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海外で肝斑治療につかわれるクリーム「シスペラ」とハイドロキノンの違い

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記事監修

黄 聖琥
黄 聖琥 医師

KO CLINIC

形成外科専門医 日本形成外科学会 日本レーザー医学会(評議員) 日本美容外科学会 日本美容皮膚科学会 日本乳房オンコプラスティックサージャリ―学会 日本抗加齢医学会

黄 聖琥医師のいる医療機関

KO CLINICKO CLINIC
お問い合わせ先:045-651-1117

海外で肝斑治療につかわれるクリーム「シスペラ」とハイドロキノンの違い

シスペラ(Cyspera®)は、アメリカの皮膚科学会であるAAD(American Academy of Dermatology Association)の2013年の年次総会で、30名の肝斑患者を対象とした症例につかわれたクリームです。

1日1回のクリーム塗布を16週間継続することで、明るく健康的な肌へ導くとされます。ただし、シスペラを効果的かつ安全に使用するには、定められている使用方法を事前に確認しておく必要があります。

また、自身にあった方法を選択するには、他との違いを知っておくと安心です。美白効果をうたう成分はいくつか種類がありますが、なかでもメラニン合成酵素を抑制するとして知られている「ハイドロキノン」との違いを確認していきます。

シスペラはシステアミン配合のクリーム

シスペラにはさまざまな成分が配合されていますが、なかでも注目されているのが「システアミン(cysteamine)」です。

システアミン1966年Chavin博士の研究チームによって、システアミンを黒い金魚に注射すると、白く脱色することが発見されました。さらに1968年には Pathak博士とBleehen博士の研究チームにより、ハイドロキノンよりも効果があることが示されています。

システアミン配合クリーム製品化の背景

このように、従来システアミンの効果は確認されていながら製品化されてこなかった理由として、システアミンには刺激的な臭いがあり、皮膚への塗布剤として製品化することが困難だったことが挙げられます。

しかし、2012年にScientis(サイエンティス)社が外用剤として成分を安定化させて、強力に臭いを減少させる新しい技術を開発。それにより、システアミンを5%配合したシスペラがクリームとして製品化されました。

システアミンは、髪の毛のパーマ液の成分としても使われていることから、シスペラは「パーマ液のような臭い」と表現されることもあるように、独特の臭いがあります。

髪はタンパク質の一種「ケラチン」が、シスチン結合、イオン結合、水素結合といったさまざまな形で結合していますが、パーマはその結合を還元剤(1液)で切り、酸化剤(2液)で再度結合することでウェーブを付けたりストレートにしたりしています。システアミンは、ケラチンのさまざまな結合のうち「シスチン結合」を還元する1液に含まれます。

パーマ液とおなじ成分がシスペラに含まれることを知って、肌への塗布に抵抗を感じる方がいるかもしれませんが、海外では効果が示されているほか、シンガポール、韓国、マレーシア、台湾などのアジア各国だけでなく、アメリカやヨーロッパでも化粧品として広く使用されています。

活性酸素の働きを抑制するシステアミン

システアミンは体内で活性酸素の働きを抑制する抗酸化物質として作用します。

抗酸化物質を含むさまざまな物質は分子から成ります。分子は物質の性質をもつ最小単位で、原子の組み合わせで構成されています。このうち、活性酸素は原子や分子において電子が奇数であるものをいいます。

原子の中心には電子が2つずつ対になっている原子核がありますが、なかには電子が奇数のものがあり、活性酸素がそれにあたります。

活性酸素は電子が対になっていないため不安定で、他から電子を奪う(酸化させる)ことで安定しようとします。 対して、酸化の反対である「還元」として働く抗酸化物質は、活性酸素に電子を与えることで活性酸素の酸化力を無力化し、酸化を防ぎます。

活性酸素は体内に酸素が取り込まれることで生じ、細菌などの有害物質から体を守っていますが、過剰に生成されると健康な細胞も攻撃してしまいます。それによって、シミ・シワ・たるみといった症状があらわれるようになります。

そこで、抗酸化物質により過剰に生成される活性酸素の働きが抑制されると、これらの症状の予防が期待できます。

シスペラが向いている方

  • 日焼けによるシミ・ソバカスが気になる方
  • ニキビ跡などの色素沈着が気になる方
  • 唇のくすみや色素沈着が気になる方
  • 目の周りの色素沈着を何とかしたい方
  • 体の黒ずみが気になる方

