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効果が長持ちするとされる硬いヒアルロン酸製剤の罠

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記事監修

篠原 秀勝
篠原 秀勝 医師

スキンリファインクリニック銀座

日本形成外科学会 正会員 認定専門医取得 日本臨床皮膚外科学会 正会員 日本頭蓋額顔面外科学会 正会員

美容医療で使われるヒアルロン酸製剤は、複数のメーカーにより様々な種類が存在します。

皮膚組織を持ち上げる力や弾力性、凝集性といった性質に違いがあり、注入部位や施術目的ごとに使い分けます。

一般的に硬さがあるヒアルロン酸製剤は、頬のリフトアップや、鼻を高く見せたり、顎先に注入してフェイスラインをシャープに見せる施術でつかわれ、注入効果が長持ちする傾向にあります。

硬いヒアルロン酸は、形成力と持続力があることを考えるとメリットが多いヒアルロン酸製剤ですが、不得意な施術部位やリスクもあります。

ヒアルロン酸製剤の硬さの違いによる適応部位の違いを整理しておくこと、さらにヒアルロン酸製剤の種類や施術者の技術によって仕上がりに違いがあることを知っておくことは、後悔のない施術を受けるために大切です。

効果が長持ちするとされる硬いヒアルロン酸製剤の罠

メーカーによって異なるヒアルロン酸製剤の特徴

美容医療でつかわれるヒアルロン酸製剤は、各メーカーの独自の製法により、ヒアルロン酸の分子量(粒子の大きさ)・濃度・成分の含有率が変わります

それによって、以下のような性質において違いが生じます。

ヒアルロン酸製剤の商品による違い

粘弾性

粘弾性とは、粘り気とゴムのように伸びても元に戻ろうとする力のことで、変形のしやすさをあらわします。力が加わると徐々に変形し、加える力が弱まると元の状態に戻ろうとする性質です。

組織親和性

皮膚組織と親和性があると、表情の変化で生じる皮膚の動きにもヒアルロン酸がなじみ、自然に仕上がります。

凝集性

凝集性とは、ヒアルロン酸が注入箇所に留まる性質です。凝集性に優れていると外から力が加わっても、形が保たれるようになります。

形成力

形成力とは、形づくる力をいいます。シャープなフェイスラインや鼻筋を細く整えるような施術では、ヒアルロン酸の形成力が必要です。

持続力

持続力は、注入効果が保たれる力をいいます。一般的にヒアルロン酸製剤の持続期間は半年から1年程度といわれますが、ヒアルロン酸製剤によって異なります。

吸水性

吸水性とは水分の吸収のしやすさで、ヒアルロン酸製剤では吸水性が低いと、注入後に体内の水分によって膨張する可能性が低くなり、注入後のイメージが異なるというリスクが軽減されます。

シリーズによる違い

ヒアルロン酸製剤は、商品のなかにいくつかのシリーズを持っていることがほとんどです。

シリーズごとに、ヒアルロン酸の濃度や粒子の大きさ、架橋剤の濃度が変えられていて、それによってヒアルロン酸の硬さに違いがあらわれます。硬さが違うことで、目元の小ジワといった軽度のシワや口唇用、ほうれい線のような中度のたるみのリフトアップ用、鼻や顎といった特定部位の輪郭形成用といったように、得意な施術内容が変わります。

そのため、シリーズが複数あることで同じ商品でも、仕上がりに違いがあらわれます。

また、ヒアルロン酸製剤には、痛みを鎮めるリドカインを配合していることがほとんどですが、リドカインを含まないシリーズをもつ商品もあります。

リドカインはアレルギーがある方もいるため、その場合はリドカインを含まないヒアルロン酸製剤を選ぶと安心です。

ヒアルロン酸の硬さに影響するヒアルロン酸の分子量と架橋剤

ヒアルロン酸の分子量

ヒアルロン酸には、ヒトの体内に含まれるヒアルロン酸やフカヒレ、鶏の手羽・皮・トサカ、スッポンなど自然界に存在するヒアルロン酸と、美容医療に使われるような人工的に作られるヒアルロン酸があります。

自然界のヒアルロン酸はヒアルロン酸の分子量が大きい高分子ヒアルロン酸で、人工的に作られるヒアルロン酸は分子量を小さくした低分子ヒアルロン酸といわれます。

ヒアルロン酸は、酸の一種であるグルクロン酸と、糖の一種であるN-アセチルグルコサミンの分子が交互にいくつも結合した鎖のようになっています。高分子ヒアルロン酸は鎖がいくつも集まり自然に繋がっていますが、低分子ヒアルロン酸は鎖が短い構造です。

ヒアルロン酸は、低分子になるほど体内に存在する酵素によって分解・吸収されやすく、粘弾性が低くなり、形成力や隆起力、持続力が低下します。

そのため、独自の製造方法を開発して、ヒアルロン酸の分子量をできるだけ大きく保てるように工夫しているメーカーもあります。

ヒアルロン酸製剤に加えられる架橋剤

美容医療で使われるヒアルロン酸製剤は、ヒアルロン酸の鎖同士をつなげる接着剤のような役目をする架橋剤が加えられていることがほとんどです。

架橋剤が、ヒアルロン酸の分子と分子の間に橋を渡すように存在することで、分子が連結されて、粘性のある固体(ゲル状)に加工され、体内で吸収されるスピードが遅くなるように調製されています。

