ダーマペン4は、ヒトの体にもともと備わっている自然治癒力を利用して肌の生まれ変わりを促すほかに、さまざまな薬剤を組み合わることで、薬剤の有効成分を肌の奥まで届けて吸収させることができます。組み合わせる薬剤によって得られる効果も異なります。
ダーマペン4のオプションメニューとして組み合わせる成長因子(グロースファクター)は、ダーマペン4の肌再生をサポートし、細胞を増殖・活性化させて肌の新陳代謝であるターンオーバーを促進したり、皮膚のハリや弾力を保つコラーゲンやヒアルロン酸、エラスチンの生成を促す働きがあります。
成長因子を主成分とする薬剤のひとつに「ベネブ・グロースファクター(BENEV Growth Factor)」シリーズがあります。
ダーマペン4とベネブ・グロースファクターを組み合わせる施術を受ける前に、期待できる効果のほか、推奨されている施術回数・頻度、ダウンタイムや注意点などを知っておくことで、安心して施術が受けられます。
もくじ
ダーマペン4は、針が1秒間に120回ともいわれる高速で上下運動することで、皮膚表面に目に見えない微細な針穴をあけていく施術です。
ダーマペン4による治療は、ヒトの体にもともと備わっている、傷やケガを自分で治す力である自然治癒力を利用するものです。髪の毛ほどの極細の針で皮膚表面に微細な針穴をあけることで、針穴を修復しようとする自然治癒力によって皮膚細胞が生まれ変わります。
針穴を治そうと細胞の活動を活発化させる成長因子が分泌されて、肌の新陳代謝であるターンオーバーのサイクルが活発になることで、肌のキメが整い、肌荒れやニキビ、吹き出物などの肌トラブルを改善に導きます。
また、成長因子の働きにより、肌にハリや弾力をもたらして水分を保つコラーゲン・エラスチン・ヒアルロン酸を生成する線維芽細胞の働きが活性化するといわれています。
ダーマペン4では、従来機種になかった新たな機能として、皮膚の深い層(3.0mm)まで針穴をあけることができる瘢痕治癒(はんこんちゆ)モードであるスカートリートメントモード(STモード)が搭載され、クレーター状のニキビ跡や傷跡の治療を重点的におこなうことが可能となりました。
STモードでは針を垂直に刺すだけではなく、意図的に斜めに刺すなど複雑に動かす必要があるため、通常、看護師ではなくドクターによって施術がおこなわれます。
ヒトの皮膚は、外側から表皮層、真皮層、皮下組織の3層構造になっていて、表皮層の表面では外部からの異物の侵入や体内の水分の蒸散を防ぐバリア機能が働いて内部を保護しています。
表皮層のバリア機能のおかげで細菌などの異物の侵入がブロックされる一方で、通常では皮膚に塗布した化粧水や美容液などの有効成分は表皮層の表面にとどまり、奥まで浸透することはできません。
そこで、ダーマペン4で皮膚の表皮層~真皮層まで高密度の針穴をあけて薬剤を塗りこむことで、本来は塗っただけでは表皮層の表面にとどまる薬剤の有効成分が針穴から表皮層の奥~真皮層までしっかりと入り込むので、薬剤をそのまま塗布するよりもより高い効果が期待できます。この作用は「ドラッグデリバリー」といわれています。
成長因子は、ヒトの体内において特定の細胞の増殖や分化(細胞それぞれが役割にみあった機能を身につけていくこと)を促進するタンパク質の総称で、損傷を受けた細胞の再生を助け、皮膚を再生させる働きがあります。
増殖因子、細胞増殖因子などとも呼ばれ、英語では「グロースファクター(Growth Factor)」と呼ばれています。
成長因子は新しい細胞を作り出す細胞分裂の指令を司る物質で、もともと体内で作られていますが、加齢とともに減少していき、20歳を超えると急激に減るといわれています。
成長因子が減るということは細胞分裂が活性されないことにつながるため、シワやたるみ、シミなどさまざまな肌の老化現象を引き起すと考えられています。
主な成長因子の種類には表皮層で皮膚の新陳代謝であるターンオーバーを促進する上皮細胞成長因子(EGF)や、真皮層でコラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸の生成を促す線維芽細胞を活性化させる線維芽細胞成長因子(FGF)などがあります。
ダーマペン4の施術に成長因子を主成分とする薬剤を組みあわせると、加齢とともに減少する成長因子を補って表皮層の奥~真皮層まで浸透させることができるので、ダーマペン4と成長因子の相乗効果で皮膚の再生効果をより高めるとされています。
