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切らない眼瞼下垂の効果やメリットとデメリット・失敗しないための基礎知識

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切らない眼瞼下垂の効果やメリットとデメリット・失敗しないための基礎知識

正面を見て目を大きく開こうとした際に、自身の意思とは関係なく、上まぶたが黒目の瞳孔にかぶさった状態になってしまう症状が眼瞼下垂(がんけんかすい)です。

眼瞼下垂は、一般的に上まぶたの皮膚を切開して皮下にある筋肉の一部を切除して縫合するなどの治療によって改善が期待できますが、切開をせずに症状を改善に導く「切らない眼瞼下垂」という治療方法も存在します。

切らない眼瞼下垂は手術の内容によって効果の持続性に差が生じるため、失敗や後悔を防ぐためには、症状を改善に導くメカニズムと持続性を補うためにおこなわれる処置の内容をしっかりと理解して、知識を得た状態で医療機関を選定したり、ドクターとのカウンセリングに臨むことが大切です。

黒目がちな印象の目もとに導く「切らない眼瞼下垂」

メスによる皮膚の切開をせずに、上まぶたが黒目の瞳孔にかぶさった状態の眼瞼下垂を改善に導く治療が「切らない眼瞼下垂」です。黒目の露出が増えるように、糸をつかって、上まぶたがしっかりと持ち上がる仕組みを皮膚の内部に作ります

上まぶたを持ち上げる力が補われることで、「まぶたが重く感じられる」「眠そうな印象を持たれる」「目が小さく見える」といった眼瞼下垂の悩みの改善が期待できます。また、切開式の治療と比べて身体への負担が少ないことから、ダウンタイムも短い傾向です。

切らない眼瞼下垂が向いている方

  • まぶたが重く感じられる方
  • 以前より視界が狭くなったと感じる方
  • 額に力を入れないと目をしっかりと開けない方
  • 黒目の露出を増やして目の大きさを強調したい方
  • 皮膚の切開を伴う治療には抵抗がある方
  • 長いダウンタイムを確保することがむずかしい方

眼瞼下垂の症状と種類・原因について

眼瞼下垂は、上まぶたを開く役割のある筋肉の異常や緩みなどの原因によって、開眼時に上まぶたの位置が通常よりも下がってしまう症状です。片目側だけで発症することもあれば、両側で同時に発症するケースもあります。

目もとの印象に影響が出ることに加えて、症状が重度の場合は視界が狭くなり物が見えづらくなるので、日常生活にも支障をきたす可能性があります。また、無意識におでこの筋肉に力を入れて眉毛を上げて目を開こうとする癖がついてしまうと、おでこのシワが定着する原因にもなります。

眼瞼下垂は、次のように生まれつきの「先天性」、主に加齢に伴い発症する「後天性」、外見上は眼瞼下垂のように見えても実際は異なる「偽眼瞼下垂」に分類されています。

眼瞼下垂の種類・原因

眼瞼下垂の種類イラスト

自身の症状がどのような種類の眼瞼下垂であるか判断するためには、形成外科・美容外科・眼科などの医療機関でドクターによる診察や、必要に応じて上まぶたを持ち上げる筋肉の機能を測定する検査、頭部のCT・MRI検査などを受けて調べる必要があります。

先天性の眼瞼下垂

生まれつき、上まぶたが開きづらい状態のことを先天性眼瞼下垂と呼びます。原因としては、上まぶたを持ち上げる役割がある筋肉の「眼瞼挙筋(がんけんきょきん)」や筋肉を動かす神経の発達に生まれつき異常があることがほとんどです。先天性の場合、その多くは片目側だけに眼瞼下垂が生じるとされています。

先天性眼瞼下垂の治療を受けるタイミングは一般的に、全身麻酔の安全性や生活上の不便さ、集団生活における対人関係などを考慮して就学前の4歳~5歳頃におこなわれますが、症状が重度で視野が妨げられている場合、より早期の1歳未満で治療が検討される場合もあります。

