千春皮フ科クリニック
医学博士 日本皮膚科学会認定皮膚科専門医 AMI Japan Senior Trainer(アラガン社指導医) 日本レーザー医学会専門医・評議員 日本アレルギー学会会員 日本臨床皮膚科外科学会会員 日本抗加齢医学会会員 Dr.OBAGI認定医 日本美容皮膚科学会会員 日本胎盤臨床医学会理事 日本医学脱毛学会会員
渡邊 千春医師のいる医療機関
千春皮フ科クリニック(浦和)
お問い合わせ先(浦和):048-813-1188
千春皮フ科クリニック広尾院
お問い合わせ先(広尾院):03-3447-1177
エステティックサロンや医療機関でおこなうマシンを使用した脱毛施術には、医療レーザー脱毛のほかに、光脱毛(フラッシュ脱毛・IPL脱毛)、ニードル脱毛(絶縁針電気脱毛)があります。
光脱毛と比較して、医療レーザー脱毛が長期間にわたって効果がある理由と、ニードル脱毛ではできて医療レーザー脱毛ではできないこと、また脱毛方法ごとに異なる料金や痛みなど、しっかり理解して適切な施術を受けることが大切です。
医療レーザー脱毛は、電磁波の1種であるレーザーを照射して脱毛をおこないます。
光が複数の波長からなるのに対して、レーザーは一つの波長からなる人工的な光線で、光よりも鋭く一直線に進み、強い熱エネルギーを生み出します。
医療レーザー脱毛で効果的に脱毛するには、レーザーの以下の3つのパラメーターが重要です。
医療レーザー脱毛として適切な波長をもち、効果的なパルス幅と照射エネルギーが設定でき、強力な冷却装置を搭載する脱毛マシンが望ましいといえます。
レーザーにはある特定の物質や色にのみ吸収されやすいという特性があります。例えばメラニンなど黒い色素に吸収率が高い波長のレーザーを用いれば脱毛やシミ治療などをすることができ、ヘモグロビンの赤い色素に吸収率が高いレーザーを用いれば、赤ら顔や毛細血管拡張を治療することができます。レーザー脱毛では、毛や毛球部に含まれるメラニンを利用して脱毛をおこないます。
レーザーの発振時間をパルス幅といいますが、短いパルス幅であればおもに対象物質に、選択的にダメージを与えることができ、長いパルス幅であれば対象物質は壊されずに周囲組織へ放熱されます。
つまり、レーザー脱毛においては皮膚の表面にダメージを与えず、毛包にのみダメージを与えるパルス幅で照射する必要があります。
レーザーの照射エネルギーは対象物質を十分に破壊する強さが必要ですが、強すぎると火傷などの原因になります。そのため適切な出力を設定でき、さらに強力な冷却装置を搭載するマシンが求められます。
レーザーは、対象物質のみに作用するよう調整して照射されるため、ターゲット以外の組織には大きなダメージがありません。
医療レーザー脱毛では、毛の成長に関わる3つの組織が破壊対象とされています。
毛や毛球部に含まれるメラニンに吸収されて発する熱エネルギーを利用して、毛球部・皮脂腺開口部・毛包幹細胞にダメージを与えることで脱毛が可能になるとされます。従来は毛球部にある毛乳頭部のみを破壊すればよいとされていましたが、近年バルジ領域の破壊も重要であることが分かってきました。
■毛幹と毛根
毛幹は皮膚から露出した毛、毛根は皮膚下にある毛包に包まれた部位
■毛包
毛を産生する皮膚付属器官
■毛球
毛根下の球状に膨らんだ毛母細胞がある部位
■毛乳頭
毛細血管から取り込んだ栄養分を毛母細胞に送る組織
■毛母細胞
毛母細胞の下にある毛乳頭から栄養分を受け取り、細胞分裂して毛として成長する細胞
■立毛筋
真皮内に斜めにある毛包についている平滑筋の一種
■バルジ領域
毛母細胞や毛乳頭より上に位置し、発毛因子を作り出し毛母細胞に発毛を促す
■皮脂腺開口部
皮脂を分泌する部位
医療レーザー脱毛の脱毛効果が長期間にわたるのは、毛の成長にかかわる毛母細胞やバルジ領域にダメージを与え破壊することで、毛の成長を妨げるためです。
医療レーザー脱毛は、毛母細胞に影響を与えることで毛の成長を妨げる必要があります。
毛には毛周期と呼ばれる成長周期があり、成長初期・成長期・退行期・休止期を繰り返しています。このサイクルのうち、もっとも毛母細胞にダメージを与えることができるのが成長期とされています。
毛周期は部位ごとに異なり、わきと腕・脚の成長期は3カ月~5カ月、VIOであれば2カ月~3カ月です。
