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ピコレーザーを使用したタトゥー除去の効果とリスクや注意点

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タトゥーを入れた場合、自然に消えることはありません。タトゥーを消したい場合はメスを使った外科的な手術を受けるほか、レーザーで除去する方法があります。

美容医療で使用されるレーザーはマシンによって性能が違い、タトゥー除去に使用した場合、マシンによっては消えない色のタトゥーがあったり、施術をおこなった後にケロイドのような跡が残るといったリスクがあります。

レーザーの中でもピコレーザーは、ほぼすべての色のタトゥーの除去に効果が期待できます。また、ほかのレーザーに比べて施術後の跡が目立ちにくいとされています。

ピコレーザーを使用したタトゥーの除去で効果を得るためには、複数回の施術が必要です。料金相場やダウンタイム、リスクなどを事前に確認することで、安心して施術を受けることができます。

アートメイクと違い肌の深い層に染料を注入するタトゥー

皮下に染料を注入して皮膚に色を着ける施術としてタトゥーとアートメイクがあります。どちらも似た施術ですが、染料を注入する部位や持続期間に違いがあります。

ヒトの皮膚は、外側から表皮層・真皮層・皮下組織の3つの層からなっていて、アートメイクは表皮層、タトゥーは真皮層に染料を注入します。

表皮層では、ターンオーバーとよばれる皮膚細胞の生まれ変わりがおきていて、古くなった皮膚細胞は角質となって皮膚から剥がれ落ちます。アートメイクで表皮層に注入された染料は、ターンオーバーによって少しずつ退色(たいしょく)していくので、持続期間は1年~3年といわれています。

一方、タトゥーはターンオーバーのように定期的な皮膚細胞の生まれ変わりが生じない真皮層に染料を注入するため、一度注入した染料が退色することは基本的にありません。タトゥーを除去するには注入した染料の色素に対応したレーザーによる除去をおこなう必要があります。

レーザーのメカニズムとピコレーザーの特徴

レーザーの波長

レーザーは光の一種です。光には山と谷を繰り返す波形の性質があって、波形の山から山(もしくは谷から谷)の長さを波長といいます。波長は10億分の1メートルにあたるナノメートル(nm)という単位であらわされます。

光には複数の波長がありますが、レーザーは複数の波長の中から特定の波長を増幅して取り出されたものです。

レーザーの光は、波長が短いほど皮膚の浅い部位に、波長が長いほど皮膚の深い部位に作用します。取り出された特定の波長によって、それぞれ「ルビーレーザー」や「アレキサンドレーザー」などの名称で呼ばれています。

おもなレーザーの種類 波長
KTPレーザー 532nm
ダイレーザー 585nm~595nm付近
赤色レーザー 660nm
ルビーレーザー 694nm
アレキサンドライトレーザー 755nm
ダイオードレーザー 810nm~1450nm付近
Nd:YAG(ネオジムヤグ)レーザー 1064nm
Er:YAG(エルビウムヤグ)レーザー 2940nm
炭酸ガスレーザー 10600nm

ピコレーザーの特徴である照射時間

原則として、美容医療でレーザーを照射するときはレーザー光を連続であて続けるのではなく、ボタンを連打するように間を開けて照射するパルス照射という方法を用います。パルス照射をしたときの一発の照射時間をパルス幅といい、パルス幅が短いほど照射した物質に対しての瞬間的なエネルギーが強くなります

パルス幅は、ミリ秒・マイクロ秒・ナノ秒・ピコ秒といった単位で表されます。

ピコ秒(ps) 1/1,000,000,000,000s(1兆分の1秒)
ナノ秒(ns) 1/1,000,000,000s(10億分の1秒)
マイクロ秒(μs) 1/1,000,000s(100万分の1秒)
ミリ秒(ms) 1/1,000s:ロングパルス

パルス幅について

ピコ秒でレーザーを照射できるマシンを「ピコレーザー」と呼んでいます。ピコレーザーのほかに、ナノ秒でレーザーを照射するマシンを「Qスイッチレーザー」ミリ秒でレーザーを照射するマシンを「ロングパルスレーザー」と呼んでいます。

レーザーのマシン名は、波長やパルス幅がわかるように「ロングパルスダイレーザー」「Qスイッチルビーレーザー」「ピコアレキサンドライトレーザー」など、波長とパルス幅の名前をいれて表されることもあります。たとえば「ピコアレキサンドライトレーザー」の場合、パルス幅がピコ秒で波長が755nmのレーザーを意味します。