後天性の眼瞼下垂

もともとは開眼時に上まぶたをしっかりと持ち上げることができていたものの、少しずつ、または急に上まぶたが下垂してしまった状態が後天性眼瞼下垂です。

上まぶたを持ち上げる役割がある眼瞼挙筋の末端側は、途中から薄い膜状の組織である「挙筋腱膜(きょきんけんまく)」になっています。挙筋腱膜は、まぶたのフチに存在する瞼板(けんばん)という組織と付着していて、眼瞼挙筋の収縮により、挙筋腱膜が連動して引っ張られることで瞼板が持ち上げられると、上まぶたが開かれる仕組みです。

しかし主に成人以降、挙筋腱膜が加齢に伴いゴムのように伸びてしまう、または瞼板から外れてしまうことで、眼瞼挙筋が収縮した際に瞼板を持ち上げる力が伝わらなくなると、眼瞼下垂を引き起こします。後天性眼瞼下垂の多くは、このような挙筋腱膜の異常による「腱膜性眼瞼下垂(けんまくせいがんけんかすい)」とされています。

腱膜性眼瞼下垂の場合、上まぶたを開こうとする力が弱まることで、自身の意思とは関係なく開眼時に上まぶたの一部がピクピクと痙攣(けいれん)する眼瞼痙攣という症状を引き起こすこともあります。

そのほかには、目の周りを擦る癖がある方やコンタクトレンズを着脱する際の刺激が長年重なることで、後天性眼瞼下垂が生じることもあります。また、稀な原因としては、指定難病である重症筋無力症や、動眼神経麻痺によるもの、事故や外傷による後遺症として挙筋腱膜が損傷して生じるものなどが挙げられます。

眼瞼下垂とは異なる偽眼瞼下垂

偽眼瞼下垂は、眼瞼挙筋や挙筋腱膜に異常はないものの、ほかの要因によって外見上は眼瞼下垂を引き起こしているように見える状態を指します。

具体的には、加齢に伴い上まぶたの皮膚にたるみが生じて視界が狭くなる眼瞼皮膚弛緩症(がんけんひふしかんしょう)によるもの、顔面の神経麻痺や加齢によって眉が下がった状態になる眉毛下垂(まゆげかすい)などが、偽眼瞼下垂の主な例として挙げられます。

偽眼瞼下垂の場合、上まぶた皮膚のたるみが原因であれば余分な皮膚を除去する治療、眉の下垂によるものであれば眉上部の皮膚を除去して眉毛の位置を引き上げる治療など、それぞれの原因にあわせて最適な処置をおこなう治療を受けることで改善が期待できます。

眼瞼下垂の症状の程度

眼瞼下垂の程度・MRD-1のイラスト

眼瞼下垂は、眉を固定した状態で上まぶたがどの程度持ち上がるか測定する挙筋機能の検査のほか、開眼時における上まぶたから黒目の中心までの距離を指す「MRD-1(Margin Reflex Distance:瞼縁角膜反射間距離)」をもとに、この距離が広い順から軽度・中度・重度と診断されるのが一般的です。

軽度の眼瞼下垂

  • 外見:上まぶたのフチが黒目と瞳孔の間にかかっている状態
  • 挙筋機能:目を閉じた状態から開いた際における上まぶたの移動距離が4㎜~7㎜
  • MRD-1:+1.5㎜~+2.7㎜

中度の眼瞼下垂

  • 外見:上まぶたが黒目(瞳孔)の上半分までかかっている状態
  • 挙筋機能:目を閉じた状態から開いた際における上まぶたの移動距離が4㎜~7㎜
  • MRD-1:-0.5㎜~+1.5㎜

重度の眼瞼下垂

  • 外見:上まぶたが黒目の下半分までかかっている状態
  • 挙筋機能:目を閉じた状態から開いた際における上まぶたの移動距離が3㎜以下
  • MRD-1:-0.5㎜以下

切らない眼瞼下垂の特徴と手術のやり方

前述した通り、眼瞼下垂を引き起こす原因はさまざまですが、成人以降で発症するケースの場合、加齢に伴い挙筋腱膜が伸びたり瞼板から外れてしまうことが主な原因とされます。

「切らない眼瞼下垂」は、医療用の細い針と糸を用いて、眼瞼挙筋の収縮と連動して瞼板を持ち上げようとする組織の力をサポートすることで、症状の改善を目指す手術です。また、まぶたの皮膚表面を切開する処置は伴いません。

