ソノクイーン(sonoQueen)は医療用HIFU(ハイフ)マシンのひとつです。
ほかのハイフマシンと同様に顔のたるみやシワの改善、リフトアップ効果が見込めます。 くわえて、ソノクイーン専用のカートリッジ(肌にあてるパーツ)は照射口が非常に小さく、従来のハイフマシンではむずかしかった目もとに効果的に照射することができます。
目もとのたるみやシワを集中的にケアできるため、専用のカートリッジを使用した施術は「アイシャドウHIFU」と呼ばれています。
ソノクイーンによるたるみやシワ治療を安心して受けるには、他のハイフマシンと比較したソノクイーンならではの特徴や効果、持続期間だけでなく、ダウンタイムやリスクを知ることが大切です。
もくじ
HIFU(ハイフ)の正式名称はHigh Intensity Focused Ultrasound(高密度焦点式超音波)といいます。虫眼鏡を使って太陽光を一点に集中できるのと同様の原理で、ハイフマシンを使うと超音波を一点に集中させることができます。
美容医療で使われるマシンには、ハイフのほかにレーザー・IPL(光治療)・RF(高周波治療)といった、光や高周波のエネルギーを使うマシンがあります。ハイフやレーザー・IPL・RFといったエネルギーを皮膚に照射することで、熱を発生させ、発生させた熱エネルギーによって、ターゲットとなる物質を損傷・変性させることができます。
美容医療では様々なエネルギーが使われますが、ハイフは筋肉を包んでいる筋膜までエネルギーが到達します。また、ハイフを照射するときに肌にあてるカートリッジは複数の種類があり、エネルギーの到達深度がカートリッジによって変えられるので、複数の層にアプローチが可能です。
皮膚の真皮層、皮下組織、筋膜、どの部分に作用するかにより期待できる効果が異なります。
ソノクイーンは、韓国のNewpong社によって開発された、肌の引き締めやリフトアップ効果が見込めるマシンです。
ハイフマシンの中には顔・首だけでなくボディに施術することで痩身が期待できるものがありますが、ソノクイーンは顔・首のみに施術が可能です。
ソノクイーンにはカートリッジが3種類あり、それぞれ2.0mm、3.0mm、4.5mmの深さまで超音波を照射できます。
中でも、2.0mmのカートリッジでは施術がむずかしかった眉下、目もと、目の下といった細かい部分や、額といったカーブがあるためあてにくい部分に使用が可能です。
頬、あご下にも施術ができ、ほうれい線、目の下や頬のたるみ、毛穴の引き締め、小顔、二重あご、口角が上がるなどの効果が見込めます。
皮膚は外側から表皮層と真皮層の二層にわかれており、その下に皮下組織(主に脂肪の層)があります。
皮下組織の下には表情性筋膜とも呼ばれる薄い膜のSMAS(スマス)層、さらにその下に表情筋(筋肉)があって、SMAS層は皮膚と表情筋をつないでいます。
たるみの原因は、皮膚のみではなく全層でおこっています。
表皮層の水分量の減少・真皮層のコラーゲンやエラスチンの減少・脂肪などの皮下組織の下垂や変化・表情筋のゆるみと筋力低下の4つにくわえて、皮膚と骨をつなぐ支持靭帯(しじじんたい)のゆるみや骨の容積の減少もたるみの原因として考えられます。
ソノクイーンは真皮層、皮下組織、SMAS層にエネルギーを照射し、各層に熱作用を与えることができるため、効果的なたるみの改善が期待できます。
ソノクイーンは、深さ3.0mmを狙って照射するカートリッジを使用し、真皮層・皮下組織にエネルギーを到達させることが可能です。
真皮層には、コラーゲンやエラスチンを生成する細胞である線維芽細胞(せんいがさいぼう)が存在し、熱ダメージを受けると元の状態に戻ろうとする自然治癒力が働いて活性化します。
