サイトンBBLsは、光治療機の1つで、シミやシワなどさまざまな肌の悩みを改善に導きます。
従来の光治療機で使用されている光とは異なる波長の光を使用しているのがサイトンBBLsで、悩みに合わせて波長や照射サイズをして、症状に合わせて細かく設定して施術がおこなわれます。
サイトンBBLsは、症状に合わせてその症状を改善する波長を選択出力することでさまざまな悩みを改善することができますが、 波長の出力が肌にあわないと、改善が見込めなかったり、悪化する場合があります 。
このような失敗にならないためにも、サイトンBBLsで改善が見込める症状や、施術にあたりどのような医療機関を選ぶべきなのかを知っておくことで、効果的な治療を目指すことが可能です。
光治療は、光を肌に照射してシミやくすみ、シワ、ニキビや肌の赤みなど複数の肌の悩みを改善に導く治療方法で、美容医療ではIPLという光による治療がよく知られています。
BBLも光の一種で、ブロードバンドライト(BroadBand Light)という英語の略称 です。
サイトンBBLsは、美容の最先端である米国でキングオブレーザーといわれるレーザー開発会社のサイトン社(Sciton)のマシンで、厚生労働省に認証されていて、(認証番号:225AABZX00188000) 皮膚科や美容皮膚科で受けることが可能です。
ニキビ・シワ・そばかすなど症状に合わせて、顔だけでなく日の当たりやすい手の甲や腹部なども施術できます 。
サイトンBBLsは、スタンフォード大学皮膚科のドクターによって、遺伝子の情報に基づいてタンパク質が合成されることをさす遺伝子発現のパターンを若い状態に保つことができると発表されました [※1]。
タンパク質の一種であるエラスチンやコラーゲン、タンパク質と結合しやすいヒアルロン酸は、真皮層に存在していて、線維芽細胞によって生成されています。
線維芽細胞とは、自分を複製する細胞分裂をおこないながら、ヒアルロン酸などを生成する幹細胞です。1つの細胞につき約50回の細胞分裂をおこなうことができますが、加齢によって線維芽細胞の分裂回数は減少するため、20歳を境目に、ヒアルロン酸などが生成される量は減少していくといわれています。
サイトンBBLsを施し、コラーゲン等を生成している線維芽細胞の遺伝子発現を若い状態に保つことで、ヒアルロン酸やコラーゲンなどが継続的に生成され、さまざまな肌の悩みの改善が期待できます 。
[※1]参考文献
BBL treatment can restore gene expression pattern of photoaged and intrinsically aged human skin to resemble young skin.
サイトンBBLsを含む光治療は、 皮膚に特殊な光を照射することで、そばかすやシミ、たるみなど改善し、肌質の向上を目指すことができる治療 です。
光の熱作用で、原因となる物質を損傷させ、肌に弾力やハリをもたらすエラスチンやコラーゲンを生成する「線維芽細胞」の働きを活性化させることで、肌の悩みを改善に導きます。
ヒトの皮膚は、外側から表皮層・真皮層・皮下組織と層状になっています。
真皮層は約70%が線維状のタンパク質であるコラーゲンで、エラスチンという弾力性をもつ線維状のタンパク質がコラーゲンを束ね、その間は水分を抱えたゼリー状のヒアルロン酸が満たしています。
この3つの成分が減少しバランスが崩れることで様々な肌トラブルが生じるため、コラーゲン・エラスチン・ヒアルロン酸を生成する「線維芽細胞」を活性化させる必要があります。
光は、電磁波の一種で、波長の違いによって以下のように分類されます。
波長とは、10億分の1メートルにあたるナノメートル(nm)であらわされ、山と谷を繰り返す波の山から山(もしくは谷から谷)の長さのことです。
美容医療でよく使われるIPLの波長は、複数の波長を含み、可視光線から赤外線にあたる約500nm~1200nmまでの光を指します。
サイトンBBLsは、特定の原因物質に対して反応するフィルターを使用することで410nm~1400nmの波長を出力することができ、細胞の若返りが期待できることから次世代のIPL治療として説明されることがあります 。
サイトンBBLsは、IPL治療とおなじようにシミやシワといった肌の悩みを改善しますが、あごや首、腹部のたるみを改善するタイトニング効果が期待できます 。
レーザー(Laser)は、英語で「Light Amplification by Stimulated Emission of Radiation」の頭文字をとった言葉で「誘導放出による光の増幅」という意味があります。
