ケミカルピーリングとは角質を剥離する薬剤を使用して、 肌に蓄積した古い角質を除去することで、肌質を改善する施術です。
医療機関で受けられるケミカルピーリングの薬剤にはいくつか種類がありますが、その薬剤のひとつがグリコール酸です。
薬剤にはそれぞれ特徴があるため、自身の肌の悩みにあった薬剤を選ぶことで、より施術の効果が得られやすいといえます。
また、ピーリングは自宅でおこなうこともできますが、 医療機関でつかうケミカルピーリングの薬剤は、自宅で使える薬剤よりも濃度が高いため、その分高い効果が期待できます。
一方効果が高まることで、副作用のリスクもゼロではありません。
ほかのケミカルピーリングの薬剤と比較したグリコール酸の特徴のほか、グリコール酸の副作用をあらかじめ知っておくことで、自身にあったケミカルピーリングを受けることができます。
もくじ
グリコール酸とは、水溶性であるAHAの一種で、AHAにはグリコール酸のほかにもリンゴ酸や乳酸・クエン酸・酒石(しゅせき)酸があります。AHAはフルーツに多く含まれていることから別名フルーツ酸とも呼ばれていて、グリコール酸は、サトウキビやブドウに含まれています。
Glycolic acid is a member of the AHA family, which occurs naturally in foods and has been used for centuries as a cutaneous rejuvenation treatment. Recently it has proved to be a versatile peeling agent and it is now widely used to treat many defects of the epidermis and papillary dermis in a variety of strengths, ranging from 20% to 70%, depending on the condition being treated.
引用元:The use of glycolic acid as a peeling agent/National Library of Medicine
酸の名前 | 含まれている果物 |
---|---|
グリコール酸 | サトウキビ・ブドウ |
乳酸 | ブドウ |
リンゴ酸 | リンゴ |
酒石酸 | レモン・ブドウ |
クエン酸 | 柑橘類 |
AHAのなかでケミカルピーリングの薬剤として 医療機関でよくつかわれるのは、グリコール酸と乳酸ですが、乳酸よりグリコール酸の方が分子の大きさが小さいため同じ濃度でつかった場合、薬剤による反応が大きいといわれます。
酸の名前 | 分子量 |
---|---|
グリコール酸 | 76.05g/mol |
乳酸 | 90.08/mol |
リンゴ酸 | 134.08/mol |
酒石酸 | 150.08/mol |
クエン酸 | 192.14/mol |
グリコール酸には、角質同士をつなぐ「角質細胞間脂質」の接合を弱める働きで古い角質を取り除く角質剥離作用があるため、毛穴のつまりを改善に導きます。
また、不要な角質が取り除かれると皮膚の新陳代謝であるターンオーバーの周期が正常化して、ニキビ・くすみ・シミの改善が期待できます。
皮膚の表皮は、下から基底層・有棘(ゆうきょく)層・顆粒層・角質層と層状で成り立っています。
基底層には基底細胞が存在していて、基底細胞は角化細胞(ケラチノサイト)に分裂します。基底細胞は、持続的に分裂して角化細胞を生成することから「幹細胞」とよばれていて、分裂後も基底層にとどまり、さらに分裂して角化細胞を生成し続けます。
