リジュラン注射はサーモンから抽出されたDNAのポリヌクレオチド(PN)を主成分とする製剤を注射する美容の施術で、ポリヌクレオチドには皮膚のハリや弾力を担う役割があるタンパク質の増加を促す作用や、損傷した皮膚の再生を助ける働きなどがあります。
リジュラン注射の製剤は4種類が存在して、目もとのシワ改善を目指せるものや肌のキメを整える作用が期待できるものなど、それぞれの製剤ごとに特徴が異なります。また、改善したい肌の悩みによってはリジュラン注射以外の施術が適していることもあります。
そのため、リジュラン注射を検討する際は製剤ごとに異なる作用や特徴、ほかの施術と異なる点を知ることはもちろん、施術によるリスクや十分な効果を得るために推奨されている施術回数についても事前に理解しておくことが大切です。
もくじ
紫外線などの刺激で損傷した皮膚の再生を助けたり、細胞の活動を活発化させるタンパク質である成長因子の増加促進といった作用がある、ポリヌクレオチド(PN)というサーモン由来のDNAが主成分の製剤を皮下に注射する施術が「リジュラン注射」です。
リジュラン注射の製剤はサーモンから抽出されたポリヌクレオチドを主成分として含有することから、医療機関によっては「サーモン注射」などと呼ばれることもあります。
また、リジュラン注射の製剤は国内未承認ですが、日本の厚生労働省にあたる韓国のKFDAから認可を受けているほか、欧州ではポリヌクレオチドが医薬品の成分として認可されていて、やけどや創傷の治療などでも使用されています。
私たちヒトにも存在するDNA(デオキシリボ核酸)は、全身の細胞の中心(核)にあり皮膚や臓器・器官など身体を構成するあらゆるパーツを作るために必要な情報が保持されていることから、生体の設計図とも呼ばれています。
螺旋状の構造であるDNAを作る基礎がヌクレオチドで、ヌクレオチドは糖の一種である「デオキシリボース」に、酸の一種である「リン酸」とアルカリ性の物質である「塩基」が結合したものを指します。ヌクレオチドが複数連結して並び、1列の鎖状になったものがポリヌクレオチドで、DNAにはこのポリヌクレオチドが螺旋状に2本集まっています。
ポリヌクレオチドは、皮膚細胞の増殖や分化(細胞それぞれが役割にみあった機能を身につけていくこと)、創傷治癒などに関わる「A2プリン受容体」という皮膚に存在するタンパク質の一種と結合することで刺激を与える働きがあって、これにより成長因子の増加を促したり炎症を静めたり、損傷した皮膚の再生を助ける作用などがあります。
成長因子の増加により皮膚のハリや弾力を担う役割があるタンパク質のコラーゲンやエラスチンなどの生成をおこなう線維芽細胞(せんいがさいぼう)が活性化されて、肌のハリや弾力を改善に導くことで、シワや開き毛穴が目立ちにくくなる効果が期待できます。
また、皮膚は外側から表皮・真皮・皮下組織の3層構造となっていて、表皮層ではバリア機能が働いていて体外からの細菌の侵入を阻止する役割があり、真皮層ではコラーゲンやエラスチンといった皮膚のハリと弾力を支える物質とそれらを作り出す線維芽細胞が存在して、その下は主に脂肪である皮下組織によって構成されています。
ポリヌクレオチドが持つ皮膚細胞を再生する働きによって、真皮層だけでなく表皮層の厚みを作り出すことが可能とされます。表皮層が正常な厚みを取り戻すことで皮膚のバリア機能が高められて、保湿力の向上による肌のキメ改善や、くすみが目立ちにくくなる効果が期待できます。
サーモンは細胞あたりに含まれているDNAの量が多くてヒトと近しい構造(塩基)を持っており、抽出されたポリヌクレオチドは、人体へ取り入れた際に副作用が生じたり異物として排除されるリスクが低いとされます。
そのため、美容を目的とした注射の施術でサーモンから抽出したポリヌクレオチドを高濃度で含む製剤が使用されるようになりました。
