ダブロはフェイスラインのたるみを改善に導く医療ハイフ(HIFU)マシンです。メスを使ったフェイスリフト手術をおこなわず、表情筋を覆う筋膜(SMAS層)に超音波を照射することで熱によって筋膜を収縮させて、たるみを引き上げる治療方法です。
ダブロは表情筋を覆う筋膜であるSMAS層を引き締めてたるみを改善に導くだけでなく、コラーゲンやエラスチンの生成を促して、ハリや弾力のある肌質を目指します。
韓国で開発されたダブロは数あるハイフマシンと比べ、照射時の痛みが少ないといった特長があるとされています。
ダブロによるたるみ治療を安心して受けるには、その効果や持続期間だけでなく、ダウンタイムやリスク、他のたるみ治療との違いをしっかり理解しておくことが大切です。
もくじ
ダブロ(Doublo)は韓国の会社が開発した、高密度焦点式超音波といわれるハイフ(HIFU)のエネルギーを利用した、たるみ治療マシンです。
超音波エネルギーを治療部位に照射することで、たるみを引き上げると同時に加齢などにより低下した肌の弾力を改善へと導きます。
ハイフ(HIFU)は、High Intensity Focused Ultrasound(高密度焦点式超音波)の略で、強力な超音波エネルギーを一点に集中させて照射する技術です。
例えると太陽光を虫眼鏡で一点に集め、強い光エネルギーをあてることで対象物が焼灼する現象に近いものですが、ハイフの熱エネルギーは皮膚表面をやけどさせることなく、皮膚の深層にあって表情筋を覆っているSMAS層に作用します。
料理に例えれば、肉(たんぱく質)に熱を与えると縮むように、ハイフを照射するとSMAS層が熱エネルギーによって熱たんぱく変性をおこし、皮膚の奥から引き締まることで、たるみを改善に導くとされています。
医療領域でハイフは前立腺肥大・乳がんや子宮筋腫などの治療に用いられ、安全性の高い治療法といわれています。このメカニズムを応用したのがダブロなどの美容医療ハイフマシンです。
皮膚は外側から表皮層・真皮層と2層から成り、その下に皮下組織(主に脂肪の層)・SMAS層(筋膜)・筋肉(表情筋)・骨があります。
ハイフの超音波エネルギーが届くSMAS層は、皮下約4.5mmに位置する薄い膜で、表情筋を覆い、皮膚と筋肉をつなぐ役割を果たしています。
加齢とともにSMAS層がゆるんで下に垂れてしまうと、皮膚を支えきれなくなって、シワやたるみといった、年齢を感じるエイジングサインが現れはじめます。
これまでSMAS層を引き上げるためにはフェイスリフトといわれる外科手術がおこなわれていました。額の生えぎわや耳前部を切開後、皮膚をはがしSMAS層と靭帯を引き上げ、余った皮膚を切除する手術は大きなたるみ改善効果が期待できる一方、長期にわたるダウンタイムを必要としました。
ダブロによる施術はメスで切開することなく、皮膚の上からハイフを照射することでSMAS層のゆるみを収縮・改善して、リフトアップ効果を目指すものです。
肌のハリや弾力は真皮層にあるコラーゲン・エラスチン・ヒアルロン酸によって保たれています。しかし加齢とともにそれらの産生量は減り、肌のハリや弾力が低下するとたるみが進行します。
ハイフの超音波エネルギーが真皮層へ届くと熱に変わり、コラーゲンやエラスチンを生成する線維芽細胞を刺激して活性化させます。
線維芽細胞が活性化することによってコラーゲンやエラスチンの生成が促され、肌の弾力やハリ感、保水力が向上するといった肌質改善効果がみられます。
この肌質改善効果には個人差はありますが、一般的には施術後約1~2カ月後から現れ、約半年ほど持続するといわれています。
ダブロの特長は、電気信号を超音波に変換するトランスデューサーという部品が多重構造になっている点です。これによってほかのハイフマシンと比較して照射する点の面積が大きく、超音波エネルギーを均一に届けることができるようになりました。
ダブロは細かくパワーを設定できるため、一人ひとりの肌質や痛みの感じ方、たるみの症状に合わせた施術が可能です。
ダブロは2011年のリリース以来、体への照射を可能にしたり照射スピードを向上させたりとさまざまな改良をおこなっています。