治療(手術)の名称は各医療機関およびドクターによって異なる場合もありますが、手術内容は基本的に次のような方法をベースとして、糸を掛ける際の深さや固定する点数などの細かい処置は、一人ひとり異なる希望の仕上がりやまぶたの状態に応じて決められます。

切らない眼瞼下垂のやり方

切らない眼瞼下垂の治療は、先天性の眼瞼下垂で眼瞼挙筋の機能がない、もしくは著しく低いケース以外であれば適応とされている治療方法です。手術の際、痛みをやわらげるために使用される麻酔の種類は、一般的に局所麻酔・点眼麻酔です。

上まぶたの断面図イラスト基本的な手術内容は、上まぶたを一度反転させた後に、針を用いて、まぶたの裏側(結膜)からナイロン製の細い糸を挿入します。その後、挿入した糸をつかって、挙筋腱膜と挙筋腱膜のすぐ近くに存在する細い筋肉であるミュラー筋を、折り畳み短縮させた状態で瞼板に縫い合わせて固定します。

ミュラー筋は、挙筋腱膜が瞼板を持ち上げる働きを補助する役割のある筋肉です。挙筋腱膜とミュラー筋を短縮させる程度については、「上まぶたをしっかりと挙げたい」「上まぶたの開き具合の左右差を整えたい」といった希望する仕上がりに応じて調節されます。

挙筋腱膜とミュラー筋が以前よりも短くなった状態で瞼板に固定されることで、奥の眼瞼挙筋が収縮した際に、上まぶた(瞼板)を持ち上げる力がしっかりと伝わるようになるため、眼瞼下垂の改善が期待できます。手術の所要時間は、両側で30分~40分ほどが目安です。

切らない眼瞼下垂の手術後「一重のままか・二重になるか」について

切らない眼瞼下垂の手術は基本的に、結膜側から糸を通して、挙筋腱膜とミュラー筋を短縮させた状態で瞼板に縫い合わせることで症状の改善を目指す治療ですが、皮膚を切開せず人工的に二重まぶたを作ることも可能とされます。

挙筋腱膜とミュラー筋を縫い縮めつつ、糸を一度上まぶたの皮膚表面に出した後、横方向に移動させて再び皮内へ挿入する処置を1箇所~3箇所ほどで実施して固定することで、開眼時に糸が引っ掛かり上まぶた皮膚の一部が折り畳まれるようになり、二重まぶたのラインが出現する効果が期待できます。

もともと二重まぶたのラインがある方は、糸を固定する際の位置や点数などを希望の仕上がりに応じて調整することにより、二重幅を広げたりすることも可能とされます。

また、切らない眼瞼下垂の手術後は基本的に二重まぶたとなりますが、まぶたが一重から二重へ変わることに抵抗がある場合、二重のラインを形成する処置をおこなわないことで、一重のままの状態を維持しつつ眼瞼下垂の改善を目指すことも可能とされます。

ただし、医療機関ごとに対応している処置内容は異なる場合があるため、まぶたのラインがどう変化するか気になる方は、各医療機関のホームページやお問い合わせ先から手術後の仕上がりについて確認してください。

切らない眼瞼下垂と「二重埋没法」の 違い

二重整形のひとつである埋没法は、医療用の糸を使用して、上まぶたの裏側から糸を通した後、糸の結び目を皮膚の中に埋め込むことで二重のラインを作る手術です。メスを使って切開をおこなわないことから、切開式と比べてダウンタイムが短い傾向の美容整形です。

二重埋没法は、眼瞼下垂の改善を目的とした手術ではなく、希望の仕上がりに応じて「奥二重」や「平行二重」といった二重のラインが現れる仕組みを人工的に作る手術です。基本的な手術内容としては、次のような手順でおこなわれます。

  • ①上まぶた皮膚の表面に針で小さな穴を2箇所あける
  • ②片方の穴から糸を挿入して結膜側まで貫通させた後に、 瞼板もしくは挙筋腱膜・ミュラー筋に糸を通して折り返す
  • ③皮内で糸を移動させて、もう一方の穴と垂直になる位置で、瞼板もしくは挙筋腱膜・ミュラー筋に糸を通す
  • ④糸を折り返して最初にあけた穴まで貫通させてから再び折り返す
  • ⑤皮内で糸を移動させて、最初にあけた穴に戻って貫通させる
  • ⑥ループ上になった糸の端と端を結んで埋没させる

