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ヒアルロン酸製剤カイセンスのリスクを回避して患者満足度を高める注入メソッド

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記事監修

篠原 秀勝
篠原 秀勝 医師

スキンリファインクリニック銀座

日本形成外科学会 正会員 認定専門医取得 日本臨床皮膚外科学会 正会員 日本頭蓋額顔面外科学会 正会員

ヒアルロン酸製剤カイセンスのリスクを回避して患者満足度を高める注入メソッド

ヒアルロン酸注入療法は、加齢によって生じるほうれい線・マリオネットラインといったたるみによる変化を目立たなくしたり、額や顎、鼻、唇などに注入して輪郭や形を整える施術です。

様々な悩みが解決できるヒアルロン酸注入療法ですが、その理由は製剤と注入方法について研究が重ねられ、進化し続けていることが挙げられます。

2021年2月にEUで発売されたヒアルロン酸製剤にカイセンス(KYSENSE®)があります。カイセンスは安全性が高く、自然なリフトアップが期待できるヒアルロン酸製剤です。

ヒアルロン酸注入療法において、合併症やトラブルを回避したうえで理想の治療効果をもたらすには、製剤の特性をよく理解することと、カイセンスに適した注入方法が選択される必要があります。

一般的なヒアルロン酸注入療法における合併症・リスクを回避する方法はもちろん、患者満足度を高めるための注入方法とともに、カイセンスの特性を解説していきます。

ヒアルロン酸注入の合併症・トラブルを回避する方法

美容医療のなかでも需要の高まるヒアルロン酸注入療法ですが、合併症が起こるリスクがあります。しかし、知識を得ておくことで最小限に抑えられることがほとんどです。

また、患者様とのトラブルを未然に防ぐためには、施術者は施術前に起こりうる合併症について説明し、納得と同意を得ておくインフォームド・コンセントが重要です。

施術によるメリットとともにリスクを含めた情報提供を十分におこない、患者様と信頼を築く必要があります。それによって、万一合併症が起こったとしても迅速かつ適切に対処できる可能性が高くなります。

ヒアルロン酸注入療法における軽度・中等度の合併症

内出血・紅斑

針で微細な毛細血管を傷つけてしまうことによって内出血が生じたり、薬剤や針の注入刺激による生体の防御反応として紅斑が生じることがあります。

内出血は頻度の多い合併症で、注入翌日ないし2,3日後から出現し2週間~3週間程度で消失します。皮下脂肪層に存在する赤~黒の血液のかたまりを皮膚というフィルターを通してみている状態で、紫色に見えます。その後、時間経過で黄色っぽく変化します。

紅斑については注入後の冷却が有効とされ、2日~3日で治まることがほとんどです。

内出血・紅斑は、基本的に経過観察となりますが、発赤、腫脹、熱感、疼痛、圧痛がある場合は感染症の疑いがあります。その場合は抗菌薬で治療します。

なお、針を刺す回数が増えると感染症のリスクが増えるため、注意が必要です。

浮腫・腫脹

注入直後は、注入刺激や異物が生体に入ることによる生体反応で、注入後2日~3日程度、軽度の浮腫が生じることがよくあります。

注入したヒアルロン酸が体内の水分で膨張し、一時的に浮腫のようになることもあります。そのため、過剰な矯正とならないように少量を注入していくことがポイントです。

また、注入後数日経過して腫れてくる、注入していない場所にもむくみを生じるなどの、アレルギー様症状が出る場合があります。この場合にはヒアルロン酸を溶解するのではなく、アレルギー用の内服や点滴などで治療することが必要です。

再注入については、必要であれば2週間以上の経過を経て検討するのがよいでしょう。

内出血や浮腫はどんなヒアルロン酸製剤でも、施術者が誰であっても高い頻度で起こりうる合併症なので、患者様とのトラブルを未然に防ぐためにインフォームドコンセントが重要です。

遅延型アレルギー反応・異物肉芽腫

遅延型アレルギー反応として、施術から数カ月以上経過後、時には1年以上経過してから、発赤・硬結・結節性変化が見られることがあります。

異物肉芽腫は、異物による慢性的な炎症で生じるしこりのことで皮膚の真皮層への注入で起こりやすいとされています。

遅延型アレルギー反応や異物肉芽腫が起こった場合は、自然治癒することもありますが、多くは長期間残存します。見た目に問題がない場合には、そのまま経過を見ることもありますが、見た目上凹凸がみられるなどの場合には、ステロイドの局所注射やヒアルロン酸を溶解するヒアルロニダーゼの注入で処置することが現実的です。改善が見られない場合は切除施術を検討します。