また、成長期の毛の割合は頭髪だと90%ほどありますが、わきや腕、VIO・脚では20%~30%にとどまり、それ以外の毛は退行期や休止期の状態にあります。
医療レーザー脱毛には脱毛方法が2つあります。毛が成長する元に熱ダメージを与えて、毛包幹細胞を破壊するのがショット式(熱破壊式・HR)、熱を蓄え毛が成長する細胞や成長を指示する機能にダメージを与えて脱毛する方法が、蓄熱式脱毛(SHR)です。
蓄熱式脱毛はショット式よりも新しい脱毛方法で照射時の痛みは少ないとされていますが、最終的な脱毛効果にショット式と大きな違いはないといわれています。
ショット式(熱破壊式)の脱毛施術は、最も一般的な照射方法です。
エネルギーの強いレーザーを照射するため、輪ゴムで軽くはじかれるような刺激がありますが、広く利用されている照射方法です。 ショット式では、メラニンの黒い色素に作用することで脱毛します。そのため、メラニンを多く含む日焼けしている肌や、ほくろやシミ、色素沈着、タトゥーがある部位などはレーザーが色素に吸収されて熱が生じるという特性上、火傷になるリスクが高まるので施術はできません。
また白髪やメラニンの薄い産毛には効果が低いことがあります。黒い色素がない毛を脱毛する場合は、ニードル脱毛(絶縁針電気脱毛)での施術が向いているとされています。
ショット式のおもな医療脱毛マシン:ライトシェア・デュエット、ジェントルレーズプロなど
蓄熱式脱毛は比較的新しい脱毛の照射方法で、レーザー照射面を皮膚に接触させて滑らせるモーションテクニックを使います。低出力のエネルギーで繰り返し照射し加熱していくため、皮膚への負担は最小限とされています。
毛球やメラニンに作用しますが、毛包周囲に熱を徐々に蓄熱させて毛包、バルジ領域の毛包幹細胞、毛に関する細胞間の情報伝達をおこなう物質を変性させて脱毛をおこないます。そのため日焼けなど色素の濃い肌の脱毛やショット式では効果の出にくい産毛などの脱毛も可能です。
蓄熱式のおもな医療脱毛マシン:ソプラノアイスプラチナム、メディオスターNeXT PROなど
ショット式 | 蓄熱式 | |
---|---|---|
色素沈着している皮膚や色素が濃い部位 | 火傷リスクが高まるので対応できない | 日本人の肌色であれば脱毛可能 |
白髪や金髪 | 対応できない | 対応できる |
痛み | 輪ゴムで弾かれたような痛み | ショット式と比較すると痛みが少ない |
レーザーは波長によって種類が変わります。メラニンの黒い色素によく吸収される波長は600nm~1200nmとされていて、この波長帯のなかでも波長が短いほどよく吸収されるといわれています。波長が長くなると皮膚深くまで届き、痛みは少ないものの効果は穏やかであるとされています。
レーザーの種類(波長) | 照射方法 | 特徴 |
---|---|---|
アレクサンドライトレーザー (755nm) |
ショット式/蓄熱式脱毛 |
火傷をする可能性があるため、日焼けなど色素の濃い肌には照射不可 広く脱毛に使用されている |
ダイオードレーザー (800nm~810nm) |
ショット式/蓄熱式脱毛 |
日焼けなど色素の濃い肌でも照射可能 広く脱毛に使用されている |
YAGレーザー (1064nm) |
ショット式 |
日焼けなど色素の濃い肌でも照射可能 毛根が深い毛・他のレーザーで抜けない毛に対しての効果が期待できる |
ルビーレーザー (694nm) |
ショット式 |
白人の肌の脱毛に有効 日本ではおもにシミ・ソバカス・あざの治療に使用 |
千春皮フ科クリニックの蓄熱式脱毛
記事を監修していただいた渡邊総院長の千春皮フ科クリニックでは、ソプラノアイス、ソプラノチタニウムというマシンで蓄熱式脱毛をおこなっています。ソプラノの機種のなかで最新機種であるソプラノチタニウムの特長は、YAGレーザー・アレキサンドライトレーザー・ダイオードレーザーの3つの波長を同時に出力できることです。
そのため、太い毛や毛包の深さの異なる毛にも反応して、効率よく脱毛できます。また、レーザー照射面が大きいので施術時間も短縮できます。例えば背中の場合で、ソプラノチタニウムでは、Quattroハンドピースといわれるパーツを使うことで、約5分~10分程度での施術が可能です。