レーザーは光から特定の1つの波長を人工的に取り出して作られているため、一直線に進む特徴があり、ターゲットが絞られているため、特定の悩みの改善が期待できます。そのため、レーザーのみで複数の悩みを改善するためには、悩みごとにマシンを変える必要があります。
対して 光治療は、複数の波長を含んでいるため、ひとつのマシンで、フィルターを変えることによって肌の様々な症状に対応することができます 。
サイトンBBLsには、7つのフィルター(420 nm, 515 nm, 560 nm, 590 nm, 640 nm, 695 nm, 800 nm)と3種類のスポットサイズがあり、フィルターとスポットサイズを併用することが可能で、掛け合わせによってさまざまな症状に対応することができるため、患者の悩みに合わせて施術をおこなうことができます 。
サイトンBBLsには、不要な波長をカットするフィルターを使用することができ、治療内容によってフィルターを変えることができます。
サイトンBBLsのフィルターの数字は、出力できる最短の波長が示されていて、フィルターの値に近い波長ほど強く照射されるため、その数字以下の波長をカットすることで、原因物質に強く衝撃を与えることができます。
たとえば、ニキビを改善したい場合は、ニキビの原因菌であるアクネ菌に反応する波長を選ぶ必要があります。そこで、 アクネ菌に反応する420nmのフィルターを選択し、420nm以下の波長をカットすることで、照射の最大ピークが420nmになるため、ニキビのアクネ菌に作用します 。
サイトン BBLsは、Skintyte,forever Young BBL, Forever Clear BBL, Forever Bare BBLの4種類の照射モードがあり、シミやそばかす、脱毛など対象とする悩みによって使用するモードが異なります 。
悩みにあったモードを選択することによって、使用するフィルターやスポットサイズの種類が表示されるようになっていますが、テスト照射をおこない、施術を受ける人の症状によって変更するため、あくまで目安として使用されています。
skin tyte 引き締め |
Forever Clear ニキビ |
Forever Bare BBL 脱毛 |
Forever Young BBL シワ・シミ・毛細血管拡張症 |
|
---|---|---|---|---|
410nm | ||||
420nm | 〇 | |||
515nm | 〇 | |||
560nm | 〇 | 〇 | ||
590nm | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
640nm | 〇 | 〇 | ||
695nm | 〇 | 〇 | ||
800nm | 〇 | 〇 | ||
1400nm | 〇 |
使用されている波長: 590nm~1400nm
サイトンBBLsにおけるほかの光治療機にはない特徴のひとつとしてスキンタイトがあげられます。
真皮層に吸収される波長を使用することで、線維芽細胞の働きが活性化し、ヒアルロン酸やコラーゲン、エラスチンなど真皮層を形成する成分が生成されることで、 肌の弾力やハリが回復し、毛穴の開きやシワが改善され、キメの整った健康的な肌を目指すことができます 。
また、 マシンを肌に密着させ滑らせるように連続照射をおこなうことで、マッサージ効果もあるため、引き締め効果も同時に得ることができます 。
使用されている波長:420nm、560nm、590nm
Forever Clear BBLは主にニキビの治療に使用されています。
420nmのフィルターは、ニキビの原因であるアクネ菌が生成するポルフィリンに反応し、アクネ菌を酸化させ殺菌 することができます。
560nmは、赤血球の赤い色素であるヘモグロビンに吸収されやすい波長であるため、炎症によるニキビの赤みを抑えること ができます。
skintyteでも使用する赤色の590nmのフィルターは、免疫細胞を活性化させる働きがあり、ニキビの赤みも抑えることができます。
使用されている波長: 590nm、640nm、695nm
Forever Bare BBLは、光を使用した脱毛で、 肌の色に関係なく、日焼けした肌にも照射することが可能 で、白髪や金髪、産毛の脱毛もおこなうことが可能です。
使用されている波長:515nm~800nm
Forever young BBLは、使用できる波長の幅が広く、小じわやシワなど様々な症状を改善に導きます。