線維芽細胞が活性化するとハリや弾力を保つ成分であるコラーゲンやエラスチンの生成も活発になるため、皮膚再生が起こり小ジワ・たるみ毛穴の改善が見込めます。
ソノクイーンはコラーゲンを増やしやすい60℃~70℃程度の温度でエネルギーを与えることができます。
ソノクイーンのエネルギーは、皮下組織にも熱変性を与えることができます。
皮下組織にハイフの熱エネルギーを照射すると、皮下組織の大部分を構成する脂肪細胞が破壊あるいは縮小します。脂肪細胞が破壊されると、死んだ細胞や破片を体外に排出する役割をもつマクロファージにより少しずつ体外に排出されていきます。
脂肪細胞が破壊・縮小することで、二重あごや口もとのたるみといった崩れた輪郭を改善し、フェイスラインをすっきりさせる効果が見込めます。
ソノクイーンは深さ4.5mmを狙って照射するカートリッジを使用し、SMAS層にエネルギーを届けます。
SMAS層はコラーゲンやエラスチンといったタンパク質でできており、タンパク質である卵が加熱すると収縮して固まるように、SMAS層にエネルギーを与えるとコラーゲンやエラスチンが縮む「熱収縮」が起こり、SMAS層が引き上がります。
引きあがったSMAS層の上に位置する、脂肪や皮膚もおのずと引き上がるため皮膚表面は傷付けずに、顔のたるみの改善が見込めます。
ソノクイーンで目もとにおこなう施術は「アイシャドウHIFU(ハイフ)」と呼ばれます。照射口が5.0mmのとても小さなカートリッジで皮下2.0mmを狙ってエネルギーを照射します。
目もとの皮膚は他の部位よりとても薄くてデリケートです。表皮と真皮を合わせた皮膚の厚さは平均すると2.0mmほどですが、まぶたはその3分の1である0.6mm程度しかありません。
2.0mmの照射深度は、通常では真皮層に作用しますが目もとは皮膚や脂肪が薄いため脂肪層や眼輪筋の筋膜まで作用します。
目もとのたるみには、目の開閉や涙を集める役割を持つ眼輪筋の衰えと真皮層にあるコラーゲンやエラスチンの劣化が大きく影響しています。
眼輪筋が衰えると、上にある皮膚が支えられなくなり上まぶたがたるむため目が開きにくくなったり目もとが重く見えたりします。
下まぶたのたるみは、眼球を守る脂肪である眼窩脂肪(がんかしぼう)が押し出されることでおこります。
ソノクイーンはカートリッジの照射口が小さいため、眉上や眉下、下まぶたのまつ毛が生えているぎりぎりの位置から目尻といった細かい部分に照射が可能です。
劣化した真皮層のコラーゲン・エラスチンを回復することで肌にハリ・弾力を取り戻し、筋膜に作用することで皮膚を上に引き上げて目もとのたるみ・小ジワの改善が期待できます。
ソノクイーンは、施術直後から熱収縮による肌の引き締め・小顔効果を感じられることが多いといわれています。
一方で、コラーゲン・エラスチンが増加し皮膚再生が活発化するには時間がかかります。
皮膚再生による肌のハリ・弾力は2カ月~3カ月ほどで効果のピークを迎えることが多いため、3カ月~6カ月に1回程度、定期的に施術を受けると効果の持続が期待できます。
ソノクイーンは痛みが少ない施術だといわれています。
ただし、あごや額などの皮膚が薄く脂肪が少ない部位には、皮膚の奥に軽い鈍痛や熱さを感じる場合があります。
痛みの感じかたには個人差がありますが、麻酔なしでも我慢できる程度の痛みとされています。
ソノクイーンはダウンタイムがほぼありません。出力が穏やかなので腫れの心配が少なく、照射直後に赤みが出たとしても30分ほどで目立たなくなる程度です。
皮膚表面に傷がつかないため、化粧や洗顔は施術後すぐ可能だといわれていますが、施術直後は肌がデリケートになっているので、施術部位は強くこすらないことが大切です。
施術当日にはシャワーのほか入浴、運動、飲酒も可能です。ただし赤みや熱感が続く場合、入浴は翌日以降におこなうようにしてください。