医療レーザー脱毛が1回で終わらず複数回施術を受ける必要があるのは、1回の照射で脱毛効果があるのは、おもに全体の20%程度にあたる成長期の毛のみだからです。
医療レーザー脱毛は、脱毛に適している時期に照射をおこなう必要がありますが、毛周期を目視で確認することは不可能です。そのため頻度は、各部位の休止期間の平均から2カ月~3カ月に1回を目安としています。それより短期間に繰り返しても、成長期以外は効果はないため、早く脱毛が終わるわけではありません。
成長期の毛の割合を全体の20%とすると、医療レーザー脱毛を5回受けると100%になりますので、回数としては5回程度、期間としては1年前後で全体の脱毛が終わる計算になります。 個人差はありますが5回程度繰り返したころには、脱毛効果を実感できるとされます。
蓄熱式脱毛も、ショット式脱毛と同様に毛周期のサイクルに合わせた施術間隔で照射する必要があります。1カ月~2カ月おきに5回~10回程度の照射で脱毛効果の実感を得ることができるとされています。
蓄熱式の照射により蓄えられた熱は、毛が成長する細胞や成長を指示する組織にダメージを与えるので、レーザー照射から2週間~3週間ほど経過したころから、毛が細くなって抜け始めます。
医療レーザー脱毛をしたにもかかわらず、毛が生えてきたように見えることがあります。 これは、休止期だった毛が成長する以外に、毛母細胞やその他の部位に与えるダメージが不十分だったことなどが考えられます。
十分な脱毛効果を得るためには、毛周期に応じて毛の太さや発毛部位を考慮したうえ、レーザーのエネルギー量やパルス幅を適切に設定し、繰り返し照射する必要があります。
医療レーザー脱毛はレーザーを照射することで、ニードル脱毛は毛穴に刺した針から電気を流すことで、毛母細胞の細胞分裂を停止させます。そのため脱毛効果は長期間にわたるとされています。
一方、エステエステティックサロン(以下 エステ)でおこなわれる光脱毛は、薬機法により医療レーザーより低出力でおこなわれるため、毛母細胞は破壊されず働きを弱める減毛施術となります。
家庭用脱毛器にもレーザーや光を使った製品がありますが、薬機法により医療レーザーやエステの光脱毛と比べてエネルギーの出力が低く設計されています。
ここで注意したいのは、メラニン色素に反応し皮膚の深部に熱を与え毛根・皮脂腺開口部・毛乳頭を破壊する医療レーザー脱毛とニードル脱毛(絶縁針電気脱毛)は「毛乳頭・皮脂腺開口部等を破壊する脱毛方法は医療行為である」と医師法の第17条に記されており、厚生労働省からも通達されているということです。
火傷などが起きてしまった時の適切な処置や、トラブルにならないための照射エネルギーの見極めも、皮膚の専門科であるドクターだからこそ可能であるといえます。
医療レーザー脱毛できる部位は、わき・肘上・肘下・手指甲・胸部・乳輪まわり・上腹部・下腹部・ヘソまわり・V全体・Iライン・Oライン・襟足(うなじ)・上背・下背・ヒップ・大腿前面・大腿後面・膝・膝下・足指甲・額・頬・鼻下・あご・あご下・鼻毛・耳毛など。
医療機関の方針により対応していない場合もあるので、対応部位や対象者については事前に施術を受ける医療機関で確認してください。
火傷・赤み・ひりつき・むくみ・毛嚢炎・増毛・硬毛化・打ちもれ・一時的な多汗症などを発症するリスクがあります。
万が一、医療レーザー脱毛でトラブルや合併症などが起きてしまった場合は、施術をおこなった医療機関に連絡し適切な治療を受けてください。
医療レーザー脱毛を受ける前には、簡単な準備が必要です。 痛みを感じやすくなったり、効果が落ちてしまうことがないよう、以下のことに気をつける必要があります。また、脱毛部位に肌トラブルがおこった際は事前に相談してください。
痛みが気になる場合は、事前に申し出ると麻酔クリームを使用して脱毛できる医療機関もありますので、カウンセリングや診察時に相談してください。
以下のような場合でも医療レーザー脱毛が可能ですが、自己判断はせず診断時にドクターに確認してください。
ニキビ | 部分的なニキビや、炎症が強くない場合は医療レーザー脱毛可能 |
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毛孔性苔癬 (もうこうせいたいせん・サメ肌) |