リジュラン注射の製剤は4種類からなるシリーズで、それぞれ加工が施されることによって調節された製剤の硬さや、ポリヌクレオチド以外に含有している有効成分によって主な施術の用途がわけられています。実際に施術をおこなう際は、ドクターによる診断で改善したい悩みに応じた製剤が選択されます。
製剤の種類 | 製剤の硬さ | 主な適応の対象 |
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リジュラン | 適度な硬さ | 顔や身体(手の甲・首など)のシワ、毛穴、ハリ感、肌のキメ |
リジュランi | 柔らかい | 目尻の小ジワ、目の下のクマ |
リジュランs | 硬い | ニキビ跡などによる皮膚の凹み(瘢痕)や傷跡 |
リジュランHB | 適度な硬さ | 顔や身体のシワ、毛穴、ハリ感、肌のキメ、潤い |
リジュラン注射の製剤はそれぞれパッケージの色が異なって、通常のリジュランは黒色、リジュランiは白色、リジュランsは青色、リジュランHBは赤紫色となっています。製剤ごとの特徴や期待できる効果は次の通りです。
通常のリジュランは適度な硬さがある製剤で、主に顔や手の甲など身体の部位に生じたシワや毛穴の開き、ハリ感、肌のキメが気になる方に適している傾向です。ポリヌクレオチドが持つ成長因子の増加促進による線維芽細胞の活性化や皮膚細胞を再生する働きなどによって、加齢に伴って目立つようになるシワや毛穴の開きなどを改善に導きます。
さまざまな部位に対応していて、主に加齢や紫外線などの刺激が積み重なることで皮膚の厚みが失われて生じたシワや毛穴の開きなどの悩みがある部位であれば、基本的にどこでも注射が可能とされています。
リジュランのシリーズで最も柔らかい製剤とされるのがリジュランi(リジュラン・アイ)で、主に目もとに生じた小ジワやクマが気になる方に適応となります。真皮層に存在する線維芽細胞がポリヌクレオチドにより刺激されて、肌のハリと弾力を保つコラーゲンやエラスチンの生成が促されることで小ジワが目立ちにくくなる効果が期待できます。
また、目の下の部位に注射をおこなうことで、コラーゲンやエラスチンの増加を図り真皮層と表皮層の厚みを作り出す作用によって、皮膚の厚みが減少することで生じるクマを改善に導くことが可能です。
4種類あるリジュランのシリーズにおいて最も硬さがある製剤で、粘度が高く注射した部位の周囲に広がりにくい性質を持つのがリジュランs(リジュラン・エス)です。注射した部位の肌のボリュームを補う作用がありますが、鼻の高さを出したりフェイスラインを整えることを目的とした輪郭形成の施術としては基本的に使用されません。
ポリヌクレオチドによる損傷した皮膚の再生を助ける作用に加えて、硬さのある製剤であることから皮膚に生じた凹みを補う作用が高いため、外傷や炎症を伴うニキビなどが治った後に生じる皮膚の凹みや傷跡を目立たなくさせる効果が期待できます。
成長因子の増加促進や皮膚細胞を再生する働きなどがあるポリヌクレオチドに加えて、もともとヒトの体内に存在する粘弾性の物質であるヒアルロン酸、麻酔の成分であるリドカインを含む製剤がリジュランHB(リジュラン・ハイドロブースター)です。
ヒアルロン酸は1gあたりに約2ℓ~6ℓの保水力があるといわれる物質で、取り入れることにより肌の潤いを保つ作用が期待できます。また、一時的に神経の伝達を麻痺させる作用があるリドカインによって、製剤を注射する際の刺激が軽減されているという特徴があります。
リジュラン注射はシワや毛穴などが気になる部位の表皮から真皮の層にかけて製剤を少量ずつ注射していきますが、施術方法としては、施術者による手作業と注入マシンを用いた方法があります。手作業は製剤を注射する深さや密度などを細かく調節できて、マシンによる注射は手作業よりも施術にかかる所要時間が短いという特徴があります。
手作業による施術の場合、製剤のパッケージに付属している直径0.26mm(33G)の細い注射針や、これよりも細い直径0.18mm(34G)の極細な注射針、針の先端が丸く横から薬剤が出る構造になっており皮下で針を回転させることで薬剤を注射する方向を調節できるカニューレなどが使用される傾向です。