肌の生まれ変わりであるターンオーバーを活性化してキメを整え、ニキビ、吹き出物などの肌トラブルを改善に導くほか、クレーター状のニキビ跡や傷跡の改善が期待できます。
また、コラーゲン・エラスチン・ヒアルロン酸の生成を促進してハリや弾力のある肌に導き、シワやたるみ、毛穴の開きを改善するとされています。
ダーマペン4と成長因子を組み合わせて施術をする際は、成長因子を主成分とする薬剤のひとつとして「ベネブ・グロースファクター(BENEV Growth Factor)」シリーズがあり、以下2種類の薬剤の組み合わせが選べます。
アメリカの製薬会社の成長因子製剤は、カルフォルニア大学で再生医療関連の研究をおこなっていた元教授で現在も再生医療・組織再生の第一人者であるグレッグ・マグワイヤー医師が開発に携わっており、日本の厚生労働省にあたるアメリカのFDAより製造認可を受けている、安全性の高い薬剤です。
MPFリジュビネーティングキットは、加齢や紫外線によるシワ・弾力不足を修復するために設計された「Rejuvenating Complex(リジュビネーティングコンプレックス)」という薬剤が10バイアル入ったセットです(1バイアル4ml)。
皮膚細胞の再生をサポートし、肌にハリをよみがえらせてシワや開いた毛穴の改善を目指します。
MPFコンプレックスキットは、前述の「Rejuvenating Complex(リジュビネーティングコンプレックス)」5バイアルに加えて、肌の色素沈着の改善や美白効果を高めるために設計された「Brightening Complex(ブライトニングコンプレックス)」という薬剤5バイアルがセットになっています(1バイアル4ml)。
ハリ・弾力のある肌に導くとともに、色ムラやくすみ、シミの改善を目指します。
主な含有成分 | Rejuvenating Complex | Brightening Complex |
---|---|---|
精製上皮細胞成長因子 | ○ | ○ |
精製線維芽細胞成長因子 | ○ | ○ |
ヒアルロン酸 | ○ | ○ |
ビタミンC | ○ | ○ |
ビタミンE | ○ | ○ |
ビタミンB2,B3, B5, B6 | ○ | ○ |
ビタミンH(ビオチン) | ○ | ○ |
ビタミンK | ○ | ○ |
ヒト線維芽細胞馴化培地 | ○ | |
トリペプチド-1銅 | ○ | |
パルミトイルテトラペプチド-7 | ○ | |
マツヨイグサ(月見草)種子抽出物 | ○ |
上皮細胞成長因子は、表皮層で皮膚や粘膜などの細胞(上皮細胞)の成長をうながし、皮膚の新陳代謝であるターンオーバーを促進するので、肌のキメを整えて、ニキビや肌荒れを改善に導きます。
上皮細胞成長因子には傷を治す創傷治癒を促す作用があるので、ニキビ跡や傷跡も改善が目指せます。
また、ターンオーバーが活性化することでシミの原因となるメラニン色素を体外に排出しやすくなるので、シミやくすみの改善も期待できます。
線維芽細胞成長因子は、真皮層でコラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸の生成を促す線維芽細胞を活性化させて皮膚組織を修復し、ハリや弾力のある肌に導きます。
また、線維芽細胞成長因子には、活性酸素を無害化して肌の老化を防ぐSOD(抗酸化物質)を活性化させる働きもあります。
活性酸素は細胞がエネルギーを作り出すときになどに自ら発生しており、これを打ち消すSODという抗酸化作用をもつ酵素も同時に生成することで無害化されています。
SODの生産量は年齢とともに減少します。35歳くらいから急激に減少し、活性酸素によって細胞の活動が低下するとシミやシワなどの老化現象が徐々に現れ始めるといわれています。
肌のハリや弾力、うるおいを保つヒアルロン酸はヒトの体内にもともと存在する粘弾性の物質で、極めて高い水分保持能力と粘性を持ち、ヒアルロン酸1gで2リットル~6リットルの保水力があるといわれています。
高濃度のヒアルロン酸を配合することで、ダーマペン4によって傷ついた創傷部位の水分を維持し、ハリや弾力のある肌へ再生をサポートします。
ビタミンCは、肌に弾力を与えるコラーゲンの生成に必要な栄養素です。ビタミンCを取り入れることでコラーゲンの生成をサポートし、ハリと弾力のある肌が目指せます。
また、ビタミンCにはシミやシワなど肌の老化の原因といわれる活性酸素を除去する抗酸化作用があります。
