フォトフェイシャルM22は厚生労働省から安全性や有効性の承認を受けている医療機器で、さまざまな肌悩みの改善が期待できるIPL(光)治療マシンです。そばかすの改善にも効果があるとされ、フォトフェイシャルM22と一緒に受けると相乗効果が期待できる施術もあります。
そばかすの改善にはフォトフェイシャルM22以外の治療方法もあるので、施術を受けたあとの経過やダウンタイムの症状、料金などの違いを知ることで、自分にあった最適な治療方法でそばかすの改善が目指せます。
もくじ
そばかすは、鼻から頬にかけてできる細かいシミのことで、雀の卵のカラに似ていることから、雀卵斑(ジャクランハン)とも呼ばれています。
そばかすは遺伝によってできることが多く、子供のころに発症し、思春期になるにつれて増えて濃くなる傾向があります。一般的に思春期を過ぎると減ったり薄くなることが多いとされますが、そばかすが減る、薄くなるなどの変化は個人差が大きく、また、人によってそばかすの量や濃さは異なります。
そばかすは、メラニンが表皮に過剰に蓄積されることで発生します。
メラニンは、皮膚を紫外線などの刺激から守るために生成されますが、メラニンの量が増えると、通常は皮膚の新陳代謝であるターンオーバーによって体外に排出されるので、そばかすのように目に見える状態にはなりません。
しかし、そばかすができる方の場合、紫外線などの刺激でメラニンが過剰に生成されやすく、過剰に生成されたメラニンは表皮に蓄積されてしまいます。メラニンの量が増えすぎるとターンオーバーで排出できる量を上回り、メラニンが蓄積してそばかすとして目視できるようになります。
シミも同じメカニズムでできますが、そばかすと違って加齢で発症するので30代以降目立ちやすくなります。またそばかすに比べて大きく、耳の前やこめかみなどにできやすいといった違いがあります。
フォトフェイシャルM22は、IPL(Intense Pulsed Light)という光のエネルギーで、メラニンやヘモグロビンなどの肌の悩みの原因物質を損傷させてシミやそばかす、ニキビ跡といった肌の悩みを改善するマシンです。
光は波型の性質を持っていて、波の山から山(谷から谷)までの長さを波長といいます。波長によって紫外線・可視光線・赤外線など呼び名があり、10億分の1メートルにあたるナノメートル(nm)という単位であらわされます。
肌の悩みの原因物質であるメラニンやヘモグロビンには光の波長を吸収する性質があります。原因物質が光を吸収すると熱エネルギーが発生して、発生した熱エネルギーによって原因物質が損傷し、体外に排出されることで肌の悩みを改善に導きます。
IPLと同様に光のエネルギーで肌の悩みの原因物質を損傷させることができるレーザーは、694nmや1064nmといった単一の波長のみをもちますが、IPL治療のマシンであるフォトフェイシャルM22は可視光線・赤外線にあたる515nm~1200nmと幅広い波長をもっています。
フォトフェイシャルM22には、メラニンやヘモグロビンなど肌の悩みの原因物質に波長が吸収されやすいように不要な波長をカットするフィルターが9種類あります。
そばかすに対して施術をおこなうときは、原因物質であるメラニンに吸収されやすい波長のフィルターを選びます。また、メラニンが皮膚の浅い場所にあるのか深い場所にあるのかによってもフィルターを選んで施術をおこないます。
専用フィルター | 対応する症状 | そばかす |
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515nm | 皮膚表面に近い位置にあるシミなど | 〇 |
560nm | 皮膚表面に近い位置にあるシミ、毛穴、シワ、ニキビなど | 〇 |
590nm | 赤ら顔(毛細血管拡張症)、ニキビ跡など | |
615nm | 515nmや560nmで取り切れなかったシミなど | 〇 |
640nm | 515nmや560nmで取り切れなかったシミなど | 〇 |
695nm | 肌深層部のシミや脱毛 | 〇 |
755nm | 肌深層部のシミや脱毛 | 〇 |
Vascular(血管専用フィルター) 530~650nm、900~1200nm |
赤ら顔、毛細血管拡張症、内出血など血管性病変に特化 | |
Acne(ニキビ専用フィルター) 400~600nm、800~1200nm |
炎症を抑えてアクネ菌を殺菌するニキビ治療に特化 |
フォトフェイシャルM22は、複数の波長ををもっているので、シミや毛穴の開き、シワ、ニキビ、赤ら顔など、そばかす以外の肌の悩みに対しても効果が期待できます。
そばかすに効果が期待できるフィルターで全顔の照射をしたあと、ほかの悩みに適切なフィルターに交換して再度照射をおこなうことで、マシンを変えずに1回の施術で複数の肌の悩みにアプローチが可能です。
そばかすの原因物質であるメラニンに与える熱エネルギーを強くしたり弱くするには、フォトフェイシャルM22の照射時間と出力が関係します。
IPLなどの光の波長を1発照射する時間のことをパルス幅といい、ミリ秒・マイクロ秒・ナノ秒・ピコ秒といった単位で表されます。
ピコ秒(ps) | 1/1,000,000,000,000s(1兆分の1秒) |