マシンによる注射は一般的に、先端部分に3本~5本の注射針がついていて製剤を面状かつ均一に注射できる構造を持つ自動注射器が用いられます。複数本の針がついた先端部分を施術部位にあてて製剤を注射することで、1ショットにつき複数箇所の注射ができるため、手作業と比べて短時間で広範囲に施術をおこなうことが可能です。
また、顔全体など広範囲に対する施術を希望する場合、目尻など細かい部位は手作業、頬の周囲など広範囲に対する施術はマシンによる注射で、両者を組み合わせて施術をおこなうことがあります。
注射針は細いほど皮下へ挿入する際に痛みを感じにくくなりますが、粘度の高い製剤を注射する際に支障をきたすため、ある程度の太さは必要とされます。医療機関によっては施術をおこなう際に麻酔を使用できる場合があるので、痛みが気になる方や苦手な方は各医療機関のホームページやお問い合わせ先から確認してください。
リジュラン注射は部位を問わずに注射が可能な製剤で、ひとつのパッケージにつき2cc(2ml)が入っていて、施術をおこなう際は実際に注射する分だけ注射器で吸い上げて使用します。
注射量は施術をおこなう範囲によって差がありますが、顔全体に注射する場合は2cc前後が目安で、額や口もとなど、単一の部位につき0.2ccほどを少量ずつ注射していく方法が一般的といわれています。また、単一の部位に対して0.2ccをそのまま1回で注射するのではなくて、単一の部位につき0.2ccをさらに小出しにして複数個所に微量で注射します。
リジュランiを用いた目尻のシワ、リジュランsによる皮膚の凹み治療など局所的な施術である場合は0.2cc~1.0ccほどが注射量の目安とされます。
施術にかかる料金は開封したリジュランのパッケージあたりの料金ではなくて、実際に注射をおこなった製剤の量(cc)と、別途で麻酔や医療機関ごとに用意されているオプションの注射針を使用した際はその料金が発生するケースがほとんどです。
リジュラン注射は皮下の複数箇所に製剤を注射していく施術であるため、施術を受けた直後は微細な針孔(はりあな)や肌の表面にポツポツとした小さな膨らみが数カ所あらわれますが、1日~2日ほどで目立たなくなります。施術を受けた直後からメイクが可能なため、気になる方はメイクを施すことで目立たなくすることが可能です。
ごく稀に注射部位の赤みや、施術の際に皮下の細かい血管が損傷することで内出血が生じる可能性もありますが、生じた場合でも通常は数日~1週間前後で治まるとされます。
施術直後(当日) | 施術部位に微細な針孔やポツポツとした小さな膨らみが数カ所あらわれる |
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1日~2日後 | 施術で生じた針孔や小さな膨らみが目立たなくなり始める |
3日~1週間後 | 稀に起こりうる赤みや内出血が生じた場合はこれらの症状が落ち着く目安 |
2週間~4週間後 | 徐々に効果を感じられるようになる目安 |
リジュラン注射は施術を受けた直後から効果があらわれる即効性はありません。ポリヌクレオチドによる成長因子の増加や皮膚細胞の再生を促す作用によって、2週間~4週間後に少しずつ肌のハリ・弾力が整い始めて化粧ノリが良くなるなどの自然な変化を感じられるようになる傾向です。
効果の持続は3ヶ月前後が目安で1回の施術で得られる効果はおだやかですが、定期的に複数回の施術を受けることで、より高い効果が期待できます。
リジュラン注射で十分な効果を得るためには、2週間~3週間ほどの間隔でトータル4回ほどの施術を受けることが推奨されています。また、施術を受ける回数に上限はないとされて、半年に1回など定期的に施術を受けることでハリと弾力が整いシワや毛穴の開きが目立ちにくい若々しい印象の肌を目指すことができます。