シスペラが使用できる部位

シスペラは顔だけでなく、あらゆる部位に使用できます。皮膚状態によっては刺激が出やすくなる場合がありますので、ドクターのアドバイスにより塗布時間を短くするということもあります。

  • 顔(目のまわり・唇ふくむ)
  • 手背
  • 乳輪
  • お尻
  • デリケートゾーン

シスペラと「ハイドロキノン」の違い

ハイドロキノンは、メラニン色素を生成する酵素「チロシナーゼ」の働きを抑制することで知られ、ハイドロキノン配合のクリームは、レーザーなどのシミ治療と併用されることも多い外用薬です。

シスペラに含まれるシステアミンにも、ハイドロキノンと同様にチロシナーゼを阻害する働きがありますが、何が違うのかを確認していきます。

使用上の注意事項があるのがハイドロキノン

ハイドロキノンクリームを長期にわたって使用すると、皮膚の一部が白くなる白斑(はくはん)のリスクがあるほか紫外線にあたるとシミが濃くなるなど、ハイドロキノンは使用にあたって注意が必要な成分です。

対してシスペラは、開始直後は刺激を感じることがあっても徐々に肌が慣れていくことで、長期使用によるリスクはないとされます。

また、シスペラの使用期間中は、効果をより実感できるよう外出時には紫外線対策が推奨されていますが、「シミが濃くなる」など光で化学変化を起こすことはない(光過敏性・感光性がない)ため、朝・昼・夜のいつでも好きな時間帯に使用できます。

ハイドロキノン使用の注意事項

副作用を伴うことがある
ハイドロキノンは、シミを薄くしたり予防したりする効果があるとされ「肌の漂白剤」とも呼ばれることがある成分。赤み・かぶれ・かゆみ・肌荒れといったアレルギー反応を伴う場合があることも特徴。
単独だと皮膚への浸透性が低いため、皮膚の新陳代謝である「ターンオーバー」を早めて古い角質を除去する「トレチノイン」と併用されることが多い。トレチノインの使用においては皮むけ(古い角質の剥脱)、乾燥、赤みといったダウンタイムを伴うことから、ハイドロキノンとトレチノインを併用する治療は、肌に合わず敬遠される方もいる。
白斑のリスクがある
長期にわたって使用すると効果が表れにくくなるほか、白斑のリスクが高まる。
シミが濃くなる可能性がある
ハイドロキノンクリームを塗布した部位のシミは、紫外線にあたると濃くなるケースがあるため、外出前の使用は控える。

シスペラはハイドロキノンアレルギーの方も使える

シスペラには、ハイドロキノンクリームであらわれるようなアレルギー反応がないため、以下のような方でも使えます。

  • ハイドロキノンアレルギーの方
  • トレチノインとハイドロキノンを併用する治療方法のダウンタイムが気になる方

シスペラはドクターの判断で使用されるクリーム

長期にわたる高濃度のハイドロキノンの使用は白斑のリスクが高まるため、購入にはドクターの処方せんが必要ですが、低濃度であれば化粧品として自身で購入できます。

一方、シスペラはドクターが診察して、必要と判断した場合に使用されるクリームで、ドクターの責任で取り扱われます。

2段階に分かれるシスペラの使用方法

シスペラの使用は2段階に分かれます。

  • 1段階目(集中治療期): 1日1回を16週間
  • 2段階目(維持治療期):週に2日、1日1回ずつ

まずは、16週間の集中治療をおこない、その後、維持治療として週に2日シスペラを使用することで健康的な肌へと導きます。

使用する時間帯は、朝・昼・夜のいずれの時間帯でも可能ですが、ターンオーバーがおこなわれる夜の使用が、より早く効果を実感されるとされます。

シスペラ使用中は肌の十分な保湿を心がけ、日中はSPF50などSPF値の高い日焼け止めの使用が推奨されます。

1日1回のシスペラの使用方法

肌を休めてからシスペラを塗布

シスペラは浸透力が高いため、ある程度皮脂が残っている肌に塗布することが望まれます。 洗顔後の乾燥した肌に使用すると、強い赤みや発疹などの刺激が生じやすいため、洗顔後に使用する場合は、1時間以上時間をおいてから塗布します。