架橋剤により硬さのあるヒアルロン酸製剤のメリット・デメリット

硬いヒアルロン酸製剤のメリット

人工的に作られるヒアルロン酸は、そのままの状態では体内に注入後長く留まることができません。

そのため、ほとんどのヒアルロン酸製剤に架橋剤が加えられています。多くのヒアルロン酸製剤で架橋剤としてつかわれているのが1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル(BDDE)です。

架橋剤(BDDE)が含まれる割合が多くなるほど、ヒアルロン酸の分子を結びつける作用が強化され、注入効果が長期化します。

また、感触が硬くなり形成力が高まるため、鼻筋をすっきり見せたり顎先をとがらせて鼻先と顎先をむすぶEラインを整えるといった施術でも、形が維持されることが期待できます。

ヒアルロン酸製剤に硬さがあると、注入後に皮膚組織内で希望しない部位へ広がる可能性が低くなります。

硬いヒアルロン酸製剤のデメリット

架橋剤を含む割合が高いことで硬さのあるヒアルロン酸製剤は輪郭形成が得意ですが、皮膚が薄い部位でやわらかな仕上がりを求める涙袋や唇のボリュームアップのような形成施術には不向きです。

架橋剤がヒアルロン酸製剤に加わることで、形が長期にわたって維持されるようになりますが、架橋剤が多すぎると注入部位にしこりや凹凸ができやすくなるといわれています。触るとゴロゴロするように、触知性が高くなる可能性があります。

周囲の組織に動きが生じたり外から力が加わった際、柔軟に伸び縮みして形状を復元する力が低いと、表情によって不自然にみえてしまうことがあります。

硬いヒアルロン酸のリスク

架橋剤には赤みや炎症が生じるリスクがあるとされており、リスクを軽減するためには、可能な限り架橋剤の含有率が低いヒアルロン酸製剤を選ぶことが大切です。

今までの常識を覆すヒアルロン酸製剤「カイセンス」

美容医療の中でも1990年代後半から施術件数が増えているヒアルロン酸注入ですが、求められる注入効果を再現し、より安全性を保つために、新しい製品が次々と開発・発売されています。

2021年2月にEUで発売されたカイセンス(KYSENSE)もそのひとつです。

ヒアルロン酸注入療法は、加齢による変化が気になりはじめ、若々しく見えることを求める30代後半以降の方にたるみ改善のひとつとして選ばれる美容医療で、多くの方が一度施術を受けると繰り返し受けて効果を求める傾向にあります。また、最初とは異なる部位への注入を希望して再受診となることも多い施術です。

その際に求められる一番大切なことは、美しく自然な仕上がりです。

カイセンスは、形成力・隆起力に優れたヒアルロン酸製剤で、ナチュラルな美しさを提供する高い性能と、より高い安全性を持つといわれています。

カイセンスの特徴

一般的に、ヒアルロン酸製剤は硬いほど形成力と持続力があるとされていますが、カイセンスは、感触が柔らかいのに形が崩れにくく、形成力と持続力があるとされる、今までの常識を覆す新しい製品です。

表情を作るときの顔の組織の動きと一致するような、しなやかさと柔軟性があるため、自然な仕上がりが期待できます。

また、皮膚組織を持ち上げる能力である隆起力が高いことはカイセンスの最も重要な特質で、少量でも高いリフト力を実現するといわれています。

カイセンスがこのような高い性能を実現できたのは、特許を取ったヒアルロン酸製剤の製造方法によります。

カイセンスの特許製法

カイセンスは、特許を取得したOXIFREE(オキシフリー)製法によってつくられるヒアルロン酸製剤です。

ヒアルロン酸製剤の製造過程では、高分子ヒアルロン酸の分子構造を壊す活性酸素が発生します。人工的に作られるヒアルロン酸は、活性酸素によって低分子ヒアルロン酸の分子構造になってしまうため、注入後に体内に留まる時間が短く、注入で形成されるボリュームの持続力も低下する傾向にあります。

しかし、カイセンスのOXIFREE製法では、製造過程で発生する活性酸素を徹底的に除去することで、高分子ヒアルロン酸の長い鎖を保つことができるとされています。

カイセンスはリスクが軽減されたヒアルロン酸製剤

ヒアルロン酸は分子量が大きい高分子ほど粘弾性が高くなることから、カイセンスは少量でも隆起力(リフト力)・形成力が高い傾向にあります。

高分子ヒアルロン酸の鎖を保つことに成功したため、架橋剤を多く配合する必要がなく、最小限の架橋剤のみに抑えることが可能となりました。

ヒアルロン酸製剤は、架橋剤によって赤みや炎症が生じるリスクがあるため、架橋剤が少ないカイセンスは、他のヒアルロン酸製剤と比較すると合併症がおこるリスクが少ないといえます。

高い満足度を得るために必要なこと

ヒアルロン酸注入療法では、「シワを目立たなくしたい」「たるみを改善したい」「輪郭をすっきり見せたい」といった、それぞれの目的を達成するために適したヒアルロン酸製剤を選択する必要があります。

ただし、同じヒアルロン酸製剤を使ったからといって、施術者が変わっても同じ仕上がりになるとは限りません。

ヒアルロン酸を注入する層は、皮膚内・皮下・骨膜上と複数あり、注入方法もピンポイントに注入する方法、扇状に注入する方法などさまざまです。また、注入部位や注入方法によって、ニードルといわれる鋭針とカニューレといわれる鈍針を使い分ける必要もあります。

高い満足度を得るには性能が高いヒアルロン酸製剤の選択のほか、高い注入スキルが必要となります。解剖学的知識に長け、つねに新しい注入テクニックをブラッシュアップしている実戦経験が豊富なドクターを選ぶことが大切です。

 
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