二重埋没法を受けて、一重から二重になることで目が大きく見えるようになる効果は期待できますが、基本的に挙筋腱膜やミュラー筋を短縮させる処置はおこないません

一方で、切らない眼瞼下垂は挙筋腱膜やミュラー筋を短縮させる処置をおこないます。そのため、上まぶたの開きにくさを改善に導くことができ、必要に応じて二重まぶたのラインを形成することも可能とされます。

切らない眼瞼下垂の持続性・切る眼瞼下垂との違い

切らない眼瞼下垂は、挙筋腱膜とミュラー筋を瞼板に縫い合わせて固定しますが、瞼板はコラーゲン繊維が密集した板のような硬い組織なので、単純に挙筋腱膜とミュラー筋を縫い縮めて固定する方法と比べると、手術後に取れる心配が少なく持続性があるとされます。

また、挙筋腱膜とミュラー筋を瞼板に縫い合わせる際に、1箇所だけではなく3箇所前後の複数で固定の処置をおこなうことで、より高い持続性が期待できるとされます。具体的な効果の持続期間は、もともとの挙筋腱膜の状態や上まぶたの皮膚の厚みなどによって個人差があるとされます。

ただし、切らない眼瞼下垂は1回の手術で効果が永続するものではありません。長い歳月の経過により効果が減衰して上まぶたを持ち上げる力が落ちてきた際は、再び手術を受けることで上まぶたがしっかりと挙上された状態を保つことができます。

「切る」眼瞼下垂の治療について

切開式の眼瞼下垂治療は、メスを用いてまぶたの皮膚表面や裏側の結膜を切開して、内部の挙筋腱膜の一部を切り取って短縮させたり、ミュラー筋の位置を調整するといった処置によって症状の改善を目指す外科的な方法です。

切らない眼瞼下垂と比べた場合、切開式は比較的に手術後の腫れが強い傾向にあるほか、まぶたの皮膚表面から切開の処置をおこなうケースでは傷痕が目立ちやすくなります。さらに、切開した部位の縫合をおこなうケースでは、後日に抜糸を受ける必要があります。

重度の眼瞼下垂に対して適応となる傾向で、まぶたの皮膚に余分なたるみが生じていたり脂肪が多く付いている場合は、これらの除去も同時におこなうことがあります。各医療機関で一般的に用いられている切開式の眼瞼下垂治療は、主に次のような種類があります。

治療方法 所要時間(両眼) 経過目安
挙筋前転術 1時間~2時間程度 腫れ:7日~10日間
抜糸:約7日後
仕上がり: 1カ月~3カ月後
経結膜的挙筋短縮術 1時間~2時間程度 腫れ:5日~7日間
抜糸:5日~7日後
仕上がり:約1カ月後
前頭筋吊り上げ術 2時間~3時間程度 腫れ:7日~14日間
抜糸:5日~7日後
仕上がり:3カ月~4カ月後

挙筋前転術(きょきんぜんてんじゅつ)

挙筋前転術は、まぶたの奥にある眼窩脂肪(がんかしぼう)という脂肪を包んでいる、眼窩隔膜(がんかかくまく)を切開して、挙筋腱膜を適正な位置まで前に引き出し(前転)、挙筋腱膜を瞼板に縫い合わせて固定します。

上まぶた皮膚のたるみも生じている場合は、余分な皮膚の切除をおこなうことがあります。また、まぶたの皮膚の切開をおこなうことから、手術後は腫れなどのダウンタイムを7日~10日ほど要します。

結膜的眼瞼挙筋短縮術(けいけつまくてきがんけんきょきんたんしゅくじゅつ)

経結膜的挙筋短縮術は、上まぶたを一度反転させて結膜を切開した後に、眼瞼挙筋の一部を切り取って短くした後に縫合することによって、眼瞼下垂の改善を目指す方法です。結膜側から切開の処置を進めるため、裏眼瞼下垂術ともいわれています。

