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ヒアルロン酸注入によるリスク・失敗と知っておくべき対処方法

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顔を見ている女性

ヒアルロン酸は、体内で産生される物質のひとつで、高い保水力により肌の弾力や潤いを保つ働きがありますが、産生量は加齢ととも減少していきます。そこで、外部から意図的にヒアルロン酸の量を増加させるのがヒアルロン酸注入です。

ヒアルロン酸はもともと体内にある物質で、注入されたヒアルロン酸は徐々に体内に吸収されるため永続的な効果がないことから、ヒアルロン酸注入は受けやすい施術のひとつともいえます。

しかし、手軽に受けられる施術である一方で、様々なリスクが伴います。リスクを起こさないために、注入量の目安や注入する皮膚の層が定められていますが、万が一失敗が生じた場合の対処法を知っておくことで、安心してヒアルロン酸注入を受けることができます。

ヒアルロン酸の成分と特徴

注射器

美容医療におけるヒアルロン酸注入は、額・こめかみ・鼻・マリオネットライン・あご先などさまざまな部位で作用して、加齢によるシワやたるみの改善、唇や胸のボリュームアップ、顎や鼻の輪郭形成に使用されています。

ヒアルロン酸はもともと体内で産生される物質で、皮膚・関節・目・髪など様々な部位に分布しています。ヒアルロン酸1gあたり約6Lを保水できることから、体内の水分を保ち肌の保湿をする役割があります。

しかし、ヒアルロン酸を産生する真皮線維芽細胞は、加齢に伴って活性が衰えはじめます。ヒアルロン酸の産生が減少して、皮膚の水分が減少し乾燥することで、皮膚の弾力が失われシワやたるみにつながるため、外部からヒアルロン酸を注入することでシワやたるみを改善に導くことができます。

加えて、シワやたるみなどに使用するヒアルロン酸よりも粘度が高く硬いヒアルロン酸を使用することにより、唇や胸などのボリュームアップ、鼻や顎の輪郭形成をおこなうことができます。

しかし、ヒアルロン酸は時間の経過とともに体内に吸収されていくため、ヒアルロン酸の効果を維持する場合は定期的にヒアルロン酸注入をおこなう必要があります。

ヒアルロン酸はもともと体内にある物質ではありますが、注入量や注入場所を誤ると重篤な状態に至る可能性があります

血流障害・神経の圧迫によるリスク

頭痛を起こしている女性

ヒアルロン酸を注入する際に、血管を間接的に圧迫したり、誤って血管にヒアルロン酸が入ると、ヒアルロン酸が血栓となり血流障害を引き起こすことがあります。血流障害が生じると、血液が必要な箇所まで行き届かなくなり重篤な事態になりかねません。

血流障害が懸念される注入部位…目付近・鼻・額・ほうれい線

脳卒中

目の付近には皮膚や頭皮に栄養を届ける外頸動脈(がいけいどうみゃく)と、大脳に栄養を届ける内頸動脈(ないけいどうみゃく)が通っています。

脳とつながっている内頸動脈に血栓ができると、血管が詰まる脳梗塞や、血管が破れる脳出血・くも膜下出血などの脳卒中になることがあります

脳卒中の前兆として、以下の症状が突然生じる場合があります。

  • ろれつが回らない
  • 手足のしびれや麻痺
  • 言葉が出てこない
  • 口が閉じない
  • 顔に違和感
  • 頭痛

これらの症状を放置しておくと後遺症として言語障害や麻痺が残る場合があり、重篤な事態になりかねないので速やかに医療機関を受診してください。

失明

内頚動脈は、大脳に栄養を運ぶだけでなく、眼球や視神経に栄養を届けている眼動脈(がんどうみゃく)に枝分かれているため、血栓ができると、血栓の先にある眼球や視神経が機能しなくなり失明に至ることがあります

失明が生じる前兆として、以下の症状があげられます。

  • 急激な視力低下
  • 発汗
  • 吐き気
  • 頭痛
  • 物が二重に見える
  • 眼球を動かしにくい

ヒアルロン酸による視力の低下は、以上の症状が発生してから1時間~1.5時間の間に治療することで治癒、もしくは軽傷で済むとされています。ヒアルロン酸の施術の後に違和感を覚えたら早急に医療機関を受診してください。