2013年に誕生したダブロSからは1.5mm、3mm、4.5mm、13mmという4種類の照射深度にアプローチできるようになりました。
2017年にリリースされたダブロゴールドは、ハンドピースの性能が向上して照射スピードが旧モデルのダブロSの約2倍の速さになりました。照射スピードが倍になることで施術にかかる時間が約半分に短縮され、照射時の痛みも軽減されています。
以下はダブロシリーズのリリース年度、照射深度、照射スピードです。
マシン名 | リリース年度 | 照射深度 | 体への適応 | 照射スピード |
---|---|---|---|---|
ダブロ | 2011年 | 3.0mm、4.5mm | 不可 | 約17分で300ショット |
ダブロS | 2013年 | 1.5mm、3.0mm、4.5mm、13mm | 可 | 約17分で300ショット |
ダブロゴールド | 2017年 | 1.5mm、3.0mm、4.5mm、13mm | 可 | 約8分で300ショット |
ダブロは照射深度の違うカートリッジに切り替えることによって、さまざまな症状や部位に対応できます。
痛みの感じ方には個人差がありますが、一般的に照射深度が深くなるほどチクチクと刺されるような痛みを感じやすくなり、浅くなるほど熱感があるといわれています。
それぞれの照射深度と作用は以下のとおりです。
照射深度 | 対象部位 | 作用 | 対応機種 |
---|---|---|---|
1.5mm | 顔・首 | 表皮層に超音波エネルギーを与え、毛穴を引き締める | ダブロS、ダブロゴールド |
3.0mm | 顔・首 | 真皮層のコラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸の生成を促す | ダブロ、ダブロS、ダブロゴールド |
4.5mm | 顔・首 | 皮膚の下のSMAS筋膜を引き締める | ダブロ、ダブロS、ダブロゴールド |
13mm | 体 | 脂肪細胞の排出を促す | ダブロS、ダブロゴールド |
たるみの原因は皮膚から筋層の全てにあるとされています。顔のたるみは真皮層のコラーゲンやエラスチンの減少によるハリや弾力の衰えだけでなく、その下にある皮下組織とSMAS層の衰えによっても現れます。
ダブロは照射深度の違うカートリッジに切り替えることによって、深さが異なる層に適切な熱エネルギーを届けることができます。
真皮層に刺激を与えてコラーゲンやエラスチンの生成を促し、肌のハリを取り戻すことでもリフトアップ効果は見込めますが、真皮層よりも下にあるSMAS層に熱刺激を与えてたんぱく質の熱収縮を促すと、SMAS層が引き締まり、皮膚の下から引き上げる効果があるといわれています。
真皮層を刺激できる美容医療マシンのエネルギーは、ハイフのほかに、IPL(光)、レーザー、高周波がありますが、フェイスリフト手術以外で真皮層の下にあるSMAS層を刺激できるのはハイフのみです。
ダブロS、ダブロゴールドは顔だけでなく、ボディへの施術が可能となりました。
ボディ用のカートリッジ(深さ13㎜)を用いることにより、ハイフの高密度の超音波が皮膚を傷つけることなく脂肪の燃焼を促すので、ボディラインの引き締め効果を発揮してスリムボディへと導きます。
二の腕・お腹・太ももなどの部分痩せや、セルライトの改善にも期待できます。
ダブロは日本国内では未承認の医療機器になります。そのため、施術を検討する際は医療機関でリスク・副作用などについても十分な説明を受け納得した上で施術を受けてください。
ダブロは厚生労働省未承認機器です。 |
医療機器の入手経路:入手経路は各医療機関のドクターによるメーカーからの個人輸入です。 個人輸入において注意すべき医薬品等について(厚生労働省のページ) |
日本国内での承認の有無:ダブロと同一性能があり、日本国内で承認を受けている医療機器はありません。 |
諸外国における安全性等に関する情報:ダブロは2012年に欧州での安全性と品質を証明するCEマーク取得のほか、 2014年にANVISA(ブラジル国家衛生監督庁)とTFDA(台湾食品薬物管理局)の認証を取得しているとされます。[※1]また、MFDS(韓国食品医薬品安全省)の承認は2011年に取得したとされます。 主なリスク・副作用として、しびれ、神経麻痺、超音波の熱刺激によるやけど(水ぶくれやかさぶた)、色素沈着が挙げられます。 |