ピコレーザーを使ったタトゥー除去のメカニズム

光熱作用

タトゥーにレーザーを照射すると、染料の分子がレーザーの光を吸収して熱エネルギーが発生しますが、長い時間レーザーが照射され続けると発生した熱エネルギーが周囲の組織へ逃げようとします。しかし、レーザーの照射時間が短いと、周囲の組織に熱エネルギーが逃げず染料の分子の中に熱エネルギーがとどまって分子を破壊します。この作用を光熱作用と呼びます。

レーザーを照射する物資によって、レーザーの光を吸収してから周りの組織に熱エネルギーを逃がすまでの時間が異なります。熱エネルギーを逃がすまでの時間を熱緩和時間と呼んでいて、タトゥーの染料の熱緩和時間は10ピコ秒~1000ピコ秒(1ナノ秒)といわれています。ピコレーザーだけでなく、ナノ秒でレーザーを照射するQスイッチレーザーでもタトゥーの染料の分子に光熱作用を起こすことが可能とされています。

光熱作用で破壊された染料の分子は蒸散・消滅したり、白血球の一種であるマクロファージによって捕食されて消化・排出されることでタトゥーが退色するとされています。

光音響作用

染料の分子にレーザーで熱エネルギーを与えると分子が熱膨張を起こして、波動(応力)となって周辺組織に拡散します。

しかし、レーザーを照射する時間が極端に短いと、熱膨張の応力が周辺組織に拡散できず、分子の中に閉じ込められます。閉じ込められた応力は高圧になって最終的に分子を粉砕します。この作用は、光音響作用とよばれています。

光熱作用と同様に、光音響作用にもレーザーの光を吸収してから周りの組織に波動を逃がすまでの時間(応力緩和時間)が物質ごとに異なり、タトゥーの染料の応力緩和時間は1ナノ秒よりも短いとされています。そのため、光熱作用と違ってQスイッチレーザーで光音響作用を起こすことはできません

光音響作用で粉砕されたタトゥーの染料は、光熱作用と同じく蒸散・消滅したり消化・排出されることに加えて、染料の分子が粉砕されて小さくなり目に見えなくなることでタトゥーが退色するとされています。

タトゥー除去の施術におけるピコレーザーとQスイッチレーザーの効果の違い

タトゥーの染料の分子に対して光熱作用のみを及ぼすマシンがQスイッチレーザーで、光熱作用と光音響作用を及ぼすマシンがピコレーザーです。

光熱作用にはタトゥーの染料の分子を目に見えなくなるまで細かく粉砕する力がありません。光熱作用でタトゥーを退色に導くQスイッチレーザーの施術は、光熱作用と光音響作用のあるピコレーザーの施術に比べてタトゥーが退色するまでに時間と回数が必要になるといわれています。臨床データでは退色するまでの時間や回数の差が2倍~数倍程度あるという結果が出ています。

また、光熱作用によってタトゥーの染料の分子が破壊されたあと、熱エネルギーが周辺組織に伝わり熱損傷を引き起こします。熱損傷の度合が強いほどダウンタイムが長くなるといわれています。

Qスイッチレーザーは光熱作用のみでタトゥーの染料の分子を破壊するため、周辺組織への熱損傷の度合が強く、ダウンタイムが長くなるといわれています。

ピコレーザーは光熱作用と光音響作用の両方の作用をタトゥーの染料の分子に与えます。ただし、タトゥーの染料の分子に与える影響は光音響作用のほうが大きく、光熱作用が与える影響はごくわずかとされています。そのため、光熱作用によって生じる周辺組織への熱損傷の度合は弱く、Qスイッチレーザーの施術よりもダウンタイムが短くなる傾向にあります。

臨床データからQスイッチレーザーで退色が期待できるタトゥーの染料の色は、黒色・緑色・赤色とされていて、3色以外の色については少し薄くなるもしくはまったく変化がないという臨床データがあります。一方、ピコレーザーは色によって退色するまでに長期間・複数回の施術が必要になる場合もありますが、ほぼすべての色の染料が退色できるといわれています。

タトゥーの除去効果に関係するタトゥーの色とピコレーザーの波長

タトゥーの染料の色によって吸収しやすいレーザーの光の波長が異なります。レーザーの光を吸収するほど熱や応力のエネルギーが高くなり染料の分子に作用する力が強くなるので、タトゥーの色によって波長を変えて施術をおこなうことがほとんどです。

黒色

黒色の染料はすべての波長を吸収し、波長による吸収率の違いはほとんどありません。波長が長いほうが皮膚の奥まで作用するため、染料がどれくらいの深さの皮膚層にあるかで波長が選択されます。染料の位置が深ければ長い波長を、浅ければ短い波長が選択されます。

 

青色

青色の染料は、670nm>755nm>785nm>532nm>1064nmの順にレーザーの光の吸収率が高く、吸収率が高いほうが染料の分子が粉砕されるエネルギーが強くなるといわれています。600nm~800nmの波長の吸収率は大きな違いがないため、ピコレーザーのマシンによって670nm・755nm・785nmのいずれかの波長を選択して照射がおこなわれることがほとんどです。