ビタミンEは若返りのビタミンとも呼ばれ、細胞を老化させてシミやシワの原因になるといわれる活性酸素を無害化する、強い抗酸化作用を持つビタミンのひとつです。
ダーマペン4の施術で皮膚細胞の生まれ変わりが起き、細胞分裂が活性化することによって発生する活性酸素を除去します。
主に皮膚や粘膜の細胞の再生・成長促進・健康維持に役立つビタミンで、細胞で糖質や脂質、タンパク質をエネルギーに変えるときに働く酵素を補助する働きをします。
皮膚や粘膜の健康維持に深く関わっているビタミンで、皮膚の炎症を防止する働きがあり、不足するとアトピー性皮膚炎や脱毛などの皮膚症状が現れるといわれています。
主な働きとして血液凝固作用(止血作用)があります。ビタミンKは出血したとき、血液が固まって出血を止める働きに関わる成分の生成に欠かせません。また、骨が形成される際に必要なタンパク質を活性化する働きもあります。
馴化培地(じゅんかばいち)とは、一度、特定の細胞を培養したあと、細胞を取り除いた培地のことです。細胞が培地で培養されると、他の細胞に栄養に関する支援を与えることができる栄養因子を分泌します。
ヒト線維芽細胞馴化培地はヒト由来の線維芽細胞を培養した培地で、線維芽細胞が分泌した栄養因子を含んでいます。
トリペプチドは3種類のアミノ酸から構成された化合物で、アミノ酸の種類と配列順によって性質と機能が決まります。
トリペプチド-1銅はトリペプチド-1に銅が結合したもので、皮膚細胞を老化させてシミやシワの原因となる酸化防止効果や、皮膚のコラーゲンとエラスチンの生成を促す働きがあり、肌にハリと弾力をもたらしてシワの発生を防いだり、ニキビ跡の凸凹を改善する効果があるとされています。
パルミトイルテトラペプチド-7は、4個のアミノ酸ペプチドとパルミチン酸との反応生成物です。肌の炎症を引き起こす物質IL-6(インターロイキン)の増加を抑える作用があります。また、シワやたるみを改善に導くとされています。
マツヨイグサ(月見草)種子抽出物は、肌老化の原因となる活性酸素を除去する高い抗酸化作用があり、シミやシワを予防するといわれています。
また、シミの原因となるメラニン色素が作られる際に働く酵素(チロシナーゼ)の活性を阻害してメラニン色素の生成を抑制するので、シミやくすみの予防効果も期待できます。
1回でも効果を感じられることがあるといわれていますが、効果の感じ方と持続期間には個人差があります。
施術前の状態・年齢・肌質・目的とする状態により必要回数は異なりますが、およそ4週間~6週間おきに5回~6回程度、繰り返し治療をおこなうと、より長期間にわたって効果を持続できるといわれています。
麻酔クリームを塗布してから施術をおこなうので強い痛みは感じないといわれていますが、額や鼻など皮膚の薄い部位に針を刺した際に、チクチクとした軽い痛みを感じる程度とされています。
施術直後に赤みが出る場合があります。翌日に引くことが多いですが、肌の悩みに応じて針の深さを調整するので、治療内容によっては赤みが2日~3日ほど続くこともあります。
赤みが出ても翌日からはメイクで隠せます。ダーマペン4による針穴は微細で皮膚への負担が少なく、施術後の皮膚の回復が速やかであるため、日常生活に支障なく定期的に治療を受けられるとされています。
ダーマペン4は針を刺す施術なので、ごく稀に内出血をおこす場合がありますが、1週間程度で落ち着くといわれています。
ダーマペン4は感染症のリスク回避のため、機器本体に装着する専用カバーが開発され、針のついたチップは使い捨てとなっています。
以下の項目に当てはまる方は施術を受けられない可能性があるため、事前にドクターにご相談ください。
1)医師の診察・カウンセリング
ドクターによる診察・カウンセリングで肌の状態を確認し、改善したい肌の悩みとその部位が治療に適応しているかを診察します。施術に対する不安や疑問がある場合は、診察・カウンセリングのタイミングでドクターに確認してください。
2)洗顔
施術部位を清潔にするため、メイクを落として洗顔します。
3)麻酔クリーム塗布
麻酔クリームを塗布し、麻酔が効くまで20分~30分待ちます。
4)施術
麻酔クリームを拭き取り、ベネブ・グロースファクターシリーズの薬剤を塗布しながらダーマペン4の施術をおこないます。
5)クーリング
施術終了後は赤みやほてりが生じる場合があるので、冷却マスクなどでクールダウンさせて肌を落ち着かせます。
6)保湿・日焼け止め
保湿クリーム・ダーマペン専用の日焼け止めを塗布して終了です。 希望があればダーマペン専用のファンデーションもありますので医療機関に問い合わせください。