時間をおく間に化粧水などで保湿をしても問題ありません。むしろ保湿後のシスペラの使用は、肌が乾燥していることで発生する刺激を抑えられます。

シスペラ塗布後は15分待つ

1回の使用量は2回~4回プッシュ分で、全体的に塗布し15分待ちます。 15分より長い時間洗い流さず塗布したままにしておくと、赤みや刺激が生じる可能性があります。

洗い流す

洗顔料で洗ったあとはぬるま湯で洗い流します。

保湿する

洗顔後はしっかりと保湿します。

シスペラを使う前に知っておくべきこと

シスペラ塗布後の刺激感は徐々になくなる

副作用としてピリピリする刺激感や熱感、赤みが生じる場合がありますが、洗い流して時間を置くことでおさまります。

このような反応は正常なもので、シスペラを塗布し始めた日から数日程度つづくことはあっても、徐々に肌が慣れることで、刺激感はなくなるとされます。ただし、数日経っても改善が見られない場合は医療機関にご相談ください。

シスペラは15℃~30℃で保存

シスペラは、15℃~30℃の室温での保存が望ましいとされます。

また、シスペラは空気に触れると酸化して茶色くなる性質があるため、使用する際、酸化したクリームが付着している場合は取り除いて使う必要があります。

なお、シスペラの容器は真空状態で密閉されています。ポンプ式で中身を押し出しているため、容器内のクリームが空気に触れることはありません。

シスペラとほかの美容医療の併用について

皮膚の古い角質を除去するピーリング施術や、美容医療を受けた後のダウンタイム中は、シスペラの使用は控えることが推奨されています。

シスペラを使用できない方

  • 敏感肌の方
  • ピーリング治療中の方
  • 皮剥けや赤みがある方
  • 試験を実施していないための理由から妊娠中や授乳中の方、15歳以下のお子様(小児)
  • レチノールやトレチノインを使っている方

レチノールはビタミンAのことです。トレチノインはレチノールの構造を変えたもので、日本の厚生労働省にあたるFDA(米国食品医薬品局)から、肌のシミ・シワ・ニキビの治療に使われる医薬品として認可されています。シスペラと一緒に使うと刺激が増強する可能性があります。

参考文献:Tretinoin

シスペラの購入における注意点

シスペラは医療機関および医療機関の運営サイトで購入することができ、容量50gで35,200円(税込)です。

なお、美白を目的としたクリームの購入については、厚生労働省より注意喚起がなされているため、ドクターの診察のもと正規品を使用するようにしてください。

「インターネットを介して個人輸入した美白を目的とする海外製クリーム剤の使用にご注意ください」

KO CLINICのシスペラによる治療

記事を監修いただいた黄先生にシスペラに関してお話を聞きました。

KIREI
黄先生は、シスペラをどのような方におすすめしていますか?
通常ですと、ハイドロキノンやルミキシルといった美白剤とともに、トラネキサム酸やビタミンC・Eといった内服薬とレーザー治療などを併用することで、1年で肌の状態が改善することを目標にしています。半年で8割程度の達成を目指していますが、なかには回復が見込めない方がいます。そのような、通常の治療では回復がむずかしい方にシスペラを使っています。
KIREI
シスペラの使用をやめてしまうと肌の状態が元に戻ってしまうことはありますか?効果を維持するにはどうすればいいでしょうか?
シスペラは肌機能を正常に保つ補助をおこなうため、シスペラの使用をストップすることで肌質が悪化するものではないと考えます。肌を健康に保つには紫外線対策とスキンケア(摩擦を避けて十分に保湿すること)が必要不可欠で、日常的に意識してそれを継続することが肌の健全な状態を保つのに大切です。
KIREI
トレチノインとハイドロキノンの併用と比べてシスペラは効果やリスクの面でどう違いますか?
トレチノインとハイドロキノンの併用療法は、適正量を守らず個人の判断でやり過ぎてしまうと、皮膚の新陳代謝が促進し過ぎて必要なバリア機能が低下してしまう可能性もゼロではありません。シスペラにはレチノールほど強くはないほどよいピーリング効果があるため、バリア機能を保ちながらメラニン色素の排出作用が進む傾向にあります。
KIREI
シスペラを使用する上での注意点はありますか?
医療機関での治療は、日常的に紫外線を浴びやすい生活環境・習慣があるのかどうか、メラニン色素を作り出すメラノサイトの状態、皮膚の表面に蓄積しているメラニン色素の状態などから、どのような手段が有効なのかを見極めながら治療をおこないます。

そのため、一概にどの症状にシスペラが効くと言い切ることはできません。肌の状態によってはシスペラではない他の方法での治療が必要なケースもあります。または他の治療或いは既存の外用剤で十分事足りる場合もあります。患者さんの状態によっては、既存の治療では色素沈着が改善しない場合に、シスペラが有効に働く場合があります。基本的には肌診断をしっかり行っている美容皮膚専門の医療機関で診察を受けてからの使用をお薦め致します。
KIREI
黄先生ありがとうございました!