チンダル現象、不自然な凹凸

チンダル現象、不自然な凹凸は皮膚が薄い眼窩周辺で起こる可能性が高く、ヒアルロン酸製剤の性質の影響もありますが、多くは皮膚の表面、浅い部分に注入するとみられる合併症です。

チンダル現象は、皮膚の下にあるヒアルロン酸の粒子が、光を散乱させて青白く見える症状です。また、不自然な凹凸は表情を作った時に目の周りの眼輪筋の動きによってヒアルロン酸が膨隆することで生じます。

シンプルに顔面の解剖学的構造を解説すると、頭蓋骨を筋肉が覆い、その上に皮下脂肪層があり、表面を皮膚が覆うというミルフィーユの様な層状の構造です。場所によってはさらに複雑な場所もあります。

このような解剖学的構造を理解し、眼輪筋の上に打つか下の層に打つかを適切に判断したうえで、注入量は極少量とすることで、未然に防げる可能性は高くなります。

ヒアルロン酸注入療法における重度の合併症

重症化する合併症は、顔面の血管走行を理解していないことによる血管内への誤注入や、過剰注入による血管の圧迫で発生率が高まります。

解剖学的知識を持ち合わせていて実戦経験が豊富なドクターであれば、誤注入や過剰注入になる可能性は低くなります

誤って血管内に注入してしまった場合には迅速にヒアルロン酸溶解注射(ヒアルロニダーゼ)を打つ必要があります。

万一のためにすぐに対応できるように、ヒアルロニダーゼを用意しておくとよいでしょう。合併症に対する対応が早い方が良いのは被害を最小限にとどめるためです。

皮膚循環障害・皮膚壊死

皮膚循環障害・皮膚壊死は、血行障害の顛末のひとつです。

壊死が生じる理由は、血管内注入による血流の直接遮断か、血管周囲への注入による血管の圧迫による血流の間接的遮断によるものが主な原因と考えられます。基本的に体の中心である正中は、解剖学上血流が粗な部位で、血行障害が生じやすい部位になります。

注入時に突然の激痛を訴えたり、注入部位が蒼白になった場合は血管塞栓を疑います

注入後は通常の経過でも鈍痛を伴うのが一般的です。通常1日~3日で日ごとに痛みは良くなりますが、痛みが持続する、あるいは悪化する場合には注意が必要です。

頻度の多い合併症として内出血がありますが、紫色から黄色っぽくならずに黒に変化している場合には内出血ではなく血行障害を疑います。ただし、この皮膚の色調は自己判断はむずかしく、痛みの有無が重要です。

皮膚循環障害が疑われる場合はできるだけ速やかに、ヒアルロニダーゼを注入することが求められます。

脳梗塞

ヒアルロン酸注入により脳梗塞が生じた症例は少ないものの、眉間部への注入後に生じた症例が報告されています。

滑車上動脈(かっしゃじょうどうみゃく)、鼻背動脈(びはいどうみゃく)、眼角動脈(がんかくどうみゃく)、眼窩上動脈(がんかじょうどうみゃく)などに、動脈圧より高い圧でヒアルロン酸が注入されて眼動脈から内頸動脈に到達すると、頭蓋内にヒアルロン酸が入って脳梗塞が起こると考えられています。

脳梗塞を起こさないためには、ゆっくり低圧でヒアルロン酸を注入していくことが重要です。

脳梗塞が疑われる場合は速やかに脳神経の専門医がいる施設に救急搬送をおこない、注入剤や施術内容を説明する必要があります。

失明

失明は、ヒアルロン酸注入療法における重篤な合併症です。

症状としては、強い眼痛、視力障害・視野障害、頭痛、嘔吐で、目の周りや眉間の皮膚が青白くまたは内出血を伴うことも多いとされています。

失明に至る原因は完全には解明されていないものの、動脈への誤注入によってヒアルロン酸が散布されて血管が閉塞し、網膜への血液が不足して失明に至ると考えられています。

救命処置としては、血管塞栓の原因となっているヒアルロン酸を溶解するヒアルロニダーゼの注入が有効です。迅速に対応することで救済できる可能性があることが報告されています。