まぶたの皮膚表面から切開をおこなう挙筋短縮術と比べて、短縮できる挙筋腱膜の量が少ないことから、症状が重度である場合に選択されることは少ないとされます。ダウンタイムは5日~7日間ほどが目安で、挙筋前転術と比較すると短い傾向です。

前頭筋吊り上げ術(ぜんとうきんつりあげじゅつ)

先天性の眼瞼下垂であり、もともと上まぶたの眼瞼挙筋がほとんど機能していない場合に選択される傾向にあるのが、前頭筋吊り上げ術です。前頭筋という眉毛を動かす際につかわれる額の筋肉を利用して、上まぶたが十分に挙がる仕組みを作り症状の改善を目指します。

まぶたの上から額にかけて広がる前頭筋(ぜんとうきん)と上まぶたの瞼板を、太ももの外側などから採取した筋膜で繋ぎ合わせます。筋膜の代わりに、ゴアテックスのような人工医療素材を用いて前頭筋と瞼板を繋ぎ合わせる場合もあります。

偽眼瞼下垂の治療について

上まぶたを持ち上げる機能には問題がない一方で、まぶたの脂肪が多かったり皮膚のたるみが強いことが原因で外見上は眼瞼下垂に見える「偽眼瞼下垂」の場合、次のような手術が治療の選択肢となります。

治療方法 所要時間(両眼) 経過目安
眼窩隔膜反転術 40分~1時間程度 腫れ:5日~7日間
抜糸:約7日後
仕上がり:1カ月~3カ月後
上眼瞼余剰皮膚切除術 2時間前後 腫れ:2日~4日間
抜糸:約7日後
仕上がり:1カ月~3カ月

眼窩隔膜反転術(がんかかくまくはんてんじゅつ)

眼瞼挙筋や挙筋腱膜の機能に以上はない一方で、上まぶたの脂肪が多いことが原因で眼瞼下垂のような症状が生じている場合におこなわれる手術が、眼窩隔膜反転術です。

上まぶたの眼窩隔膜を切開した後に一度剥がして、反転させてから瞼板に固定することで症状の改善を目指します。また、同時に余分な眼窩脂肪の除去をおこなう場合があります。

上眼瞼余剰皮膚切除術(じょうがんけんよじょうひふせつじょじゅつ)

眼瞼挙筋や挙筋腱膜は正常に機能しているものの、上まぶた皮膚のたるみが原因で眼瞼下垂が生じているように見える場合、上眼瞼余剰皮膚切除術が適応となる傾向です。

まぶたの二重のラインに沿って皮膚を切開して、たるみの原因となっている脂肪・眼輪筋といった余分な皮下組織を切除した後に、切開した皮膚を縫い合わせます。また、二重のラインに沿って皮膚の切開をおこなうことから、傷跡が目立ちにくいとされている方法です。

切らない眼瞼下垂のダウンタイムや術後経過の目安

切らない眼瞼下垂は、切開式の眼瞼下垂治療と比べて身体への負担が少なく、外見上は傷跡が生じないほか、手術後の痛みや腫れの抑制につながるとされますが、ダウンタイムを伴わない治療ではありません

個人差はありますが、切らない眼瞼下垂の手術後、自然な仕上がりに落ち着くまでにかかるダウンタイムは1週間~2週間ほどであり、目安となる術後経過は次の通りです。

手術直後 ・まぶたに痛みを感じることがある
・泣いた後のような腫れが生じる
・麻酔による目の充血、知覚の違和感が生じることがある
・一時的に上まぶたが開きすぎているように感じられる
・一時的に手術部位のつっぱり感が生じることがある
2日~3日後 ・泣いた後のような腫れが治まり始める
1週間~2週間後 ・軽微な腫れが治まる
・一時的に生じていた上まぶたの開きすぎ感や、つっぱり感が落ち着く
・自然な仕上がりになる目安

手術後の痛み・腫れ・上まぶたの開きすぎについて

切らない眼瞼下垂は一般的に局所麻酔と点眼麻酔を使用するため、手術中に強い痛みを感じることはほとんどありませんが、手術直後に強い痛みが生じた際は当日に医療機関で施術部位の冷却処置をおこなったり、鎮痛剤を服用して痛みの軽減を図ります。