ダーマペン4とベネブ・グロースファクターの費用相場は全顔1回で30,000円~50,000円程度です。医療機関によって初回割引があるところや、3回コース・5回コースなどセット料金を設定しているところもあります。
乾燥ヒト羊膜・絨毛膜を主成分とする薬剤「アムニオジェニクス(AmnioGenix)」は、ダーマペン4との併用によって凹凸の目立つニキビ跡、クレーター肌、傷跡の治療に効果が期待できます。
ヒト羊膜・絨毛膜は、胎盤由来の薄いコラーゲン性の膜で、母体の子宮内で成長発達する胎児を包む、伸縮性に富んだ組織です。豊富な成長因子を含んでいるので創傷治癒作用に優れ、皮膚細胞の再生を促します。
ダーマペン4とPCL(ポリカプロラクトン)を組み合わせ、コラーゲン生成を促進させる施術はコラーゲンブースターとも呼ばれています。
PCL(ポリカプロラクトン)は、外科手術などで使用される溶ける糸の成分で、美容医療では糸を使ったリフトアップの施術であるスレッドリフトにも使われている素材です。
PCLポリカプロラクトンには真皮層のコラーゲン生成を促進させる作用があるので、ダーマペン4によって真皮層までPCL(ポリカプロラクトン)を浸透させることで自身のコラーゲン生成を促し、シワが目立ちにくいハリ・弾力のある肌に導くとされています。
リジュランの有効成分であるポリヌクレオチドはサケのDNAから抽出された分子で、日本では未認可ですが、日本の厚生労働省にあたる韓国のKFDAから認可を受けており、安全性が実証されている薬剤です。
リジュランは真皮層の線維芽細胞を刺激し、コラーゲンやエラスチンの生成を促進することでハリや弾力、柔軟性の回復を助ける作用があるので、シワやたるみ、開き毛穴の改善を目指せます。
リジュランは皮膚細胞を再生する働きによって、真皮層だけでなく表皮層の厚みを作り出すとされています。 表皮層が正常の厚みを取り戻すと皮膚のバリア機能が強化され、保湿力が向上します。リジュランは、過剰な皮脂の分泌を減少させて脂分と水分のバランスを回復させ、肌のキメを整えるともいわれています。
幹細胞培養上清液(ステムサップ)は、ヒトの幹細胞を培養・増殖した際に生じる上澄み液のことで、幹細胞が分泌する豊富な成長因子を含んだ培養液を抽出、精製したものです。
成長因子には皮膚の細胞分裂を活性化する働きがあり、肌の新陳代謝であるターンオーバーを正常化させ、キメの整った肌に導きます。
また、ハリや弾力に関わるコラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸の生成が促進されるので、ハリ感のアップ、開き毛穴の引き締めやシワの改善が期待できます。
プラセンタは「胎盤」を意味し、馬由来や豚由来など複数の種類があります。美容医療で使われるヒトプラセンタは、ヒトの胎盤から抽出したプラセンタです。
シミのもととなるメラニン色素の生成抑制や、シワなど肌老化のもととなる活性酸素除去作用のあるビタミンC、肌の潤いを保つアミノ酸など豊富な有効成分が含まれ、美白、保湿、コラーゲン生成促進などの効果が期待できます。
また、プラセンタには多くの成長因子が含まれます。成長因子の働きによって肌の新陳代謝であるターンオーバーが活性化するので、シミのもととなるメラニン色素を体外に排出しやすくなります。
ダーマペン4は正しい方法で施術がおこなわれないと、皮膚を傷つけてダウンタイムを長引かせることになり、施術効果も弱まります。
顔のなかでも部位ごとに異なる皮膚の厚みと効果的な針の深さを熟知しているドクターのもとで施術を受けることは、ダーマペン4の施術効果を充分に得ることにつながります。
正しいダーマペン4の扱い方について勉強会や講演会に積極的に参加して知識を深め、技術的なトレーニングを受けた経験のあるドクターが在籍する医療機関を選ぶと安心です。
また、ダーマペン4は、組みあわせる薬剤によってさまざまな効果が期待できる施術です。
ベネブ・グロースファクターは成長因子を主成分とする薬剤ですが、成長因子を主成分とした薬剤は他にもあって、成長因子以外の含有成分が違ったり、金額が異なるので、自身の肌の悩みや希望に合わせて薬剤を選ぶ必要があります。
施術を受ける前に、ダーマペン4とベネブ・グロースファクターの施術で自身の肌の悩みが改善できる見込みがあるのかどうか、カウンセリングで十分に説明を受け、信頼できる医療機関で治療を受けることをおすすめします。