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ヒアルロン酸の入れすぎ症候群「ヒアル顔」の失敗を避けるためのドクターの選び方

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記事監修

篠原 秀勝
篠原 秀勝 医師

スキンリファインクリニック銀座

日本形成外科学会 正会員 認定専門医取得 日本臨床皮膚外科学会 正会員 日本頭蓋額顔面外科学会 正会員

ヒアルロン酸注入は、メスを使う外科的手術とは違って注入針一本で変化が期待できるため、ダウンタイムも短く、美容医療初心者でも受けやすい施術といえます。

適量の注入でリフトアップや輪郭形成の効果が期待できるヒアルロン酸注入ですが、入れすぎによって「ヒアル顔」といわれるような不自然な仕上がりとなるケースがあり、注意喚起されています。

ヒアルロン酸注入を検討している、あるいはすでに定期的に注入をおこなっている方の中には、注入を繰り返すことでヒアルロン酸を入れすぎた顔、いわゆるヒアル顔になってしまわないかと、心配している方がいるかもしれません。

ヒアルロン酸注入で後悔しないために、ヒアル顔になる原因とそれに伴うトラブル、またトラブルを回避する方法を知っておくと安心です。

ヒアルロン酸の入れすぎ症候群「ヒアル顔」の失敗を避けるためのドクターの選び方

ヒアルロン酸注入の失敗例のひとつ、入れすぎ症候群

ヒアルロン酸注入は、5分~10分程度の施術でたるみによるシワが目立たなくなったり、額や顎・鼻といった部位の輪郭形成が可能な美容医療です。

30代後半になると、皮膚の弾力が失われることに加え、皮下脂肪の肥大、拘縮、下垂が始まり、頭蓋骨自体の委縮や変形も始まることで、ゴルゴライン・ほうれい線・マリオネットラインといった老化症状があらわれはじめます。

このようなたるみによるシワに、ヒアルロン酸注入は有効です。頬骨や下顎骨など年齢によってボリュームが失われたエリアに注入し、頭蓋骨の萎縮や皮下脂肪の減少を補うように軟部組織のボリュームアップを目指すことで、皮膚のたるみが改善されて老化によるシワが目立たなくなります。

また、おでこに丸みを持たせる額への注入、目の下にヒアルロン酸を注入する涙袋形成、鼻に注入して鼻筋の形成、唇へ注入して縦ジワの改善・ふっくらとした唇の形成、といった輪郭形成も可能です。

ヒアルロン酸は、適量を適切な部位に注入すれば悩みの改善が期待できますが、入れすぎると皮膚が引っ張られてパンパンに膨らんだ「ヒアル顔」になる可能性があります。

このようなヒアルロン酸の過剰注入は、アジアの美容医療のキーオピニオンリーダーであるマレーシアのティンソン・リム医師によって「overfilled syndrome」と呼ばれて注意喚起されています。overfilled syndromeは「入れすぎ症候群」「過剰注入症候群」などともいわれ、女性だけでなく男性にも見うけられます。

ヒアル顔の原因は過剰量の注入

「入れすぎ症候群」は一回の施術で起こる場合もありますが、多くは注入を繰り返すことで、結果的に入れすぎた不自然な印象となる場合が多いです。

ヒアルロン酸は、注入後6カ月から2年程度経過すると体内で吸収されるため、注入効果を継続するには定期的な補充、注入を繰り返す必要があります。

ヒアルロン酸の入れすぎで不自然な顔になってしまうリスクを考えると、定期的に注入しなければならないことを不安に思う方もいるかもしれませんが、ヒアル顔の原因は、不適切な位置への過剰量の注入です。

最小限の量でリフトアップが叶う適切な位置に必要量を注入している限り、パンパンなヒアル顔になることはありません

見た目の問題だけではない入れすぎ症候群に伴うトラブル

顔のたるみを促進する

過剰にヒアルロン酸を注入すると、その重みで顔のたるみが促進される可能性があります。

顔面の解剖をシンプルに解説すると、頭蓋骨の上に筋肉の層があり、その上に皮下脂肪の層があり、一番表面は皮膚、というミルフィーユのような層状の構造になっており、ヒアルロン酸は、施術部位や症状に応じて骨膜の上・皮膚の下の脂肪の層・皮膚内に注入します。

リフトアップを狙うヒアルロン酸注入は基本的には頭蓋骨や骨格を補充するようなイメージで、骨のすぐ上という深い部分に注入しますが、皮下脂肪の浅い部分などに過剰に注入された場合、重力の影響を受けやすい部位などでは結果として皮膚がたるんでしまう可能性も否めません。

アレルギー反応・拒絶反応が生じる可能性が高まる

アレルギー反応・拒絶反応とはヒアルロン酸を注入して数週間から数カ月、場合によっては数年経過してから注入部位に炎症反応や、炎症反応を伴う硬結・結節性変化(しこり)があらわれる合併症です。

アレルギー反応・拒絶反応の原因ははっきりとはわかっていませんが、使用される薬剤のヒアルロン酸分子量や構造、濃度、そして架橋剤BDDEの濃度などの影響が考えられています。