上まぶたの腫れは、細かい血管が損傷した際の軽微な内出血、皮下組織に糸を通す際の刺激による炎症、麻酔の作用などによって、2日~3日ほどは泣いた後のような腫れが現れます。万が一、腫れが長期間引かない場合は、アレルギーや感染症の可能性もあるので、手術を受けたドクターに相談するか医療機関を受診してください。

また、手術直後は糸で瞼板に縫い合わせた挙筋腱膜が過剰に収縮することにより、瞼板を引き上げる力が強く作用して、一時的に上まぶたの過度な挙上(開きすぎ)を引き起こすことがあります。

上まぶたの腫れと挙筋腱膜の過剰な収縮は、一般的に手術から1週間~2週間ほどが経つと落ち着いて、これらが解消されることによって、腫れや開きすぎ感が目立たない仕上がりとなる傾向です。

切らない眼瞼下垂のリスク・副作用

手術で一般的に起こり得るリスク・副作用

  • 手術直後に生じる一時的な上まぶたの痛み
  • 麻酔による一時的な目の充血・知覚の鈍麻
  • 1週間~2週間ほど生じる上まぶたの腫れ・違和感(開きすぎ)

また、切らない眼瞼下垂によって稀に起こりうるリスク・副作用としては、次のようなものが挙げられます。

糸や麻酔などに対するアレルギー反応

手術で使用する糸や麻酔に対して、稀にアレルギー反応が生じることがあります。万が一、強い腫れや痛みなどが生じた場合は、切らない眼瞼下垂の手術を中断してアレルギー反応に対する処置を優先しておこなう場合があります。

まぶたの状態が元に戻る「後戻り」

瞼板に糸を掛けておらず、単純に挙筋腱膜とミュラー筋を縫い合わせるだけの処置だった場合、歳月の経過とともに少しずつ糸がずれてきて、手術後に短期間で元の上まぶたの状態に戻り、眼瞼下垂の状態が再発するリスクがあるとされます。

切らない眼瞼下垂による効果の持ちが気になる方は、持続性を補うためにどのような処置をおこなっているか事前に手術を検討している各医療機関のホームページやお問い合わせ先から確認してください。

短期間で効果が失われた場合、手術のやり直しを提供している医療機関もあるので、どのようなアフターケアが用意されているかについても事前に確認しておく必要があります。また、他院で受けた切らない眼瞼下垂に対する手術のやり直し(他院修正)に対応している医療機関もあります。

ゴロゴロとした目の違和感・仕上がりの左右差

切らない眼瞼下垂の手術は、効果の持続性を高めるために挙筋腱膜とミュラー筋を瞼板に縫い合わせる処置がおこなわれますが、糸を瞼板に深く掛けすぎた場合、結膜側に糸が露出してゴロゴロとした目の違和感(異物感)を引き起こすことがあります。

挙筋腱膜とミュラー筋を縫い縮めて瞼板に固定する処置は高い技術力が求められるとされ、手術後の目の異物感は、解剖学に関する知識や技術が十分ではない施術者が手術を担当した場合に起こり得るリスクとされます。また手術後、上まぶたの開き方に外見上の左右差が生じる可能性もあります。

目の違和感や仕上がりの左右差といったリスクを低減するためには、形成外科の経歴があるドクターや眼瞼下垂の手術実績が豊富なドクターに担当してもらうことが大切です。手術後に目の違和感が生じた際は、症状の悪化を防ぐためにセルフケアは控えて、手術を受けた医療機関に相談してください。

切らない眼瞼下垂のメリットとデメリット・事前に知っておくべきこと

切らない眼瞼下垂のメリットとデメリット

メリット ・眼瞼下垂の改善が期待できる
・黒目がちな印象の目もとを目指せる
・切開式と比べてダウンタイムが短い傾向にある
・希望の仕上がり次第では二重まぶたを目指すことも可能
デメリット ・永続的な効果は期待できない
・上まぶたの皮膚のたるみなどによる症状には適応していない

