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再生医療の一つであるPRP療法の美容に対する効果とリスク・注意点

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再生医療の一つであるPRP療法の美容に対する効果とリスク・注意点

「再生医療」とは、欠損したり傷ついた身体の組織を再生させる医療のことで、現在も研究開発が進められている医療です。

再生医療のなかでも自身の血液から抽出した成分を使用した治療がPRP療法です。スポーツが原因の外傷や障害、加齢などにより膝の関節内に炎症が起きたり関節が変形したりして痛みや腫れが生じる変形性膝関節症、歯科治療などさまざまな分野に用いられています。

近年、PRP療法がシワやたるみ、目の下のクマ、頬のコケ、ほうれい線などの肌の悩みの改善にも効果が期待できるとして施術がおこなわれるようになりました。自身の血液を使用するため、拒絶反応やアレルギー反応がほとんどなく安全な施術とされています。

PRP療法が肌の悩みにどのようにアプローチできるのか、リスクや副作用、注意点はあるのかなど、事前に確認しておくと安心して施術を受けることができます。

PRP療法で使用されるPRPの成分と働き

血液から生成されるPRPの成分

ヒトの血液は、液体と固体に分けられます。液体部分は血漿(けっしょう)と呼ばれていて、血液の約45%をしめています。血漿は約90%の水分とタンパク質、ブドウ糖、脂質、金属イオン、電解質、ホルモン、ビタミンなどからできています。

血液の個体部分は約55%で、「赤血球」「白血球」「血小板」からできています。赤血球は酸素を体中に運ぶ働きがあり、白血球は体内に侵入したウイルスや細菌、体内で細胞死した細胞など身体に不要な物質を貪食(どんしょく)して消化したり、ウイルスや細菌に対して抗体を作り出す機能があります。

血小板はケガをした際に止血をする機能に加え、細胞を分裂させたり細胞それぞれが役割にあった機能を身につけていく細胞分化を促進させる「成長因子(グロースファクター)」が含まれています。血小板に含まれる成長因子はさまざまな細胞を分裂・分化させることで血管を新生させたり、欠損した組織を修復、コラーゲンやエラスチンなどの肌のハリや弾力のもとを増生させるなど、病気や肌の悩みにアプローチします。

PRPはPlatelet Rich Plasmaの略で、日本語では多血小板血漿と呼ばれています。文字通り、血小板が多く含まれている血漿のことで、血液を遠心分離機にかけることで生成が可能です。血液成分は血漿・血小板・白血球・赤血球の順番で重くなり、遠心分離機にかけることで重い成分は沈殿します。

血液を遠心分離機にかけると血漿と多量の血小板が含まれる層が生成され、これをPRPと呼びます。ただし、血漿・血小板・白血球・赤血球が綺麗に分離できるわけではなくPRPには微量の白血球や赤血球も含まれています。

PRP療法のメカニズムに関係する成長因子の種類と働き

PRPには血小板が多く含まれているため、成長因子も多数含まれています。成長因子にはさまざまな種類があり、それぞれの働きが異なります。美容医療に関係する成長因子は主に4種類あります。

  • PDGF
  • TGF-β
  • VEGF
  • EGF

PDGF(platelet derived growth factor)

PDGFは日本語で血小板由来増殖因子といいます。PDGFが初めて発見されたのが血小板であったことから命名されました。

PDGFは血液が凝固する際に血小板が崩壊するタイミングで放出されるほか、白血球の一種であるマクロファージや内皮細胞(ないひさいぼう)、平滑筋細胞、線維芽細胞といった細胞から産生されることも分かっています。

PDGFは最初血小板から単離されたためこの名前があるが,さまざまながん細胞や正常の細胞,例えばマクロファージ,血管内皮細胞,平滑筋細胞などでも作られる.