毛孔性苔癬は、二の腕・肩・背中・ヒップ・太ももなどのブツブツした肌質のことで、肌の表面がデコボコしているためカミソリでの自己処理が難しい 医療レーザー脱毛なら毛孔性苔癬でも照射可能 |
埋没毛 | 皮膚の表面に出ていない埋没毛でも黒い色が目視できる状態であれば、医療レーザー脱毛可能 医療レーザー脱毛しても埋没毛はターンオーバーで皮膚の外に出てくるまで皮膚の下に埋もれたままのため、保湿をして早く外に出るよう促し長期間改善しなければドクターに相談 |
生理中 | VIO以外であれば医療レーザー脱毛可能 |
自己処理では毛が埋もれてしまう埋没毛が生じやすく、毛抜きで処理すると傷ついた毛穴が炎症を起こすことも少なくありません。医療レーザー脱毛をおこなうことで自己処理で肌を傷つけることがないため毛穴が目立たなくなります。
ワキガは汗と皮膚にいる細菌が混ざりあうことで、独特なにおいが発生している状態です。毛抜きによる自己処理で無理に毛を引き抜くと、毛穴は炎症を起こします。炎症により刺激され発汗量が増えるなど、自らにおいの原因物質を作り出してしまうこともあり得ます。
しかし、自己処理による肌への負担がなくなることで炎症の刺激による発汗が抑えられて、細菌繁殖の減少が期待できます。また脱毛により細菌が付着する場所(毛)がなくなるので、細菌の繁殖が抑えられます。
医療レーザー脱毛の直後は肌が敏感になっているため、アフターケアが必要になります。ドクターの指示のもと、以下についても注意をしましてください。
記事を監修いただいた渡邊先生に教えていただきました。
料金 (5回/税込) |
蓄熱式脱毛 (ソプラノアイス) |
ショット式脱毛 (エリート) |
---|---|---|
両わき | 39,600円 | 24,750円 |
ひじ下 | 138,600円 | 123,750円 |
ひざ下 | 188,100円 | 172,700円 |
Vライン (女性のみ) |
89,100円 | 74,250円 |
背中全体 | 287,100円 | 272,250円 |
腹部 | 188,100円 | 173,250円 |
※初診料3,000円 再診料1,000円
医療レーザー脱毛は自由診療のため、各医療機関によって料金設定が異なります。脱毛の施術は、異常に多い発毛がみられる多毛症(アムブラス症候群)では、医療費控除の対象になる可能性もありますが、基本的には保険対象外です。
(1)問診票の記入
相談したいことや気になる部位、症状などを記入します。
(2)診察・カウンセリング
医療レーザー脱毛の説明や皮膚の診察、どのような効果があるのかを確認したり気になることを相談したりします。
(3)着替え
必要であればクリニックで用意しているガウンに着替えます。
(4)施術
蓄熱式脱毛の場合:脱毛部位箇所に肌の保護と滑りを良くするためにジェルを塗布して、レーザーを照射していきます。照射が終わったらジェルを拭き取って終了です。赤みのある場合はクーリングをおこないます。
ショット式の場合:痛みを感じにくくするために冷却装置で冷却しながらレーザーを照射していきます。照射が終わったら、クーリングをして終了です。
脱毛は若い女性の方だけのものではありません。これから介護を受けることを想定してデリケートゾーンの脱毛を希望される40歳代以降の方、ひげや胸毛の脱毛を希望される男性が増えています。
痛みに弱いことで医療レーザー脱毛を躊躇されていた方でも、蓄熱式脱毛であれば痛みが軽減されます。また千春皮フ科クリニックのように、照射ごとに痛みを確認してエネルギー出力を調節しながら丁寧な照射をおこなうクリニックなら安心といえるでしょう。
監修医師の紹介
千春皮フ科クリニック理事長・総院長である渡邊千春医師。日本医学脱毛学会に所属し、日本レーザー医学会専門医・評議員を務める。レーザーを使用した医療脱毛の造詣が深く、日本美容皮膚科学会総会・学術大会での講演、美容医療の専門雑誌における対談など、多様化する脱毛ニーズの課題研究に尽力。幼少時代のアトピー性皮膚炎の経験をもとに、悩みに共感した細やかなアドバイスと「肌にやさしいクリニック」の治療方針を掲げる。
渡邊 千春医師のいる医療機関
千春皮フ科クリニック(浦和)
お問い合わせ先(浦和):048-813-1188
千春皮フ科クリニック広尾院
お問い合わせ先(広尾院):03-3447-1177