ピコレーザーで失敗しないために知っておくべき本当の効果とリスク・副作用

監修

形成外科専門医 日本形成外科学会 日本レーザー医学会(評議員) 日本美容外科学会 日本美容皮膚科学会 日本乳房オンコプラスティックサージャリ―学会 日本抗加齢医学会

KO CLINICの院長である黄 聖琥(こう せいこ)医師。画像診断機による解析で適切な施術をおこなう「カスタマイズ治療」の第一人者として、これまで多くの学術会・講演会に登壇する。平成19年より肝斑の臨床研究を開始、現在では複数台のピコレーザーを使用した治療法を多くのドクターや医療従事者へ指導。健康的で美しい素肌を目指すスキンケア医療を主体とした施術を確立。おもな著書に「素肌がきれいになると人生が変わる!」他多数。

肌のトラブルが改善している女性のイメージ

ピコレーザーとは、レーザーの衝撃波(光音響効果)でメラニンやタトゥーインクの色素を粉砕できるレーザーです。そのためQスイッチレーザーでは、小さすぎて破壊できなかった色素粒子を粉砕することが可能で、施術後にかさぶたや色素沈着になるリスクを軽減しながら肌悩みを改善できるとされています。

しかし、まれに「シミが消えない」「変化がない」などピコレーザーの施術効果を感じられないといったケースもあるとされています。色素を粉砕したり肌のくすみのトーンアップ、肌質改善など多くの特長をもつピコレーザー。その効果やリスクなどを施術前に確認し、適切な治療を受けることが大切です。

ピコレーザーは少ないダメージで肌悩みの原因を粉砕

ピコレーザー(ピコ秒レーザー・ピコセカンドレーザー)とは、レーザーの照射時間がピコ秒(1兆分の1秒)単位で照射が可能なレーザーです。

ピコレーザーは照射時間が極めて短いことから熱発生がほとんどないため、皮膚への負担が少なくダウンタイムも、比較的短いといわれています。

レーザー治療は症状によって異なる波長を選択して照射

レーザーとは複数の波長を含む光から特定の波長を取り出し、増幅してつくられる人工的な光のことです。光やレーザーの波長には特定の物質に吸収されるという特性があり、波長が特定の物質に吸収されることで熱エネルギーが生じます。これらは太陽光が皮膚にあたると温かく感じることと同じ現象といえます。

美容医療によるレーザー治療では、メラニンの黒い色素やヘモグロビンの赤い色素などに吸収される波長のレーザーを使用して、シミ・そばかす・あざ・赤ら顔など、さまざまな肌悩みの原因を破壊することにより改善に導きます。破壊された色素は皮膚の代謝(ターンオーバー)により排出されます。

おもにターゲットのみを破壊するピコレーザーの照射時間と照射エネルギー

レーザー治療の際、照射エネルギーが低いと効果は期待できず、また高すぎるとシミなどの肌悩み以外の健康な皮膚にまで熱ダメージを与えてしまいます。適切な治療をおこなうためには、症状ごとに波長を選択することはもちろんのこと、レーザー照射時間・照射エネルギーが重要です。

レーザー治療で使われるレーザーのパルス幅(照射時間)

たとえばシミにレーザーを照射し続けると、シミの周囲の皮膚組織にも熱作用が影響します。これは波長がシミに吸収されて熱エネルギーが生じ、放熱することで照射周囲の皮膚組織に熱が伝わり、表皮温度が上昇するためです。

波長を吸収したシミは徐々に放熱するため、しばらくの間は熱が留まります。熱作用がシミにおさまり、周囲の皮膚組織に広がらない時間(熱緩和時間)内であれば、周囲の皮膚組織へのダメージを防ぎながら、シミの部位を破壊することができるとされています。

レーザーの照射方法には連続照射ではなく、一定の時間をあけて間欠的に照射するパルス照射という方法があり、このレーザー照射時間を「パルス幅」といいます。パルス幅が熱緩和時間内であれば、周囲の皮膚へのダメージを抑え、ターゲットの部位のみを破壊できるといえます。