角化細胞は、分裂・分化しながら有棘層・顆粒層・角質層を形成して上へ上へと移動していきやがて剥がれ落ちます。このように、基底細胞が生成され角質細胞となって剥がれ落ちるまでの工程を「ターンオーバー」といい、約28日かかるといわれています。
ターンオーバーは、過度なスキンケアや紫外線、花粉やストレスなどによって周期が早くなり、加齢に伴って基底細胞の分裂が低下することで周期が遅くなるなど、乱れることがあります。
また、古い角質が蓄積することでもターンオーバーの周期は乱れます。
通常、ヒトの皮膚には、紫外線や洗顔などの外的刺激から皮膚をまもる「バリア機能」が働いていますが、ターンオーバーの周期が乱れると、角質細胞内の水分を保持する「NMF」(ナチュラル・モイスチュアライジング・ファクター)、角質同士をつなぐ「角質細胞間脂質」、肌の水分の蒸発を防ぐ「皮脂膜」のバランスが崩れ、バリア機能が弱くなります。すると紫外線や洗顔などの外的刺激から影響を受けやすくなります。
ケミカルピーリングで古くて硬い角質を取り除き、ターンオーバーの周期を正常に戻すことで、肌のバリア機能が正常に働いて、くすみやシミ、乾燥の改善が期待できます。
ケミカルピーリングでターンオーバーの周期が正常化し、表皮を形成する角化細胞が通常の周期で生成されると、角質細胞の水分を保つNMFも通常の周期で生成され、形や大きさが均一の角質細胞で角質層が形成されます。
均一の角質細胞で形成された角質層は、皮膚内部に光が透過・反射しやすく、肌を明るく見せるため、肌のくすみが改善できます。
シミの原因であるメラニン色素は、表皮の基底層生成されるケラチノサイトで生成されます。紫外線を吸収して茶色に変色しますが、皮膚の内部を守る働きがあり、本来はターンオーバーによって角質とともに体外に排出されます。
しかし、ターンオーバーの周期が乱れると、メラニン色素が排出されず表皮内に蓄積してシミになります。
ケミカルピーリングでターンオーバーの周期が正常化すると、蓄積したメラニン色素の排出が促進されてシミの改善につながります。
ターンオーバーの周期が乱れ、角質層の皮脂膜・NMF・細胞間脂質のバランスが崩れると、細胞間同士に隙間ができます。皮膚のバリア機能が弱くなることで、紫外線などの外部からの刺激を受けやすくなり、角質層にある水分が蒸発して肌が乾燥します。
ケミカルピーリングでターンオーバーの周期が整うと、皮膚のバリア機能が正常に働くため、乾燥肌を改善へと導きます。
毛穴から分泌される皮脂は、汗と混ざり皮膚の水分の蒸発を防ぐ皮脂膜を形成します。しかし、皮膚に角質が蓄積して角質層が厚くなると、角質が毛穴の出口を狭めて皮脂が毛穴に蓄積します。
毛穴に蓄積した皮脂は固まると角栓となり、ニキビの第一段階であるコメド(面皰)が形成されます。
ケミカルピーリングで角質を取り除くと、皮脂が毛穴に蓄積することなく皮脂膜を形成するためコメドを予防することができます。
ケミカルピーリングは、顔だけでなく以下の部位にも使用することができます。
かかとのように角質層が厚い部位の角質を取り除くには、ある程度の酸の強さが必要になりますが、調整がむずかしく足裏へのケミカルピーリングは一般的ではありません。
足裏にはかかとのように角質層が厚くて硬い部位と、土踏まずや指の間のように角質層が薄くやわらかい部位が混在しているため、足裏全体に酸を浸すと、かかとではなく、皮膚が薄くてやわらかい部位の角質も取り除いてしまう可能性があります。
また、足裏には皮脂腺がなく、肌のバリア機能が弱いことに加え、刺激を感じにくいことからアルカリ性や酸性の化学やけどを起こしやすい部位です。そのため、効果がないからといって長時間浸したり薬剤の濃度を高くすると、炎症を起こすことがあります。