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ナノ秒(ns) | 1/1,000,000,000s(10億分の1秒) |
マイクロ秒(μs) | 1/1,000,000s(100万分の1秒) |
ミリ秒(ms) | 1/1,000s:ロングパルス |
IPLのマシンによって設定できるパルス幅が異なりますが、パルス幅が短いほどメラニンが光の波長を吸収したあと発生する瞬間的な熱エネルギーが強くなります。フォトフェイシャルM22で設定できるパルス幅は、4ミリ秒~20ミリ秒です。
そばかすの原因物質であるメラニンに対してどれくらいの出力でIPLをあてるかによって、メラニンへ作用する熱エネルギーの強さが変わります。IPLの出力は一平方センチメートルあたりに照射されるIPLのエネルギーの密度のことで、J(ジュール)/㎠という単位であらわされています。
フォトフェイシャルM22以外のIPL治療マシンでは、出力を上げると1ショットあたりのパルス幅長くなり、メラニンが光の波長を吸収したあと発生する瞬間的な熱エネルギー(ピークパワー)が低くなります。
対して、フォトフェイシャルM22の場合は、出力を上げてもパルス幅が長くなることはなく、ピークパワーを維持できるのでメラニンへの作用が弱まることはないとされています。フォトフェイシャルM22で設定できる出力は、10 J/cm2~35J/cm2です。
ただし、出力を上げすぎると熱エネルギーが強すぎて炎症をおこしたり、炎症後に色素沈着が生じるリスクがあるため、そばかすの改善には、適切な波長とパルス幅、出力でメラニンを損傷させる必要があります。
そばかすは広範囲に広がっていて多数あるので、一つひとつに照射をすると時間がかかりますが、フォトフェイシャルM22では一度に広い範囲に照射ができます。顔全体の施術では、10分~15分程度と短時間です。
フォトフェイシャルM22には肌に直接あたる部分であるライトガイドが3種類あって、照射の範囲を変えることができます。額や頬などの広い部位には15mm×35mmのスクエア型を、目元や口元などの細かい部位には8mm×15mmのスクエア型を、狭い部分には直径6mmの丸型をつかうことで、打ち漏らしを防ぎます。
薬剤を直接肌に塗ることによって皮膚をはがすケミカルピーリングは、皮膚の新陳代謝であるターンオーバーを促進させることができます。
過剰に生成されたメラニンは、ターンオーバーにより角質層まで押し上げられて体外に排出されます。ただし、すぐに目に見える変化があるわけではなく徐々に薄くなるので、ケミカルピーリングだけでそばかすの治療をしようとすると、数カ月から年単位の期間がかかる傾向にあります。
しかし、フォトフェイシャルM22の施術ではメラニンを損傷させたあと、1日~2日でマイクロクラストとして角質層に現れます。マイクロクラストがすべて取れるまで3日~1週間ほどかかりますが、ケミカルピーリングを併用するとフォトフェイシャルM22だけの施術をしたときよりもマイクロクラストが取れやすくなり、メラニンの排出がよりスムーズにおこなわれます。
イオン導入は、微弱な電流で美容成分を肌の奥深くまで浸透させる施術です。フォトフェイシャルM22の施術をおこなうと、肌が乾燥しやすくなりますが、ビタミンなどの保湿効果のある美容成分をイオン導入することで、施術のあとの乾燥を防げます。またトラネキサム酸などの美白効果のある美容成分をイオン導入すると、メラニンの過剰な生成を抑制できます。
フォトフェイシャルM22ですでにあるメラニンを排出して、イオン導入でこれからできるメラニンを抑制することで、そばかすへの相乗効果が期待できます。
レーザーはそばかすの治療につかわれますが、そばかすの一つひとつに照射する必要があります。基本的に、レーザーの施術料金は、一箇所あたりで計算されることが多いので、無数にあるそばかすの治療をするには、時間やお金がかかります。
フォトフェイシャルM22の施術は広範囲に数多くあるそばかすに作用しますが、メラニンの量が多かったり、メラニンが存在する表皮の層がほかと違うと、施術の回数によってはそばかすが残ってしまうことがあります。施術効果を求めて施術の回数を増やせばお金と時間がかかります。
フォトフェイシャルM22の施術で残ったそばかすの改善において効果が期待できるのがレーザー治療で、一般的には1回の施術でそばかすに作用するといわれています。
フォトフェイシャルM22とレーザーの施術を併用することで、金銭的・時間的な負担を減らしたそばかすの治療となる可能性があります。
内服薬・外用薬でそばかすの治療をした場合、半年~1年ほどかけて徐々にそばかすが薄くなるので、目に見える変化が小さく、治療に対する満足感が低くなる傾向にあります。
ただし、フォトフェイシャルM22と内服薬・外用薬を併用することで、より効果的なそばかす治療が期待できます。
フォトフェイシャルM22の効果で角質層まで出てきたメラニンを、L-システインといったターンオーバーを促進するような薬を併用することで、さらに体外への排出を促します。また、トラネキサム酸やビタミンCといった薬は、メラニンの過剰な生成を抑制することができるので、フォトフェイシャルM22の施術後、メラニンが過剰に生成されてそばかすが再発する確率を下げることができます。