使用されている波長:800nm
皮層にあるコラーゲンやエラスチンの減少、またそれらを生成する「線維芽細胞」の働きが鈍化することが小じわの大きな要因です。
真皮層に刺激を与える波長の800nmのフィルターを使用することで、線維芽細胞が活性化され、コラーゲンやエラスチンが生成されるため、小じわの改善が期待できます 。
使用されている波長:515 nm~560nm
肌は、紫外線を浴びるとメラニン色素を生成する「メラノサイト」の働きが活性化します。メラニン色素は、紫外線から肌を守るための役割があり、皮膚の新陳代謝であるターンオーバーによって皮膚の表面に押し上げられ、古い角質とともに剥がれます。しかし、紫外線や乾燥によりターンオーバーの周期が乱れ、過剰に生成されメラニン色素が肌の内部に蓄積すると、メラニン式が排出されず、シミになって表れます。
メラニン色素をターゲットにして刺激を与えることができるフィルターを使用することで、メラニン色素の排出を促進させることができます。 。
サイトンBBLsで改善が期待できるシミには、そばかすや薄いシミ、日光黒子など表皮にあるシミの改善が期待でき、シミの種類や、濃度によって波長を変える必要があります 。
ターンオーバーをしない真皮層にメラニン色素が存在している以下の症状の場合は、サイトンBBLsで改善が見込めないことがあります。
肝斑は、30代~50代の女性に多く発症するシミの一種で、目の下から頬にかけて、左右対称に逆三角形の範囲にできることが特徴です。
原因ははっきりと解明されていませんが、メラニンの過剰生成や、肌へのこすり刺激、女性ホルモンのバランスの乱れなどの原因によって発症するといわれています。
サイトンBBLsでは、真皮層にメラニン色素が沈殿した肝斑の改善が期待できないことがあります。
ADMはあざの一種で、20代ごろからグレーから青みがかった斑点が頬や額に生じることが特徴です。 詳しい原因がまだ解明されていませんが、メラノサイトが真皮層で増え、メラニン色素が生成することで症状が引き起こされるといわれています。
太田母斑は、思春期以降に発症する場合と、生後1年以内に発症し濃くなっていく場合があり、メラノサイトの異常によって引き起こされると考えられていますが、はっきりとした原因は解明されていません。
通常のメラノサイトは、ターンオーバーがおこなわれる表皮に存在し、メラニン色素の生成をおこないますが、太田母斑は、真皮層にメラノサイトが存在するため、メラニン色素が真皮層に蓄積されることで生じます。
見た目の特徴として、目の周りや頬・額の片側の顔に青いシミが生じることが多い傾向にあり、メラニン色素が皮膚の深い位置で蓄積するほど青紫色のようなシミになります。
使用されている波長:560nm,590nm
Forever young BBLでは、赤血球の赤い色素である ヘモグロビンに反応する560nmと590nmのフィルターを使用することで、毛細血管が収縮したり、不要な毛細血管を破壊することができるため、肌の赤みを抑えることができます 。
サイトンBBLsは、一度受けただけでも効果を実感することもありますが、 3週間~4週間に一度の間隔で、約5回~6回受けることを推奨されています が、症状によって間隔や施術回数が異なります。
保険が適用されない自由診療なので、医療機関によって値段が異なります。
初回はお試し価格で受けることができる医療機関もあり、2回目の施術以降は料金が高くなる傾向にあります。
回数 | 値段 |
---|---|
初回 | 9,350円~22,000円 |
2回目以降 | 10,780円~44,000円 |
(1)洗顔
照射の前にメイクを落とし、洗顔をしてから照射の準備に入ります。
(2)テスト照射
照射時は強い光を発するため、アイシールドを装着し、照射部にジェルを塗布します。 肌質や毛質などをみて出力を調整して、問題がない確認します。
(3)サイトンBBLs照射
強い痛みはないため、麻酔は使用しません。
施術時間は20分~40分です。
(4)アフターケア
施術後にほてりが残る場合は、医療機関でクーリングする場合があります。
施術によっては、当日にメイクができることもあるので、医療機関の指示に従ってください。
施術後は肌がとても敏感な状態のため、乾燥しないように保湿をおこなってください。また、 紫外線を浴びると、シミが増えたり、症状が悪化したりする場合があるため、約1カ月間は日焼け止めを使用することが推奨されています 。
症状 | かかる日数 |
---|---|
赤み | 直後~数時間以内 |