レーザー治療で使用されるレーザーには以下のようなパルス幅があり、パルス幅がピコ秒単位のレーザーをピコレーザー(ピコ秒レーザー・ピコセカンドレーザー)といいます。

ピコ秒(ps) 1/1,000,000,000,000s(1兆分の1秒)
ナノ秒(ns) 1/1,000,000,000s(10億分の1秒)
マイクロ秒(μs) 1/1,000,000s(100万分の1秒)
ミリ秒(ms) 1/1,000s:ロングパルス

パルス幅について

肌悩みの原因を破壊するレーザーの照射エネルギー

レーザーはパルス幅が短くなることにより、照射エネルギー(フルエンス)が低くても、衝撃波によって小さな物質を破壊できるようになります。局所的でありながら破壊力は大きく、シミなどの部位のみに衝撃をおさめて、粉々に砕くことができるのです。パルス幅が短いピコレーザーは照射エネルギーが低いため、照射部位以外の周囲の正常な細胞が損傷することはほとんどありません。

ピコレーザーは大きな物質をターゲットとするのが苦手

ピコレーザーは小さな物質を粉砕する施術を得意とします。大きな物質を破壊するには、パルス幅を長くして熱エネルギーを与える必要があります。そのため、毛をつくる器官である毛包(脱毛)や、血管(赤ら顔や毛細血管拡張症治療)のような大きなターゲットを照射する施術では、ピコレーザーではなくパルス幅が長いロングパルスレーザーが使用されます。

ピコレーザーが従来のレーザーより肌悩みの改善が期待できる理由

頬に手を当てる女性

ピコレーザーによる施術はダメージが最小限

シミ・そばかす・あざやタトゥーなどの色素を薄くしたり除去する施術は、Qスイッチナノ秒レーザー(以下Qスイッチレーザー)でおこなわれることが一般的でした。

Qスイッチレーザーによるシミ治療やタトゥー除去の施術では、回数を重ねて色素が薄くなるとレーザーの照射エネルギーを上げる必要があり、照射部位の周囲の皮膚組織に負担を与えることになります。そのため、やけどや水ぶくれ・炎症後色素沈着を引き起こすリスクが高まる傾向にあるといえます。

対してピコレーザーは、低い照射エネルギーによる衝撃波で、照射部位の周囲の組織にほとんどダメージを与えることなく、シミのメラニン顆粒やタトゥーの色素粒子を粉砕し除去ができるとされています。

シミが再発したように見える「炎症後色素沈着」が起きにくい

肌のしみを気にしている女性

レーザー治療をおこなった後、シミが再発したような状態になることは少なくありません。これはレーザー照射によって炎症が起きたことで、メラニンを産生する細胞(メラノサイト)が刺激されたことで引き起こります。炎症後色素沈着は、施術後4週間後あたりからあらわれるので、一度除去したシミが再発したように見えるのです。

炎症後色素沈着はシミではありません。また炎症後色素沈着はメラノサイトの活動が落ち着いたのち、皮膚の新陳代謝であるターンオーバーによって3か月~6カ月程度で、自然に除去されるとされています。

ピコレーザーによる炎症後色素沈着の発生率はQスイッチレーザーの半分以下

Qスイッチレーザーによる施術では、炎症後色素沈着が起きるリスクは、30%~50%とされています。レーザーの照射方法などで変わりますが、ピコレーザーで炎症後色素沈着が起きるリスクは、Qスイッチレーザーのおおよそ半分以下の発生率での報告が散見されます。

波長による違いはありますが、パルス幅で比較すると、ピコレーザーのパルス幅はQスイッチレーザーの15倍~100倍ほど短くなります。パルス幅が短くなるほど低い照射エネルギーで済むため、周囲の正常な皮膚組織がダメージを受けるリスクが軽減されます。このことから、ピコレーザーによる治療は炎症後色素沈着は起こりにくいといえます。

ピコレーザーは薄いシミも治療できる

ピコレーザーは低い照射エネルギーの衝撃波でシミなどを粉砕するため、脱毛や赤ら顔などの大きな物質を狙う施術は得意ではありませんが、光治療(IPL治療)やQスイッチレーザーでは取り残してしまう密度の低い色素粒子にアプローチが可能とされています。