アレルギー・拒絶反応を防ぐヒアルロン酸製剤の選び方

近年ヒアルロン酸注入で注意喚起されているトラブルとして、遅延性炎症反応があります。

遅延性炎症反応とは、ヒアルロン酸を注入してから数週間から数カ月後に注入部位に表れる炎症反応や炎症反応をともなう硬結と定義されます。

感染症と違って注入部位の一部のみに生じるケースや、注入していない部分に発生するケースもあります。発生率は低いですが、再発を繰り返したり、治るまでに数カ月かかることもあります。

遅延性炎症反応がおこる原因ははっきりとはわかっていないのですが、架橋剤や細菌の関与、ヒアルロン酸に対する抗体などが考えられています。

ヒアルロン酸が分解されていく過程で架橋剤が漏出してきたり、細菌の代謝産物であるタンパク質などに対してマクロファージが関与した炎症が起こると考えられています。

遅延性炎症反応は、ヒアルロン酸製剤によって発生率が異なることがわかっています。

つまり、遅延性炎症反応の発生率が少ないヒアルロン酸製剤を選ぶことで、トラブルを回避できる可能性が高まるということです。

炎症反応を引き起こす可能性が高い低分子ヒアルロン酸

高分子ヒアルロン酸とは、鎖が複数集まり繋がっている長い分子構造をもつヒアルロン酸です。フカヒレや鶏のトサカ、ヒトの体内に存在するヒアルロン酸など、自然界のヒアルロン酸は高分子ヒアルロン酸です。

これに対して、人工的に分子量を小さくしてつくられたヒアルロン酸を、低分子ヒアルロン酸といいます。

ヒアルロン酸の分子量によってマクロファージ活性に違いがあるのか調べた報告によると、低分子ヒアルロン酸は炎症を誘発する作用があること、高分子ヒアルロン酸は抗炎症作用があることがわかりました。

そのため、高分子ヒアルロン酸製剤を選ぶことで、遅延性炎症反応の予防になると考えられます。

架橋剤が少ないほうが炎症のリスクが軽減

架橋剤とは、ヒアルロン酸の鎖同士を結び付ける接着剤の役割を果たす化学物質です。

低分子ヒアルロン酸は体内で早く分解されてしまいます。そのため、一定の持続性が求められる美容医療のヒアルロン酸製剤には、架橋剤が加えられています。

多くのヒアルロン酸製剤に架橋剤として使用されているのが、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル(BDDE)で、BDDEを含む割合が多くなると、形を保持する持続性が高まります

ただし、持続性が高まると柔軟性は低下し、皮膚にしこりや凹凸が生じて赤みや炎症のリスクが増える傾向です。

架橋剤は遅延型炎症反応への影響が指摘されています。架橋剤はほぼすべてのヒアルロン酸製剤に含まれていますが、架橋剤が極力少ないヒアルロン酸製剤を選ぶことがリスク軽減につながると考えられます。

カイセンスの安全性と自然な表情をつくる柔軟性

カイセンスは高分子で架橋剤が少ないヒアルロン酸

カイセンスは、炎症反応が起こる可能性が少ないとされる高分子ヒアルロン酸の分子構造をもっています。かつ、凹凸や遅延性炎症反応の原因となりうる架橋剤を含む割合が少ないヒアルロン酸製剤です。

ヒアルロン酸は分子量が大きいほど、伸び縮みする粘弾性が高くなります。

特許技術により、高分子ヒアルロン酸の鎖を維持するカイセンスは架橋剤の割合が多くありません。また少ない注入量で高度な形成力・リフト力を実現するとされているため、架橋剤が体内に入る量が相対的に少なくなります

カイセンスがヒアルロン酸の分子量を高く保持できるのは、特許技術である「OXIFREE(オキシフリー)製法」によるものです。

一般的にヒアルロン酸製剤の製造過程では、高分子ヒアルロン酸の分子構造を壊す活性酸素が発生しますが、カイセンスの製造過程では、発生する活性酸素を徹底的に排除し、高分子ヒアルロン酸の鎖を維持することに成功しました。

