みやた形成外科・皮ふクリニック
日本形成外科学会専門医 日本美容外科学会(JSAPS)評議員 日本レーザー医学会評議員 日本美容皮膚科学会会員 日本熱傷学会会員 日本医学脱毛学会会員 医学博士
宮田成章医師のいる医療機関
みやた形成外科・皮ふクリニック:
お問い合わせ先:03-5510-3931
シミやあざ、カラータトゥーの除去などにおいて、美容医療では、外用薬・内服薬・光・レーザーなどにより治療がおこなわれますが、ピコ秒レーザーでは、従来のQスイッチレーザーではむずかしい症状の改善が期待できるほか、リスクが軽減されているといわれています。
ピコ秒レーザーには複数のマシンがありPicoWay(ピコウェイ)もそのひとつです。PicoWayによる施術を受ける前にほかと比較した特徴を知って、メリットを確認しておくと安心です。
もくじ
PicoWay(ピコウェイ)はCandela(キャンデラ・旧Syneron Candela)社によるピコ秒レーザーといわれるレーザーマシンです。
メラニン色素が原因となっているシミやそばかす、ケガでできたシミ、あざやタトゥー(刺青)を薄くする治療に使われ、厚生労働省に承認されています。また、アメリカのFDA米国食品医薬品局には、ニキビ痕やシワの改善においても有効性と安全性が承認されています。
日本国内での承認 | 医療承認番号:230020BZX0270000 |
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FDA(米国食品医薬品局)での承認 | K191685 K162454 |
レーザーを照射する方法には連続照射のほかに、非常に短い時間の照射である「パルス照射」があり、パルス照射による1ショット(1発)あたりの照射時間の幅を「パルス幅」といいます。
このパルス幅が、1兆分の1秒に当たるピコ秒単位であるのがピコ秒レーザーで、パルス幅が非常に短いことが特徴です。パルス幅が短いほど周囲へレーザーのエネルギーが伝播せず、目的とする物質のみを選択的に壊すことができます。つまり、皮膚に傷痕を残さずメラニン色素やタトゥー色素のみを壊すことができます。
ピコ秒レーザーが登場する前は、シミやタトゥーの除去にはQスイッチレーザー(ナノ秒レーザー)が用いられていましたが、今日では症状によってQスイッチレーザーのほかにピコ秒レーザーも選択されるようになりました。
パルス幅がナノ(10億分の1)秒単位であるQスイッチレーザーも、パルス幅が短くはありますが、ピコ秒レーザーではさらに1000分の1秒短くなることで、施術中の痛みや炎症後色素沈着のリスクが抑えられた治療を受けることが可能です。
Qスイッチレーザーは、ピコ秒レーザーと同じようにシミやあざ、タトゥーの除去といった施術に使われます。
Qスイッチレーザーとは、溜めこんだ光のエネルギーをごく短時間で放出することにより、非常に高い出力のレーザーをパルス照射する技術のことで、これをもとにナノ秒レーザーやピコ秒レーザーが誕生しました。
ピコ秒レーザーもQスイッチレーザーですが、一般的に「Qスイッチレーザー」といえば技術のことではなくナノ秒レーザーを表し、ピコ秒レーザーとよく比較されます。
Qスイッチレーザーのようにレーザーのパルス幅がピコ秒単位より長いと、熱で対象物にダメージを与える「光熱作用」が強くなります。しかしピコ秒単位より短くなると、熱が対象物に損傷を与えるよりも短い照射時間となり、急激に物質が膨張することで発生する「光音響効果」(フォト・アコースティック、衝撃波)の作用が強くなります。
衝撃波は破壊力が大きくエネルギーのピークパワーが高いことから、タトゥー除去においてピコ秒レーザーを用いると、施術前は岩のような塊であった色素粒子が、施術後には砂のように細かく粉々になります。
Qスイッチレーザーで破壊、あるいはピコ秒レーザーの衝撃波で壊れて砕けた真皮内にあるタトゥー色素は、一部が直接皮膚外へと排出されるほか、白血球の一種である掃除細胞の「マクロファージ」に取り込まれ、代謝により血管やリンパ管を経由して体外に排出されるとされます。
このとき、細かい色素粒子ほどマクロファージに取り込まれやすいため、対象物を破砕できるピコ秒レーザーの方が、Qスイッチレーザーより治療回数が少なくなるといえます。
色素粒子が多く濃いシミほどレーザーで薄くできる傾向にありますが、ピコ秒レーザーであれば、色素粒子が少ない薄いシミでも破砕できます。そのため、Qスイッチレーザーでは改善がむずかしいシミの除去についても効果が期待できます。
Qスイッチレーザーでは、レーザー光のエネルギーが周囲へと広がりやすく、炎症後色素沈着が生じる可能性があります。
ピコ秒レーザーは、衝撃波のエネルギーを対象物に閉じ込めて対象物のみを破砕します。