ヒアルロン酸製剤を大量に注入すると、相対的に体内に入る架橋剤の割合も多くなり、アレルギー反応・拒絶反応が発生する可能性が高くなります。

ヒアルロン酸注入では、アレルギー反応・拒絶反応のほかにも、皮膚壊死・脳梗塞・失明といった重症化する合併症があります。

これらの合併症は、誤って血管にヒアルロン酸が注入されることのほか、ヒアルロン酸の過剰注入によっても引き起こされます。

ヒアルロン酸の合併症リスクを防ぐためにも、ヒアルロン酸の注入量は少量とし、少しずつ注入していくことが求められます。

入れすぎ症候群にならないためには

ヒアルロン酸注入を初めて受けると、注入直後の変化に驚く方もいるといいます。

一方で、満足感が得られると「もう少し入れたらより良くなるはず」と思い込みを持たれたり、「ボリュームがなくなった気がするから追加で注入したい」「ほうれい線が気になってきたのでまた入れたい」と必要以上に注入を求めてしまう方もいます。

施術者が、ヒアルロン酸注入は適量の注入が重要であることを説明し、不要な注入を回避できればいいのですが、ご本人の感覚を優先して希望に応えてしまうと、過剰注入となる可能性があります。

客観的な視点の重要性

ヒアルロン酸を入れすぎてしまう理由は、定期的にヒアルロン酸を追加注入することで、自身の自然な状態がわからなくなってしまうことが一つの要因かもしれません。

ただし、自然な仕上がりを目指す正しい注入治療をおこなうドクターであれば、患者様に注入を求められても入れすぎることはありません

追加注入で注入量・注入回数を増やし、売上を優先するようなことはせず、求められても症状の改善が期待できない場合は、理由をしっかり説明したうえで断るドクターであれば、入れすぎ症候群は回避できるといえます。

入れすぎ症候群にならないためには、医療機関の公式サイトやドクターのブログに掲載されている症例写真(施術を受けた方のBefore/After写真)を確認し、自然な仕上がりを目指す医療機関・ドクターかどうかを見極めるといいかもしれません。

また、施術者側としては、解剖学的知識を身につけて正確な位置に注入することと、最小限のヒアルロン酸量の注入とすることを心がける必要があるといえます。

必要に応じて他の美容医療と併用する

場合によっては、ヒアルロン酸注入によるリフトアップではなく、皮膚組織の改善や筋膜の引き締めをおこなう照射治療が有効であったり、併用で相乗効果が期待できるケースもあります。

ヒアルロン酸のような皮膚充填剤だけでたるみの改善を目指すと、入れすぎになる可能性が高くなります。

顔のたるみは、皮膚・支持組織の老化、骨のボリューム喪失、脂肪の移動といった複合的な変化が原因ですが、ヒアルロン酸注入では皮膚や筋膜の引き締めや脂肪の移動を元に戻すことはできません。

たるみが起きている原因を見極めて、それぞれの症状に必要な施術を選択する必要があります。

シワ・たるみ=悪ではない!年齢相応の自然な美しさを手に入れる

縦横の長さの比が「1:1.618」となる黄金比や、美しい頬の形状とされるogee curve(頬の隆起の綺麗な曲線)にこだわりすぎると、元の状態から矯正を意識しすぎてヒアルロン酸を入れすぎる可能性は大きくなります。

他人と比較することなく、その人が持つ個性をいかしてそれぞれの自然な美しさを求めていくことも大切です。

シワを気にして美容医療を繰り返し、顔だけシワが1つもない状態であったとしても全体のバランスが不自然では美しいとはいえません。老化は顔だけでなく首や体にもあらわれます。

また、姿勢・所作などでも美しい印象を与えることはできますし、自分らしく前向きに年を重ねていくことで身につく「内面の美(精神面の美)」も大切にしたいものです

少ない注入量でもしっかり持ち上がるヒアルロン酸製剤を選ぶ

ヒアルロン酸製剤は、複数のメーカーが様々な商品を出していますが、2021年2月にEUで発売されたカイセンス(KYSENSE®)は、少ない注入量でも隆起力が高いとされていて、overfilled syndrome(過剰注入症候群)に警鐘を鳴らし「minimum injection」を提唱するティンソン・リム医師も使用しているヒアルロン酸製剤です。

ヒアル顔の原因は過剰量のヒアルロン酸を注入することですが、少ない注入量でもしっかり持ち上がり、変化が期待できるカイセンスを選択すれば、大量のヒアルロン酸を注入するリスクは少ないといえるかもしれません。

ヒアルロン酸注入で失敗を回避するドクターの選び方

ヒアルロン酸注入は、ダウンタイムが短い施術なので比較的気軽に受けやすい美容医療ですが、患者の希望にすべて応えるドクターが良いというわけではありません。

施術後の状態が不自然になるような場合は施術を断り、「自然な美しさ」を追求するドクターを選ぶことで、ヒアルロン酸の「入れすぎ」の失敗を防げるといえます。

また、ヒアルロン酸注入にはアレルギー反応・拒絶反応や、皮膚壊死・脳梗塞・失明といった重大な合併症があることも知っておかなければなりません。

顔には複雑に血管が走行していて、骨・筋肉・皮下脂肪・皮膚といったように組織が重なっています。誤った注入や合併症のリスクを回避するためには、血管がどの層をどのように走行しているかの解剖学的知識を熟知していて、実戦経験が豊富なドクターを選ぶことが大切です。

監修医師の紹介

スキンリファインクリニックを創業しスキンリファインクリニック銀座の院長である篠原秀勝医師。ヒアルロン酸注入やボトックスの注射においては、注入指導医として医師への指導にあたる。日本形成外科学会認定専門医として丁寧なカウンセリングをおこない、注入治療からレーザー治療・光治療まで幅広い施術をおこなう。

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