カイセンスによる高い隆起力としなやかな仕上がり

カイセンスの最も重要ともいえる特質は、柔らかさを保ちながらも形が崩れにくく、皮膚組織を持ち上げる隆起力が高いことです。

一般的にヒアルロン酸製剤の崩れにくさは硬さに比例しますが、カイセンスには長期にわたって形を保ちながら皮膚組織になじむしなやかさがあります。

これまでのヒアルロン酸は硬いほど形が崩れにくいものでしたが、注入部位に触知性があり、触るとゴロゴロと違和感があることがありました。

一方カイセンスは、表情の動きと一致するようにしなやかで柔軟性があることで、注入部位に触れてもゴロゴロすることは少なく、自然な仕上がりが期待できます。

しなやかな弾性が長期にわたって維持されるとされています。

カイセンスの注入方法

ヒアルロン酸注入手技の基本

ニードルとカニューレの使い分け

ヒアルロン酸注入療法では、ニードルといわれる鋭針とカニューレといわれる鈍針を使い分けます。

カニューレはニードルより長く、先端が丸い注入針で、製剤が出る孔が針の側面についています。痛みが少なく内出血が起こりにくいことに加え、カニューレを上手に使いこなせると施術時間も短縮できます。

ただし、浅い層への注入や細かいデザインがしにくいため、ピンポイントで注入するときはニードルを使うなど、治療部位や目指す治療効果によって注入針を使い分けます。

カニューレでは局所麻酔をおこなわない場合もありますが、少しでも痛みを軽減するにはカニューレであっても痛み止めを使うと患者様の負担が少なくなります。

また、針を刺すスピードはなるべく早く、注入スピードはなるべく遅くすると痛みを抑えられます

注入技法と注入の深さ

ヒアルロン酸の注入技法にはさまざまな種類があります。施術内容によって、注入技法を使い分け、組み合わせや応用することで目的に合わせた注入をおこないます。

linear threading
(リニアスレッディング)法
ほうれい線などにライン状に注入 応用として格子状に注入するcross-haching(クロスハッチング)法がある
bolus(ボーラス)法 ボリューム改善の施術などで点状に注入
fanning(ファニング)法 面上に持ち上げるようなときに扇状に注入

また、注入の深さとしては以下の4層があります。

真皮浅層 カニューレでは注入できない、針が皮膚から透けて見えるほどの浅い層
真皮中層~深層 針が透けて見えない層
皮下組織・脂肪層 針を進めるのにほとんど抵抗を感じない層
抵抗がある場合は血管・神経・支持靭帯に当たっていることを疑う
骨膜上 針を進める際、抵抗を感じやすい層

解剖学的知識の習得

カニューレであっても、鈍針とはいえ血管が傷ついて血管塞栓がおこり、皮膚壊死・脳梗塞・失明といった重大なリスクは起こりえます。

とくに危険なエリアは、滑車上動脈(かっしゃじょうどうみゃく)のある眉間、鼻背動脈(びはいどうみゃく)がある鼻部(びぶ)、顔面動脈がある鼻唇溝(びしんこう=ほうれい線)です。このような危険なエリアでは特にカニューレを用いることもあるので注意が必要です。

リスクを回避するためには、血管がどこをどの深さで通っているかをおさえておくことが基本です。

リスクを回避して結果を出す注入方法のひとつとして、アラガン・ジャパン社が注入マニュアルとして提唱する「MD-Codes」やガルデルマ社が提唱する「TrueLift」で注入ポイントを理解する方法が挙げられます。MD-CodesやTrueLiftを習得しておけば、治療内容・方針を示すカルテを作る際にも役立ちます。

ヒアルロニダーゼの準備

ヒアルロン酸の合併症には、感染やアレルギー反応のほか皮膚壊死・失明・脳梗塞といった重症化するものまでありますが、ヒアルロン酸はヒアルロン酸分解酵素である「ヒアルロニダーゼ」で溶解できます。

ヒアルロニダーゼは、すべての合併症において原因となっているヒアルロン酸を除去する方法として有効で、万一のためにすぐに対応できるように準備しておくことは必須です。

ヒアルロニダーゼは塞栓の可能性がある周辺に注入します。血管に直接注入することが必須ではありません。注入後1時間~2時間が経過しても血行が改善しない場合は再度注入します。

なお、塞栓は施術部位だけでなく、施術部位に存在する血管の血液が流れ着く先でも起こりえます。繰り返しになりますが、解剖学的知識といえる血管の走行は、十分理解しておかなければなりません。

ヒアルロン酸注入の実践

カニューレによる注入の注意点

カニューレは血管を傷つけるリスクが少なく、血流が絶たれる血管塞栓といったリスクが少ないとされます。一方で、皮下で組織に引っ掛かりやすく、針を進めにくいことがあります。