ソノクイーンはタンパク質の熱収縮による引き締め効果が期待できますが、軽度のむくみが1週間程度発生することがあります。
人によっては筋肉痛のような鈍い痛みが起こることがありますが、2日~3日程度でおさまるとされています。
ソノクイーンを照射した直後の日焼けは色素沈着になりやすいため、紫外線対策をする必要があります。紫外線対策をおこたると肌荒れにもつながります。
ソノクイーンは厚生労働省未承認の医療機器です。リスクや副作用について、カウンセリングや診察の際にしっかり説明を受けて納得してから施術を受けるようにしてください。
ソノクイーンは厚生労働省未承認医薬品です。 |
医薬品の入手経路:入手経路は各医療機関のドクターによるメーカーからの個人輸入です。 個人輸入において注意すべき医薬品等について(厚生労働省のページ) |
日本国内での承認の有無:ソノクイーンと同一の性能があり、日本国内で承認を受けている医療機器はありません。 |
諸外国における安全性等に関する情報:ソノクイーンは欧州での安全性と品質を証明するCEマークを取得しています。 |
当該承認における副作用:超音波の熱刺激による赤み、むくみ、筋肉痛のような痛みなどがあります。 |
(1)カウンセリング
ドクターの診察により照射部位を決めます。施術のメリット・デメリットや費用、 使用する機器などについての説明を受け、理解した上で納得してから施術を受けて ください。
(2)洗顔
メイクを落とし洗顔をして肌を清潔な状態にします。
(3)施術
ソノクイーンを照射
治療部位や症状に適したカートリッジでソノクイーンを照射します。
(4)洗顔
施術後はすぐにメイクをして帰宅することが可能です。
トータルの施術時間は1時間前後です。
ソノクイーンは、未承認機器による施術です。保険適用外の自由診療のため、各医療機関によって料金が異なります。
ショット数や施術部位によっても金額が異なりますが、全顔で35,000円~83,000円ほどです。
組み合わせて受けられる別の施術とのセット料金となっている場合や、1回あたりの料金が安価になる複数回のセット料金、初回限定で安価な料金が設定されている場合などもあるため、詳細は各医療機関に確認してください。
ソノクイーンは顔・首の照射に特化していますが、ハイフマシンによってはボディに照射することで痩身に対応できるものもあります。
マシン名 | カートリッジの種類 | 対応可能な施術部位 |
---|---|---|
ソノクイーン | 2.0mm・3.0mm・4.5mm | 顔・首 |
リフテラV | 1.5mm・2.0mm・3.0mm・4.5mm | 顔・首 |
ウルセラ | 1.5mm・3.0mm・4.5mm | 顔・首 |
ダブロゴールド | 1.5mm・3.0mm・4.5mm・13.0mm | 顔・首・ボディ |
ウルトラセルQプラス | 1.5mm・3.0mm・4.5mm・6.0mm・9.0mm・11.0mm・13.0mm | 顔・首・ボディ |
ウルトラフォーマーMPT | 1.5mm・2.0mm・3.0mm・4.5mm・6.0mm・9.0mm・13.0mm | 顔・首・ボディ |
ペン型のアプリケーター(照射機器)を動かしながら熱エネルギーを伝えます。顔のカーブに沿って気になる箇所へ重点的に照射することができます。
出力が強いためリフトアップ効果が高いといわれています。その分照射時には痛みがあり、周囲の骨や歯に響くような痛みを感じることもあります。
ダブロ、ダブロS+の進化版のマシンで、ハイフの焦点が大きいため痛みが少ないといわれています。
痛みと効果のバランスが優れており、脂肪溶解に特化した専用のカートリッジで二重あごや二の腕の脂肪溶解も期待できます。
