クールテックディファインはスペインの会社によって開発された脂肪冷却マシンの1種です。
痩身を目指す部位の脂肪細胞を冷却・破壊することで部分痩身が期待できます。痩身を目指す部位に対して、最大で4カ所同時に施術ができるため、施術を希望する部位が多い場合に効率的な脂肪冷却の施術がおこなえます。また、クールテックディファインはメスを使用しない部分痩身のため、脂肪吸引などの外科手術と比べて体への負担が少ないといわれています。
施術をおこうなう前に、クールテックディファインで脂肪細胞が減少するメカニズム、効果が現れるまでにかかる期間、推奨される施術回数や間隔を知ることは期待した効果を得ることに繋がります。また、 リスク・副作用・ダウンタイムなどを確認することで安心して施術を受けることができます。
もくじ
皮下脂肪は複数の脂肪細胞が集まってできていて、全身どの部位にでも存在している脂肪のことです。脂肪細胞は、食事などで摂取したエネルギーを蓄える働きがあり、摂取したエネルギーを蓄えれば蓄えるほど脂肪細胞が大きくなったり、分裂することで皮下脂肪が増加して肥満となりボディラインやフェイスラインが崩れます。
また、脂肪細胞は運動や食事制限などをすることで小さくして全身を痩せさせることができますが、痩身を目指す部位の脂肪細胞のみを小さくして部分痩身させることは難しいとされています。
しかし、脂肪細胞は4℃で凍り始めるとされています。クールテックディファインの施術は、痩身を目指す部位に皮膚ごと皮下脂肪を吸引して収めるハンドピースを装着し、-5℃~-10℃で冷却して脂肪細胞を凍らせて破壊することで部分痩身が期待できます。
クールテックディファインによって破壊された脂肪細胞は、摂取したエネルギーを蓄える働きができなくなり、脂肪細胞としての活動ができない細胞死の状態に陥ります。細胞死した脂肪細胞は、体内に侵入したウィルスや細胞死した脂肪細胞とその破片を捕食する白血球の一種「マクロファージ」によって吸収・消化されます。
また、細胞死したあとマクロファージに吸収・消化されなかった脂肪細胞は、老廃物としてリンパ菅や血管から汗や尿、便として体外に排出されることで脂肪細胞が減少して、皮下脂肪の厚みが減り、皮下脂肪を減少に導きます。
1.脂肪細胞の冷却・凍結
専用のハンドピースで皮下脂肪が気になる部位の皮膚表面を吸引します。-5℃~-10℃まで冷却し脂肪細胞のみを凍らせます。
2.脂肪細胞が細胞死
凍った脂肪細胞のうち約10%~30%が不活性化し細胞死した状態に陥ります。
3.老廃物として体外へ排出
細胞死に陥った脂肪細胞はマクロファージという体内の異物を消化する免疫細胞に捕食され、尿や汗などにより体外へ老廃物として排出されます。
肥満の原因である脂肪細胞は、食事をしてエネルギーを摂取することで大きくなったり、運動や食事制限をすることで小さくなります。そのため、運動や食事制限をすることで一時的に脂肪細胞が小さくなり全身を痩せさせることができますが、脂肪細胞は減少しないため過度なエネルギーを摂取することでリバウンドがしやすいといわれています。
しかし、クールテックディファインは脂肪細胞を凍らせて破壊することで、細胞死に陥った脂肪細胞がマクロファージによって吸収・消化されたり、汗や尿、便などで体外から排出されることで脂肪細胞が減少するため、リバウンドがしにくいといわれています。
クールテックディファインは、施術をする前に痩身を目指す部位に専用のジェルパッドを乗せます。
ジェルパッドには高い吸湿効果のあるグリセロールが含まれていて、グリセロールが施術部位の細胞まで浸透し、化学反応を起こすことで施術部位が一時的な脱水状態になり、施術部位が0℃以下になっても脂肪細胞以外の皮膚、周辺組織、他の細胞に影響を与えず施術ができるといわれています。
また、クールテックディファインは、製品の品質を管理する狙いとして規制要求事項が定められている国際規格のISO9001(品質マネジメントシステム)をベースに、医療機器の安全性と有効性などの必要な規制要求事項が追加されたISO13485(医療機器品質マネジメントシステム)を満たしていることで、EU(欧州連合)加盟国の安全基準条件を満たすことを証明するCEマークを取得しています。
消費者庁により、エステサロンなどで医療機器を模した痩身マシンによる脂肪冷却の施術を受け、施術部位に凍傷被害がおきたケースが多数報告されています。脂肪細胞に作用する痩身マシンでの施術はドクターの管理下でのみおこなえる医療行為です。
医療機関で使われる脂肪冷却マシンは医療機関以外の施設に置くことがを医師法によって認められていないため、エステサロンで脂肪冷却による脂肪細胞の破壊等を称したサービスが提供されている場合、医師法に抵触するため「違法」になります。