ピコレーザーは、光治療やQスイッチレーザーでは取り切れなかった薄いシミでも、炎症後色素沈着のリスクが少なく、さらに薄くすることが可能といえます。

ピコレーザーによる治療で得られる効果

ピコレーザーのマシンでは、フラクショナル照射・トーニング照射・スポット照射・の3つの照射をおこなえることが大きな特長です。

ピコレーザーによるフラクショナル照射で毛穴・ニキビ肌・小ジワ改善

フラクショナル照射は、皮膚に点状にレーザーを照射します。照射をしない部位と照射をおこなう部位を点在させることで、皮膚の回復が早まるとされます。皮膚は大きく分けると外側から表皮層、真皮層の2層構造になっていて、2層目である真皮層にはコラーゲンやエラスチンといった皮膚の弾力を補う線維を作り出す線維芽細胞が存在します。ピコレーザーによるフラクショナル照射(ピコフラクショナル)で、真皮層の線維芽細胞に適度な刺激を加えることでコラーゲンなどが産生され、真皮の再構築を促します。 

ピコレーザーによるフラクショナル照射は、肌のハリ感が向上し毛穴が引き締まる、また小ジワやニキビ跡の改善を目指すとされています。

ピコフラクショナルレーザーの痛みやダウンタイム

ピコフラクショナルによる一つひとつの照射のドットは、レーザー光が一点に収束して(集まって)います 。そのためフラクショナル照射以外の施術と比較すると 、何倍もの強い衝撃波が真皮層に作用し、真皮層にある毛細血管にダメージが加わることから、点状出血が生じる場合があります。ただし表皮層を傷つけないため数日で回復するとされ、医療用のコンシーラーなどでカバーすることでダウンタイムを過ごすことができるといわれています。また、メイクは当日から可能とされています。

レーザー照射の痛みが心配な場合は、クリームタイプの麻酔で痛みを緩和することができます。

ピコレーザーによるトーニング照射の効果と肝斑治療の注意

トーニングとは、メラニンの産生元となる細胞(メラノサイト)を刺激せずに、表皮層の細胞(ケラチノサイト)内のメラニン顆粒を消失させ、表皮のターンオーバーを促進させていく治療法です。

ピコレーザーによるトーニング照射(ピコトーニング)は、Qスイッチレーザーより低い照射エネルギーでも効率的に施術できるので、よりメラニンの産生元の細胞(メラノサイト)を刺激することなく、肝斑の改善や薄いシミをさらに薄くすることが期待できます。

ピコトーニングの痛みやダウンタイム

ピコトーニングは低い照射エネルギーを使用する場合、痛みやダウンタイムはほとんどありませんが、高い照射エネルギーでの施術では麻酔をおこなうこともあります。また赤みや目の下などに点状出血が生じることがありますが施術数時間後、もしくは数日内に治まることがほとんどです。なおメイクは当日から可能とされています。

ピコレーザーによるスポット照射でシミ、タトゥーを除去

ピコレーザーによるスポット照射(ピコスポット・ピコショット)では、施術回数を重ねて色素が薄くなっても、Qスイッチレーザーのように照射エネルギーを高くする必要がありません。そのため、少ない施術回数で健康な皮膚組織に傷(瘢痕)をつくることなく、色素除去できるといわれています。

ピコスポットの痛みやダウンタイム

Qスイッチレーザーと比較すると、炎症が少ないのでかさぶた(瘢痕形成)やあざ(紫斑形成)の程度は軽微とされ、Qスイッチレーザーによる施術のように照射部位をテープで保護する必要がない場合もあります。メイクは翌日からとされています。

痛みが心配な場合は、クリームタイプの麻酔で痛みを緩和することも可能です。

ピコレーザーの適応

  • シミ(真皮性肝斑のような深いシミ)、そばかすが気になる方(肝斑は慎重な診断が必要)
  • ADM(後天性真皮メラノサイトーシス)太田母斑、蒙古斑といったあざ・傷跡で悩んでいる方
  • 毛穴の開きが気になる方
  • 入れ墨・タトゥーを消したい方
  • アートメイクを消したい方
  • ワントーン明るくしたい、美白したい、くすみ、レーザー・やけど・外傷などによる色素沈着が気になる方
  • ニキビ跡(凹凸)気になる方
  • 小ジワが気になる方
  • 忙しくてダウンタイムが取れない方