以下は、KIREIに登録しているドクター限定で閲覧できる内容となります。

シスペラのシステアミンは活性酸素の働きを抑制

システアミンは哺乳類細胞にみられる化合物システアミンは、体内における必須アミノ酸「L-システイン」が分解されたときにできる分解生成物で、メラニン色素の合成を阻害します。

システアミンは、哺乳類の中でもヒトの母乳において高濃度に含まれているとされ、抗酸化物質として作用します。

システアミンが色素沈着の過程にあたえる影響

メラニン色素による色素沈着の過程を確認

皮膚は外側から表皮・真皮と層状になっていますが、表皮はさらに4層にわかれています。シミや肝斑の原因となるメラニン色素は、「メラノソーム」といわれる袋状の器官に貯蔵されます。メラノソームは、表皮の一番下の層である「基底層」にある色素細胞「メラノサイト」に存在します。

メラニン色素が充満したメラノソームは、タンパク質などの働きでメラノサイトから皮膚細胞「ケラチノサイト」に渡され、健康的な皮膚であれば、ターンオーバーにより上へ上へと押し上げられていきます。その過程でメラノソームは消化され、メラニン色素は最終的には古い角質とともに体外に排出されます。

しかし、メラノサイトの活性化によるメラニン色素の過剰生成、紫外線や摩擦の影響によるターンオーバーの周期の乱れなどがおこると、メラニン色素が体外に排出されづらくなり、蓄積して色素沈着となってあらわれます。

チロシンの化学反応で生成されるメラニン色素

シスペラに含まれるシステアミンのような抗酸化物質は、メラニン色素の生成経路に影響を与えることが知られています。

紫外線などの刺激を受けてメラノサイトが活性化すると、メラノソーム内で以下のような化学反応がおこり、メラニン色素が作られます。

  1. チロシンが「チロシナーゼ」で酸化される
  2. 「ドーパ」が生成される(チロシンヒドロキシラーゼ活性)
  3. ドーパがチロシナーゼの作用であるドーパオキシターゼによって酸化され「ドーパキノン」が生成される(ドーパオキシダーゼ活性)
  4. 「ドーパキノン」が酸化して「インドロール化合物」に変化
  5. メラニン色素になる

メラニンの生成経路におけるシステアミンの作用

メラニン色素の生成を妨ぐには以下の9つの作用が有効とされ、シスペラにはシステアミンとナイアシンアミドが含まれることによって、5つの作用があるといえます。

作用機序 成分
チロシナーゼ阻害剤 システアミン,ハイドロキノン,コハク酸,アルブチン,アゼライン酸,アスコルビン酸,エラグ酸,グリコール酸,EFG
ドーパオキシダーゼ阻害剤 システアミン,マルベリーエキス
ペルオキシダーゼ基質の阻害剤(酸化ストレスから守る) システアミン
細胞内のグルタチオン増加 システアミン
メラノソーム移行の阻害 ナイアシンアミド,大豆エキス,イプセレン,ドリアン酸
抗ホルモン剤 フルタミド
角質層のターンオーバーの向上 トレチノイン,グリコール酸
プラスミン経路のブロック トラネキサム酸
細胞毒性 ハイドロキノン

具体的には、システアミンは以下のような作用によって、メラニン色素の生成を抑制するとされています。

  • チロシンが酸化されることの阻止
  • ドーパの生成を抑制
  • インドール化合物への変化の阻害
  • 鉄、銅イオンのクエンチング(消光)によるフェントン反応※の阻害(※フェントン反応が起こると活性酸素が生成されます)
  • ドーパキノンのクエンチング(メラニン生成経路からドーパキノンの除去)
  • 細胞内のグルタチオン(抗酸化作用)の増加作用
  • 角質層の暗いメラニンを抗酸化作用で明るい色へと還元

角質層における暗いメラニンを明るい色へと還元する作用は、黒いメラニン(ユーメラニン)と黄色のメラニン(フェオメラニン)の2種類あるメラニン色素において、抗酸化作用が働くことで黒いメラニンの生成を防ぐことを意味します。