また、凍傷被害が起きた場合、エステサロンでは適切な処置を受けることができません 。
そのため、脂肪冷却の施術を安心して受けるには、医療機関で施術を受けることが大切です。医療機関であれば、脂肪冷却マシンによる痩身治療によって万が一トラブルが発生した場合も、ドクターによる適切な処置を迅速に受けることができます。
施術後の経過期間 | 期待できる作用 |
---|---|
2週間~3週間後 | 代謝の開始 |
1カ月半~2カ月後 | 効果が現れはじめる |
クールテックディファインの施術をおこなったあとに、効果が現れるまでにかかる期間は、約2カ月といわれています。
クールテックディファインは1回の施術で、施術部位の脂肪細胞が約40%減少するといわれていて1回の施術で効果を感じる方も少なくありませんが、脂肪の量や代謝によって効果は異なります。同じ部位に複数回の施術を希望する場合は、約1カ月~2カ月程度あけて3回~4回のペースで繰り返し施術を受けることが推奨されています。
また、クールテックディファインの施術をしたあとにほかの美容医療の施術をおこなう場合、体への負担を考慮しドクターと相談した上で適切な期間をあける必要があります。
クールテックディファインは、大きさや形状が異なる9種類の吸引型のハンドピースがあり、それぞれ体の部位や脂肪の量によって使用するハンドピースが異なります。理想のボディラインやフェイスラインを目指すにはハンドピースの選択と装着部位が大切です。どのハンドピースをどの位置に装着するかは、クールテックディファイン専用の9種類の測定器をもとに決定されます。
また、クールテックディファインはマシンにハンドピースを4本搭載できるため、4カ所の部位に対して同時に施術が可能ですが、痩身を目指す部位が1カ所の場合、1カ所のみの施術も可能です。
ハンドピースの種類 | 適応部位 | 施術時間 |
---|---|---|
oval HP | 内腿、外腿など | 70分 |
Straight HP | 腹部、内腿など | 70分 |
Curved HP | 脇腹、バナナロールなど | 70分 |
Oval Curved HP | 腹部、腰回りなど | 70分 |
Double HP | 腹部など | 70分 |
Tight HP | 腹部、二の腕など | 70分 |
Angled HP | 恥丘など | 70分 |
Tiny HP | 二の腕など | 45分 |
Tiny Curved HP | あご下など | 45分 |
各医療機関や施術部位の数、施術回数などによって料金は異なりますが、1部位あたり24,800円~80,000円程度 です。また、クールテックディファインは厚生労働省未承認機器です。施術は健康保険が適用されず、全額自己負担の自由診療となります。
ハンドピースの種類 | 適応部位 | 料金目安 |
---|---|---|
oval HP | 内腿、外腿など | 29,800円~80,000円程度 |
Straight HP | 腹部、内腿など | 29,800円~80,000円程度 |
Curved HP | 脇腹、バナナロールなど | 29,800円~80,000円程度 |
Oval Curved HP | 腹部、腰回りなど | 29,800円~80,000円程度 |
Double HP | 腹部など | 29,800円~80,000円程度 |
Tight HP | 腹部、二の腕など | 29,800円~80,000円程度 |
Angled HP | 恥丘など | 29,800円~80,000円程度 |
Tiny HP | 二の腕など | 24,800円~55,000円程度 |
Tiny Curved HP | あご下など | 24,800円~55,000円程度 |
クールテックディファインの1つ前の機種にあたるクールテックは、同時に施術ができるのは2部位まででした。しかし、クールテックディファインではハンドピースが4つ搭載されているため、1回で4部位まで同時に施術が可能になりました。そのため、クールテックより少ない通院回数で、より多くの部位の痩身を目指すことができます。
また、クールテックは施術部位に装着するハンドピースが、oval HP、Straight HP、Curved HP、Double HP、Tight HP、Tiny HPの6種類でした。しかし、クールテックディファインでは、クールテックで使用されていた6種類のハンドピースに加えて、Oval Curved HP、Angled HP、Tiny Curved HPの形状やサイズの異なる3種類のハンドピースが追加されました。