国民生活センターには、酸を使ったフットケア商品を使用したことで化学やけどを負った事故情報もよせられているため[※1]、自宅でおこなう角質ケアにおいても十分な注意が必要です。
[※1]酸を使ったフットケア商品-角質ケアをうたった商品で化学やけどやひどい痛みも!(国民生活センターホームページ)
ケミカルピーリングは、施術部位にダメージがあると、薬剤が皮膚の深部まで浸透して、ただれや赤みなどの炎症を起こすことがあります。
そのため、ケミカルピーリングを受ける際は、以下の行為は控えてください。
施術までの日数 | 注意事項 |
---|---|
3日前~当日 | 顔そり、パック、脱毛、スクラブ洗顔 |
1週間前 | ニキビ治療外用薬の塗布 |
3週間前 | 日焼け |
1カ月前 | ほかのケミカルピーリング、レーザー治療、電気・ワックス脱毛、アートメイク |
ケミカルピーリングを受けた後の肌は、乾燥して敏感になっていて刺激を受けやすい状態なので、以下の行為は控えてください。
また、紫外線によってシミや乾燥が起こりやすい状態であることから、施術から約1カ月間は、日焼け止めを使用することが推奨されています。
施術後からの日数 | 注意事項 |
---|---|
1週間後まで | パック、あかすり、マッサージ、顔そり、パーマ・カラー、プール・温泉、多飲酒 |
2週間後まで | 過度な日焼け |
1カ月後まで | ほかのケミカルピーリング、レーザー治療、電気・ワックス脱毛、アートメイク |
にはいくつか種類があり、浸透させたい皮膚の深さによって使用する薬剤と濃度が異なります。
また、日本人は、西洋人などと比較して表皮の角質層が薄いため、炎症をおこしてかさぶたや色素沈着、ただれが生じる可能性があります。そのため、日本国内で使用されているケミカルピーリングの薬剤は、海外で使用されている薬剤よりも濃度を薄くして使用する傾向があります。
剥離レベル | 名称 | 剥離される深さ | 使用される薬剤 | 適応症状 |
---|---|---|---|---|
1 | 最浅層 | 角層 | 濃度20%~35%のフルーツ酸、 サリチル酸 濃度10%~20%のトリクロロ酸 | ニキビ・ニキビ跡 そばかす 肝斑 |
2 | 浅層 | 顆粒層 | ||
3 | 中間層 | 表皮~真皮乳頭層の一部 | 濃度50%~70%のグリコール酸 濃度35%~50%のトリクロロ酸 | シミ 色素沈着 |
4 | 深層 | 表皮~真皮乳頭層、網状層 | ベーカーゴードン液 フェノール(濃度88%以上) | 深いシワ ニキビ跡 大きな毛穴 たるみ |
医療機関のケミカルピーリングの主な薬剤には、グリコール酸、サリチル酸マクロゴール、乳酸がありますが、そのなかでも取り扱いが多いのはグリコール酸とサリチル酸マクロゴールです。
グリコール酸によるピーリングは、グリコール酸とph調整剤の調合が可能で、症状に合わせて濃度を変更できることができます。そのため、医療機関によっては症状に合わせて薬剤を調合し、さまざまな症状に適応させることができます。
グリコール酸でも角質を取り除くことで毛穴のつまりを除去することができますが、サリチル酸マクロゴールは、毛穴の皮脂と結びつきやすく、皮脂を溶かしながら角質を取り除きます。また、グリコール酸と比較して副作用が生じる可能性が少ない傾向にあります。
痤瘡患者 436 人を対象とした特別な製法で作成された 30% サリチル酸マクロゴールを用いた症例集積研究では,平均 5.9 回の治療を行って副作用を認めず,高い安全性が示されている.