紫色

紫色の染料の吸収率は、高い順に532nm>670nm>755nm>785nm>1064nmとされています。500nm~600nmの吸収率がきわめて高くなりますが、染料がどれくらいの深さの皮膚層にあるかでバランスを考慮したうえで波長が選択されて照射されます。532nm・670nmの波長が選択されることが多いといわれています。

緑色

緑色の染料は、670nm>755nm>785nm>532nm>1064nmの順にレーザーの光の吸収率が高くなります。600nm~800nmの波長の吸収率がほかの波長に比べて高いため、670nm・755nm・785nmいずれかの波長が選択され照射がおこなわれることが多いといわれています。

赤色

赤色の染料は、532nm>1064nm>670nm>755nm>785nmの順で吸収率が高くなります。500nm~600nmの波長が最も吸収率が高く、600nm以上になると吸収率が極端に低くなります。そのため、ほとんどの場合532nmの波長を選択して照射がおこなわれます。

黄色

黄色の染料は、532nm>670nm>755nm>785nm>1064nmの順で吸収率が高くなりますが、550nm以上になると500nm~550nmの波長に比べて吸収率が1/4以下になります。そのため、ほとんどの場合532nmの波長を選択して照射がおこなわれます。

オレンジ色

532nm>670nm>755nm>785nm>1064nmの順で吸収率が高くなるのがオレンジ色の染料です。ただし、550nm以上になると吸収率が大きく下がるため、532nmの波長が選択されることがほとんどです。

肌色

肌色の染料は、532nm>670nm>785nm>1064nmの順で吸収率が高くなります。500nm~550nmの吸収率がほかの波長に比べて高いため、ほとんどの場合は532nmの波長を選択します。ただし、照射後に黒色化するリスクがあります。黒色化した場合、1064nmの波長を選択して照射がおこなわれることがほとんどです。

白色

白色の染料はすべての波長において吸収率が低くなるので、染料の分子が粉砕されるエネルギーが低く、ほかの色に比べて照射回数を増やさなければ除去しにくいといわれています。また、黒色化などほかの色に変色するリスクがあり、変色した場合は色によって照射する波長を変える必要があります。

ピコレーザーを使ったタトゥー除去の施術が向いている方

  • 広範囲のタトゥーを消したい方
  • 徐々にタトゥーを消したい方
  • 通院が可能な方
  • 切開跡を残したくない方

ピコレーザーを使ったタトゥー除去の施術頻度・回数

ピコレーザーの照射後、2カ月程度たつと染料の退色がはっきりすることが多いと研究結果が出ていることから、1度の照射から2カ月~3カ月程度あけての治療が推奨されています。

ピコレーザーの照射間隔をできるだけ短くしたい場合、原則として4週間程度の間隔をあければ施術がおこなえます。

施術の推奨回数は、タトゥーの色や大きさ、タトゥーが入っている部位によって異なります

タトゥー除去において推奨される施術頻度や回数は個人差があるため、詳しくはドクターの診察を受けてご確認ください。

ピコレーザーを使ったタトゥー除去の料金相場

ピコレーザーを使ったタトゥー除去は、1㎠(平方センチメートル)あたり2,000円~7,000円が料金相場となります。

施術部位が大きくなるほど1㎠あたりの料金は下がる傾向にあります。料金設定は、1㎠~5㎠、5㎠~10㎠など、1㎠ごとではなく5㎠ごとに料金設定をしている医療機関も多いです。

また、タトゥーが多色の場合、料金が割り増しになる医療機関もありますので、HPなどに掲載されている料金と変わる可能性があります。多色のタトゥーを除去したい場合は事前に医療機関にご確認ください。

ピコレーザーを使ったタトゥー除去の痛みとダウンタイム

タトゥー除去の痛み

ピコレーザーを使ってタトゥー除去の施術をする場合は痛みが伴うので、原則として麻酔をしてから施術をおこないます。

麻酔クリーム・笑気麻酔・局所麻酔のいずれかを使用する場合が多いですが、医療機関によって、希望があれば全身麻酔をおこなうことも可能です。

医療機関によっては受けられない麻酔方法もあるので、使用できる麻酔については事前に医療機関にご確認ください

タトゥー除去のダウンタイム

施術後、タトゥー除去の施術を受けた部位から、傷の表面からにじみ出てくる体液である滲出液(しんしゅつえき)が出たり、カサブタができたりします。滲出液には、傷口を修復したり細胞の成長を助ける成分である血漿(けっしょう)や白血球、タンパク分解酵素、細胞成長因子などが含まれています。