そのため、施術部位、脂肪の量によって選択できるハンドピースが増えました。
クールテックでは施術部位に装着するハンドピースで冷却できる温度が-5~-8℃でしたが、クールテックディファインでは-10℃まで冷却が可能になりました。より低い温度で冷却することで、効率よく施術部位の脂肪細胞を凍結できるといわれています。
そのため、クールテックとクールテックディファインでは施術時間は45分~70分と変わりはありませんが、クールテックディファインでの施術の方が脂肪細胞を効率的に減少できるといわれています。また、ハンドピースによって冷却する温度、施術時間が異なります。
クールスカルプティングは米国のゼルティック社によって開発された脂肪冷却マシンの1種です。痩身を目指す部位にアプリケーターを装着して、脂肪細胞を冷却・破壊することで部分痩せが期待できます。
クールスカルプティングは、米国をはじめ世界各国の医療機関で導入されています。また、脂肪減少の効果が厚生労働省から承認された医療痩身マシンとなります。日本の厚生労働省にあたるFDA(米国食品医薬品局)からも安全性と有効性が認められています。
脂肪溶解注射は、薬剤を皮下脂肪に直接注入することで脂肪細胞を減少させて、皮下脂肪の厚みが減り部分痩せが期待できる施術です。脂肪溶解注射は、皮下脂肪が厚い部位であればどの部位にも施術ができるといわれています。
そのため、クールテックディファインなど痩身マシンが装着できない部位には、脂肪溶解注射の併用をすすめている医療機関もあります。
ウルトラフォーマー3は、医療HIFU(ハイフ)マシンの1種です。脂肪細胞が集まってできた皮下脂肪に超音波を1点に集中させて65℃~75℃の熱を発生させることで脂肪細胞が破壊されて部分痩せが期待できるマシンです。
テスラフォーマーは、医療用の筋肉増量マシンの1種です。テスラフォーマーは、磁場による刺激で筋肉の収縮を引き起こし、筋肉量を増加・基礎代謝を高めて引き締まったボディラインが目指せるマシンです。激しい運動をおこなうことなく、専用のアプリケーターを装着して30分ほどリラックスした状態で施術を受けるだけで筋肉量の増加を目指すことが可能とされます。
脂肪吸引は皮膚を小さく切開し、カニューレと呼ばれる細い金属管を体内に挿入して脂肪を取り除く外科手術です。脂肪を直接取り除くことから、確実に部分痩せの効果を実感できます。しかし、医療痩身マシンによる施術と比べるとダウンタイムは長く、麻酔トラブルや脂肪の吸引のむらによる凹凸、しこりなど、リスクは少なくないといわれています。
ハンドピースが皮膚ごと脂肪を吸引するときに引きつる、突っ張る、軽くつねられる感覚や、施術部位を冷却する時に冷感、ピリピリ感などを感じる場合があります。痛みを感じないこともあり、痛みを感じた場合でも麻酔が必要なほどではないとされています。
クールテックディファインの施術で、脂肪を吸引するときに引きつる、突っ張る、軽くつねられる感覚が苦手な方は、吸引圧を自動調節することができます。
また、施術後に血流の滞りを解消し細胞死に陥った脂肪細胞の排出を促すため、冷却した部位にマッサージを施します。その際に痛みを感じる場合があり、施術した部位の脂肪量が多いほど強くつねられたような痛みを感じやすいといわれています。
クールテックディファインは、ジェルパットを使用することで脂肪細胞以外の皮膚、周辺組織にダメージを与えにくいためダウンタイムはほとんどないといわれています。
クールテックディファインは稀に施術部位に色素沈着を起こす可能性があります。しかし、数カ月~数年で落ち着く場合がほとんどです。
また、施術後に、かぶれ・かゆみ・発疹・内出血・赤み・腫れ・内出血・感覚麻痺による違和感を伴う場合があります。
かぶれ・かゆみ・発疹が伴った場合は、数日~数週間程度、内出血・赤み・腫れ・内出血・感覚麻痺による違和感を伴った場合は、1週間~2週間程度で鎮静するといわれています。
クールテックディファインはEU(欧州連合)加盟国の安全基準条件を満たすことでCEマークを取得していますが、国内では未承認の医療機器にあたります。
そのため、施術を検討する際は次の注意点があることを理解して、医療機関でリスク・副作用などについても十分な説明を受けてください。
クールテックディファインは国内未承認の医療機器です。 |
医療機器の入手経路:入手経路は各医療機関のドクターによるメーカーからの個人輸入です。 個人輸入において注意すべき医薬品等について(厚生労働省のページ) |
日本国内での承認の有無:クールテックディファインと同一の性能・作用を有し日本国内で承認を受けている機器(医薬品)はありません。 |