エネルギーのピークパワーが高いため、Qスイッチレーザーよりも低いエネルギー(フルエンス)で効果が期待でき、まわりの細胞にダメージが及ぶ可能性が低く、やけどや炎症後色素沈着のリスクが少ない傾向です。
炎症後色素沈着は、レーザー治療によって刺激を受けた皮膚が、メラニン色素を生成して刺激から皮膚細胞を守ろうとして生じます。皮膚細胞の新陳代謝である「ターンオーバー」によって3カ月~6カ月程度でなくなることがほとんどです。
ただし、ターンオーバーの周期が乱れているなど皮膚の状態によっては、消失に1年程度かかる場合があることと、シミがあった部位に生じることから、シミが再発したと誤認され「戻りジミ」と表現されることもあります。
レーザー治療では起こる確率の高い副作用ですが、ピコ秒レーザーでは発生率が少ないといわれています。
同じ対象物において、Qスイッチレーザーとピコ秒レーザーで治療した場合、衝撃波(光音響効果)によるピコ秒レーザーの方が低いエネルギー(フルエンス)で対象物を破砕できるため、施術中の痛みが軽減されます。
グラフは、光熱作用の方が痛みを伴うことを表しています。
Photoacoustic(光音響作用)/ Photothermal(光熱作用)
すべてにおいて、パルス幅が短いレーザーの方が優れているわけではありません。ピコ秒レーザーでは小さい対象でも粉砕することはできますが、対象物が大きい場合は、衝撃波で細かく砕くより光熱作用による方が破壊されやすくなります。
たとえば、毛根のメラニン色素が対象となる「脱毛」に使われるレーザーは、パルス幅がミリ(1000分の1)秒単位のロングパルスレーザーであるように、毛根のような大きい対象を狙う場合は、長いパルス幅が有効です。
ピコ秒レーザーであるPicoWay(ピコウェイ)では、具体的にどのような症状を改善に導くかを確認していきます。
皮膚は外側から表皮・真皮と層状になっていますが、一般的にシミといわれる症状(=日光性色素斑=老人性色素斑)はメラニン色素が表皮に存在しています。シミを含む以下のような症状は「表在性色素性病変」(ひょうざいせいしきそびょうへん)といわれ、PicoWay(ピコウェイ)での改善が期待できます。
また、PicoWay(ピコウェイ)は真皮層にメラニン色素が存在する「深在性色素病変」(しんざいせいしきそびょうへん)にも作用します。深在性色素病変には以下のような症状が含まれます。
PicoWay(ピコウェイ)は、上記のような肌の悩みを改善するほか、表皮に色素を入れるアートメイクや真皮に色素を入れるカラータトゥー(刺青)の除去にも使われます。
PicoWay(ピコウェイ)では、皮膚の浅い層(表皮)にも深い層(真皮)にもレーザー光のエネルギーを届かせることができ、またメラニン色素だけではなく、青や緑、赤や黄色などのさまざまな色調のカラータトゥーの除去も可能です。
このような複数の症状において、PicoWay(ピコウェイ)では、レーザーが照射されるマシンの先端部分のハンドピースを付け替えることで、症状に適した「波長」や「照射方法」に切り替えて対応します。
美容医療でつかわれるレーザーは複数ありますが、パルス幅のほか「波長」によっても対処できる症状が異なります。
レーザーや光のような電磁波といわれるエネルギーは、空間を波(波長)で伝わります。光には複数の波長が含まれますが、レーザーは、光から「532 nmの波長」「730 nmの波長」のように特定の波長を取り出してつくられるため、単波長のエネルギーです。
波長によって反応しやすい色調や、皮膚のどの層まで届くかの深さが異なり、どの波長のレーザーかによって可能な施術内容が変わります。そのため、波長はレーザー治療における重要な要素です。
PicoWay(ピコウェイ)では1064 nmと532 nmに加えて、新たに730 nm波長も使えるようになり、一つのマシンで3つの波長を使った施術が可能です。
PicoWayの波長 | 反応しやすい色調 | 適応 |
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1064 nm | 黒・茶・緑・青・紫 | 深在(真皮)性のメラニン色素、カラータトゥーの除去 |
730 nm | 緑・青 | 表在性~深在性のメラニン色素、カラータトゥーの除去 |
532 nm | 赤・オレンジ・黄 | 表在(表皮)性のメラニン色素、カラータトゥーの除去 |
PicoWay(ピコウェイ)の3つの波長においては波長が長いほど皮膚深くに届くため、真皮に存在する色素には1064 nmや730 nm、表皮にある色素には532 nmや730 nmの波長で施術がおこなわれます。
レーザーの波長は、波長ごとに吸収されやすい(反応しやすい)対象物を持ちます。