血小板由来増殖因子論文

PDGFは産生・放出された場所から別の場所に移動(遊走)しながら分裂や分化が必要な細胞を見つけるとその細胞に結合して細胞を分裂・分化するようにシグナルを出します。PDGFがシグナルを出すことができる細胞は、線維芽細胞、平滑筋細胞、グリア細胞、軟骨細胞などです。

PDGFがシグナルを出すことができる細胞の中で、美容医療に深く関係するのは線維芽細胞と平滑筋細胞です。

線維芽細胞は皮膚の真皮層にある細胞で、真皮層を構成するコラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸などを生成する働きがありますが、加齢やストレスなどで機能が低下します。しかし、線維芽細胞が増殖することによって機能が回復し、真皮層を構成する成分が増産されます。

平滑筋細胞は血管、膀胱、子宮など、管・袋状の器官の筋肉を構成する際に必要な細胞で、PDGFから増殖が促されることで、血管新生が促進されます。

さらに、PDGFは線維芽細胞や平滑筋細胞、白血球(好中球・単球)などの遊走を促進させる機能もあります。PDGFが遊走を促進できる細胞の一つである白血球は遊走することでbFGF(塩基性線維芽細胞増殖因子)などの成長因子を産生します。

bFGFは別名で血管新生因子ともいわれていて、その名のとおり血管を新生させる成長因子です。PDGFの作用と併せて新しい血管網を形成し、血流が滞っていた部位の血流を回復させるとされています。

PDGFやbFGFなどの成長因子によって真皮層を構成する成分が増産されたり血管が新生することで新しい肉芽が形成される、血流が回復する、減少していたコラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸などが増えることで肌の悩みの改善に効果が期待できます。

TGF-β(transforming growth factor)

TGF-βはトランスフォーミング増殖因子-βともよばれている成長因子で、PDGFと同様に血小板に含まれていて、血液が凝固する際に血小板が崩壊することで放出されます。

TGF-βには似通ったDNA配列が3種類あり、それぞれTGF-β1、TGF-β2、TGF-β3とあらわされ、働きが異なります。美容医療や創傷治癒に深く関係するのは3種類のうちTGF-β1であるということが研究から分かっています。

TGF-βは血小板ではα顆粒中に存在する.分子量は25000で2本のペプチドがS-S結合によってダイマ ーを作ってい る.TGF-βには構造の類似したものがいくつか存在する。哺乳類ではTGF-β1,β2,β3の3種類があり,アミノ酸配列の相同性は互いに70~80%である.血球細胞に対してはTGF-β1がTGF-β2よ り強力であるなどの多少の差はあるが,三つのTGF-βのアイソフ ォー ムの作用は多くの場合共通である.

血小板由来増殖因子論文

TGF-β1は上皮細胞や内皮細胞、血球系細胞、線維芽細胞、平滑筋細胞など多くの細胞にシグナルを送ることができます。増殖させたい細胞には分裂・分化を促し、増殖させたくない細胞に関しては分裂・分化を抑制させます。さらに、正常に機能しなくなった細胞を細胞死させるように働きかける機能もあります。

上皮細胞や内皮細胞、血球系細胞に対しては増殖抑制の働きと増殖促進の働きがありますが、線維芽細胞や平滑筋細胞に対しては、おもに増殖するようにシグナルを送ります。線維芽細胞や平滑筋細胞にシグナルを送った結果、真皮層の成分であるコラーゲンや細胞同士を接着させる役割のあるフィブロネクチンなどを増生させることができます。

TGF-β1の作用はPDGFの作用である新しい肉芽形成を助けます

VEGF(vascular endothelial growth factor)

VEGFは血管内皮増殖因子とも呼ばれていて血小板に含まれているほか、血管平滑筋細胞や黄体細胞、副腎皮質細胞からも生産されます。

VEGFは名前の通り血管内皮を構成する細胞を増殖させる働きがあるため、血管新生に深く関与する成長因子です。血管内皮細胞の増殖だけではなく、血管透過性を亢進させる働きがあります。

血管は水分や低分子の物質を血管外に通過させますが、分子が大きい成長因子を含むタンパク質などは通過させない機能があります。血管が水分や低分子の物質以外を血管外に通すことを血管透過性といいます。

VEGFにより血管透過性が亢進することで血管内の成長因子を血管外に排出することができ、前述したPDGFやTGF-βなどの成長因子が血管新生や細胞分裂、細胞分化を促します

EGF(epithelial growth factor)

EGFは上皮増殖因子とも呼ばれていて熱や酸にも強い成長因子です。血小板に含まれているほか、唾液中や尿中に含まれています。

EGFは線維芽細胞、表皮細胞、血管平滑筋細胞、そのほか各種上皮細胞の増殖を促進する成長因子です。ただし、細胞が増えすぎてしまわないようにTGF-βがEGFのシグナルを抑制することもあります。また、TGF-βは正常に機能しなくなった細胞を細胞死させる働きもあるため、機能が低下した上皮細胞を細胞死させてEGFが増殖させた新しい上皮細胞を定着させます。

