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美容クリニックの経営者が顧問税理士を探す際のポイント

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記事監修

古高崇幸税理士
古高 崇幸 税理士

税理士法人 こいのぼり会計事務所

大手・中小の税理士法人を経て独立。多数の美容クリニックにおける顧問税理士として活躍し、こいのぼり会計事務所の代表税理士を務める。

美容クリニックの経営者が顧問税理士を探す際のポイント

一昔前の美容医療といえば、外科的施術を伴うものというイメージでした。しかし、昨今では医学・技術の進歩によって身体への負担が軽減されたメスを使用しない施術の選択肢が増えており、一般の皮膚科や内科などの医療施設が美容皮膚科を強化する傾向もみられます。この数年で大きく成長した美容医療の市場において、活躍しているのが医業に強い税理士です。クライアントと顧問契約を結び顧問税理士として経営の舵取りを支援しています。

美容クリニックの経営者はほとんどの場合医師であり、一般企業と比較するともともと企業経営に明るいという方は少数派です。そのため経営者にとって顧問税理士とはクリニックの経営状態を常に把握していて、税務に限らずさまざまな経営課題を相談しやすい最も身近な専門家です。経営のパートナーと言っても過言ではありません。

それだけに将来の開業を見込んで初めて顧問税理士を探している方、今後のビジネス展開のために現在の顧問税理士の変更を検討している方は、パートナー選びで失敗したくないと考える方が多いでしょう。

そこで今回は、顧問税理士の一般的な業務内容とともに、美容クリニックの経営で頼りにしたい場面についても取り上げてご紹介します。ご自身のビジネスをともに歩んでもらう理想のパートナー探し。ぴったりの方を見つけられるよう、最後に顧問税理士を探す際の留意点、判断するときのポイントについてもまとめています。ぜひ参考にしてみてください。

美容クリニック経営の魅力

美容クリニック経営の魅力

美容クリニックはマスメディアの広告などでも目にする機会が多く、成功するチャンスのある市場というイメージを持たれがちです。実際に美容外科や美容皮膚科などにおける自由診療は治療費の単価が高くリピーターもつきやすいため、開業医の中でも大きな収入を得られる可能性が高い分野といえます。

しかし一方で、口コミで基盤を広げる地域密着型の医療機関とは違い、美容外科の場合は患者密度が低く、狭い診療圏では十分な数の患者数を確保しにくいという特徴もあります。そのため、コンセプトの独自性や宣伝広告戦略がとても重要になります。廃業・休業するクリニックの数も少なくなく、経営の手腕をシビアに問われる業界です。

クリニックの経営者が学ぶべきことは税務から販促まで多岐

クリニックを開業するということは、「医師」と「経営者」の両面において責任を背負うことにほかなりません。自身の生活設計だけでなく、開業資金の返済や従業員の給料支払いも続けていく責任が生じます。開業する方は、医師としての腕だけでなく経営者としても質を求められることを自覚し、経営に必要な知識は学んでおくべきです。

具体的には経理、税務、会計、労務、法務、販促まで幅広い領域を理解し、日々の経営で実践することが求められます。ほかにも医療制度を熟知し業界の動きを把握することや、他院の成功事例を研究する、自院のスタッフのマネジメントといった仕事も重要になります。

しかし、現場で腕をふるう医師がこれらを全て一人で担うことは難しく、専門的な知識を深掘りすることは生産的とはいえません。そこでクリニック経営者は、各業務分野について専門家の助けを得ながら進めるのが一般的です。なかでも最も身近な相談窓口となるのが、企業経営と切り離せない「税務」を中心に関わり経営状態を把握している顧問税理士です。

顧問税理士が担う役割と独占業務の種類

顧問税理士が担う役割と独占業務の種類

一般的に税理士とは、おもに企業や個人事業主の税務処理や納税・節税に関するアドバイスなど税務にまつわる業務をサポートする役割を担います。税理士の独占業務については、税務代理、税務書類の作成、税務相談の3つと税理士法上で定められています。まずは、これらの独占業務それぞれについて簡単に見ていきます。