ピコレーザーを受けることができない方

腕でバツ印を作る女性

  • 日焼けをされている方、日焼けをする予定がある方
  • 妊娠中、授乳中の方
  • 施術部位に傷、ヘルペスのある方
  • てんかん発作の既往のある方
  • 光線過敏症の方
  • 糖尿病、心臓疾患、脳疾患、悪性腫瘍がある方

ピコレーザーのマシンの種類と料金相場

ピコ秒単位でレーザーを照射できるマシンは、それぞれのマシンごとに、波長・パルス幅が異なります。

※ps:ピコ秒(1兆分の1秒)
マシン名 会社 波長 パルス幅 厚生省の承認
PicoSure Cynosure(米国) 532nm
755nm
1064nm
600ps
550-750ps
-
PicoWay Syneron Candela(米国) 532nm
1064nm
294ps
339ps
enLIGHTen Cutera(米国) 532nm
1064nm
2ns
660ps
750ps
Discovery Pico Quanta(イタリア) 532nm
694nm
1064nm
370ps
450ps
-
SPECTRA PICO Lutronic(韓国) 532nm
595nm
660nm
1064nm
2ns
750ps
-
PICOCARE WONTECH(韓国) 532nm
660nm
1064nm
450ps

ピコレーザーの料金相場

ピコフラクショナルは14,000円~100,000円程度、ピコトーニングは10,000円~50,000円程度、ピコスポットは医療機関によって料金設定が異なります。多くの場合、1部位、1ショット、1㎠あたり、などで設定されています。

ピコレーザーマシンのなかには、未承認機器もあります。また保険適用外の自由診療となるため、全額自己負担、料金は医療機関によって異なります。

KO CLINICでのピコレーザー施術

記事を監修していただいた黄 聖琥先生にピコレーザーについてお話を伺いました。

ピコレーザーは、シミなどを細かく粉砕するとのことですが、濃いシミや、厚みのあるシミの場合は効果を実感しにくい傾向があるといわれます。実際はどうなのでしょうか?
黄 聖琥医師
濃いシミや厚いシミには、光治療やパルス幅が長いQスイッチレーザーによる照射治療をおこない、ある程度、色素を薄くした後にピコレーザーを使用する施術方法もあります。
黄 聖琥医師
あるいは初めからピコレーザーの照射エネルギー(フルエンス)を高くして濃いシミや厚いシミに照射し、しっかり反応(ホワイトニング)させることで、ある程度薄くすることも可能です。薄くなったシミを今度は低フルエンスのピコレーザー照射でさらに薄くしていきます。
ピコトーニングでの肝斑治療について教えてください。
黄 聖琥医師
肝斑に関しては、トラネキサム酸の服用や日常のスキンケア、紫外線対策をするなどいわゆる保存療法が第一優先になります。保存療法によって、ある程度肝斑が改善し、メラノサイトの活動性が落ち着いてくると、ピコトーニングでさらに肝斑を薄くすることが可能です。
黄 聖琥医師
肝斑に対し繰り返しトーニング治療をおこなう上では、白斑(はくはん)発生の合併症に注意しなければなりません。あらかじめ画像診断機で肝斑に色素脱失への傾向がないか確認しておくことが予防法としてすすめられます。
ピコレーザーを受ける医療機関の選び方を教えてください。
黄 聖琥医師
ピコレーザーの登場によって炎症後色素沈着のリスクが軽減され、薄い色素もさらに薄くできるようになりました。しかし、ピコレーザーがあればどんな肌の悩みもすべて解決できるわけではありません。
黄 聖琥医師
再現性の取れる(一定の条件下で同じ症状を確認できる)画像診断機で肌の状態をしっかり診断し、症状に応じたマシンを見極めることが重要となります。
黄 聖琥医師
また肌の治療はマシンによる施術だけで改善するものではなく、日常のスキンケア、内服外用薬など、患者さま自身がおこなう継続的な治療がとても大切です。
黄先生、ありがとうございました。

黄 聖琥医師のいる医療機関

KO CLINICKO CLINIC
お問い合わせ先:045-651-1117