「プチ整形」という造語が生まれるほど身近となった美容整形。今では審美性を職業とする芸能人に限らず社会人から学生など、誰もが気軽に美容施術をうけるようになりました。一方、美容整形によるトラブルや後遺症など失敗談も少なくありません。実際に美容整形手術をおこなった方は、失敗しないためにどのようなことに注意したのでしょうか?埋没法の体験者にお話をうかがいました。
「自分の一重まぶたが嫌いで、ずっと二重になりたかった」
そう話す真美さん(36歳・仮名)は、大きく美しい目が特徴的な歌姫の大ファン。「彼女みたいな目に憧れて、二重まぶたに整形しました」そう語る真美さんは二重埋没法を2回うけています。
真美さんが最初に美容整形をしたのは23歳の時。当時、アパレル業界で働いていた真美さんの周囲には美意識が高い人が多く、「他人からどう見られているか」がいつも気になっていたといいます。
特にコンプレックスであった一重まぶたに悩み、思い切って美容整形をうけることに。
この時、医療機関選びに迷いましたがTVでCMも流れていて、よく名前が知られている美容整形外科なら安心だろうと某大手クリニックを訪ねました。
真美さんの希望は、次の3つでした。
この条件にあう施術方法を医療機関で相談したところ
2種類の施術法を提案されました。
真美さんは通院不要でダウンタイムの少ない「埋没法2点留め」の二重術を選びました。施術部位を濡らさないよう注意をすれば当日よりシャワーが可能であり、アイメイクは2~3日後とのことから2連休を利用し施術日を決めました。
真美さんの一重は上まぶたの脂肪が多く厚みがあるため、重い目元の印象を与えたといいます。そのためドクターのアドバイスにより、腫れぼったさのない自然でぱっちりとした大きな目元に仕上げるために、上まぶたの脂肪を除去することにしました。
(都内某クリニックの場合 2020年1月現在)
埋没法(切らない二重術) | 切開法(切る二重術) | |
---|---|---|
施術時間 | 約15分 | 約30分 |
抜糸・通院 | 不要 | 1回(1週間後に抜糸が必要) |
腫れ・痛み | ・2日〜1週間程度 (※個人差あり) ・痛みは軽微 |
・5日~1週間程度 (完全な仕上がりは2~3週間) ・2~3日間は痛みや熱感あり (※個人差あり) |
入浴 | 入浴は翌日、シャワーは当日より可能 (施術部位への摩擦・濡れに注意) |
・入浴は2日後より可能 (施術部位への摩擦・温まりすぎ・濡れに注意) ・シャワーは当日より可能 (顔を濡らさないように注意) |
洗顔 | 翌日より可能 | 7〜8日後より可能 |
メイク | 翌日より可能 (アイメイクは2〜3日後) |
7〜8日後より可能 |
コンタクトレンズ | 施術後2日間はNG | 抜糸後より可能 |
二重には「平行型」「末広型」の2種類があり平行型は西洋人に多く見られ、二重のラインが目頭からしっかりと入っています。末広型は目頭には二重ラインが入らず、目尻に向かってラインがある状態で、アジア人に多い二重のタイプといわれています。
「二重幅が広い平行型でぱっちりとした目元」が真美さんの希望でしたが、カウンセリングの結果「あなたの骨格とまぶたの皮膚の状態で平行型は不自然になる」といわれ、自然な二重ラインにするため末広型を選択しました。
埋没法のリスクとして次の3点が挙げられました。
施術を終え、すぐに帰宅ができた真美さんでしたがドクターの説明通り、1週間ほど腫れがひかなかったといいます。しかも希望していた「ぱっちり二重」に仕上がらなかったため、施術後も二重のりやテープを使い二重にしていました。
「上まぶたの脂肪を取ったので、二重は作りやすくなりました。でも毎日まぶたに負担をかけていたら、1年ちょっとで糸が外れてしまいました」
1回目の二重術で糸が外れたため左は二重、右は奥二重というアンバランスな目元に。さらに糸で留めた部位が、ポコッと吹き出物のように突起しているのも気になりました。
「埋没法は2回までできるといわれたので“またやればいい”という気楽さはありました。仕事が忙しくてなかなか時間がとれなかったのですが、知人から二重整形をすると聞いて、私ももう一度キレイな二重にしたくなって、再びクリニックを探しました」
真美さんは1回目の埋没法から13年後、2回目の埋没法をうけた医療機関は友人が看護師として勤務する大手美容外科を選びました。