(1)税務代理

誰でも収入がある限りは納税の義務があります。税理士は納税者の代わりに、税務署に対して税金に関する申告や申請をおこなうことができます。申告手続きに関する不服がある場合の申し立てなどについても対応可能です。

(2)税務書類の作成

(1)に関して適切な税額を算出し、税務官公署に提出する申告書等を作成することを指します。毎月の業務だけでも、伝票等の整理、試算表の作成、総勘定元帳の作成、給与計算、給与明細書の作成、源泉所得税納付書の作成など多岐にわたるため、美容クリニックに限らず、企業の経営者は税理士に対応を委ねているケースがほとんどです。

(3)税務相談

経営をしていく中で、収入や支出を税務上どう取り扱うべきか、取り組んでいない節税対策がないか、など税に関する疑問や課題は頻繁に発生するため「税の専門家」としてのアドバイスが求められます。そのため顧問税理士は顧問契約の締結により、定期的に相談できる機会を設けクライアントをサポートする方法が一般的です。

美容クリニックの顧問税理士に期待する業務とは

美容クリニックの顧問税理士に期待する業務とは

先述した税理士の独占業務は、美容クリニックに限らず一般的な税理士業務として当たり前におこなう業務です。しかし近年、税理士業界は顧客獲得競争が激化しています。弁護士や公認会計士による市場参入で税理士登録者数が増加しているのに対し、クライアントとなる企業の数は減少傾向にあることや、都市部に事務所が集中していることなどが背景にあります。

そうした中で付加価値の高い業務までカバーできる税理士事務所や、特定の業界の事情に精通し実践的なノウハウを持つ税理士が活躍しており、美容医療業界も例外ではありません。美容クリニックならではの経営課題に対し的確な助言をすることができる専門家、コンサルタントが必要とされています。以下にサポートが求められる代表的な場面の例を挙げてみます。

(1)新規開業支援

新規開業時は、その準備段階から事業計画書の策定や融資支援といった財務面でのサポートが必要不可欠です。

美容クリニックを開業する場合、集患しやすい駅近くの綺麗な物件を契約し出来るだけ最新の機器を調達したいと考える経営者が多く、不動産や設備費用がかさむ傾向にあります。そのため開業資金が5000万円以上という大きな金額になることも珍しいことではなく、金融機関からの借り入れが必要となるのが一般的です。

取引実績のない医師個人が金融機関と直接交渉するよりも、当然のことながら過去に実績があり交渉の機微を熟知した税理士に任せた方がスムーズになります。

そして事業内容や企業の戦略・収益の見込みなどを説明する事業計画書は、融資を受ける際には欠かせない重要書類です。目的やビジネスの展開を明確にし、事業の全体像や魅力を十分に説明できるよう、経営資源である「ヒト・モノ・カネ」の3要素についてしっかり分析し、作り込まなくてはいけません

事業について議論・検討を行う際の良き壁打ち相手となること、そして金融機関の視点を踏まえた客観的なアドバイスを行うことも顧問税理士に期待したいサポート内容です。

新規開業はドクターの人生をかけた大きな決断です。顧問税理士には専門家として必要な手続きを進める役割以上に、そのビジョンやビジネスの展望に共感し、その魅力を伝えるため働きかけられるような積極性も求められます。

(2)法人化支援

事業が軌道にのってくるとクリニックの法人化、いわゆる「法人成り」を検討する段階を迎えます。医師の個人事業から医療法人となるメリットとして、一般的には社会的信頼を得られやすい、節税につながるといった点が挙げられます。

たとえば、報酬は法人から給与として支払われるため給与所得控除を受けられるようになり、勤務実績があれば家族を医療法人の役員にして役員報酬を支払うこともできます。また、通常の給与よりも税制面で優遇される退職金を支給することも可能になります。

事業についての税率は個人であるよりも法人である方が低い場合が多く、節税につながるメリットは大きいです。将来的にお子さんへクリニックを承継する場合にも、経営権は原則的には相続税の対象にはならず(※)、承継は医療法等の規定に従って手続きをおこなうのみです。複数の拠点展開などで事業を拡大するのも、法人でなければできません。