切らない眼瞼下垂の特徴は、切開式と比べて長いダウンタイムを必要とせず、永続的ではないものの眼瞼下垂を改善に導くことが可能な点です。ただし、長期的なダウンタイムを確保でき、挙筋腱膜やミュラー筋に異常はなく、皮膚のたるみなどが原因で外見上は眼瞼下垂に見えるケースでは、切開式の治療が適応となることがあります。

切らない眼瞼下垂を受ける際に知っておくべきこと

  • 手術を受ける前日と当日は飲酒を控える
  • 手術後の当日は目もとのメイクや洗顔を控える
  • 短時間のシャワー浴や洗顔は手術の翌日から可能
  • コンタクトレンズの装着、目もとのメイクは手術の3日後から可能
  • 手術後の3日間は、過度な飲酒や湯船に浸かる入浴・サウナ・激しい運動などの血行が促進される行為を控える
  • 手術後は目もとを強く擦るなどの刺激を極力与えないように過ごす

切らない眼瞼下垂の手術を受ける際は、コンタクトレンズの装着が不可であるため、来院時にコンタクトレンズを付けてきた場合は、手術前に外す必要があります。手術直後も装着できないので、裸眼で視力に不安がある方は眼鏡を持参してください。

手術直後は泣いた後のような腫れが上まぶたに生じるので、手術を終えた帰りに周りの目が気になる方は、サングラスや帽子を持参しておくと安心です。また、切開式と異なり手術後の抜糸は不要ですが、医療機関によっては経過を診断するために定期的な来院を指示される場合があります。

保険の適応について

眼瞼下垂は、医療機関でドクターによる診察の結果、病気によるものと診断された場合は治療にかかる費用が保険適用となることもあります。ただし、美容を目的とした治療は自由診療にあたるので、保険は適用されません。

切らない眼瞼下垂を受ける際の流れと料金相場

手術を受けるまでの流れ

(1)診察・カウンセリング

初診の場合は医療機関で問診票の記入をおこない、ドクターによる診察・カウンセリングを受けます。眼瞼下垂の原因や症状の程度、切らない眼瞼下垂の手術が適応であるかについて診断を受けるので、手術に関する疑問や不安なことはこのタイミングで相談してください。

(2)洗顔・手術内容の確認

実際に手術を受けるタイミングは医療機関によって異なり、診察・カウンセリングを受けた後日となることもあります。手術を受ける当日は、洗顔をした後に、目指す上まぶたのデザインや手術内容の確認をおこないます。

(3)麻酔・手術

手術内容の確認後、手術室へ移動し、点眼麻酔や注射による局所麻酔の処置を受けます。麻酔が十分に作用した後に、切らない眼瞼下垂の手術を進めていきます。

(4)クーリング・アフターケア

手術完了後は腫れを抑えるために、数分~10分ほど目もとのクーリングをおこないます。また、手術直後に痛みがある場合は、鎮痛剤を服用して痛みの軽減を図ります。その後、ダウンタイム中の過ごし方や注意点などの説明を受けて終了で、当日中に帰宅可能です。

切らない眼瞼下垂の料金相場

切らない眼瞼下垂の手術にかかる費用は各医療機関によって異なりますが、両目につき20万円~35万円(自由診療)が目安です。また、医療機関によっては別途の費用として、診察代や麻酔代が追加となることがあります。

切らない眼瞼下垂で失敗・後悔しないためのポイント

切らない眼瞼下垂の手術は、美容外科や形成外科などの医療機関で受けることが可能です。ただし、効果の持続性や手術によるリスク・副作用については、処置の内容や手術を担当するドクターの知識と技術によって左右されます。

まぶたの皮膚は薄く内部の構造も複雑であることから、切らない眼瞼下垂の手術は解剖学に関する知識と高度な技術が求められるとされます。そのため、眼瞼下垂の手術実績が豊富な美容外科・形成外科のドクターを指名することで、「手術後に短期間で元に戻った」「仕上がりに左右差が生じた」などの失敗・後悔を防ぐことにつながります。

ドクター選びで迷った際は、各医療機関のホームページ、またはドクター個人のSNS・ブログで投稿されている症例写真を確認して、自身が理想とする仕上がりに近い症例を担当したドクターを指名するという選択肢もあります。

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