黒いメラニンが作られるドーパキノンが酸化する過程で、抗酸化作用の成分が存在すると、明るい色の黄色のメラニンが作られます。

システアミンとハイドロキノンの違いについて比較

システアミンには、ハイドロキノンの作用機序でもあるチロシナーゼ阻害のほかに、ペルオキシダーゼやドーパキノンの阻害、グルタチオンの増加、活性酸素を発生させる反応の阻害など、メラニン色素の生成を阻止する複数の作用があることがわかります。

  システアミン ハイドロキノン
分子の由来 ヒト由来 化学物質
作用機序 チロシナーゼ阻害、ペルオキシダーゼ阻害、細胞内グルタチオンの増加作用、ドーパキノンの反応停止(クエンチング)、活性酸素を発生させるフェントン型反応阻害、角質層のメラニン減少 チロシナーゼ阻害
メリット 脱色効果が高い、感光性なし、生体適合性&酸化の程度は許容範囲 脱色効果が高い
副作用 (指示通りに使用しない場合につき)軽度の刺激 リバウンド(色素沈着の悪化)、感光性、組織褐変症、黒斑点、脱色
安全性 非細胞毒性,抗変異原性,抗発癌性,放射線防護剤

ハイドロキノンにおいては副作用として「色素脱失」があり、ハイドロキノンは刺激が強いことから長期にわたって使用すると、白斑のリスクが高まります。

また、変異原性の可能性および発がん性のある化合物として知られており、組織褐変症を誘発することが知られています。

参考文献:Hydroquinone and its analogues in dermatology - a potential health risk
参考文献:Exogenous ochronosis: the failure of depigmenting creams
参考文献:Exogenous Ochronosis

システアミンやハイドロキノンのほかにも、メラニン色素の生成に作用するとされる成分はいくつかあります。たとえば、トラネキサム酸、コウジ酸、アルブチン、アゼライン酸、レチノイド、ヒドロキシ酸などの非ハイドロキノン系外用剤がありますが、これらは長期にわたって使用しても副作用がないとされるものの、効果もマイルドであるといわれます。

シスペラは副作用が少ない

以下は40人の肝斑の患者(日本人に多くあるスキンカラータイプ「フィッツパトリック皮膚タイプIII、IV、およびV」の18~50歳の女性および男性)に、毎日使用してもらったことによるデータです。

  ない 軽度 中度 重度
乾燥 80% 20% 0% 0%
紅斑 65% 20% 15% 0%
刺激 80% 15% 5% 0%
かゆみ 75% 25% 0% 0%
熱感 75% 15% 10% 0%
脱色 100% 0% 0% 0%

参考文献:Farshi et al, 2018, JDT 29:2, 182-189

上記のデータでは、「紅斑」や「熱感」は中程度感じられる方もいますが、肌色の色素脱失は生じていないことがわかります。

海外で発表されているシスペラによる治療

海外における16週間のシスペラによる治療では、肝斑病変のメラニン指数が67%減少したこと、肝斑面積において58%減少したことが示されています。(日本人に多くあるスキンカラータイプ「フィッツパトリック皮膚タイプIII、IV、およびV」の18~50歳の女性および男性の患者)

そのほか、冒頭で紹介したAADでの症例以外でも複数の臨床評価にて結果が示されています。

ダブル・ブラインド・テストによる結果

英国皮膚科学会誌BJD (British Journal of Dermatology) において、2015年、50名の表皮性肝斑患者を対象とした初の二重盲検試験(ダブル・ブラインド・テスト)がおこなわれ、効果が確認されました。

ダブル・ブラインド・テストとは、薬の有効性や治療効果を確認するために一般的におこなわれる方法です。薬の本当の効果を確かめることを目的としていて、治療をする側もされる側も、本物の薬がどちらかわからない状態で治験がおこなわれます。

参考文献:Evaluation of the efficacy of cysteamine 5% cream in the treatment of epidermal melasma: a randomized double-blind placebo-controlled trial

シミを薄くするほかの治療との比較

「Skin Reserch & Techonology」では50人の肝斑の患者における治療で、クリグマン処方より優れた有効性および忍容性が認められた臨床結果が示されています。

クリグマン処方は、クリグマン医師とウイルス医師が共同で作り上げたホワイトニング用塗り薬「クリグマン軟膏」(ハイドロキノン・トレチノイン・デキサメタゾン配合)による治療で、6週間~8週間で、シミを薄くする効果があると報告されています。

なお、シスペラはクリグマン軟膏で効果が見られない場合にも使用できます。

参考文献:Clinical evaluation of efficacy, safety and tolerability of cysteamine 5% cream in comparison with modified Kligman's formula in subjects with epidermal melasma: A randomized, double-blind clinical trial study