「友人からカウンセラーが高額施術をすすめてくると聞いていたので、いいなりにならないように事前に施術法やおおよその費用、リスクや副作用について調べ、あとは自分が絶対に譲れないポイントは何かというのをしっかり意識してから行きました」
埋没法のリスクは、「糸を留める位置がずれて二重幅が凸凹になる」「糸留めの位置が深すぎて糸がまぶたの裏に出て眼球を傷めてしまう」また真美さんの場合のように「糸留めの位置が浅すぎてまぶたの上にポコッと突起ができてしまう」など、いくつもの失敗例がネットで簡単に検索できたといいます。
真美さんの周囲でも高額な施術をうけたのに糸の引っ張りすぎで皮膚がくい込み、施術部位が陥没してしまった人や、肌が弱くて縫い跡がケロイドのようになってしまった人もいたといいます。
しかし、そういったリスクや副作用は「自己責任」だと真美さんはいいます。「美容整形は自己責任でうけるもの。覚悟のない人は、やめたほうがいいかもしれません」
真美さんの2回目の二重術のポイントは次の5つでした。
真美さんはこの5つを意識して医療機関へ行きました。しかしカウンセラーから「10年前に比べて医療技術が進歩しているので、糸が外れにくくなっていますが、さらにリスクや副作用を減らすために料金は上がるけれど別の施術法がおすすめ」と、高額な施術をすすめられたといいます。
「高額な施術は、細い糸を使うので縫い跡が目立たない。糸留めの穴が小さいので腫れが少なく糸も外れにくい、といわれました」。真美さんがうけたかった施術は5万円の二重埋没法3点留めでしたが、カウンセラーがすすめてきたのは20万円と高額な施術方法。
「前回の経験で“いつか糸は取れる” “施術した後は必ず腫れる”ということは承知の上なので安い施術でいいです、と断りました。高額な施術や上手な先生を指名しても、その施術方法や先生のセンスが自分の好みや顔に合うとは限らないし、先生との相性もあります。『他人が良いという施術法やクリニックが自分に合うとは限らない』ということを理解できない人や、『美容整形にリスクや副作用はつきもの』という覚悟が持てない人は、カウンセラーからすすめられるままに施術の選択をしてしまいがちです。でもその場合、希望した仕上がりにならなかったときに後悔が大きくなります。リスクや副作用はつきものという覚悟が持てない人は、美容整形はやらない方がいいかもしれません」
施術前にドクターによるカウンセリングもありました。この時、真美さんは以下のことを伝えました。
するとドクターから「絶対に糸が外れないということはありません。施術後は腫れも出ます。もし仕上がりが気に入らなければ施術後半年以内なら、麻酔代3千円だけで、もう一度施術をやり直すこともできます」といわれたそうです。
真美さんの目の形や希望を丁寧にカウンセリングした上で「もっと二重幅を広げたいのであれば切開法にするしかないが腫れが強く、施術後の通院も必要。費用も20〜30万円くらいになる」と説明をうけたといいます。
二重幅の広さより、ダウンタイムの短さが優先ポイントだった真美さんは2回目も埋没法を選択しました。「リスクや副作用もきちんと説明がありました。また目元の術前・術後写真を広告に掲載することと、定期的な経過観察を条件としたモニター価格での施術をうけることができました。カウンセラーの強引な営業や、待ち時間の長さなどクリニックへの不満もたくさんありますが、ドクターは誠実でよかったです」
2回目の埋没法施術でも、真美さんのまぶたには糸による突起ができてしまいました。定期検診の際にドクターに伝えたところ“気になるのであれば修正をしましょう”と思いのほか気軽な返答でしたが、1週間のダウンタイムを考え決断ができないまま修正期限が過ぎてしまったそうです。
「次は切開法の二重術を選ぶと思います。体内に異物を入れない美容整形は周囲の人たちもやっているので抵抗感はありません。もちろん自己責任が前提です。」
真美さんに美容整形をおこなう理由を尋ねると、「メイクが楽になるから」と意外な答えが返ってきました。「年齢的にも、いまさらかわいくなろうとは思わないです。でも毎日、二重をつくる時間と労力を考えたら、温泉や海に行っても取れない二重整形は本当にラク。もっと早く美容整形すればよかったな、と思います」
ただし、真美さんが強調するのは「美容整形はあくまで自己責任」ということ。「医療機関やドクターの評判は、あくまでその人の場合、ということを忘れてはいけません。以前に比べて今は美容整形もだいぶ身近になりましたが、できる限り自分の顔立ちや肌質に合う美容整形を調べ、リスクや副作用をしっかりと理解した上で施術をうけてほしいと思います」