1回の施術で深いシワが目立たなくなる効果が期待できる注射の施術を希望する場合は、肌のボリュームを補う作用があるレディエッセ注入やヒアルロン酸注入などほかの施術が適していることがあります。
施術を受けた直後は注射針を挿入したことによる微細な針孔が生じたり、皮膚表面が製剤によって少し膨らみますが、時間の経過とともに1日~2日ほどをかけて目立たなくなります。また、皮下の細かい血管が損傷して出血が生じることで、内出血を伴うリスクがありますが、出血が血栓により自然に塞がった後は数日ほどで落ち着く傾向です。
サーモンから抽出したポリヌクレオチドは異物反応を引き起こすリスクが低いとされますが、ごく稀にアレルギー反応が生じる可能性はあります。そのほかに起こりうるリスク・副作用としては、施術部位の一時的な赤みや軽度な腫れ・痛みなどが挙げられます。
また万が一、誤って血管内に製剤が注射されると血流障害を招くリスクがあるため、施術を受ける際は注射の施術件数が多く経験が豊富なドクターを選ぶことが大切です。
加齢とともに目立ちやすくなるシワや毛穴の開きを改善に導く注射の施術は、リジュラン注射以外にもさまざまな種類があります。注射の施術は皮膚の切開を伴う外科的な治療と比べて身体への負担が少なくダウンタイムも短い傾向にありますが、それぞれの製剤によって有効成分や作用などの特徴は次のように異なります。
施術 | 特徴 |
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ヒアルロン酸注入 | 粘弾性のある物質であるヒアルロン酸に架橋剤が加えられて硬さが調節された製剤を注入して肌のボリュームを補う |
レディエッセ注入 | 骨や歯の主成分である固形物のカルシウムハイドロキシアパタイトを粒子状にして粘着性のあるジェルで包んだ製剤を注入して肌のボリュームを補う |
エランセ | 生体吸収性の溶ける縫合糸の成分を微小な粒子状にして増粘剤を加えた製剤を注入してコラーゲン生成を促す |
スネコス | 架橋剤などの化学物質を含まないヒアルロン酸と6種のアミノ酸からなる製剤を注入してハリと弾力のある肌に導く |
ベビーコラーゲン注射 | 皮膚組織の再生を促すⅢ型コラーゲンを含む製剤を注入して、皮膚の細胞を活性化させて肌質の改善を目指す |
ヒアルロン酸はもともとヒトの体内に存在するゼリー状の物質で、皮膚においては真皮層の水分を蓄える役割があります。美容医療で用いられるヒアルロン酸の注入剤の多くは、ヒアルロン酸の分子同士をつなぐ作用のある架橋剤が配合されていて、これにより製剤の硬さを調節することが可能です。
ヒアルロン酸の注入剤は粘弾性があり、注入した部位の肌のボリュームを補う作用があることから、ほうれい線やゴルゴラインといった肌に生じた窪み(シワ)を目立たなくさせる効果や涙袋の形成といった期待できます。また、架橋剤によって硬度が高められた注入剤は、鼻の高さを出したりフェイスラインを整える輪郭形成の施術で使用されます。
リジュラン注射と同様にシワを目立たなくさせる作用はありますが、成長因子の増加を促したり皮膚細胞の再生を助ける働きはありません。また、リジュラン注射は基本的に輪郭形成を目的とした施術では使用されません。小ジワなど浅いシワに対する施術は1回の施術で効果が期待できることがあり、持続期間は6カ月~24カ月が目安です。
カルシウムとリン酸イオンから成るカルシウムハイドロキシアパタイト(CaHA)という、骨や歯の主成分である固形物が主成分の製剤を注入する施術がレディエッセ注入です。実際に施術をおこなう際は、カルシウムハイドロキシアパタイトを細かい粒子状にして、粘着性のあるジェルで包まれた状態の製剤が用いられます。
ヒアルロン酸の注入剤よりも硬さがあり注入した際に形をしっかりと保つ性質があるため、鼻やあごをシャープに形成したり高さを出す施術で使用される傾向です。持続期間は10カ月~18カ月が目安で、また、レディエッセは線維芽細胞を刺激する作用があって、コラーゲンの増加により肌のハリや弾力がもたらされる効果も期待できます。