しかし、サリチル酸とマクロゴール基剤を調合することが難しく、あらかじめ決まった濃度を使用している医療機関が多いため、グリコール酸と比較して、適応できる症状が狭まります。
グリコール酸は、濃度によってピーリングの強さが異なり、施術を受ける人の肌の状態によって濃度を調整することができます。
ただし、日本人を含むアジア人は西洋人と比較して表皮の厚さが薄いため、日本の医療機関で使用されるグリコール酸は10%~30%の濃度で、角層のみ剥離することが多い傾向にあります。
医療機関によっては決まった濃度のグリコール酸が使われいる場合もありますが、濃度を調整して施術をする場合は、ニキビの状態や、肌の状態を考慮して患者の肌でパッチングテストをしながら適切な濃度をドクターが判断して施術をおこないます。
剥離レベル | 名称 | 剥離される深さ | 使用される薬剤 | 適応症状 |
---|---|---|---|---|
1 | 最浅層 | 角層 | 濃度20%~35%のフルーツ酸、 サリチル酸 濃度10%~20%のトリクロロ酸 | ニキビ・ニキビ跡 そばかす 肝斑 |
2 | 浅層 | 顆粒層 | ||
3 | 中間層 | 表皮~真皮乳頭層の一部 | 濃度50%~70%のグリコール酸 濃度35%~50%のトリクロロ酸 | シミ 色素沈着 |
また、グリコール酸は、濃度だけでなく、酸性かアルカリ性かをあらわす「ph」の値と、塗布する時間によっても浸透する層が異なります。
「ph」は7を基準として、7よりも低いほど酸性が強くピーリング効果が高まり、7より高いほどアルカリ性になりピーリングの効果が薄まります。そして、塗布時間が長いほど皮膚深くまで浸透するため、phの値と塗布する時間も調整して施術がおこなわれます。
また、濃度が30%以上かつph値が2以下の強い酸性のグリコール酸を皮膚に塗布すると、皮膚に炎症がおきてかさぶたができたり、ただれることがあるため、注意しなければなりません。
グリコール酸には、毛穴のつまりの除去だけではなく、ニキビの原因でもあるアクネ菌に対して殺菌作用があります。
アクネ菌は、酸素を嫌う通性嫌気性菌で、皮脂を餌にして毛穴の中で増殖します。
そのため、グリコール酸によるケミカルピーリングでは、角質を取り除き皮脂が毛穴に蓄積することを防ぐだけでなく、アクネ菌の殺菌効果によって、ニキビができにくい肌を目指すことができます。
グリコール酸ケミカルピーリングは、シワやニキビによるクレーター肌も改善ができます。
クレーター肌は、ニキビの炎症により、コラーゲンなどが多く存在していて、ターンオーバーをしない真皮層までダメージがおこり、肌が凸凹になる状態を指します。
グリコール酸を肌に塗布することで、「サドカイン」という細胞間の情報伝達をしているたんぱく質が分泌されます。それにより、コラーゲンやヒアルロン酸を生成する線維芽細胞が刺激されてコラーゲン等が生成が促され、それらを束ねるエラスチンも増加します。
コラーゲンやエラスチン等が多く生成されることで、弾力のある肌質へと導くため、シワの改善や、クレーターの改善が期待できます。
サリチル酸は、BHA(ベータヒドロキシ酸)の一種で、脂溶性の薬剤です。
サリチル酸を使用したケミカルピーリングには、サリチル酸エタノールとサリチル酸マクロゴールがありますが、サリチル酸エタノールは、皮膚の深部まで浸透し、血液に吸収されサリチル中毒になる可能性があるため、一般的に使用されているのはサチリル酸マクロゴールです。
グリコール酸と同様に、角質を取り除く角質剥離作用や、毛穴のつまりを改善することができます。また、角質をやわらかくする作用があり、水虫などの原因菌である白癬(はくせん)菌に対して抗菌作用をもつため、イボやタコ、うおのめの治療にも使用されています。
グリコール酸 | サリチル酸マクロゴール | |
---|---|---|
酸の種類 | AHA | BHA |
酸の性質 | 水溶性 | 脂溶性 |