諸外国における安全性等に関する情報:クールテックディファインは欧州での安全性と品質を証明するCEマーク取得しています。また、リスク・副作用として、ごく稀に色素沈着、施術部位に生じる一過性の赤み、感覚麻痺による違和感などが挙げられます。 |
クールテックディファインは、硬く凹凸のあるセルライトを伴う部位への施術は効果が現れにくいとされています。セルライトを伴う部位は血流が滞り代謝が悪くて、細胞死した脂肪細胞が体外に排出されにくいためです。
施術を希望する部位にセルライトを伴う場合は、一定の周波を施術部位に照射することで施術部位の深部を温めて代謝力をあげる高周波治療マシンなどを利用して、事前に代謝を良くしてからクールテックディファンの施術を受けると良いといわれています。
クールテックディファインは、痩身を目指す部位を冷却することで脂肪細胞が減少し、部分痩せが期待できます。ただし、脂肪細胞はとても軽いため、減少したとしても体重に変化はほとんどないとされています。クールテックディファインは、全身の減量効果ではなく、気になる部位の皮下脂肪を減少させて理想のボディラインやフェイスラインを整えることを目的とした施術です。
クールテックディファインの施術をした後は、過度な暴飲暴食を控えてください。暴飲暴食をして過度なエネルギーを摂取することで脂肪細胞は大きくなります。大きくなった脂肪細胞は、脂肪細胞の大きさの限界である130㎛程度になると分裂して増えてしまいます。
成人したヒトの脂肪細胞の大きさは、BMI数値が20~21の場合70μm~90μmといわれていて、BMI数値が27を超えると脂肪細胞の大きさの限界である130μmになり、脂肪細胞が分裂して増えるといわれています。
成人普通体重者の脂肪細胞は直径 70~90 µm である.これがわれわれの観察では,どのように肥満が起こっても,約 130 µm(直径で 1.3 倍,体積ではその 3 乗の 2.2 倍)までは肥大するが,それ以上は肥大しない.この値を基礎にして肥満の機序を考えると,軽度の肥満(BMI 約 27)までは脂肪細胞は肥大のみでも対応できる.しかし,生体がこれ以上に栄養を貯蔵させようとすると,もはや脂肪細胞は肥大のみでは対処できない.これ以上太るには,脂肪細胞は分裂して数を増やすしかない.
クールテックディファインの施術後の当日は、細胞死した脂肪細胞が汗や尿、便として排出させるために 水を沢山飲んでください。
1.診察・カウンセリング
ドクターによる診察・カウンセリングを受けて、理想のフェイスラインやボディラインを伝えて、クールテックディファインの施術が受けられるのか、推奨される施術回数、リスク・副作用などについての説明を受けます。施術に対する不安や疑問点がある場合は、診察・カウンセリング時にドクターにご相談ください。
2.施術部位の計測とマーキング
ハンドピースが施術部位に装着できるのか、理想のボディラインやフェイスラインにするために、どのハンドピースをどの位置に装着するのかを決めるため、クールテックディファイン専用の計測器を使用して施術部位の計測とマーキングをおこないます。
3.施術部位に専用のジェルパッドを乗せハンドピースを装着して冷却・凍結
施術部位に適したハンドピースを装着し、皮下脂肪の吸引、冷却・凍結をおこないます。
冷却することで脂肪細胞以外の皮膚や他の細胞、周辺組織に影響が出ないようにクールテックディファイン専用のジェルパッドを施術部位に乗せます。専用のジェルパッドを乗せたあと施術部位にが適したハンドピースを装着し冷却、脂肪細胞を凍らせます。冷却時間は使用するハンドピースで異なりますが、45分~70分です。
4.施術部位のマッサージ
施術後は、専用のジェルパッドを外し皮膚に付着したジェルを拭き取ります。そのあと、冷却した部位をクールテックディファイン専用のマッサージャーを使用して、もみほぐすことで血流の滞りを解消し、凍って細胞死した脂肪細胞が体外に排出されるのを促します。
5.施術終了
クールテックディファインは、ほとんどダウンタイムがないため、ドクターから施術後の注意点の説明を受けたあと、すぐに帰宅することができます。
クールテックディファインは、体重の減量を目的とした施術ではなく、フェイスラインやボディラインを整えることを目的とした脂肪冷却マシンです。理想のフェイスラインやボディラインに目指すためには、施術を希望する箇所の脂肪の量・施術部位に適したハンドピースを選ぶことが大切です。
クールテックディファインのハンドピースは9種類ありますが、すべてのハンドピースを医療機関が所持しているとはかぎりません。全種類のハンドピースを所持している医療機関で施術を受けることは期待する効果を得ることにつながります。どのハンドピースを所持しているかは事前に医療機関にお問い合わせください。
(2021年1月更新)