皮膚の壊死

ヒアルロン酸による皮脂の壊死は主に眉間や鼻先、鼻唇溝へのヒアルロン酸注入で生じる可能性があります。血管が圧迫されたり血栓で血流が滞り、血管の先にある組織に血液や栄養が行き届かなくなることで起こります。

皮膚の壊死が疑われる血流障害が生じると、皮膚の色が白くなり、赤・紫・黒へと変化していきます。眉間や鼻先に異常が見られたり、不自然な色になった場合は速やかに医療機関を受診してください。

頭痛

主に側頭部や額に注入した際に生じる症状で、まれに頭が締め付けられるような痛みを感じることがあります。注入されたヒアルロン酸によって組織や神経が圧迫されることで生じますが、2日~4日で治まる傾向にあります

また、鼻や眉間など頭から離れている部位に注入した際に頭痛が生じる場合は、血流障害が起きている可能性があります。その場合は、脳卒中や失明、皮膚の壊死がおこるリスクがあるので、医療機関を受診してください。

過剰注入によるリスク

 

骨格や脂肪量には個人差があるため、ヒアルロン酸注入ではml単位で注入量の調整が必要になります。適量となるよう調整して注入がおこなわれますが結果的にヒアルロン酸の過剰注入になると、以下の症状が起こる可能性があります。

つっぱり感

ヒアルロン酸を注入し、体内に存在している組織の容積が急激に増えて皮膚を押し上げることで、皮膚が引っ張られ肌のつっぱりを感じることがあります。ヒアルロン酸の量が多くなるほど、適切な量を注入した時と比較して肌のつっぱり感が強くなる傾向にあります。

しこり

ヒアルロン酸は適量を注入した場合、1年~2年かけて体内に吸収されます。しかし、適量以上を注入し、ヒアルロン酸が一定期間以上体内に残ると、ヒアルロン酸の周りにコラーゲンの被膜が形成され、ヒアルロン酸が体内に吸収されなくなり、しこりになる場合があります

ヒアルロン酸が流れるリスク

鼻やあごへのヒアルロン酸注入では、鼻やあごに留まらず周囲にヒアルロン酸が流れてしまうことがあります。

ヒアルロン酸は粒子の大きさで硬さが異なり、粒子が大きいほど硬くなり、粒子が小さいほど柔らかいヒアルロン酸になります。

ヒアルロン酸注入では、求める施術効果や注入する部位によって硬さが異なるヒアルロン酸を用いて施術がおこなわれます。

硬いヒアルロン酸を使用することで、鼻や顎の形を整える輪郭形成をおこなうことができますが、輪郭形成の際にシワやボリュームアップなどに使用する柔らかいヒアルロン酸を注入すると、もとの形に戻そうとする皮膚の圧力に負けて、注入した部位からヒアルロン酸が流れてしまうことがあります。

柔らかいヒアルロン酸が向いている部位

柔らかいヒアルロン酸が向いているのは、唇や胸などのボリュームアップなど、触ったときに不自然な硬さではなく、柔らかく仕上げたい部位に向いています。

適応部位...胸・唇・額・頬・ほうれい線

硬いヒアルロン酸が向いている部位

硬いヒアルロン酸は、鼻と顎の輪郭を形成したいときに向いています。なお、血管や神経などが複雑に交わりあっている鼻先にヒアルロン酸を注入することは、血管に誤って入る可能性や、間接的に血管が圧迫されることがあるため、推奨されていません。

アレルギーによるリスク

鏡を見ている女性

ヒアルロン酸注入では、まれにアレルギーによって蕁麻疹(じんましん)や呼吸困難・発疹・血圧低下などのアナフィラキシーショックが起こることがあります

ヒアルロン酸は、元々体内で産生される物質であるため、ヒアルロン酸自体にアレルギーの要素は少なく、アレルギー反応が生じることも少ない傾向にあります。

もしアレルギー反応が生じるかどうかが気になる場合は、ヒアルロン酸のアレルギーテストを受けることができます。アレルギーテストを受ける場合は、直後にアレルギー反応の症状が出る場合と、1週間ほどの期間を経て症状が出る場合があるので、施術予定日の1週間前にアレルギーテストを受けてください