特徴 | 角質剥離、角質の結合の弱化 | 角質剥離、角質軟化 |
副作用 | 赤み、ただれ、かさぶた | まれに赤み、ただれ、かさぶた |
グリコール酸は水に溶けやすい水溶性の酸であるのに対し、サリチル酸は脂に溶けやすい脂溶性の酸で、毛穴に詰まった皮脂を取り除くことができるため、毛穴のつまり改善に期待できます。
サリチル酸と、水溶性のマクロゴール基剤を組み合わせることによって、薬剤が皮膚に溶け込む度合いを示す経皮吸収性が下がるため、薬剤が角質層よりも下の層に浸透することを防ぐことができます。
薬剤が角質層にとどまることから、深部に浸透することによって生じる赤みやただれなどの炎症が生じにくい傾向にあります。
乳酸はグリコール酸とおなじAHAの一種で、グリコール酸と比較して分子が大きいため、皮膚への浸透が浅く角質層の表層部のみに作用します。皮膚の深部に浸透しないことから、角質の剥離効果もマイルドになる傾向があります。
そのため、初めてケミカルピーリングを受ける人や、敏感肌・乾燥肌の方に向いている方法です。
トリクロロ酢酸はTCAともよばれ水溶性の酸です。
肌のハリや弾力を保つコラーゲンやヒアルロン酸、エラスチンなどを生成する線維芽細胞は、加齢とともにに減少します。線維芽細胞が減少するとコラーゲン・ヒアルロン酸・エラスチンも減少することで、シワやたるみが生じやすくなります。
線維芽細胞が含まれている真皮層をトリクロロ酢酸で刺激することによって、コラーゲンなどが多く生成されることで、シワやたるみの改善が期待できます。
しかし、トリクロロ酢酸は日本人などの有色人種に施術をおこなうと、施術中の痛みや、色素沈着が生じる場合がありますが、低濃度過酸化水素を配合した薬剤を使用することで、過度の剥離を抑えることができます。
マッサージピールとは、イタリアのWiQo med社の製品のPRX-T33という薬剤を使用したケミカルピーリングのことを指し、主成分は、トリクロロ酢酸と低濃度過酸化水素です。
トリクロロ酢酸のみのケミカルピーリングでは表皮が傷つき、色素沈着やダウンタイムが必要であったのに対し、トリクロロ酢酸に低濃度過酸化水素を加えることによって、表皮の剥離作用を抑えながら、真皮層まで薬剤を浸透させることで、コラーゲンやエラスチンなどの生成を促進し、肌の再生を促します。
フェノール液は、ケミカルピーリングの中でも一番剥離作用が強い薬剤で、真皮層の網状層まで薬剤が浸透します。
真皮層は、境目がはっきりしていませんが、上から乳頭体、乳頭下層、網状層にわかれています。
網状層は真皮層の中でも一番太い層で、コラーゲンやコラーゲンを束ねるエラスチン、ヒアルロン酸が存在します。それによって、肌にハリはりや弾力が加わります。
フェノール液が網状層まで浸透することで、コラーゲン・エラスチン・ヒアルロン酸の生成が促進されます。
角質層が薄い日本人の肌は、フェノール液を使用すると、赤みやただれなどの副作用が強く出たり、やけどの跡のような状態になって色素沈着が生じるなど、ダウンタイムが長くなることがあります。
そのため、美容目的で使用することはほとんどありませんそのが、日光角化症、 表在性基底細胞癌、ボーエン病などの局所的な疾患に治療方法として使用される場合があります。
しかし、海外では麻酔薬を使用して、深いシワやたるみの施術でつかわれています。
イオン導入とは、微弱な電流を流すことによって皮膚からは吸入しにくいビタミンCやアミノ酸を皮膚に浸透させることができる施術です。
角質層は、酸性でプラス(+)イオンが多く存在しますが、角質層より下の顆粒層からは、アルカリ性でマイナス(-)イオンが存在していて、角質層と顆粒層の間には、お互いが反発し美容液などの浸透を防ぐ薄い電気の膜があります。
そこでイオン導入機でマイナス(-)イオンを流すことによって、角質層と顆粒層の電気の膜が弱まるため、美容液などが角質層よりも下部の層へ浸透します。