ウルトラフォーマー3の後継機であるウルトラフォーマーMPTは、高密度のハイフエネルギーをライン状に連続照射できるため、より速い照射が可能です。
たるみの原因は皮膚の一部だけではなく、全層でおこっています。
たるみ治療には、ソノクイーンのようなハイフマシンをはじめ高周波(RF)を照射するRFマシン、糸を使用するスレッドリフト、ボリュームを補うヒアルロン酸注入があり、それぞれに作用する層が異なります。
ソノクイーンだけでなくほかの施術と組み合わせることで、たるみ治療は相乗効果が高まります。
サーマクールは、高周波の中でもソノクイーンと組み合わせて使用されることが多いマシンです。
真皮層と皮下組織に高周波エネルギーを照射して、熱収縮によってコラーゲン線維などのタンパク質を引き締め、余分な脂肪を減少させます。
旧型のサーマクールは照射時の痛みが大きいというデメリットがありましたが、新型のサーマクールFLXでは痛みが軽減されています。
サーマクール単体では、軽度のたるみによる毛穴の開きの改善やたるみの予防が効果的といわれていますが、ソノクイーンと組み合わせることで皮膚の引き締めだけでなく引き上げが可能なため、比較的重度なたるみの改善も期待できます。
スレッドリフト(糸リフト)は、糸を皮下に挿入して引っ張り、たるみを引き上げる施術です。使用する糸には溶ける糸と溶けない糸があり、溶ける糸は体内に異物が残る心配がないので選ぶ人が増えています。
スレッドリフトは皮膚を物理的に糸で持ち上げるため、施術後すぐに効果を実感しやすいことが特徴です。
一方で、ソノクイーンのように超音波で筋膜に作用し深層部から作用するわけではないため、スレッドリフトはゆるんだ表情筋の衰えを止めることはできません。
スレッドリフトによる皮膚の引き上げとソノクイーンによる筋膜の引き上げをおこなうことで、より高いリフトアップ効果が見込めます。
皮膚の下では、脂肪や筋肉が支持靱帯に支えられ、本来あるべき位置に固定されています。 加齢によりゆるんだ支持靱帯を補強するようにヒアルロン酸を注入すると、脂肪や筋肉の支えとなり、たるみの改善が期待できます。
骨や脂肪のボリュームが減少した部位にヒアルロン酸注入をおこなうと、骨や脂肪に代わってヒアルロン酸が肌を内側から支えるので、リフトアップ効果が見込めます。
ヒアルロン酸の注入で骨や脂肪のボリューム不足を補いながらソノクイーンで筋膜を引き上げると、異なる場所に働きかけることができるので、たるみ改善の相乗効果が期待できます。
ハイフはエステサロンでも受けることができますが、医療機関での施術とは大きな違いがあります。
エステサロンのハイフマシンは、細胞を破壊するほど温度が上がることがないようリミッターがついているので、医療機関と比べて1/3程度の強さのエネルギーしか照射することができません。
出力が低いエステサロン用のハイフマシンは 期待した効果・持続期間とは異なることが多いにも関わらず施術中に火傷をしてしまったという報告[※1]もされています。
[※1]独立行政法人国民生活センターの発表情報
ハイフで満足のいく結果を得るためには、医療機関でハイフ治療を受けることが大切です。
ソノクイーンは医療用のハイフマシンであり、SMAS層にまで作用するので、誤った施術をおこなうと火傷や神経損傷を起こすリスクがあります。 火傷や神経損傷のリスクを避けるためには、症例数が多く経験値の高いドクターによる施術を受けることが必要です。
ハイフマシンは進化を続けており、より高い施術効果の実現に向けてこれまで以上に期待や注目が集まっています。 施術者は、メーカーが開催している勉強会や学会に参加して、日々進歩するマシンの特性・効果的で安全な照射方法や解剖学的な知識を学ぶことが大切です。