532 nmはメラニン色素に吸収されやすい波長でありながら、血管のヘモグロビン(赤)にも吸収される性質を持つため、シミ治療において切れ味が良い一方で、まわりの血管にも吸収され赤みが残りやすい傾向です。
一方、新たに加わった730 nmの波長では、ヘモグロビンへの吸光度が下がるため、532 nmよりも周辺の血管にダメージを与えるリスクが抑えられるようになりました。
PicoWay(ピコウェイ)では、スポット的に存在する色素に作用させる方法と、顔全体に照射する方法により肌の悩みを改善に導きます。
症状によって適した照射方法が選択されることもありますが、照射方法を組み合わせて施術がおこなわれることもあります。それによって、顔全体に広がるそばかすやシミ、くすみの改善、局所的にあるシミやあざ、タトゥー・アートメイクの除去が可能です。
ピコ秒レーザーマシンは複数ありますが、波長やパルス幅などに違いがあります。
マシン名 | 波長 | パルス幅 |
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PicoWay | 532 nm 730 nm 1064 nm |
294 ps 246 ps 339 ps |
PicoSure | 532 nm 755 nm 1064 nm |
550 ps-750 psの可変式 |
enLIGHTen3 | 532 nm 670 nm 1064 nm |
750 ps/660 ps 、 2 ns |
Discovery Pico Plus | 532 nm 694 nm 1064 nm |
370 ps 30 ns 450 ps |
PICOCARE | 532 nm 595 nm 660 nm 1064 nm |
450 ps |
ピコ秒レーザーのパルス幅はピコ秒単位ではありますが、マシンごとに異なり、PicoWay(ピコウェイ)のパルス幅はほかのピコ秒レーザーと比較しても短いことがわかります。
パルス幅は短いほど、熱エネルギーで破壊する光熱作用より衝撃波で破砕する光音響作用が強まり、加えて作用が及ぶ範囲が狭まります。このことから、メラニン色素が少ない薄いシミにおいても、強いエネルギー(フルエンス)が不要なため、まわりへのダメージが少ない治療が可能といえます。
炎症後色素沈着 |
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炎症後色素沈着が生じた場合、3カ月~6カ月ほどで徐々に消失するとされる。長期化を回避するためには、施術後は可能な限り紫外線対策を徹底して、刺激を与えないようにする。 |
水疱形成 |
レーザーの出力が強い場合に起きやすい傾向。水疱を破くなど自己判断による処置をおこなうと痕が残ることもあるため、施術を受けた医療機関に相談し、適切に対処することが大切。 |
白斑 |
白斑は、レーザー照射によりメラニン色素を生成するメラノサイトがダメージを受けると、部分的に皮膚が白くなる症状。複数回の施術以降に症状が現れることもあり、自覚症状がないことも多い。治療期間中に症状が確認された場合は、中断することもある。 |
赤み・腫れ・痛み |
赤み、腫れ、痛みが生じた場合は、数日以内に落ち着くことがほとんど。また、これらは施術部位に過度に触れることでも生じるといわれ、施術後は保湿をしっかりおこない、刺激を与えないように注意する。 |
PicoWay(ピコウェイ)による施術後、メークはレーザーの反応が強く出ている場合は控えることが推奨されますが、翌日から可能となることがほとんどです。
また、レーザーに反応した色素部分に薄いかさぶた(マイクロクラスト)が形成されることがありますが、1週間~10日ほどではがれ落ちます。
施術回数や頻度については、局所的な照射であれば1回でも改善が期待できますが、顔全体への照射であれば3週間~4週間に1回の施術で3回~5回程度が推奨されます。推奨回数の治療終了後は、肌のメンテナンスとして数カ月に一度のペースで継続される方もいます。
炎症後色素沈着が生じた場合は、3カ月~6カ月後に2回目の治療が可能となりますので、施術のペースについて詳しくはドクターにご相談ください。
シミの一種である「肝斑」(かんぱん)がある場合は、まずはスキンケアの見直し、そして内服薬・外用薬による治療が有効とされます。
美容目的の施術は保険適用外で自由診療となり、費用は医療機関ごとに異なります。 顔全体への照射は、ひとつの照射方法でおこなう場合は13,000円~35,000円程度、複数の照射方法を用いる場合は組み合わせる照射方法の数によって変わりますが、30,000円~100,000円程度と料金に幅があります。
なかには、初回料金あるいは2回目以降の料金を安く設定している医療機関もあります。 スポット的なシミ治療やタトゥー除去における料金設定は、医療機関ごとに、1ショットあたり・1㎠あたり・1㎟あたり・3㎟未満などさまざまであるため、詳しくは施術を受ける医療機関にご確認ください。