美容医療におけるPRP療法の施術

美容医療においてPRP療法をおこなう場合、改善したい部位に抽出したPRPを注入する必要があります。注入は注射によっておこなわれることがほとんどです。

PRP注入に使用される注射針

PRPを注入をする際に使用する注射針は、極細の針が用いられます。針の細さはG(ゲージ)と呼ばれる単位であらわされ、数字が大きいほど細くなります。一般的に、病気や献血などで使用される針は17G~23Gで、PRPなど美容医療で薬剤を注入するときに使用される針は30G前後となっています。

注射針が細くなればなるほど、注射による痛みが軽減されるといわれています。

PRPのおもな注入部位

美容医療でPRP療法をおこなう際の施術部位は、原則として頭部(毛髪)・顔・首・手です。

施術をおこなえる部位は医療機関によって異なるので、希望する部位の施術が可能かどうか事前に医療機関にお問い合わせください。

PRP療法の施術中の痛みやダウンタイム・リスク・注意点

PRP療法の施術中の痛み

PRP療法では注射を使用するため、注射針が細くても痛みを感じる方がほとんどです。痛みの感じ方には個人差があるので、痛みに弱い方はクリーム麻酔などの麻酔を使用することで痛みを軽減することが可能です。

ただし、麻酔をおこなっていない医療機関もあるので、麻酔を希望する場合は事前に医療機関にお問い合わせください。

PRP療法のダウンタイム

PRP療法をおこなった場合、注射をした部位に内出血や腫れが生じる場合がありますがメイクで隠せる程度です。個人差はありますが、1週間程度で落ち着くとされています。

PRP療法の副作用

  • 内出血
  • 腫れ
  • 麻酔によるアレルギー

PRP療法のリスク

  • しこり
  • 不自然な膨らみ
  • 色素沈着

PRP療法の注意点

効果が出るまでに時間がかかる

PRP療法は、注射をして即効果を感じることができる施術ではありません。皮下に注入されたPRPが成長因子を放出して成長因子がさまざまな細胞を分裂・分化させたり傷を修復するまでに時間がかかるため、効果が現れ始めるまでにかかる期間は1カ月~3カ月程度といわれています。

再生医療番号を取得している医療機関でおこなう

再生医療はPRP療法だけでなくほかにもiPS細胞やヒト肝細胞を使用した治療もあります。ニュースなどで取り上げられることも多い治療方法ですが、現在も研究が進められていて発展途上の治療です。

厚生労働省は、再生医療を安全性を確保しつつ迅速に提供する必要があるとして、再生医療の研究・開発、治療に用いる細胞の製造、再生医療の治療をおこなう場合に厚生労働省への登録を法律で義務付けています。

PRP療法も再生医療のひとつであるため、美容目的で施術をするとしても必ず厚生労働省への登録が必要です。厚生労働省へ登録をすると再生医療番号が発行されます。厚生労働省に登録されているかは医療機関のHPに記載があるか、厚生労働省などが作成している再生医療の公式HPにて確認をすることができます。再生医療の公式HP

再生医療の登録をしていない医療機関でPRP療法をおこなうことは違法です。

施術がおこなえない方

  • 悪性腫瘍の既往歴のある方
  • 心臓病・脳梗塞の既往歴がある方
  • 肝臓疾患がある方
  • 血液を固まりにくくする薬を服用している方
  • 妊娠、授乳中の方
  • ケロイド体質の方

PRP療法の施術が向いている方

  • ほうれい線が気になる方
  • くぼみが気になる方
  • たるみが気になる方
  • ほうれい線が気になる方
  • シワが気になる方
  • ニキビ跡が気になる方
  • 毛穴が気になる方
  • 目の下のクマが気になる方
  • 肌の弾力やハリが気になる方
  • 薄毛が気になる方

PRP療法を注射以外でおこなう施術

ダーマペン4による施術

ダーマペン4は極細の針で意図的に皮膚(表皮層または真皮層)に針穴を空けて創傷治癒を促進させてコラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸などの増生を測ることで肌の悩みを改善に導く施術です。