注入の際は、利き手とは反対の手(シリンジを持っていない手)で、皮膚・表情筋を骨とつないでいるリガメントをずらすイメージで添えつつ、針先を回しながら進めていきます。それでもむずかしい時は、少量のヒアルロン酸を注入することで、組織を剥離させて空間を作って進めていきます

また、注入しない部位には皮膚の上から指を添えてブロックを作ると必要な部位にいき渡らせやすくなります。

カニューレは使いづらい針のように思われるかもしれませんが、孔が針の側面にあることで、回しながら注入すれば広範囲に製剤をいき渡らせることができ、治療時間が短縮できるというメリットは大きいといえます。

リスクを避けるための注入方法

部位に合わせてニードルとカニューレを使い分けることで、痛みや合併症を減らします。

カニューレを使用しても血行障害や神経損傷などは起こりえます。海外のデータでは失明のケースの大半はカニューレを使用した状態で生じていますので、カニューレを使用するのが安全というのは大きな誤りです。

痛みを減らし、合併症のリスクを押さえるのに重要なことは、少量ずつ注入する、注入部位がしっかり膨らんでいることを随時確認することです。血管内に誤注入してしまっている場合、注入部位が膨らみません。

また、シリンジの吸引テストをおこなって、血液の逆流がないこと、つまり針先が血管内に入っていないことの確認も大切です。

最小限の注入量で効果が見込める注入部位を見極める

注入本数は、入れすぎて不自然になることは避けつつ、違和感なく希望する変化が見られる本数を判断しなければなりません。

40代以降のリフトアップを目的とした施術(シワやたるみを目立たなくする施術)では、1本では効果が見えづらく2本~4本程度使うことが多いです。できる限り少ない注入量で満足が得られる注入部位を見極めて施術をおこなうことで、リピーターにつながることが期待できます。

ときには希望とは異なる注入部位の検討も必要です。どこに注入すると有効なのかを診察で判断し、理解が得られるようしっかり説明することが大切です。

アンチエイジング目的の場合、施術の優先順位は中顔面

顔のたるみは老化による骨の萎縮や脂肪の移動で起こります。それによって、30代以降だとゴルゴライン、40代以降ではほうれい線あるいはマリオネットラインも適応になる方が多くなります。そのため、注入部位の優先順位としてインパクトが大きいのは、眉下から鼻下までの中顔面でしょう。

ほうれい線がある部位に直接注入する方法もありますが、近年は、頬前内側部・頬骨下外側部・側頭部に注入して全体的にリフトアップするように注入する方法がスタンダードになりつつあります。

皮膚はつながっているため、必要な隆起があると皮膚のたるみがなくなり、ゴルゴライン・ほうれい線・マリオネットラインが目立たなくなります。

中顔面の施術では、主にカニューレを用います。

まず鼻翼の横と目じり下の延長線上に刺入点をつくります。1点の針穴から頬前内側部・頬骨下外側部・側頭部へと針先の方向を変えながら注入します。ヒアルロン酸で3部位のボリュームを補うことで、たるみによるゴルゴライン・ほうれい線・マリオネットラインが目立たなくなることが期待できます。

カニューレを使うと針穴が少なくて済むため、感染症のリスクが軽減されるというメリットもあります。

3部位では足りない場合は、最初の刺入点と口元の延長線上から、耳元に向かってヒアルロン酸を注入していきます。

中顔面の次は下顔面への注入を検討します。

顔を3分割した際に、上顔面・中顔面・下顔面の長さが均等になると美しいとされていますが、アジア人の骨格はもともと下顎が短く(小さく)後退している傾向があります。くわえて加齢による骨の萎縮でさらに後退が生じます。

そこで、顎先に鋭針を骨面と垂直に刺入して、ヒアルロン酸製剤を点状に注入していきます(ボーラス法)。ヒアルロン酸の玉を垂直に重ねていくように注入していくと、下顎が前に出て横顔のバランスが整います

顎に注入することで顎下のたるみの改善も期待でき、さらに下顎外縁部へ注入すると、フェイスラインが整うのでシャープな印象になります。

最後に、こめかみに鋭針あるいはカニューレで骨の萎縮を補うようにヒアルロン酸を注入すると、ゴツゴツしたフェイスラインがなめらかな曲線になり、リフトアップ効果も期待できます。

顎への施術ではボツリヌス注射の必要性も検討

表情筋の動きで顎先の筋肉や咬筋が硬くなっている場合は、ボツリヌス注射を検討します。

ボツリヌス注射は、注入直後に効果が期待できるヒアルロン酸と異なり、注入後2日~3日程度で作用があらわれはじめ、1週間程度で効果が最大化して安定するといわれています。