なお、事故やけがで皮膚に異物が入り刺青となる外傷性刺青(=外傷性色素沈着)や、アザの治療、太田母斑(おおたぼはん)、異所性蒙古斑(いしょせいもうこはん)については保険適用となることもあります。
(1)カウンセリング・診察
肌の悩みや施術の希望をドクターに伝えて治療方針を決めます。不安なことや心配なことはすべて質問して納得してから施術を受けるようにします。
(2)クレンジング・洗顔
顔への施術の場合は、クレンジングでメークを落とし、洗顔をおこなって肌を清潔な状態にします。メークが残っているとレーザーの照射効果が下がるため、メーク落としはしっかりおこないます。
(3)写真撮影・着替え
施術前の肌の状態を確認するために、写真撮影をおこなうことがあります。また、体への施術の場合は施術用の専用着に着替えます。
(4)施術
ベッドに仰向けになりレーザー光から眼を保護するために、保護メガネ/保護ゴーグルを装着してから照射していきます。 基本的に麻酔は不要ですが、タトゥー除去の場合は強い痛みを伴う場合もあるため、施術内容によっては局所麻酔を使用します。
(5)クーリングをして終了
施術部位を冷やして終了です。
レーザー照射後は軽いやけどの状態にあるため、施術部位を強くこすらないようにします。また、色素沈着を防ぐために紫外線対策をおこない、保湿により皮膚の乾燥を防ぐことが推奨されます。
PicoWay(ピコウェイ)で治療を受けるにあたり、外用薬としてハイドロキノンやトレチノインが配合されたクリームを併用すると効果が期待できます。
また、肝斑がある場合はビタミンCやトラネキサム酸などの内服薬を併用することで、治療効果が高まるとされています。
ハイドロキノンクリーム(外用薬) |
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メラニン色素を生成する酵素「チロシナーゼ」の活性を抑制することから、シミを薄くする美白剤ともいわれる。 誤った方法で使用するとかぶれやただれになることがあるため、使用量や使用回数に要注意。 市販されているハイドロキノン配合の化粧品は、医療機関で購入できるものより配合濃度が低い。 |
トレチノインクリーム(外用薬) |
古い角質を除去する作用があり、浸透性が高くないハイドロキノンクリームと併用されることが多い。 |
ビタミンC(内服薬) |
抗酸化作用、メラニン生成抑制、シミや色素沈着を薄くする、毛穴改善などの効果により美肌へ導く成分 |
トラネキサム酸(内服薬) |
肝斑に対する美白有効成分として厚生労働省に認められる。 メラニン色素を作る細胞「メラノサイト」の活性化を促す「プラスミン」の働きを抑制する効果があり、ビタミンCとの併用でより効果が高まる。 飲み合わせによって血栓ができやすくなる可能性があることから注意が必要で、ドクターの診断のもと服用を開始すること。 また、体質や体調によっては胃部不快感や食欲不振が起きる可能性があるため、症状があらわれたら医療機関に要相談。 |
PicoWay(ピコウェイ)による施術は、照射において皮膚表面からの距離や角度によっても効果に違いがあらわれる繊細なものです。そのため、医療機関のサイトやSNS、ドクターのブログを確認するなど、実績のある医療機関で施術を受けることをおすすめします。
また、PicoWayでは炎症後色素沈着が起こる可能性は低いものの、可能性がゼロというわけではありません。さらに施術回数を重ねることで効果が得られるケースがあります。これらのことを知らずに治療を受けると、自己判断で治療を中断してしまい、目指せる効果が得られない可能性があります。
改善するはずの症状を放置してしまうことがないよう、副作用やリスク、施術後の経過についてしっかり説明してくれるドクターであれば、安心して施術が受けられるといえます。
記事監修の宮田成章先生にPicoWay(ピコウェイ)について教えていただきました。
監修医師の紹介
みやた形成外科・皮ふクリニックの院長である宮田成章医師はレーザーによる肌質改善治療をいち早く取り入れ、現在40台を超える美容医療マシンを所有。スキンケア・脱毛・痩身以外の施術はすべて院長自らがおこなう。国内外の学術会では毎年多くの研究を発表、豊富な医学知識と経験を活かし医療機器メーカーとの共同開発や治療プロトコールを確立。美容医療術に関する著書多数、形成外科医として総合美容医療を牽引する。
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Dr.宮田成章のピコウェイ指南
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