リジュラン注射は目もとの小ジワなど浅いシワの改善が期待できますが、レディエッセは硬さがある製剤で皮膚の浅い層に注入すると凹凸が生じるなどのリスクがあるため、皮膚の浅い層への施術は不向きです。そのため、リジュラン注射と異なり、ゴルゴラインやほうれい線、マリオネットラインといった深いシワに適した製剤とされます。
効果の持続期間が最長3年と長期で、外科手術などで使用される溶ける縫合糸の成分でもあるポリカプロラクトンを微小な粒子に加工したものを主成分として、ポリカプロラクトンを保護して粘度を保つ働きがあるカルボキシメチルセルロースを含む製剤です。
エランセの主成分であるポリカプロラクトンは注入した部位の周囲でコラーゲンの生成を促す「コラーゲンブースター」という働きがあるため、加齢とともに減少する肌のハリや弾力を取り戻すことが可能とされます。ハリや弾力が改善されることによって、頬や目尻の小ジワが目立ちにくくなる効果が期待できます。
また、製剤をピンポイントで注入することで肌のボリュームを補う作用が働いて、ほうれい線などの深いシワを改善に導いたり輪郭整形を目指すことも可能とされます。
架橋剤などの化学物質を含まないヒアルロン酸と、6種のアミノ酸を主成分とする製剤がスネコスです。肌に潤いを与えて水分を蓄える役割があるヒアルロン酸と皮膚のコラーゲンやエラスチンの生成を促すアミノ酸の働きによって、肌のハリや弾力を回復させて肌質を改善に導く効果が期待できます。
また、スネコスはコラーゲンとエラスチンの生成を刺激する特定のアミノ酸とヒアルロン酸の配合で特許を取得している製剤です。加齢や紫外線などの刺激を受けて失われた肌のハリや弾力を取り戻すことで、目もとや口もとの小ジワ、毛穴の開き、皮膚の凹凸などを目立たなくさせる効果が期待できます。
期待できる効果としてはリジュラン注射と近しい特徴を持つ製剤といえますが、リジュラン注射はサーモン由来のDNAを主成分とする製剤であるため、魚・魚卵アレルギーがある方は施術を受けることができません。
皮膚に柔軟性をもたらす役割があるⅢ型コラーゲンを外部から取り入れることができる施術がベビーコラーゲン注射です。Ⅲ型コラーゲンは加齢に伴う減少率が高いコラーゲンで、成長期が終わる頃には体内からほとんどなくなるともいわれています。
Ⅲ型コラーゲンは損傷した皮膚組織の再生を促す働きがあるほか、豊富に含まれている肌ほど、ふっくらとした弾力が生じるとされます。ベビーコラーゲン注射でⅢ型コラーゲンを補って肌の弾力を高めることで、小ジワの改善や毛穴の収縮といった効果が期待できます。
リジュラン注射は体内に取り入れた際に異物として認識されて排除反応が生じるリスクが低いとされますが、ごく稀にアレルギー反応が生じる可能性はあります。一方で、ベビーコラーゲン注射の注入剤はヒト胎盤から抽出・培養された線維芽細胞をもとに作られるため、アレルギーのリスクは極めて低いとされています。
リジュラン注射を受けた直後に施術部位を必要以上に触れると、注射針によって生じた針孔から細菌が侵入して感染症を招くリスクがあるので、施術後の数日はできるだけ触れないように注意して過ごしてください。飲酒や激しい運動など血行を促進する行為は内出血や腫れを引き起こす可能性があるので、2日ほど控えることが推奨されています。
施術部位に強い刺激を与えなければメイクや洗顔・入浴は施術を受けた当日から可能ですが、マッサージは1週間ほど控える必要があります。また、施術部位に対するほかの施術をおこなう際の可否については、医療機関でドクターによる診断を受ける必要があります。
リジュランの製剤は国内で承認を得ていない医薬品にあたるため、次の注意点があることを理解して、医療機関で施術のリスクなどの説明をしっかりと受けた上で検討してください。
リジュランは国内未承認の医薬品です。 |