腫れ | 直後~数日以内 |
かさぶた (シミに反応した場合) |
翌日~数週間 |
施術直後は、施術部位に赤みや腫れが伴うことがありますが、赤みは数時間以内、腫れは数日以内におさまります。
シミに反応した場合は、かさぶたができますが、1週間~数週間ではがれおちます。
かさぶたを無理にはがすと色素沈着が生じる場合があるので、自然にはがれるのを待ちましょう 。
ピコレーザーやピコトーニングは、レーザー治療のため、特定の症状に対して高い効果が期待できます。 BBLは、熱でメラニン色素を損傷させるのに対し、ピコレーザーはレーザーの衝撃波で色素を粉砕 します。
ピコレーザーは、小さな物質を粉砕するのが得意であるのに対し、サイトンBBLsを含む光治療は大きな物質を熱によって損傷させることを得意としています。
そのため、ピコレーザーはメラニン色素が少ない薄いシミの改善に効果が期待できます。
ピコトーニングとは、メラニン色素の生産元となるメラノサイトを刺激することなく、表皮層のメラニン色素を消失させて、肌のターンオーバーを促進させる治療法です。
ピコトーニングは、サイトンBBLsではむずかしいとされている肝斑の改善が見込めますが、照射できる範囲が限られていて、光治療と比べてエネルギーが強いため、痛みを伴うとともに施術部位がかさぶたになる可能性があります。
サイトンBBLsでは、広範囲の施術が可能なだけでなく、レーザーに比べて出力が弱いため、痛みを感じにくく、ダウンタイムも短い傾向にあります 。
フォトフェイシャルもサイトンBBLsも光で治療をおこないますが、照射する光の波長が異なることで、サイトンBBLsではタイトニングの施術も可能です。
また、サイトンBBLsは、照射範囲を変更するスポットサイズの取り換えが容易であることも違いといえます。
ライムライトは、 開発にあたって日本人のドクターが携わっているIPL機械とされ、東洋人の肌に合わせて開発されたといわれています 。
ライムライトは、Xeo(ゼオ)[※1]というマシンの先端に取り付けるハンドピース[※2]のため、施術の際はXeoにライムライトを装着して使用します。
ライムライトおよびXeoはFDAに認証されている医療機器です。
サイトンBBLsは、多数の波長の出力が可能で、さまざまな症状の改善が期待できる施術である一方で、症状に適した波長を選ぶ必要があります。
モードを選択して施術がおこなわれるため大きな失敗はないものの、シミやニキビの状態・症状によって波長を選択するフィルターやスポットサイズを変更しなければなりません。
そのため、以下の失敗をしないためにも、 自身の症状に適した施術方法を選択でき、施術後の経過を事前に説明してくれるドクターが所属する医療機関を選ぶことが大切 です。
サイトンBBLsでご自身が思っていた効果を実感できなかった場合は、使用する波長が異なる場合があります。
サイトンBBLsで、改善が見込めるシミに照射すると、メラニン色素が表面に浮き出てくるため、一時的にシミが濃くなり、マイクロクラフトというかさぶたのようになります。ただし、その後、1週間~10日程度でかさぶたが剥がれ落ち、剥がれ落ちればシミが薄くなります。
サイトンBBLsでは、そばかすや日光黒子など、皮膚の表面にメラニン色素が存在しているシミに効果が期待できます。そのため、シミが増えた、または濃くなって剥がれない場合は、太田母斑や肝斑など改善の効果が期待できないシミである可能性があります。
サイトンBBLsは、多数の波長を出力することができ、スポットサイズも変更でき、施術を受ける人の悩みや症状にあわせた治療が可能ですが、施術を受ける人ごとに波長やサイズを変更する必要があります。
医療機関によっては、皮膚科の専門医がいなかったり、看護師主導で治療をおこなうことがあるため、 カウンセリングから皮膚科の専門医が診断する医療機関を選ぶことで、施術後のリスクや失敗を避けることができます 。
また、サイトンBBLsだけでなく、 ほかの施術方法を知っていて、適切な治療方法を選択できるドクターに施術をしてもらうことによって、自身が求めている肌へと近づくことができるといえるでしょう 。
イオン導入とは、イオンフォトレシス法といわれ、シミやくすみが気になる方はビタミンC、肝斑が気になる方はトラネキサム酸など自身の悩みにあわせて美容液を肌に塗布し、皮膚に微弱な電流を流すことで、美容有効成分を肌の奥まで浸透させる方法です。 サイトンBBLsの施術後の肌にイオン導入で有効成分が浸透すると、施術によるダメージからの回復が早まるとされています。