ダーマペン4で意図的に針穴をあけたあと、PRPを塗りこむことで表皮層や真皮層にPRPの成分(成長因子)が入り込み創傷治癒力を上げられるとされています。

PRPは血液を使用することから、ダーマペン4とPRPを組み合わせた施術は「ヴァンパイアフェイシャル」ともいわれています。

ヴァンパイアフェイシャルは肌にハリや弾力をもたらすほか、ニキビ跡や凸凹のあるクレーター肌を改善に導くといわれています。

水光注射による施術

水光注射は、注射という名前がつけられていますが手打ちの注射とは違いマシンを使って薬剤を注入する施術です。

マシンを使用することで1ショットずつ皮膚を吸引しながら注射することができ、吸引の刺激に意識がいくため、針を刺す痛みが感じにくくなるとされています。また、1ショットで5針~9針ずつ注射が可能で、効率的な施術ができます。また、針の長さ、注入量、皮膚吸引圧、吸引タイミングの設定も可能なため施術部位に均等にPRPを注入することができます。

水光注射をおこなう際、PRPだけでなく、追加でヒアルロン酸やビタミンCなどの美容成分を混ぜた薬剤を注入することも可能です。

PRP療法のほかに同じような効果が期待できる施術

PRP療法は頭部への施術であれば薄毛の改善が期待できます。顔や首、手への施術であればシワやたるみ、くすみなど肌の若返りに対しての効果が期待できます。

増毛が期待できる施術

ハーグ療法

薄毛は、毛髪を作り出す細胞の機能が低下してヘアサイクル(毛周期)が乱れることが原因でおこるといわれています。

ハーグ療法では、ハーグカクテルという薬剤を薄毛部分の頭皮に注射し、活性を失った毛乳頭細胞や毛母細胞、周囲の毛包幹細胞に働きかけます。各細胞の機能が活性化することでヘアサイクルの乱れを正常なサイクルに戻し、発毛を促すとされています。

ハーグ療法も再生医療の一種で、再生医療番号を取得している医療機関でしか受けることができません。

肌の若返りが期待できる施術

レーザーマシンによる施術

レーザーは太陽光や蛍光灯などと同じく光の一種です。光には波型の性質があり、波の山から山(谷から谷)までの長さを波長とよびます。太陽光や蛍光灯はさまざまな波長が集まっていますが、レーザーは一つの波長を取り出して増幅させています。

レーザーのマシンによって照射可能な波長は複数あり、波長によって皮膚のどの深さに到達するかが変わります。またレーザーの波長はシミやそばかすの原因であるメラニンや、赤ら顔などの原因であるヘモグロビンなど特定の物質に吸収され熱に変換される特徴があります。

メラニンやヘモグロビンなどの特定の物質に吸収されたレーザーの光が熱に変換されると、その熱で特定の物質が破壊されます。メラニンにレーザーの光を照射することでメラニンが破壊されシミやそばかす、肌のくすみなどに効果が期待できます。

さらに、特定の物質に熱を加えることで周囲の組織にも刺激を与えることができるとされています。真皮層の線維芽細胞に刺激が加わり、コラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸の生成が促されます。その結果、肌の弾力やハリを改善に導きます。

IPLマシンによる施術

IPLもレーザーと同様に光の一種です。レーザーとは異なり、複数の波長を持ち合わせていて、一度の施術で複数の特定物質にアプローチが可能とされています。

メラニンやヘモグロビン、皮下の水分に吸収される波長があり、波長を吸収した物質は熱に変換されて特定物質を破壊します。皮下の水分に反応した場合は線維芽細胞に刺激を与えることができるとされています。メラニンやヘモグロビン、皮下の水分に照射することでシミやそばかす、ニキビ跡、肌のハリや弾力の改善に効果が期待できるとされています。

レーザーよりも出力が弱く、効果を感じるまでには複数回の施術が推奨されていますが、周辺組織に与える影響が少ないため、ダウンタイムが短く、施術をしたことがバレにくいマシンです。

HIFU(ハイフ)マシンによる施術

ハイフとは、高密度焦点式超音波を意味する英語「High lntensity Focused Ultrasound」の略で、高い周波数の超音波を1点に集めて照射する方法です。

虫眼鏡で太陽光を1点に集中させると黒い紙が焦げるように、体のある部位に超音波を集中させることで、熱を集めて高温にします。たんぱく質には熱で収縮する性質があるので(熱収縮)、お肉を焼くと縮むように、ハイフで狙った部位は高温になると、ひきしまってたるみを引き上げたり毛穴の開きを改善する効果が期待できます。

また、ハイフの熱が真皮層の線維芽細胞を刺激するため、コラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸の増生により肌のハリや弾力の改善も目指せます。

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