施術部位から滲出液が出たりカサブタができた場合は、医療機関から処方された軟膏を塗る、ガーゼで覆うなどの処置をします。

滲出液が出たりカサブタができるなどの症状は、施術をしてから2週間程度で落ち着くといわれていますが、ダウンタイムはタトゥーの大きさ・色・施術部位などによって個人差があります。

ピコレーザーを使ったタトゥー除去の施術後の注意点

  • 治療箇所に刺激(擦る、引っ掻くなど)を与えない
  • かさぶたは無理に剥がさない
  • 紫外線対策(日焼け対策)をしっかりおこなう
  • 肌が乾燥した場合はしっかり保湿をおこなう
  • 血液循環が良くなる運動やサウナなどはさける

ピコレーザーを使ったタトゥー除去のリスク・副作用

  • ・施術部位に赤みや腫れ、痛みが出る場合がありますが、医療機関で処方される薬で対処可能です。水泡ができる場合がありますが、内容液を抜くことで改善が期待できます。
  • ・出血することがありますが、ほとんどの場合数日~1週間程度で落ち着くといわれています。出血が続くようであれば医療機関にご相談ください。
  • ・施術部位が色素沈着することがありますが、経年で落ち着きます。早期に治したい場合は内服薬や外用薬などを用います。
  • ・色素脱失・瘢痕化をおこすことがありますが、レーザーの光を点状に照射するフラクショナルレーザーで改善が目指せます。
  • ・タトゥーの染料が黒色化する場合がありますが、ピコレーザーの施術を複数回おこなうことで退色するとされています。
  • ・タトゥーを入れた際に肌が傷ついてケロイド状になっているなどの創傷があった場合、タトゥーの染料で目立たなかった創傷が染料が退色したことにより目立つ可能性があります。
  • ピコレーザーの治療が受けられない方

    • 妊娠中・授乳中の方
    • 光線過敏症の方
    • ケロイド体質の方

    そのほか持病があったり体調に不安がある方は医療機関にご相談ください

    ピコレーザー以外のタトゥー除去方法

    ピコレーザー以外でタトゥーを除去する場合は、メスを使った外科的な手術が必要となります。

    タトゥーの染料部分まで皮膚を削る方法

    タトゥーの染料がある部分までの皮膚を削りとる手術で、削皮術(さくひじゅつ)とよばれています。

    皮膚を削り取ったあとは、ヒトの体にもともと備わっている、傷やケガを自分で治す力である「自然治癒力」により皮膚が再生されるのを待ちます。

    皮膚を削り取るため、手術をした跡は目立つことが多いとされています。

    向いている方

    • 広い範囲のタトゥーを消したい方
    • 広い範囲のタトゥーを安価に消したい方

    タトゥー部分を切除する方法

    タトゥー部分を切除して、皮膚を縫い合わせる手術で、切除術(せつじょじゅつ)とよばれています。

    タトゥー部分を切除するため、確実にタトゥーが消えます。ただし、切除したあと皮膚を縫い合わせる必要があるので原則として小さなタトゥーへの手術となります。

    皮膚の状態によっては例外的に大きなタトゥーを切除することもありますが、その場合は複数回に分けて手術がおこなわれます。

    向いている方

    • 小さいタトゥーを早く消したい方
    • 何度も通院するのがむずかしい方

    皮膚を移植する方法

    タトゥー部分を切除して、臀部などほかの部位から採取した皮膚を移植する手術があります。皮膚移植術とよばれていて、比較的大きなタトゥーに対しておこなわれることが多い手術です。

    削皮術や切除術と違い、タトゥー部分だけでなく皮膚を採取した部位にも傷が残ります。

    向いている方

    • 大きなタトゥーを少ない回数で消したい方
    • 早くタトゥーを消したい方

    ピコレーザーを使ったタトゥー除去を受ける医療機関の選び方

    ピコレーザーを使ったタトゥー除去の施術は、シミやシワ、ニキビ跡など肌の若返りを目的としたピコレーザーの施術に比べてレーザーのエネルギー(出力)が強い施術です。

    ピコレーザーの出力が強すぎると皮膚に与えるダメージが大きくなり、色素沈着や瘢痕化などのリスクが高まります。リスクを低くするには照射をしたあとのタトゥーの状態を見極めながら波長や出力を細かく調整する必要があります。

    医療機関のなかには、看護師が施術をするところもあるようですが、タトゥーの状態を見極めながら施術をおこなうにはドクターの施術が必要です。

    また、タトゥー除去の施術後は、痛みや腫れ、水泡などが発生する可能性があります。施術の前に、問題が起こった場合はどうすればいいのか確認して、対応に納得のできる医療機関を選ぶと安心です。

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