また、内服薬としても使用されシミ治療に用いられる「トラネキサム酸」を、針で皮膚に注入する「トラネキサム酸メソセラピー」よりも合併症が少なく同等の効果が得られたということが、治療結果で示されています。

参考文献:Clinical evaluation of efficacy and tolerability of cysteamine 5% cream in comparison with tranexamic acid mesotherapy in subjects with melasma: a single-blind, randomized clinical trial study

【ドクター限定】黄先生にシスペラについて聞きました

シスペラに関して、ドクターからのよくある質問について黄先生にお答えいただきました。

KIREI
どのような症例でシスペラを使っていますか?
難治の症例に対してシスペラを使っています。
紫外線対策や正しいスキンケアとともに美白剤を使いながら、IPLやレーザートーニング、ピコレーザーによる治療によって、半年で8割程度の改善達成を目標にしています。しかし、なかには肝斑や色素斑が残ってしまい8割程度の改善が見込めない症例があります。

このような症例では肝斑と色素斑が混在し重なっている状態にあります。過刺激状態のメラノサイトを刺激せず守ることと、色素斑を壊す治療が必要となりますが、2つの治療は相反するため同時におこなうことは難しくなります。

その場合はまず、外用薬や内服薬、紫外線対策やスキンケアによってメラノサイトを安定させる必要があり、そこでシスペラを使っています。
KIREI
レチノールとの併用はNGと聞きますが、実際はいかがでしょうか?
NGであるということはありませんが、レチノールを使うことで刺激してしまうような、デリケートなメラノサイトの状態である症例にシスペラを使っているため、レチノールと併用することはありません。
KIREI
日本人の肌(スキンタイプⅡ~Ⅲ)への効果はいかがでしょうか?
スキンタイプⅡ~Ⅲの日本人の肌との相性はいいと考えます。 白人と比較すると、黄色人種である日本人は日焼けすると色素沈着しやすいことからもわかるように、もともとメラノサイトが刺激されやすい肌です。そのため、治療ではメラノサイトへの刺激を考慮する必要がありますが、シスペラはメラノサイトへの刺激が比較的少なく、メラニン産生抑制作用によって色素沈着を改善に導く傾向にあり、難治例やスキンタイプの高い肌に適応がいいと思います。
KIREI
シスペラをどのように治療に取り入れていますか?レーザーとの併用は常に必要でしょうか?
レーザー治療によってメラノサイトが刺激されてしまう状態である場合は、レーザーなどのデバイスを使った治療はおこなわず、場合によってはシスペラなども含めた保存療法をおこないます。 メラニン色素を産生するメラノサイトを守る一番いい方法は、レーザー治療をおこなわずシスペラなどの外用薬・内服薬・紫外線対策・スキンケアによる保存療法です。保存療法によってメラノサイトが安定してきたら、より効果を出すためにレーザー治療を加えていくというのが基本的な考えです。
KIREI
シスペラのメリット・デメリットはどのような点とお考えでしょうか?(シミの治療効果を高めるためにはどのように使うのがいいでしょうか?)
レーザー治療によって強い色素沈着を起こしていると、皮膚の色素の脱失も同時に起こしてまだらになっていることが意外とよくあります。このとき美白剤を使って色素沈着を回復させていきながら、脱失箇所もいかに回復させていくかがポイントになります。

そこでシスペラを使うと、脱失箇所を悪化させずに回復させつつ、色素沈着も回復させて肌色を均一化します(保存療法やニードルRFも併用しています)。このように調整が難しい症例にも使うことができる点が気に入っています。

デメリットはコストが高い点です。そのためハイドロキノンやルミキシルを使って回復できる症例では、あえてコストの高いシスペラを使う必要はないと考えています。
KIREI
黄先生ありがとうございました!

監修医師の紹介

KO CLINICの院長である黄 聖琥(こう せいこ)医師。画像診断機による解析で適切な施術をおこなう「カスタマイズ治療」の第一人者として、これまで多くの学術会・講演会に登壇する。平成19年より肝斑の臨床研究を開始、現在では複数台のレーザーを使用した治療法を多くのドクターや医療従事者へ指導。健康的で美しい素肌を目指すスキンケア医療を主体とした施術を確立。おもな著書に「素肌がきれいになると人生が変わる!」他多数。

黄 聖琥医師のいる医療機関

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