ヒアルロン酸と併用する場合は、先にボツリヌス注射の施術をおこない、1週間程度あけてボツリヌス注射の作用が現れはじめてからおこなうのがよいとされます。なお、同じ日におこなう場合は、先にヒアルロン酸注入をおこないます。

カイセンス注入の注意点

カイセンスは持ち上げる能力が高いことで隆起が生じやすいことから、少量で様子を見ながら注入していきます。

ヒアルロン酸の注入方法として、注入後に皮膚の上から指で動かしながら造形していく方法もありますが、凝集性が高いカイセンスでは、注入段階で、仕上がりがボコボコしないように均一にそして面上に注入していきます。

カイセンスを凹凸なく注入するには技術が必要

第3者が見てもどこにどの量を注入したのかがわかる再現性や確認のしやすさにおいて、MD-Codesは優位性がありますが、カイセンスにおいてはMD-Codesの手法では凹凸が目立つケースがあります。

MD-Codesは、中級者以上も参考にしますが、初心者でも簡単に注入治療ができるという点にフォーカスして開発されています。はじめてのドクターでもすぐに始められるように、初期の段階ではほぼすべての注入部位が骨膜上という手技で統一されています。

しかし、カイセンスを均等に少量ずつ凹凸なく注入するには技術が必要であり、その商品特性上、玄人向けの製品といえます。

カイセンスはその優れた凝集性により、少量でも持ち上げる力が強いということは、裏返せば、少量でふくらみが目立ってしまうということです。

MD-Codesの手法だけでは満足度を高める施術がむずかしいといえます。

ヒアルロン酸注入の満足度につながるデザイン力と美的センス

ヒアルロン酸注入療法では、その方に合った注入部位を決めるために理論とセンスが問われます。

患者様が満足する施術をおこなうためには、デザイン力と美的センスを身につけることが大切です。

患者様が悩んでいる特定の部位に注目するのではなく、「木を見て森を見ず」とならないように全体のバランス感覚を身につけることも重要です。

最近はリフトアップを狙う注入手技が流行していて、リフトアップを求めるあまり、過剰に注入するケースが増えています。一部のKOLらがover filled syndromeと提唱しているとおり、入れ過ぎには注意が必要です。

また、ご本人が「失敗した」と感じることがないように、デザイン力とともに仕上がりのイメージを共有する説明力も持ち合わせておく必要があります。

デザイン力と美的センスを培うために

生まれつきセンスと技術を持ち合わせる天才も存在するかもしれませんが、センスや技術というのは十分長く険しい基礎をしっかり修行、勉強した後に身につくものと考えます。

芸術的センスを磨くためには広い分野で芸術に触れる必要があると感じます。芸術に触れていない人に芸術のセンスがあるとは思えません。

美大出身のドクターを探すのは困難を極めますが、音楽やファッション、アートなどに造詣が深いドクターはセンスがあるかもしれません。

ドクターの美的センスがあらわれるのは?

カウンセリングでの会話や院内の家具その他内装のセンス、ドクターの身なりのほか、看護師や受付スタッフを参考にする患者様は多いはずです。医療機関のスタッフは大抵何かしらの施術を受けています。

また、女医さんがオーナー院長のケースでは自分自身で治療をしているケースも少なくありません。ドクター自身の仕上がりも注目されているといえるでしょう。

カイセンスは厚生労働省未承認医薬品です。
医薬品の入手経路:入手経路は各医療機関のドクターによるメーカーからの個人輸入です。
個人輸入において注意すべき医薬品等について(厚生労働省のページ)
日本国内での承認の有無:カイセンスと同一の成分・作用があり、日本国内で承認を受けている医薬品はありません。
諸外国における安全性等に関する情報:カイセンスの開発元であるKYLANE社によると、欧州での安全性と品質を証明するCEマークを認証機関2797 BSIグループにより、MDRに基づいて取得していると示されています。諸外国で重篤な有害事象は報告されていません。

監修医師の紹介

スキンリファインクリニックを創業しスキンリファインクリニック銀座の院長である篠原秀勝医師。ヒアルロン酸注入やボトックスの注射においては、注入指導医として医師への指導にあたる。日本形成外科学会認定専門医として丁寧なカウンセリングをおこない、注入治療からレーザー治療・光治療まで幅広い施術をおこなう。

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