そのほか、2017年にリリースされたダブロゴールドに関しては2017年にCEマークを取得しているとされます。[※1]
[※1]The History of Hironic(HIRONIC)
ウルセラはダブロのリリースから7年前の2004年にアメリカの会社が開発したハイフマシンで、超音波を利用したたるみ治療マシンの元祖として知られています。2009年にリフトアップを目的とした医療機器として世界で初めてFDA(日本の厚生労働省に該当する米国の機関)の承認を取得しています。
ダブロはウルセラと比べると照射する点の面積が大きいことに対して、ウルセラは点の面積が小さく、超音波エネルギーが集中するため、ダブロのほうが施術中の痛みが少ないといわれています。
また、ウルセラが対象としているのは、顔から首にかけての部位で、首より下の体の部位に対する施術は適応していません。
スマスセラ(SMASTHERA)は韓国の会社が開発したハイフマシンです。ダブロとの大きな違いは、ハイフだけではなくラジオ波(高周波)とバキューム(吸引)機能を搭載していることです。
ラジオ波は真皮層に熱刺激を加えることで線維芽細胞を活性化し、真皮層内のコラーゲンやエラスチンの生成を促すことで、肌のハリ感や保水力を向上させる効果が期待できます。
また、バキュームはリンパの流れを改善し、老廃物の排出を促す作用に期待ができます。
ソノクイーン(sonoQueen)も韓国の会社が開発したハイフマシンです。ダブロとの大きな違いは、目尻のシワなどの表情ジワと関連が深いといわれる皮下2.0mmの真皮下層にアプローチできて、細かい部位にも照射できるミニカートリッジを搭載していることです。
ミニカートリッジを使用することで、従来のハイフマシンではむずかしいとされていた眉下や目のキワなどにも照射できるというメリットがあります。
ウルトラフォーマー3は韓国ではシュリンクともよばれており、3つ(4.5mm、3.0mm、1.5mm)の照射深度が設定できます。顔全体のリフトアップだけでなく、小ジワや肌の弾力不足を改善に導くとされます。
また、二の腕や太もも、お腹など部分痩身も目指せます。
ダブロが超音波を照射するのに対し、サーマクールは高周波を照射して真皮層を熱収縮させることによって肌を引き締めるとされます。
ただし、高周波ではSMAS層まで刺激が届かないため、サーマクールはたるみ毛穴を引き締めるなど初期のたるみの改善や、たるみ予防に向いているといわれています。
ダブロは皮膚表面には熱作用を及ぼさない仕組みになっているため、リスクや副作用はほとんどないといわれていますが、ごくまれに超音波の熱刺激によるやけど(水ぶくれやかさぶた)、色素沈着がおこる場合があります。施術中に動いてしまうとやけどの可能性が高くなりますのでご注意ください。
また、解剖学の知識がない施術者が誤って知覚と運動をつかさどる三叉神経という神経に照射した場合、しびれや神経麻痺などの症状がおこる可能性もあります。
肌に異常を感じた場合は速やかに医療機関に連絡してください。安全かつ効果的な施術を受けるためにも、医療機関で顔の神経や筋肉の構造などを熟知したドクターの施術を受けることが大切です。
そのほか、施術部位に異物が入っている方(貴金属・シリコン・コラーゲン・ヒアルロン酸など)は医療機関にご相談ください。
また、ヒアルロン酸注入やボツリヌス注射などの注入施術や、ほかの施術を受けた方は一定の期間を空ける必要があります。必要な期間については受けた施術の種類によって異なりますので、医療機関でドクターに相談してください。
エステサロンでハイフとよばれる痩身やリフトアップ施術をおこなっていることがありますが、医療機関でのハイフとエステサロンのハイフは出力が異なります。
エステサロンは非医療機関であるため細胞への作用・効果のある出力照射は薬機法により認められていないため、医療機関で受ける治療よりも効果は劣るといえます。
消費者庁の管轄下にある国民生活センターが発表した報告書によると、医療機関以外のハイフ施術により顔の神経の一部を損傷してしまったり、熱傷を負って顔に傷痕が残ってしまった事例もあります。[※1]