※「持分なし医療法人」の場合。「持分あり医療法人」の場合は相続税の対象となるが、平成19年4月1日以降設立の法人は「持分なし医療法人」となる。

ただし医療法⼈の開設は、一般企業とは異なり都道府県の認可を得る必要があるために、時間がかかり手続きも煩雑です。税法だけではなく医療機関特有の法律が絡むこともあります。そのため、支援する税理士には法人と個人を一体とした資金の最大化という視点だけではなく、医療法人化のノウハウが求められます

税理士個人の経験はいうまでもありませんが、必要に応じて他の専門家からのアドバイスが得られるような支援体制だと安心です。

(3)事業承継支援

ドクターがクリニックの経営から退く場面でも、考えなくてはならない問題がたくさんあります。事業を誰かに引き継ぐ場合、相手が自身の子どもであれば、いかに税金の負担を最小限にしてクリニックという財産を渡せるかが重要です。

もし後継者以外の子どもがいる場合には、不公平感のないように資産継承を進めるのも重要なことでしょう。第三者へ承継する場合には、不動産を含めた事業の譲渡方法・譲渡金額なども論点になります。

こうした事業承継の場面において、顧問税理士は相続までも視野に入れ経営者個人の人生に寄り添った財産管理のサポートを行います。資産を把握し、法制度の範囲で的確に業務を遂行する力だけでなく、経営者個人の事情や価値観を理解した上で「どうするのが良いか」を一緒に考えられる存在であることが最も大切です。

美容クリニック業界に強い税理士を探す際のポイント

美容クリニック業界に強い税理士を探す際のポイント

このように美容クリニックの顧問税理士には医療法人についての知識、経営や会計に関する分析とコンサルティング、事業計画書の作成から資金調達、労務管理など幅広い分野でサポートできるスキルが求められます。

税理士事務所の中には、医療経営コンサルタントや税理士、公認会計士、社会保険労務士、行政書士など各領域に強い専門家を揃え、医療業界に特化した支援サービスを提供している事務所もあります。多くの選択肢がある中で顧問税理士を探すとき、美容クリニックの経営者は何に注意すれば良いのでしょうか。いくつかポイントを整理しました。

同じ業界での実績

美容クリニックだけに特殊な業務はありませんが、開業・法人化・事業承継の検討中においては、自院にふさわしい顧問税理士を探す絶好のタイミングです。クリニック経営のライフサイクルに寄り添ったサポートが可能かという視点で医院・クリニックの顧問実績、相談件数、医業に関わってきた年数などの実績を確認してください。特殊な業務がないとはいっても、知識と経験そのものが強みである以上、同業界での実績があるかは大きなポイントです。

自院に必要なサポート内容の見極め

経営課題の中には税務、労務、法務にまたがるものもあります。そうした課題に直面した場合、医業に特化した社労士や行政書士、弁護士などとうまく連携を取り、橋渡しをしてくれる税理士を選ぶとスムーズな解決が見込めます。そのため、税理士事務所内の組織体制や、ほかの士業、コンサルタントとの繋がりも確認しておくことが重要です。

また、長期的な経営支援についても、具体的なサポート内容や強みは税理士事務所ごとに異なります。課題分析力を重視するのか、あるいは、専門家が多数在籍していて幅広いテーマについて具体的な打ち手の相談ができることを求めるのかで最適な依頼先が異なります。経営者は自院の経営がどのフェーズにあるかを踏まえ、専門家のサポートが必要な業務を客観的に見極める必要があります。

人柄や相性

顧問税理士が経営者側から質問がない限り動かない必要最低限の仕事だけをこなす人では、いざというときに対応が後手になってしまいます。たとえば、活用できる可能性のある節税策について積極的に提案や働きかけをおこなってくれるような、クリニックの経営とドクターの人生に寄り添って先回りして問題解決してくれるタイプの税理士が理想です。

ただし、その前提には経営者との間に深い信頼関係が必要です。顧問税理士は人生をかけた事業をともに歩むパートナーです。税理士個人の資質に問うばかりでなく、経営者は日頃から事業に対する理解と共感を得られるようなコミュニケーションを心がけることも大切です。

古高 崇幸先生のいる会計事務所

税理士法人 こいのぼり会計事務所税理士法人 こいのぼり会計事務所
お問い合わせ先:03-4500-8112

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