ピコトーニングは、ピコレーザーを使っておこなう施術で、一つひとつに打つ必要があったレーザーを、低出力で照射することによって顔全体に照射ができるようにした施術方法です。
1週間~2週間の周期で5回~10回の施術が推奨されていて、平均的な1回の施術料金は15,000円~25,000円です。施術の痛みは、フォトフェイシャルM22と変わらずゴムではじかれたような小さな痛みとされています。ただし、出力によってはフォトフェイシャルM22よりも痛く感じるという方もいらっしゃいます。麻酔がなくても我慢できる痛さといわれていますが、痛みの感じ方は個人差があるので、痛みに弱い方にはクリームの麻酔を使う場合があります。
フォトフェイシャルM22 | ピコトーニング | |
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施術の頻度 | 3週間~4週間ごと | 2週間~4週間ごと |
施術回数 | 5回前後 | 5回~10回 |
痛み | 痛みは少ない | 痛みは少ない |
ダウンタイム | ほとんどなし | ほとんどなし |
平均の施術料金 | 30,000円~35,000円 | 15,000円~50,000円 |
フォトフェイシャルM22は、皮膚を冷やしながらIPLを照射できるコンタクトクーリングという機能が搭載されています。また、肌と触れる部分が、冷却機能に優れているサファイアガラスでできていて、照射による熱さを冷やすことによって、施術中に痛みを感じにくいとされています。
フォトフェイシャルM22による施術ではほとんどダウンタイムはなく、施術直後からメイクができます。
個人差はありますが、IPLの波長に反応した部位に赤みが生じる程度で、数時間すれば落ち着きます。
通常、メラニンは表皮の基底層・有棘層・顆粒層に存在するので、ターンオーバーによって角質層に押し上げられるまでは体外に排出されることはありません。
しかし、フォトフェイシャルM22でIPLの光を照射することでメラニンに熱エネルギーを与えると、メラニンが損傷するだけでなく、メラニンを生成するメラノサイトも同時に損傷させることができます。
フォトフェイシャルM22の施術によって損傷したメラニンやメラノサイトは、1日~2日で角質層まで押し上げられて、マイクロクラストと呼ばれる薄いかさぶたになり、3日~1週間ほどで角質と同時にぽろぽろとはがれ落ちそばかすが薄くなります。
赤みやマイクロクラストができても普段どおりメイクが可能です。
1回の施術でメラニンやメラノサイト全てを損傷させようとすると、肌に大きな負担がかかって炎症を起こし、炎症後に色素沈着が生じるリスクがあります。そのため、3週間~4週間の周期で5回前後の施術で徐々にそばかすを薄くすることが推奨されています。
フォトフェイシャルM22の料金相場は全顔の施術で30,000円~35,000円です。
初回の施術が安くなっていたり、相場と比べて安い場合は、照射する回数(ショット数)が少ない傾向があります。また、相場より高い金額の場合は、ケミカルピーリングやイオン導入など併用すると相乗効果が期待できる施術がセットになっていることもあります。HPにセット内容を載せている医療機関もありますが、セット内容の記載がないものの、相場よりも高い料金設定となっている場合もありますので、気になる場合はフォトフェイシャルM22だけの施術料金なのか、ほかの施術がセットになっている料金なのかを医療機関に確認するのがいいかもしれません。
フォトフェイシャルM22(フィルター560,590,615,640,695含む)は日本の厚生労働省から安全性と有効性が認められて医療機器の承認を受けています。そのため、フォトフェイシャルM22による施術は医療行為にあたるので、医療機関しか施術を受けることができません。
日本国内での承認 | 22500BZX00469000 |
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フェイシャルM22のそばかす治療は、肌の状態や肌悩みにあわせて照射する出力や波長を調整することが重要といわれています。また、1回の施術で何回照射をおこなうか(ショット数)も大事で、顔全体に照射する場合100ショット~150ショットが平均的なショット数です。ショット数が多いほど施術効果が高まると考えられがちですが、ショット数が多すぎると肌に負担をかけてしまうこともあります。
効果をより実感するには、5回前後の施術を受けることが推奨されていますが、初回だけドクターが診察をして、そのあとは看護師が施術をする医療機関もあるようです。しかし、施術を受けるときの肌の状態は毎回変わるので、照射する出力や波長、ショット数などを毎回見極めることが重要で、肌の状態を見極めるにはドクターの診察が必要です。また、ドクターによっても経験があるかないかで、施術効果に違いが出るともいわれています。
施術の前に毎回ドクターの診察があるか、ドクターが施術をするかは、各医療機関のHPや、カウンセリングを受けることで確認できます。フォトフェイシャルM22の症例写真が多ければその分施術経験が豊富であることが分かります。また、カウンセリングのときに、自分の症状はフォトフェイシャルM22で改善するのかなど、不安なことに親身に答えてくれるドクターを選ぶと安心です。