ケミカルピーリングで、古くなった角質を取り除いてからイオン導入を併用して使用することで、ビタミンCなどの有効成分が皮膚へ浸透する吸収率が高くなります。
グリコールン酸ピーリングは、最短でも2週間に1度の頻度で施術を受けることができて、一度の施術で効果を感じられることもありますが、定期的に施術を受けることで、肌のターンオーバーの周期が整い、ニキビなどができにくい肌への改善が期待できます。
グリコール酸 | サリチル酸マクロゴール | |
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回数 | 3回~10回 | 3回~6回 |
1回の費用 | 2,500円~20,000円 | 5,500円~25,500円 |
ケミカルピーリングの頻度は、肌のターンオーバーの周期にあわせて1カ月に一度の施術が望ましいとされています。
しかし、グリコール酸によるケミカルピーリングでは、濃度を低く調整した施術においては、肌に炎症がない場合は、ドクターの判断により前回の施術から最短で2週間後に受けられる場合もあります。
ケミカルピーリングは、保険適用ではなく自由診療なので、医療機関によって費用が異なり、症状や部位によっても変わりますが、サリチル酸マクロゴールと比較すると安価な傾向にあります。
また、また、イオン導入などのほかの施術と組み合わせた施術の費用が表示されていることもあるため、費用の詳細は各医療機関にお問い合わせください。
グリコール酸は、症状によって濃度やph値を調整することができますが、薬剤を深部へ浸透させようと濃度を濃くすると、ただれや皮膚が発赤する紅斑(こうはん)が生じることがあります。
施術の後に、ただれや紅斑が生じた場合は、医療機関を受診してください。
施術部位が紫外線やプールなどで使用される塩素などに刺激されると、色素沈着を起こしたり、炎症を起こしてかさぶたができることがあります。
そのため、施術の後は紫外線を浴びないように日焼け止めを使用するなどの対策が必要です。
自宅でできるピーリングは、医療機関でおこなうケミカルピーリングよりも濃度が低く、安全面に考慮してつくられています。
日本では、3.6%以上の濃度が配合されているグリコール酸は、毒薬法の「劇物」に指定されています。[※3]3.6%以上配合されているグリコール酸を取り扱うには、薬剤師の資格を持っている人や、応用科学に関する学課を修了した人など法律によって定められている「劇物取扱責任者」の資格が必要です。
また、「劇物」を医療機関で使用する場合には、厳重に管理することなどが法律に明記されています。[※4]
[※3]毒物及び劇物指定令の一部改正について(通知) (厚生労働省ホームページ)
石鹸によるピーリングは、自宅で手軽に使用できるピーリング方法の1つです。毎日使用することができ、顔だけでなく、全身に使用できます。 主な成分として、グリコール酸を含むAHAや、サリチル酸が使用されています。
ジェルピーリングは、液状で皮膚の上でこすると白い塊ができ、その塊が古い角質や汚れを絡み取ります。
ジェルピーリングには、摩擦を受けることで固まるゲル化剤と、除菌・殺菌効果がある陽イオン界面活性剤が主な成分ですが、AHAやサリチル酸が含まれているジェルピーリングもあります。
医療機関でおこなうケミカルピーリングは自宅でおこなうピーリングよりも、使用する薬剤の濃度が高いため、その分高い効果が期待できます。
グリコール酸ピーリングは、肌の状態や、症状に合わせて薬剤の濃度を調整することができるため、自身の肌に合った施術をおこなうことができます。
濃度が高い薬剤を使用するケミカルピーリングは医療行為にあたります。医療機関であれば、万が一ピーリング中に赤みや発疹などの重篤な症状が生じたとしても、適切な対応がおこなわれ、アルカリ中和剤の「ニュートラライザー」でグリコール酸の反応を止めることができます。
高濃度のピーリング薬剤を取り扱うことができる医療機関であれば、効果的かつ安全な施術が受けられるといえます。
(2021年1月更新)