リスクや失敗を避けるためのヒアルロン酸の注入量と注入する層

ポイント

顔には、様々な血管や神経が複雑に存在しているため、注入量や注入場所を間違えることで失明などの後遺症が残る可能性があり、施術は慎重におこなう必要があります。

リスクを避けるために定められている注入量の目安

ヒアルロン酸注入では、リスクを避けるために注入量の目安が定められています。ただし、一人ひとり異なる骨格や脂肪量によって、個人にとっての適切な量は変わります

注入部位 注入量の目安
側頭部 0.2ml~0.5ml
前額部 0.1m~0.3m
眉毛尾部 0.1ml~0.2ml
バギーアイリッド※ 0.1ml~0.3ml × 3回
頬前内側・弓部 0.1ml~0.3ml
頬骨隆起部 0.2ml~0.4ml
頬骨下外側 0.2ml~1.0ml
頬骨下内側 0.2ml~0.5ml
鼻根・鼻背 0.1ml~0.2ml × 3回
鼻尖・鼻翼 0.1ml~0.5ml
耳の前部 0.5ml~1.0ml
鼻唇溝上部・中央部 0.1ml~0.4ml
鼻唇溝下部 0.1ml~0.2ml
唇・人中 0.05ml~0.1ml
上口唇・口角部 0.1ml~0.2ml
下口唇 0.2ml~0.4ml
マリオネットライン 0.1ml~0.4ml
顎先 0.5ml~1.0ml
フェイスラインの溝 0.1ml~0.5ml
0.1ml~0.4ml

リスクを避けるために定められている注入部位・注入の深さ

注入部位 注入の深さ
側頭部 骨膜上
前額部 骨膜上
眉毛尾部 骨膜上
バギーアイリッド※ 骨膜上
頬前内側・弓部・隆起部 骨膜上
頬骨下外側・内側 皮下組織
鼻根・鼻背・鼻翼 骨膜上
鼻尖 皮下組織
耳の前部 皮下組織
鼻唇溝上部 真皮層もしくは骨膜上
鼻唇溝中央部・下部 真皮層
口角部 真皮層
上口唇 真皮層
人中・下口唇 皮下組織
マリオネットライン 真皮層
顎先 骨膜上もしくは皮下組織
フェイスラインの溝 骨膜上もしくは皮下組織
皮下組織

※バギーアイリッドとは、クマに見える脂肪の突出で、下まぶたのたるみを指します。

皮膚の構造とヒアルロン酸を注入する皮膚の層

皮膚から骨にかけては、外側から表皮・真皮(層)・皮下組織(皮下脂肪)・筋肉・骨膜・骨の順番で層状に重なっていて、真皮から骨膜にかけて顔の皮膚を固定する働きがある支持靭帯が存在しています。

ヒアルロン酸を注入できる層は、真皮・皮下組織・骨膜上の3つで、シワやたるみの改善なのか輪郭形成なのかといった施術の目的や施術部位によって、ヒアルロン酸を注入する層が異なります

また、ヒアルロン酸注入によるシワやたるみの改善や輪郭を形成するには、大きく分けて以下の3つをおこなう必要があり、部位によって衰えやすい組織が異なるため、ヒアルロン酸を注入する部位ごとに骨組織・脂肪・支持靭帯のどこに作用させるべきかが異なります

  • 骨組織の補強
  • 支持靭帯の補強
  • 脂肪のボリュームアップ

シワやたるみの改善を目指したい場合は、骨組織・支持靭帯・脂肪に作用させる必要があります。皮膚や脂肪を支えている骨組織や支持靭帯が加齢によって衰えると、支える元がなくなった皮膚や脂肪は重力に逆らうことができず下垂して、たるみやシワが生じます。脂肪のボリュームが減ることでもシワやたるみが生じます。

また、鼻やあごなどの輪郭形成をする場合は、骨組織あるいは脂肪に作用させて、形成します。

骨膜上にヒアルロン酸を注入して骨組織を補強

前頭骨や側頭部、眼窩(がんか)、顎は加齢が進むにつれて破骨細胞(はこつさいぼう)が骨組織を破壊し、古くなったカルシウムやコラーゲンを分解し、血液に流す骨吸収が進み、骨の縮小が起こり衰えやすいといわれています。