ハイフによる施術は実績豊富なドクターの診断のもと、医療機関で受けるのが安全です。
[※1] エステサロン等でのHIFU機器による施術でトラブル発生!(国民生活センターホームページ)
ダブロは一般的に麻酔なしでも我慢できる程度の痛みだといわれています。ただし、部位によっては皮膚の奥に鈍痛や熱感を感じる場合があります。
特にあごなどの骨の近くや脂肪が少ない部位は骨に響くような痛みを感じる場合があります。また、銀歯がある場合、銀歯に響くような痛みを感じることもあるといわれています。
出力を上げるほど痛みは強くなるとされ、麻酔クリームを用意している医療機関もあります。痛みに弱い方は施術前に医療機関で相談してください。
ダブロはダウンタイムがほとんどなく、施術直後からメイクをして帰宅できるといわれています。
施術直後は赤み、軽微な腫れ、ほてり、ひりつきなどが生じることがありますが、ほとんどの場合1日~3日程度で落ち着くといわれています。
また、筋肉痛のような痛みや違和感がでる場合もありますが、通常は1週間~3週間程度で徐々に落ち着くとされています。
ダブロによるリフトアップ効果には個人差がありますが、施術直後から効果を実感しはじめ、3カ月~6カ月程度持続するといわれています。
また、真皮層のコラーゲンやエラスチンが増えることによってハリや弾力が向上する肌質改善などの作用については、施術後約1カ月~2カ月後に効果を実感しはじめて、6カ月程度の効果持続が期待できます。
ダブロは3カ月~6カ月おきに1回、定期的に施術を受けることでSMAS層のゆるみを引き締め、真皮層のコラーゲンやエラスチンの生成を促すことでリフトアップ効果を持続できるとされています。
ダブロの施術は自由診療となるため、医療機関によって料金は異なります。料金の相場は施術部位やショット数によっても異なりますが、目安は以下のとおりです。
照射部位 | ショット数の目安 | 料金相場 |
---|---|---|
全顔 | 300~500ショット | 80,000円~200,000円 |
顔の一部(首、頬、額、目元など) | 100~200ショット | 50,00円0~100,000円 |
複数部位の同時施術や施術回数により割引がある医療機関もあります。
1)カウンセリング ・診察
施術前にドクターによる肌状態の診断・カウンセリングがあります。施術内容について不安に感じる点などがあれば、カウンセリングの段階でしっかり確認してください。
2)洗顔
メイクを落とし、洗顔をして施術部位を清潔にします。
3)麻酔(痛みが不安な場合のみ)
ダブロは麻酔なしでも受けられますが、ほとんどの医療機関では麻酔を用意しているので、痛みが不安な方は事前に相談してください。 表面麻酔クリームを使用した場合、塗ってから30分ほど時間をおきます。
4)ジェルの塗布
肌の表面を保護し、超音波エネルギーを伝わりやすくするためにジェルを塗ります。
5)照射
症状や部位に合わせて設定を調節しながら照射します。超音波のため目の保護は不要です。
6)帰宅
皮膚表面へのダメージはほとんどないので、施術直後からメイクが可能です。
施術後にはほてり感が出ることがありますが、ハリ感が出にくくなる可能性があるため、施術後はなるべく冷やさないでください。
肌の奥に熱刺激を与える施術のため、入浴や激しい運動など、体温が上昇する活動をすると赤みやほてりが強くなる場合があります。
また、施術後は一時的に肌が乾燥しやすい状態になっているので、普段よりも丁寧な保湿ケア・紫外線ケアを心がけてください。紫外線による光老化はたるみの原因になるため、日頃から紫外線対策を心掛けてください。
ダブロはSMAS層に超音波の熱エネルギーを与えるため、解剖学の知識や経験が不足しているドクターが施術すると神経を傷つけてしまう可能性があります。安全で効果的な施術を受けるためにも、症例数が豊富な医療機関を慎重に選ぶことが大切です。
ダブロには認定医制度があり、ダブロの施術に必要な知識や技術を習得するカリキュラムを修了したドクターにのみ認定医の資格が与えられます。より安心して施術を受けたい方は、ダブロ認定医が在籍する医療機関を選ぶと安心です。