌が赤く腫れたりかさぶたになるなど、肌の状態がわかりやすく変化し、メイクだけでは隠しきれない場合も。
そのような治療と比べると、ネオジェンPSRはマイルドな治療が可能で、徐々に肌質が改善されていくものです。
そのかわり、ダウンタイムも軽度であるためまわりに気づかれないまま、治療を続けることができます。お仕事をされている方でもお休みをとる必要はありません。営業や接客業などで人前に出る方でも治療を続けることができます。
肌質に合わなかったり、痛みがあったりしたためにピーリング、レーザー・光治療をあきらめた方のほか、美容医療をはじめて受ける方にもおすすめできる治療です。
照射直後は乾燥を感じたり、数時間後に赤みが出る場合があります。
赤みが生じた箇所は翌日以降、薄茶色に変化し、徐々にはがれ落ち、1週間程度で生まれ変わった美しい皮膚に生まれ変わります。この間、気になる方はメイクで隠せます。
治療後は肌が乾燥しやすく日焼けしやすい状態のため、保湿と紫外線対策をしっかりする必要があります。治療後は、入浴や洗髪、飲酒や運動も当日から可能でいつも通りに過ごすことができますが、
また、妊娠中や授乳中の方はドクターの診断を受けてください。
記事を監修いただいた渡邊先生に教えていただきました。
(1)問診票の記入
相談したいことや気になる部位、症状などを記入します。
(2)診察(カウンセリング)
どのような効果があるのかを確認したり気になることを相談したりします。
(3)メイク落とし
(4)施術
最初に十分、保湿します。
保湿することで、プラズマの熱(熱さ)を感じにくくなり、ネオジェンPSRによる効果も奥まで届きやすくなります。熱く感じる場合はパワー設定で調整したり、治療途中にも保湿したりしながら進めます。また、効果を高めるために強くあてる際には、熱さを感じることもあるので塗る麻酔を追加します。
(5)メイクをして終了
施術直後にメイクが可能です。
監修医師の紹介
千春皮フ科クリニックの院長である渡邊千春医師。プラズマ治療の第一人者として、日本美容皮膚科学会総会・学術大会にて皮膚科領域におけるプラズマ治療の可能性について講演や、研究をされています。
ネオジェンPSRは厚生労働省未承認機器です。 |
日本国内での承認の有無:ネオジェンPSRと同一の性能を有し日本国内で承認を受けている機器はありません。 |
ネオジェンPSRの入手経路:入手経路は各医療機関のドクターによる、個人輸入です。 個人輸入において注意すべき医薬品等について(厚生労働省のページ) |
諸外国における安全性等に関する情報:ネオジェンPSRは美容皮膚科領域において米国のFDA(アメリカ食品医薬品局)承認を得ているプラズマ機器で、以下において効果と安全性が承認されています。 |