骨が衰えやすい部位には、骨の上にある骨膜の上にヒアルロン酸を注入することで、吸収された骨の代わりになって、ハリやたるみの改善に導きます

また、ヒアルロン酸を骨膜上に注入する方法は骨がヒアルロン酸を支える土台となり、ヒアルロン酸が骨に定着します。それにより注入したヒアルロン酸が動いたり広がるリスクが少ないといわれているため、ボリュームアップを要する施術にも向いています。

骨膜上にヒアルロン酸を注入して支持靭帯を補強

顔には眼窩靭帯(TL1)、頬部靭帯(TL2)、上顎靭帯(TL3)、下顎靭帯(TL4)の支持靭帯が存在しています。

加齢によって筋肉が縮むと、筋肉と結合している皮膚も同時に引っ張られますが、支持靭帯と結合している皮膚は、支持靭帯によって固定されているため、引っ張られた皮膚と固定されている皮膚の間で歪みが生じ、持ち上げられてシワやたるみが生じます。

また、加齢に伴って衰えた支持靭帯が皮膚や脂肪組織を支えられなくなることで皮膚が重力に逆らえなくなり、シワやたるみが生じることもあります。そこで、支持靭帯直下の骨膜上にヒアルロン酸を注入することで、支持靭帯を支えることができます。

真皮および皮下組織にヒアルロン酸を注入して脂肪をボリュームアップ

顔における脂肪のボリュームダウンが生じやすい部位は、顔を縦3分割した際の中央部分といわれていて、頬や鼻、鼻から上唇まで伸びる溝である人中、顎にあたります。そのため、これらの部位のシワ・たるみの改善を目指す際は、脂肪層である皮下組織にヒアルロン酸を注入することで、改善を目指すことができます。

豊胸の場合は、血流が乏しい大胸筋と乳腺の間にヒアルロン酸を注入するのが良いとされています。

ヒアルロン酸を分解できるヒアルロニダーゼ

注射器と聴診器

ヒアルロン酸注入では、失敗やリスク・副作用を避けるために、ヒアルロン酸の注入量や注入する皮膚の層が定められていますがドクターの技量次第で効果の持続が短くなったり施術効果の結果が変わる施術でもあります。

そこで万が一、重篤な事態になった場合や期待する結果にならなかった場合は、ヒアルロン酸を分解する「ヒアルロニダーゼ」で溶解して、もとの状態に戻す対応がなされます。

ヒアルロニダーゼとは、ヒアルロン酸を水と二酸化炭素に分解して体内に吸収させる分解酵素です。

しかしながら、ヒアルロニダーゼはヒアルロン酸注入が安易におこなわれるために存在しているわけではありませんあくまでも最終手段として知っておいてください

ヒアルロニダーゼの種類

ヒアルロニダーゼは、主に4つの種類があります。

製剤名 由来成分 承認
Hylenex(ハイレネックス) ヒト FDA
Vitrase ヒツジ FDA
Amphadase ウシ FDA
Hyalase ヒツジ 無し

日本の厚生労働省にあたるFDAでの承認を受けているヒアルロニダーゼが多く、アメリカではヒト由来のハイレネックスだけではなく、動物由来のVitraseやAmphadaseが使用されています。しかし、動物由来のヒアルロニダーゼは、ヒト由来の成分を使用した時と比較すると、アレルギー反応が起こった症例が多くみられます。そのため、日本では、ヒト由来の成分で製造されているハイレネックスを使用することが多い傾向にあります。

ヒアルロニダーゼの注意点

ヒアルロン酸による塞栓

ヒアルロニダーゼはヒアルロン酸を分解することができますが、動脈に血栓ができてヒアルロニダーゼを注入した場合は、血管内で分解されたヒアルロン酸の小さな塊により再度塞栓がおこる場合があるので数時間ほど医療機関に滞在して様子を見なければいけません。

ヒアルロン酸の再注入は1カ月後

ヒアルロニダーゼを注入したあとヒアルロン酸が完全に溶解するまでにかかる期間は1週間~1カ月といわれています。多くの医療機関では、ヒアルロン酸が完全に分解されてからヒアルロン酸の再注入を推奨しているので、ヒアルロニダーゼを注入後、ヒアルロン酸の再注入は最低でも1週間~1カ月の期間を設けています

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