医薬品の入手経路:入手経路は各医療機関のドクターによるメーカーからの個人輸入です。 個人輸入において注意すべき医薬品等について(厚生労働省のページ) |
日本国内での承認の有無:リジュランと同一の成分・作用があり、日本国内で承認を受けているほかの医薬品はありません。 |
諸外国における安全性等に関する情報:韓国・KFDAから認可を受けています。リジュラン注射で起こりうるリスク・副作用としては、施術部位に生じる一過性の小さな膨らみ、内出血、赤み、腫れ、痛み、アレルギー、感染症などが挙げられます。 |
(1)診察・カウンセリング
問診票の記入を済ませた後に、ドクターによる診察・カウンセリングでシワや毛穴の開きなど自身が改善したい悩みを伝えて、リジュラン注射が適しているか診断を受けます。施術のリスクや注意点などの説明も受けるため、不安なことや疑問がある場合はこのタイミングで相談してください。
(2)洗顔・麻酔
洗顔をおこなって施術部位を清潔にした後に、注射針を使用する際の痛みをやわらげるために麻酔クリームや麻酔テープといった表面麻酔を使用してしばらく待ちます。
(3)リジュラン製剤の注射
希望する施術部位に対してリジュランの製剤を少量ずつ手作業またはマシンによって注射していきます。麻酔を除いた施術の所要時間は20分~40分ほどが目安です。また、注射方法は医療機関によって異なるため、気になる方は事前に各医療機関のホームページやお問い合わせ先から確認してください。
(4)クーリング・終了
施製剤の注射が完了した後に赤みなどが生じた場合は、直後にクーリング(冷却)を数分ほどおこなうことがあります。希望する方はメイクルームにてメイクをすることも可能で、複数回の施術を受ける方は次回の施術日を予約して終了です。
シワや毛穴の開き・クマ・ハリ感など美容を目的としたリジュラン注射は保険が適用されない自由診療なので、施術にかかる料金は自己負担となります。自由診療の施術メニューは各医療機関で料金設定ができるため差はありますが、料金相場の目安は次の通りです。
製剤の種類 | 注射量 | 料金目安 |
---|---|---|
リジュラン | 2cc | 35,000円~75,000円 |
リジュランi | 1cc | 40,000円~65,000円 |
リジュランs | 1cc | 40,000円~70,000円 |
リジュランHB | 1cc | 40,000円~70,000円 |
目もとなどに生じた小ジワのほかに、ほうれい線やゴルゴラインといった深いシワも気になる場合は、リジュラン注射に加えて肌のボリュームを補う作用があるヒアルロン酸注入の施術を組み合わせて受けるという選択肢があります。リジュラン注射で小ジワを改善に導くと同時に、ヒアルロン酸注入で深いシワを目立たなくさせる効果が期待できます。
また、マシンで皮膚に微細な針孔をいくつもあけて、肌の自然治癒力を引き出すことで毛穴の開きやニキビ跡などの改善を目指せるダーマペン4と組み合わせることも可能です。ダーマペン4で針孔をあけた後にリジュランの製剤を注射するのではなく皮膚に塗布することで、薬剤が均一に浸透して皮膚再生の相乗効果が期待できます。
リジュラン注射は魚や魚卵のアレルギーがある方は施術を受けることができませんが、基本的に部位を問わずに注射できて、自身に合った製剤で施術を受けることで、シワや毛穴・クマ・肌のハリ・キメなど加齢とともに生じるさまざまな症状に効果が期待できます。
施術を受けた直後から効果を感じられる即効性や劇的な変化はありませんが、施術を重ねるごとに少しずつ肌質の変化を感じることが可能です。また、自身が改善したい悩みによってはリジュラン注射とほかの施術の併用が必要となることがあります。
そのため、施術を検討する際は、取り扱っているリジュラン製剤の種類が豊富な医療機関や、さまざまな注射の施術を提供していてリジュラン注射と組み合わせることでより良い効果が期待できるメニューを提案してくれるドクターのもとで施術を受けると安心です。